13 / 30
第13話 幕間 プロジェクトD
しおりを挟む
俺はついに例の計画を実行に移した。
そう、きっかけは俺が病気で寝込んでいた時のことだった。
食事はいつも俺が準備していたので今まで気付かなかった。……相方の飯がまずい。
これは死活問題だ。それに、俺はもうアラフォーだし、老後の備えが必要だ。
というわけで、ついに以前から構想を描いていたサポートロボットを作る時が来たのだ。
まずは試作機を作って感覚をつかんでおく必要がある。
とりあえずは寸胴な二頭身のロボットを作った。まだ造形技術が未熟だったし、とりあえずは無事に動けばいいのだ。
しかし、これはこれで有りだ。少し外形を調整して、青と白でカラーリングすれば、あっという間にDえもん。
奇妙奇天烈摩訶不思議ではあったが、これはあくまで試作機だ、ロボットとは何かの勉強用なので俺の好きに作ってもいいのだ。文句を言う人間はこの世界には居ないし。
ちなみに俺は旧作の方が好きだ。
さて、それと並行して人工知能を作らないといけない。
しかし、これは俺の魔法スキルと相性が良かった。
前世の世界の電子回路と、この世界の魔石は役割として酷似していたからだ。
俺の異世界転生者としてのスキルで、人工知能は割と簡単に実現できた。我ながらチートなスキルをもらったものだ。
作業は続いた。俺は試作機で得たノウハウをもとについに後継機の製作に移った。
本体のデザインは大人の事情で、人型がベストだと言う結論に達した。
元ネタのあるロボットの造形はさすがにまずいし、だからといって部分的に変えると、海外でみるパチモンになってしまい、急に萎えるのだ。
幸い人型モデルは同居人の少年がいたので彼をベースにデザインしていった。
彼は中性的な見た目で、モデルとしては最適だと思った。
女装させれば、可愛い男の娘になるだろうなと思いながら。
そうだな、どうせなら女の子ロボットにしよう、俺は同性に面倒を見てもらいたくないのだ。
異世界なんだから、ここはメイドさんが定番かな、夢が溢れるじゃないか。
それから俺の創作意欲はマックスになり、気づいたら素体は完成していた。
素体の材料は、試作段階ではゴーレムなんかに使う魔法粘土を試したが強度が不安だった。
華奢に作ると簡単に手足がもげるのだ。だからゴーレムはあんなにずんぐりな見た目なのかと納得した。
だが、俺は妥協したくない。ロボットは見た目が全てなのだ。可愛くないといけない。
そこで俺は、同居人の少年が見つけたミスリル鉱石から金属繊維を作り出し、これを格子状に編み込み魔法粘土と組み合わせた。
これにより、高い物理魔法防御と柔軟性を兼ね備えた理想的な素材ができたのだ。
髪の毛も、ミスリル繊維を活用した。やや青みかかった美しい銀髪が出来た。我ながら天才じゃないだろうかと思った。
そうして、さまざまなパーツを作りだし、いよいよ完成形になって気付いた。服が無いことに……。
裸はさすがにまずい。女性型とはいえ実際はただのマネキンであり、まずい部分はないのだが妄想力で補完してしまい色々まずいのだ。
おれは十数年ぶりにおしのびで、人里へ向かった。メイド服を手に入れんがために。
さすがに一から作るのは無理だし、俺は手芸には興味がないのだ。
――後に、とある町のあらゆる服飾店でメイド服ばかりを爆買いする中年の変態があらわれたという噂が広まった。極端に品薄となったため、一時的に特需が生まれ、これをきっかけに様々なデザインのメイド服が誕生した。中にはフェティシズムを前面に押し出したものも一部で人気となった。
ついでに、料理や医療など様々な専門書も一通り買い揃えておいた。
どうせなら美味い飯を食いたいし、俺の知識にも偏りがあるからな。
こうして、後継機の開発は順調に進んだ。
