28 / 151
第二章 船旅
第28話 西グプタ①
しおりを挟む
朝食を終え。少し時間が過ぎると西グプタの港が見えてきた。
外観は東グプタと類似しているので特に感動した訳ではないが、今まで自分たちはずっと海の上にいたんだと改めて実感した。
ゆっくりと船は寄港する。船から降りる頃にはちょうどお昼が近い。
船で昼食を取るのも良いが、どうせなら外で食べるのがいいと子供たちは船から降りることにした。
「ルカ様は降りられないのですか?」
「まあのう、今回の乗船はあくまで仕事であるからの。エンジンが止まっている今でしか調査できぬことがある。
データ取りに一日かかるのでな、一応保護者としてセバスちゃんに同行させよう、さすがに子供達だけで街をうろつかせるのも良くないからのう」
「お気遣いありがとうございます」
「はっはっは、弟君は礼儀正しいのう、ルーシーちゃんも少しは見習うとよいぞ」
「ふん、ルカさんこそ、もう少しセバスティアーナさんを見習ったほうがいいんじゃないですか?」
昨日のコンテストの結果にまだご立腹のルーシー。
「おっと、これは手厳しい。ではな、セバスちゃんよ、出航まで子供たちをたのんだぞい」
街へ出るために下船口の通路を歩いていると、反対側の乗船口の通路に、これから乗船する人が列を作っているのが見えた。
彼らは西グプタ側のお客さんで、これから船旅を楽しみにしているのかガヤガヤと賑やかだった。
無事下船を終え。港町につく子供たちと引率のセバスティアーナ。
「さてと、皆さま、これからどうされますか?」
「まずはお昼ご飯たべなきゃ。その時にどうするか決めましょう」
いつの間にか普段の口調でセバスティアーナに接するルーシー。昨日の事件で友情の様なものが芽生えたのだ。
「わかりました。では、皆さま、なにを食べたいですか?」
「うーん、そだねー。ジャンクなのがいいなー。お船の料理は豪華でいいけど飽きちゃった」
「俺もだぜ。そうだなー、何が良いかなー、ピリッと辛いやつが食べたいけど、ルーシーは何が食いたい? こういうときのお前のセンスは当たるからな」
「うむ、ならば、ピリッと辛いソーセージってなんだっけ、あれにマスタードとケチャップたっぷりのホットドッグがいいわ」
「チョリソーだねー。私も好きー。レオ君は何かある?」
「うん、僕もそれでいいよ。セバスティアーナさん、よろしいですか?」
「はい、問題ありません。でしたら少し歩いたところに屋台がありますので、そこでお昼にしましょうか」
ガブリっと大きなソーセージが挟まれたホットドッグを満面の笑みで頬張るルーシー。
「姉ちゃん。相変わらず食べ方が汚いんだから。ほらケチャップが口の周りに」
「相変わらずだなー、大人になったんじゃなかったのかよ」
「うるさい。丸かじりしないのはホットドッグを愛する人達に対する冒涜だぞ!」
「一理あるか。アンナもお行儀よく食べてないで、これはこうやって食うんだぞ」
ジャンも勢いよくホットドッグにかぶりつく。
「私じゃ無理よー。ソーセージが太くて口からはみ出ちゃうよー。
そういえばルーシーちゃん、昨日は寝ちゃったから聞けなかったけどパーティーで何があったの? 船長さんからも褒められてたし、お小遣いもたくさんもらってたみたいだけど」
「そうだった、姉ちゃん、危ない事したんじゃない? 僕達にもちゃんと教えてくれないと」
「ふふーん。実はな。あのピエロの犯人に呪いを掛けられたのだが、吾輩がとっさに呪い返しをしてやったのだ! 説明が難しいが、なんだっけ『地獄の女監獄長』となって奴に説教してやったのだ」
「なにそれ。……姉ちゃんの説明は相変わらず分からないけど、今回は特にひどいや。うん? アンナちゃんどうしたの?」
「――っ! ル、ルーシーちゃん。まさかアレをやったの? ボンテージに鞭とロウソクで……。どうだったの? ねえ、ここだとアレだからお船に戻ったら詳しく聞かせてね?」
「な、なんだ? 珍しくアンナが早口で喋ってるな。まあ、よくわからんけど。すっげーじゃん。いよいよ魔法使いになってきたってことだな」
「あら、ルーシー様は魔法使いなのですね。なるほど、それにしても呪い返しとは恐れ入りました。私とて、呪いを解くことはできましたが。回避することは出来ませんでした。……さすがですね」
「わっはっは。もっと褒めてもよいぞ! 吾輩は、あ、違う、我は呪いのドラゴンロードなのだから!」
「もう、すぐ調子に乗るんだから。」
外観は東グプタと類似しているので特に感動した訳ではないが、今まで自分たちはずっと海の上にいたんだと改めて実感した。
ゆっくりと船は寄港する。船から降りる頃にはちょうどお昼が近い。
船で昼食を取るのも良いが、どうせなら外で食べるのがいいと子供たちは船から降りることにした。
「ルカ様は降りられないのですか?」
「まあのう、今回の乗船はあくまで仕事であるからの。エンジンが止まっている今でしか調査できぬことがある。
データ取りに一日かかるのでな、一応保護者としてセバスちゃんに同行させよう、さすがに子供達だけで街をうろつかせるのも良くないからのう」
「お気遣いありがとうございます」
「はっはっは、弟君は礼儀正しいのう、ルーシーちゃんも少しは見習うとよいぞ」
「ふん、ルカさんこそ、もう少しセバスティアーナさんを見習ったほうがいいんじゃないですか?」
昨日のコンテストの結果にまだご立腹のルーシー。
「おっと、これは手厳しい。ではな、セバスちゃんよ、出航まで子供たちをたのんだぞい」
街へ出るために下船口の通路を歩いていると、反対側の乗船口の通路に、これから乗船する人が列を作っているのが見えた。
彼らは西グプタ側のお客さんで、これから船旅を楽しみにしているのかガヤガヤと賑やかだった。
無事下船を終え。港町につく子供たちと引率のセバスティアーナ。
「さてと、皆さま、これからどうされますか?」
「まずはお昼ご飯たべなきゃ。その時にどうするか決めましょう」
いつの間にか普段の口調でセバスティアーナに接するルーシー。昨日の事件で友情の様なものが芽生えたのだ。
「わかりました。では、皆さま、なにを食べたいですか?」
「うーん、そだねー。ジャンクなのがいいなー。お船の料理は豪華でいいけど飽きちゃった」
「俺もだぜ。そうだなー、何が良いかなー、ピリッと辛いやつが食べたいけど、ルーシーは何が食いたい? こういうときのお前のセンスは当たるからな」
「うむ、ならば、ピリッと辛いソーセージってなんだっけ、あれにマスタードとケチャップたっぷりのホットドッグがいいわ」
「チョリソーだねー。私も好きー。レオ君は何かある?」
「うん、僕もそれでいいよ。セバスティアーナさん、よろしいですか?」
「はい、問題ありません。でしたら少し歩いたところに屋台がありますので、そこでお昼にしましょうか」
ガブリっと大きなソーセージが挟まれたホットドッグを満面の笑みで頬張るルーシー。
「姉ちゃん。相変わらず食べ方が汚いんだから。ほらケチャップが口の周りに」
「相変わらずだなー、大人になったんじゃなかったのかよ」
「うるさい。丸かじりしないのはホットドッグを愛する人達に対する冒涜だぞ!」
「一理あるか。アンナもお行儀よく食べてないで、これはこうやって食うんだぞ」
ジャンも勢いよくホットドッグにかぶりつく。
「私じゃ無理よー。ソーセージが太くて口からはみ出ちゃうよー。
そういえばルーシーちゃん、昨日は寝ちゃったから聞けなかったけどパーティーで何があったの? 船長さんからも褒められてたし、お小遣いもたくさんもらってたみたいだけど」
「そうだった、姉ちゃん、危ない事したんじゃない? 僕達にもちゃんと教えてくれないと」
「ふふーん。実はな。あのピエロの犯人に呪いを掛けられたのだが、吾輩がとっさに呪い返しをしてやったのだ! 説明が難しいが、なんだっけ『地獄の女監獄長』となって奴に説教してやったのだ」
「なにそれ。……姉ちゃんの説明は相変わらず分からないけど、今回は特にひどいや。うん? アンナちゃんどうしたの?」
「――っ! ル、ルーシーちゃん。まさかアレをやったの? ボンテージに鞭とロウソクで……。どうだったの? ねえ、ここだとアレだからお船に戻ったら詳しく聞かせてね?」
「な、なんだ? 珍しくアンナが早口で喋ってるな。まあ、よくわからんけど。すっげーじゃん。いよいよ魔法使いになってきたってことだな」
「あら、ルーシー様は魔法使いなのですね。なるほど、それにしても呪い返しとは恐れ入りました。私とて、呪いを解くことはできましたが。回避することは出来ませんでした。……さすがですね」
「わっはっは。もっと褒めてもよいぞ! 吾輩は、あ、違う、我は呪いのドラゴンロードなのだから!」
「もう、すぐ調子に乗るんだから。」
2
お気に入りに追加
28
あなたにおすすめの小説
転生したら死んだことにされました〜女神の使徒なんて聞いてないよ!〜
家具屋ふふみに
ファンタジー
大学生として普通の生活を送っていた望水 静香はある日、信号無視したトラックに轢かれてそうになっていた女性を助けたことで死んでしまった。が、なんか助けた人は神だったらしく、異世界転生することに。
そして、転生したら...「女には荷が重い」という父親の一言で死んだことにされました。なので、自由に生きさせてください...なのに職業が女神の使徒?!そんなの聞いてないよ?!
しっかりしているように見えてたまにミスをする女神から面倒なことを度々押し付けられ、それを与えられた力でなんとか解決していくけど、次から次に問題が起きたり、なにか不穏な動きがあったり...?
ローブ男たちの目的とは?そして、その黒幕とは一体...?
不定期なので、楽しみにお待ち頂ければ嬉しいです。
拙い文章なので、誤字脱字がありましたらすいません。報告して頂ければその都度訂正させていただきます。
小説家になろう様でも公開しております。
ぽっちゃり女子の異世界人生
猫目 しの
ファンタジー
大抵のトリップ&転生小説は……。
最強主人公はイケメンでハーレム。
脇役&巻き込まれ主人公はフツメンフツメン言いながらも実はイケメンでモテる。
落ちこぼれ主人公は可愛い系が多い。
=主人公は男でも女でも顔が良い。
そして、ハンパなく強い。
そんな常識いりませんっ。
私はぽっちゃりだけど普通に生きていたい。
【エブリスタや小説家になろうにも掲載してます】
30代社畜の私が1ヶ月後に異世界転生するらしい。
ひさまま
ファンタジー
前世で搾取されまくりだった私。
魂の休養のため、地球に転生したが、地球でも今世も搾取されまくりのため魂の消滅の危機らしい。
とある理由から元の世界に戻るように言われ、マジックバックを自称神様から頂いたよ。
これで地球で買ったものを持ち込めるとのこと。やっぱり夢ではないらしい。
取り敢えず、明日は退職届けを出そう。
目指せ、快適異世界生活。
ぽちぽち更新します。
作者、うっかりなのでこれも買わないと!というのがあれば教えて下さい。
脳内の空想を、つらつら書いているのでお目汚しな際はごめんなさい。
チート幼女とSSSランク冒険者
紅 蓮也
ファンタジー
【更新休止中】
三十歳の誕生日に通り魔に刺され人生を終えた小鳥遊葵が
過去にも失敗しまくりの神様から異世界転生を頼まれる。
神様は自分が長々と語っていたからなのに、ある程度は魔法が使える体にしとく、無限収納もあげるといい、時間があまり無いからさっさと転生しちゃおっかと言いだし、転生のため光に包まれ意識が無くなる直前、神様から不安を感じさせる言葉が聞こえたが、どうする事もできない私はそのまま転生された。
目を開けると日本人の男女の顔があった。
転生から四年がたったある日、神様が現れ、異世界じゃなくて地球に転生させちゃったと・・・
他の人を新たに異世界に転生させるのは無理だからと本来行くはずだった異世界に転移することに・・・
転移するとそこは森の中でした。見たこともない魔獣に襲われているところを冒険者に助けられる。
そして転移により家族がいない葵は、冒険者になり助けてくれた冒険者たちと冒険したり、しなかったりする物語
※この作品は小説家になろう様、カクヨム様、ノベルバ様、エブリスタ様でも掲載しています。
異世界着ぐるみ転生
こまちゃも
ファンタジー
旧題:着ぐるみ転生
どこにでもいる、普通のOLだった。
会社と部屋を往復する毎日。趣味と言えば、十年以上続けているRPGオンラインゲーム。
ある日気が付くと、森の中だった。
誘拐?ちょっと待て、何この全身モフモフ!
自分の姿が、ゲームで使っていたアバター・・・二足歩行の巨大猫になっていた。
幸い、ゲームで培ったスキルや能力はそのまま。使っていたアイテムバッグも中身入り!
冒険者?そんな怖い事はしません!
目指せ、自給自足!
*小説家になろう様でも掲載中です
婚約破棄された検品令嬢ですが、冷酷辺境伯の子を身籠りました。 でも本当はお優しい方で毎日幸せです
青空あかな
恋愛
旧題:「荷物検査など誰でもできる」と婚約破棄された検品令嬢ですが、極悪非道な辺境伯の子を身籠りました。でも本当はお優しい方で毎日心が癒されています
チェック男爵家長女のキュリティは、貴重な闇魔法の解呪師として王宮で荷物検査の仕事をしていた。
しかし、ある日突然婚約破棄されてしまう。
婚約者である伯爵家嫡男から、キュリティの義妹が好きになったと言われたのだ。
さらには、婚約者の権力によって検査係の仕事まで義妹に奪われる。
失意の中、キュリティは辺境へ向かうと、極悪非道と噂される辺境伯が魔法実験を行っていた。
目立たず通り過ぎようとしたが、魔法事故が起きて辺境伯の子を身ごもってしまう。
二人は形式上の夫婦となるが、辺境伯は存外優しい人でキュリティは温かい日々に心を癒されていく。
一方、義妹は仕事でミスばかり。
闇魔法を解呪することはおろか見破ることさえできない。
挙句の果てには、闇魔法に呪われた荷物を王宮内に入れてしまう――。
※おかげさまでHOTランキング1位になりました! ありがとうございます!
※ノベマ!様で短編版を掲載中でございます。
猫に転生したらご主人様に溺愛されるようになりました
あべ鈴峰
恋愛
気がつけば 異世界転生。
どんな風に生まれ変わったのかと期待したのに なぜか猫に転生。 人間でなかったのは残念だが、それでも構わないと気持ちを切り替えて猫ライフを満喫しようとした。しかし、転生先は森の中、食べ物も満足に食べてず、寂しさと飢えでなげやりに なって居るところに 物音が。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる