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10日に1度の魔力管理

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昨日、ルドーさんについて話をしたときモヤモヤした気持ちがあったので今日会いに行く日だということが少しだけ憂鬱だ。

いつもは休みの楽しみの1つで会うのは嬉しいはずなのに足取りが重い気がした。

この世界にきてから10日に1度ルドーさんと会っている。
それは私の魔力管理をしてもらうためだ。

魔力回路というものができ、魔法が使えるようになった。
これは血管のようなもので魔力が巡回するための通り道だ

魔力は無意識でこの回路を巡っているらしい
魔力は普段の生活魔法や仕事での魔道具への付与などに使い、血液のようにまた無意識のうちに体内で作られている

魔力を使いすぎると貧血のような症状がでて、眩暈や吐き気、頭痛を感じて酷いと倒れてしまう。
私の場合は余程のことがない限り、枯渇しないほど膨大な魔力を持っているらしいが問題は逆だった。

魔力を使う量と作られる量のバランスだ。
作られる量が多い私は無意識のうちに魔力が溢れて暴走してしまう。
私は自分の魔力量を感じることが出来ず、溢れて不調がでてからでないと気付けない。
溢れると熱がでてとにかく息苦しい。
そして暴走し始めると無意識に魔法が発動したり、魔法を使ったときのコントロールが効かなくなり危険だ。

過去に1度、暴走してしまい皆んなに迷惑をかけてしまい、それを治めて助けてくれたのもルドーさんだ。

それからは魔力をある程度使うように心がけている。
仕事で使ったときはあまり気にしないが、休みの日やあまり使わなかったと思った日は夜に散歩代わりに空を飛んで消費していた。
そして定期的にルドーさんに魔力量を見てもらい、管理してもらっている。


「よし、いこ!」

憂鬱になっていても仕方がない。
約束の時間に間に合うように家を出た




なんだかんだ会えるのが楽しみだったのか…
予定より早く着いてしまった
ルドーさんは訓練のため演習場にいる
先に執務室に行って待つか悩んだが、誰もいない部屋で待つのも退屈だ。見学していようと近くに居た騎士に声を掛けて許可をもらった。

魔法騎士なのに剣も強い
両方を駆使した戦い方は芸術だと言われている。

長い髪を結い、舞うような美しい動きはつい目で追ってしまう
訓練が終わり汗を拭くためシャツを開けたとき、綺麗な顔に似合わないゴツゴツとした男らしい筋肉が見えてドキっとしてしまった

私に気づいたルドーさんはそのまま近くに来ると一緒に行こうと声をかけてくれた
並んで歩き、いつものように話すが部屋までの距離がいつもより長く感じた。



「紅茶は今日もレモンでいいか?」
「はい。ありがとうございます」

部屋に着くといつものように紅茶を淹れてくれる
出会ったときは知らされていなかったが、ルドーさんは偉い人だ。
魔力量も公式ではこの国1番だし、魔力制御の繊細さ、戦闘能力は誰も敵わない。魔法騎士団の団長をしていて捨てられた設定でこの国にいる私が話しかけられるような人でもなく、ましてや紅茶を淹れさせるなど論外だ。

この国について無知だった私でも、さすがにこの部屋に通されるようになって、ルドーさんの偉い人度合いを感じて私がお茶を淹れるし呼び方もルドー様と変えると申し出たが却下され、今でも大人しくしく座っている

この光景を見られたら…なんて失礼な女だ。と悪評が流れ商売も傾きそうなくらいだ。

仲の良いスタッフの前では「さん」と呼んでいるが、基本的には「様」で許してもらった。
本人はそれすらも不服そうにしていたが、安易に他人の神経を逆撫でしたくないと訴えて譲歩してもらった。

「なんだ?考え事か?それとも…体が怠いか?」
「いえ、元気です。ちょっと…仕事のことで」
「そうか。仕事で悩みでも?良ければ聞くが」

お茶を淹れてくれるルドーさんとのことをぼーっと見ていただけ。とは言えずなんとなく仕事を言い訳に使った

「既存の商品に新しい機能の追加の提案をされたので試作しておりまして。それに使えるいい魔法があれば…と」

「なるほど?試作段階では内容は外部の私には言い辛いか。」

「はい。すみません…」

別に言っても良いんだけど…。ルドーさんに
「射精機能つけたいんですけど、よりエロくてリアルを超える射精を再現するにはどんな魔法付与すればいいですか?」なんて聞けない。

そう言えばこの世界で初めて見たのはルドーさん…
桃真も多いが、ルドーさんの方が凄かかった記憶がある。
衝撃的だったので思い出補正されている可能性もあるが…あの距離からでも分かる量って相当よね…

目の前で優雅に座っている人のオナニーを見たことのある私は目線が股間へ。
コレもご立派なんだよなー。と思い出すと顔が熱くなり疼きを感じた。

「どうした?顔も赤いし…やっぱり体調が悪いんではないのか?」

「いいえ、そんなことはないです!それより魔力量見てもらえますか?」

「あぁ。そうだな、その不調が魔力量のせいかもしれんな。少し触れるぞ」

「お願いします。」



手を握られ、いつものように私の魔力量や回路に異常がないか確認してくれる。
ルドーさんの手から微量の魔力が流し込まれ、通ったところが暖かくなる気がする
ルドーさんの魔力が滞りなく身体中を巡り身体が軽くなる
不調…というほどでもないが肩こりなどの疲れもルドーさんの魔力が入ると一気に軽くなる
しばらくすると無事に終わり、今回も異常なし。と言うことだった。


「普段より少し魔力を使っているようだが、仕事が忙しいのか?」

「少ないですか?試作に使ったり、あとはポーション作りの人手が足りないと言われて手伝いに行ったのでそこで使ったくらいですかね?」

「少なくはない。今の5倍は使っても問題ない量だ」

「この期間の5倍…私ってわりと使いたい放題ですね。転移魔法も覚えたら使えちゃいます?」

「使えるぞ?魔力量で言えば2.3回しても倒れはしないだろう。」

「え!そんなに!ルドーさんでも1日1回ですよね?」

「そうだ。だからアンナの量は規格外だからもっと魔力制御も出来るようにならないとな。
転移魔法を覚えるのもいいが…もう少し細かく制御できるようにならないと難しいし、危険だから私以外の人に教えてもらわないように。」

「はい!その時はルドーさんにお願いします。そもそも私が転移魔法覚えたいなんて他の人には言えませんし…」

「そうだな…じゃ、この魔力量を活かせるように制御の訓練をしようか」

「え…今からですか?頭使うから苦手なんですよねー」

「慣れれば頭を使わなくても自然に出来るようになる。さぁ、やるぞ」

「はーい…お願いします。」


そして時間まで厳しいルドーさんの訓練を受けていた
会議の時間だと呼びにきてくれた人に感謝して、この日は終了した。

「魔力がどうのじゃなくて…シンプルに頭が痛い。使いすぎて痛いです…うぅ。」

「普段からもう少し練習し、慣れておくべきだ。
まぁ…それでも上手くなっている。才能もあるんだ、頑張れ」

そう言って頭を撫でて治癒してくれる
撫でられてスッと痛みが消え、褒められて気分は悪くない。

単純な私はまた褒めてもらえるようにと、もらった課題をクリアするため、次に会う10日後まで毎日練習をかかさなかった。

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