途中、知能をつかさどる魔導集積回路が暴走し、頭が爆発するというショッキングな事件があったが、紆余曲折を経て、俺専用のメイドロボットは完成した。
おっと、忘れちゃいけない。
「さあ、最後の仕上げだ、このポケットをお腹の部分につけてごらん?」
「はいマスター、……これは何でしょうか?」
「これはな、ごほん、異次元ポッケ~!だ。さあ一緒に」
「異次元ポッケ~!」
「異次元ポッケ~!」
ふたつのダミ声が重なった。
「……で、これは何でしょうか?」
「うむ、これはな、俺が憧れるもっとも凄い猫型ロボットの最強アイテム、に、似せた収納用の魔道具だ。
君には、そういうロボットになってほしいという願いをこめて作ったんだ」
「はあ、猫型ですか? 私は人型ですよ? 猫耳でも付けるおつもりですか?」
猫耳メイド……いや、それもありだが、さすがにあざとすぎるので却下だ。ちなみに本家にも耳は無い。
「まあ、そう言うわけだ。これからいろんなことを覚えていくといいよ。ちなみに猫型なのに耳がないのはね――――」
こうして、ロボさんは誕生したのでした。
そう、きっかけは俺が病気で寝込んでいた時のことだった。
食事はいつも俺が準備していたので今まで気付かなかった。……相方の飯がまずい。
これは死活問題だ。それに、俺はもうアラフォーだし、老後の備えが必要だ。
というわけで、ついに以前から構想を描いていたサポートロボットを作る時が来たのだ。
まずは試作機を作って感覚をつかんでおく必要がある。
とりあえずは寸胴な二頭身のロボットを作った。まだ造形技術が未熟だったし、とりあえずは無事に動けばいいのだ。
しかし、これはこれで有りだ。少し外形を調整して、青と白でカラーリングすれば、あっという間にDえもん。
奇妙奇天烈摩訶不思議ではあったが、これはあくまで試作機だ、ロボットとは何かの勉強用なので俺の好きに作ってもいいのだ。文句を言う人間はこの世界には居ないし。
ちなみに俺は旧作の方が好きだ。
さて、それと並行して人工知能を作らないといけない。
しかし、これは俺の魔法スキルと相性が良かった。
前世の世界の電子回路と、この世界の魔石は役割として酷似していたからだ。
俺の異世界転生者としてのスキルで、人工知能は割と簡単に実現できた。我ながらチートなスキルをもらったものだ。
作業は続いた。俺は試作機で得たノウハウをもとについに後継機の製作に移った。
本体のデザインは大人の事情で、人型がベストだと言う結論に達した。
元ネタのあるロボットの造形はさすがにまずいし、だからといって部分的に変えると、海外でみるパチモンになってしまい、急に萎えるのだ。
幸い人型モデルは同居人の少年がいたので彼をベースにデザインしていった。
彼は中性的な見た目で、モデルとしては最適だと思った。
女装させれば、可愛い男の娘になるだろうなと思いながら。
そうだな、どうせなら女の子ロボットにしよう、俺は同性に面倒を見てもらいたくないのだ。
異世界なんだから、ここはメイドさんが定番かな、夢が溢れるじゃないか。
それから俺の創作意欲はマックスになり、気づいたら素体は完成していた。
素体の材料は、試作段階ではゴーレムなんかに使う魔法粘土を試したが強度が不安だった。
華奢に作ると簡単に手足がもげるのだ。だからゴーレムはあんなにずんぐりな見た目なのかと納得した。
だが、俺は妥協したくない。ロボットは見た目が全てなのだ。可愛くないといけない。
そこで俺は、同居人の少年が見つけたミスリル鉱石から金属繊維を作り出し、これを格子状に編み込み魔法粘土と組み合わせた。
これにより、高い物理魔法防御と柔軟性を兼ね備えた理想的な素材ができたのだ。
髪の毛も、ミスリル繊維を活用した。やや青みかかった美しい銀髪が出来た。我ながら天才じゃないだろうかと思った。
そうして、さまざまなパーツを作りだし、いよいよ完成形になって気付いた。服が無いことに……。
裸はさすがにまずい。女性型とはいえ実際はただのマネキンであり、まずい部分はないのだが妄想力で補完してしまい色々まずいのだ。
おれは十数年ぶりにおしのびで、人里へ向かった。メイド服を手に入れんがために。
さすがに一から作るのは無理だし、俺は手芸には興味がないのだ。
――後に、とある町のあらゆる服飾店でメイド服ばかりを爆買いする中年の変態があらわれたという噂が広まった。極端に品薄となったため、一時的に特需が生まれ、これをきっかけに様々なデザインのメイド服が誕生した。中にはフェティシズムを前面に押し出したものも一部で人気となった。
ついでに、料理や医療など様々な専門書も一通り買い揃えておいた。
どうせなら美味い飯を食いたいし、俺の知識にも偏りがあるからな。
こうして、後継機の開発は順調に進んだ。
途中、知能をつかさどる魔導集積回路が暴走し、頭が爆発するというショッキングな事件があったが、紆余曲折を経て、俺専用のメイドロボットは完成した。
おっと、忘れちゃいけない。
「さあ、最後の仕上げだ、このポケットをお腹の部分につけてごらん?」
「はいマスター、……これは何でしょうか?」
「これはな、ごほん、異次元ポッケ~!だ。さあ一緒に」
「異次元ポッケ~!」
「異次元ポッケ~!」
ふたつのダミ声が重なった。
「……で、これは何でしょうか?」
「うむ、これはな、俺が憧れるもっとも凄い猫型ロボットの最強アイテム、に、似せた収納用の魔道具だ。
君には、そういうロボットになってほしいという願いをこめて作ったんだ」
「はあ、猫型ですか? 私は人型ですよ? 猫耳でも付けるおつもりですか?」
猫耳メイド……いや、それもありだが、さすがにあざとすぎるので却下だ。ちなみに本家にも耳は無い。
「まあ、そう言うわけだ。これからいろんなことを覚えていくといいよ。ちなみに猫型なのに耳がないのはね――――」
こうして、ロボさんは誕生したのでした。
1
お気に入りに追加
10
あなたにおすすめの小説
地獄の手違いで殺されてしまったが、閻魔大王が愛猫と一緒にネット環境付きで異世界転生させてくれました。
克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作、面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります!
高橋翔は地獄の官吏のミスで寿命でもないのに殺されてしまった。だが流石に地獄の十王達だった。配下の失敗にいち早く気付き、本来なら地獄の泰広王(不動明王)だけが初七日に審理する場に、十王全員が勢揃いして善後策を協議する事になった。だが、流石の十王達でも、配下の失敗に気がつくのに六日掛かっていた、高橋翔の身体は既に焼かれて灰となっていた。高橋翔は閻魔大王たちを相手に交渉した。現世で残されていた寿命を異世界で全うさせてくれる事。どのような異世界であろうと、異世界間ネットスーパーを利用して元の生活水準を保証してくれる事。死ぬまでに得ていた貯金と家屋敷、死亡保険金を保証して異世界で使えるようにする事。更には異世界に行く前に地獄で鍛錬させてもらう事まで要求し、権利を勝ち取った。そのお陰で異世界では楽々に生きる事ができた。
ぽっちゃり女子の異世界人生
猫目 しの
ファンタジー
大抵のトリップ&転生小説は……。
最強主人公はイケメンでハーレム。
脇役&巻き込まれ主人公はフツメンフツメン言いながらも実はイケメンでモテる。
落ちこぼれ主人公は可愛い系が多い。
=主人公は男でも女でも顔が良い。
そして、ハンパなく強い。
そんな常識いりませんっ。
私はぽっちゃりだけど普通に生きていたい。
【エブリスタや小説家になろうにも掲載してます】
転移した異世界が無茶苦茶なのは、オレのせいではない!
どら焼き
ファンタジー
ありがとうございます。
おかげさまで、第一部無事終了しました。
これも、皆様が読んでくれたおかげです。
第二部は、ゆっくりな投稿頻度になると思われます。
不遇の生活を送っていた主人公が、ある日学校のクラスごと、異世界に強制召喚されてしまった。
しかもチートスキル無し!
生命維持用・基本・言語スキル無し!
そして、転移場所が地元の住民すら立ち入らないスーパーハードなモンスター地帯!
いきなり吐血から始まる、異世界生活!
何故か物理攻撃が効かない主人公は、生きるためなら何でも投げつけます!
たとえ、それがバナナでも!
ざまぁ要素はありますが、少し複雑です。
作者の初投稿作品です。拙い文章ですが、暖かく見守ってほしいいただけるとうれしいです。よろしくおねがいします。
欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します
ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!!
カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
最強の職業は付与魔術師かもしれない
カタナヅキ
ファンタジー
現実世界から異世界に召喚された5人の勇者。彼等は同じ高校のクラスメイト同士であり、彼等を召喚したのはバルトロス帝国の3代目の国王だった。彼の話によると現在こちらの世界では魔王軍と呼ばれる組織が世界各地に出現し、数多くの人々に被害を与えている事を伝える。そんな魔王軍に対抗するために帝国に代々伝わる召喚魔法によって異世界から勇者になれる素質を持つ人間を呼びだしたらしいが、たった一人だけ巻き込まれて召喚された人間がいた。
召喚された勇者の中でも小柄であり、他の4人には存在するはずの「女神の加護」と呼ばれる恩恵が存在しなかった。他の勇者に巻き込まれて召喚された「一般人」と判断された彼は魔王軍に対抗できないと見下され、召喚を実行したはずの帝国の人間から追い出される。彼は普通の魔術師ではなく、攻撃魔法は覚えられない「付与魔術師」の職業だったため、この職業の人間は他者を支援するような魔法しか覚えられず、強力な魔法を扱えないため、最初から戦力外と判断されてしまった。
しかし、彼は付与魔術師の本当の力を見抜き、付与魔法を極めて独自の戦闘方法を見出す。後に「聖天魔導士」と名付けられる「霧崎レナ」の物語が始まる――
※今月は毎日10時に投稿します。
大器晩成エンチャンター~Sランク冒険者パーティから追放されてしまったが、追放後の成長度合いが凄くて世界最強になる
遠野紫
ファンタジー
「な、なんでだよ……今まで一緒に頑張って来たろ……?」
「頑張って来たのは俺たちだよ……お前はお荷物だ。サザン、お前にはパーティから抜けてもらう」
S級冒険者パーティのエンチャンターであるサザンは或る時、パーティリーダーから追放を言い渡されてしまう。
村の仲良し四人で結成したパーティだったが、サザンだけはなぜか実力が伸びなかったのだ。他のメンバーに追いつくために日々努力を重ねたサザンだったが結局報われることは無く追放されてしまった。
しかしサザンはレアスキル『大器晩成』を持っていたため、ある時突然その強さが解放されたのだった。
とてつもない成長率を手にしたサザンの最強エンチャンターへの道が今始まる。
【完結】ご都合主義で生きてます。-商売の力で世界を変える。カスタマイズ可能なストレージで世の中を変えていく-
ジェルミ
ファンタジー
28歳でこの世を去った佐藤は、異世界の女神により転移を誘われる。
その条件として女神に『面白楽しく生活でき、苦労をせずお金を稼いで生きていくスキルがほしい』と無理難題を言うのだった。
困った女神が授けたのは、想像した事を実現できる創生魔法だった。
この味気ない世界を、創生魔法とカスタマイズ可能なストレージを使い、美味しくなる調味料や料理を作り世界を変えて行く。
はい、ご注文は?
調味料、それとも武器ですか?
カスタマイズ可能なストレージで世の中を変えていく。
村を開拓し仲間を集め国を巻き込む産業を起こす。
いずれは世界へ通じる道を繋げるために。
※本作はカクヨム様にも掲載しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる