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第二章 船旅
第27話 クルーズ船の旅⑩
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あの後、コソ泥の犯人、ラルフ・ローレンはお縄につき独房の中に入る。
その後に合流したルカ・レスレクシオンの働きによって混乱は終息。
仮装パーティーに参加した乗客は全員無事であったため、パーティーは何事もなく再会され……そして終わる。
「わっはっは、海賊王に吾輩はなる!」
子供たちは再びルカのスイートルームにいる。
コンテストの優勝者は意外にもルカとジャンの二人海賊団であった。
評価基準は、ルカの衣装のクオリティーと、背伸びする幼ない少年海賊が可愛かったからだそうだ。
「納得いかぬ! それならハインド君と吾輩、あ、違う、我ら、地獄の女監獄長と骸骨看守コンビのほうがいいだろうが!」
「はっはっは、ルーシーちゃんよ、一人称がぶれておるぞ。まあ、吾輩がおらん時なら使ってもらって構わんがのう。
しかし、コンテストの結果は順当であろうて、実際吾輩の衣装のクオリティーは高い。既製品のお主らではそもそもランキング外じゃ。
それにお主は魔法を使っておる、ハインドといったか、それは仮装パーティーでは反則じゃ」
仮装パーティーのコンテストのルールの一つは衣装の精密さである。召喚魔法は採点基準から除外される。
「ぐぬぬ、知ってたら言ってくれればよかったのに」
「いやあ、バレなければワンチャンあったかもしれじゃろう? だが、審査員に魔法使いがいたし。それにお主はコソ泥犯を捕まえた英雄じゃ。直に船長から御礼と金一封があるだろうな、それで満足せい」
「ほんと? やったー! レオ! 明日、西グプタに着いたらお買い物に行くわよ」
「……いいけど。滞在時間は一日だけだからそんなには周れないよ? それにジャン君たちはそれでいいの?」
「おう、構わないぞ。西グプタも町並みは東とそんなに変らないし、あえて言えば隣が砂漠だから砂が多いし、魔物もでるから武器屋が多いってところかな。
レオも興味あるだろ? でも、ルカ師匠、西グプタまで3日で着くんですね。一週間かかるって思ってたから驚きですよ」
「ふむ、吾輩の作った『レスレクシオンエンジン』はかなりの速度を出すことが出来る。
まあ客船仕様だから魔力は船内の施設に回す必要があるし、速度よりも安全第一に調整しているがな。それでもこれまでの帆船より遥かに早いのは自明の理じゃ」
「そんなに凄いんですか? くそ、あの時もっと見とけばよかった」
「はっはっは、見せられる場所は管理棟だけじゃ。それ以上の知識は、まあ、勉強する事じゃな。
もっともグプタでは学ぶことはできん、それこそカルルク帝国学園の魔法機械学科が最先端でおすすめじゃ」
「そうですか、やっぱ俺はグプタを出て魔法機械を学ばないと……」
「うむ、本気であるならば、このルカ・レスレクシオン。少年の為に推薦状を書いてやろうぞ?」
「ありがとうございます! 俺、帰ったら親父、いや、家族全員に相談して真剣に考えてみます!」
「うむ。吾輩は今回の旅が終わったら、しばらくは東グプタにおる。いつでも吾輩に声をかけてみよ」
「そっかージャン君、カルルクの学校に行くんだー。私はどうしよっかなー」
ジャンとアンナは12歳、将来を真剣に考える歳だ。
これから両親と相談して今後のことを考えるのだろう。
10歳のルーシーとしては少し先だが、将来について真剣に考える二人がどうするのか興味があった。
ルーシーとしても魔法を真剣に学ぶなら学校に通う必要がある。
残念ながらグプタには学校がない。いずれは街を離れる時が来るのだ。
だが、今日は疲れた。ハインドの召喚に加え女監獄長もやったのだ。
まぶたが重い。あくびが出る。
「ふわーぁあ!」
「ルーシーちゃん、大きなあくびー。そっかー、今日は魔力を使い切っちゃったんだねー。張り切ってたから。ほら、ちゃんと自分の部屋に戻らないと」
ハインドはコンテストの結果発表の直後に消えた。ルーシーの気力が尽きたのだ。なにげにショックな事があると魔力切れを起こさずともこういうことはある。
「うーん、ねにゅい。アンナちゃんごみぇん。私ここで一夜を明かす、ふわぁー」
ルーシーは既にソファーで眠りについてしまった。
「ふふ、今日の主人公は眠りについてしまった。さて子供達よ、そろそろお開きにしよう。明日は西グプタに着く、皆、夜更かしはほどほどにな! セバスちゃん、姫をこのままソファーに寝かすわけにはいかんな?」
「は、分かりました。しかしこの子は何者なのでしょう。極大呪術を回避する技術、いろいろと疑問がありますが」
「まあ、それはおいおいじゃ、後でご両親に聞いてみるとしよう」
その後に合流したルカ・レスレクシオンの働きによって混乱は終息。
仮装パーティーに参加した乗客は全員無事であったため、パーティーは何事もなく再会され……そして終わる。
「わっはっは、海賊王に吾輩はなる!」
子供たちは再びルカのスイートルームにいる。
コンテストの優勝者は意外にもルカとジャンの二人海賊団であった。
評価基準は、ルカの衣装のクオリティーと、背伸びする幼ない少年海賊が可愛かったからだそうだ。
「納得いかぬ! それならハインド君と吾輩、あ、違う、我ら、地獄の女監獄長と骸骨看守コンビのほうがいいだろうが!」
「はっはっは、ルーシーちゃんよ、一人称がぶれておるぞ。まあ、吾輩がおらん時なら使ってもらって構わんがのう。
しかし、コンテストの結果は順当であろうて、実際吾輩の衣装のクオリティーは高い。既製品のお主らではそもそもランキング外じゃ。
それにお主は魔法を使っておる、ハインドといったか、それは仮装パーティーでは反則じゃ」
仮装パーティーのコンテストのルールの一つは衣装の精密さである。召喚魔法は採点基準から除外される。
「ぐぬぬ、知ってたら言ってくれればよかったのに」
「いやあ、バレなければワンチャンあったかもしれじゃろう? だが、審査員に魔法使いがいたし。それにお主はコソ泥犯を捕まえた英雄じゃ。直に船長から御礼と金一封があるだろうな、それで満足せい」
「ほんと? やったー! レオ! 明日、西グプタに着いたらお買い物に行くわよ」
「……いいけど。滞在時間は一日だけだからそんなには周れないよ? それにジャン君たちはそれでいいの?」
「おう、構わないぞ。西グプタも町並みは東とそんなに変らないし、あえて言えば隣が砂漠だから砂が多いし、魔物もでるから武器屋が多いってところかな。
レオも興味あるだろ? でも、ルカ師匠、西グプタまで3日で着くんですね。一週間かかるって思ってたから驚きですよ」
「ふむ、吾輩の作った『レスレクシオンエンジン』はかなりの速度を出すことが出来る。
まあ客船仕様だから魔力は船内の施設に回す必要があるし、速度よりも安全第一に調整しているがな。それでもこれまでの帆船より遥かに早いのは自明の理じゃ」
「そんなに凄いんですか? くそ、あの時もっと見とけばよかった」
「はっはっは、見せられる場所は管理棟だけじゃ。それ以上の知識は、まあ、勉強する事じゃな。
もっともグプタでは学ぶことはできん、それこそカルルク帝国学園の魔法機械学科が最先端でおすすめじゃ」
「そうですか、やっぱ俺はグプタを出て魔法機械を学ばないと……」
「うむ、本気であるならば、このルカ・レスレクシオン。少年の為に推薦状を書いてやろうぞ?」
「ありがとうございます! 俺、帰ったら親父、いや、家族全員に相談して真剣に考えてみます!」
「うむ。吾輩は今回の旅が終わったら、しばらくは東グプタにおる。いつでも吾輩に声をかけてみよ」
「そっかージャン君、カルルクの学校に行くんだー。私はどうしよっかなー」
ジャンとアンナは12歳、将来を真剣に考える歳だ。
これから両親と相談して今後のことを考えるのだろう。
10歳のルーシーとしては少し先だが、将来について真剣に考える二人がどうするのか興味があった。
ルーシーとしても魔法を真剣に学ぶなら学校に通う必要がある。
残念ながらグプタには学校がない。いずれは街を離れる時が来るのだ。
だが、今日は疲れた。ハインドの召喚に加え女監獄長もやったのだ。
まぶたが重い。あくびが出る。
「ふわーぁあ!」
「ルーシーちゃん、大きなあくびー。そっかー、今日は魔力を使い切っちゃったんだねー。張り切ってたから。ほら、ちゃんと自分の部屋に戻らないと」
ハインドはコンテストの結果発表の直後に消えた。ルーシーの気力が尽きたのだ。なにげにショックな事があると魔力切れを起こさずともこういうことはある。
「うーん、ねにゅい。アンナちゃんごみぇん。私ここで一夜を明かす、ふわぁー」
ルーシーは既にソファーで眠りについてしまった。
「ふふ、今日の主人公は眠りについてしまった。さて子供達よ、そろそろお開きにしよう。明日は西グプタに着く、皆、夜更かしはほどほどにな! セバスちゃん、姫をこのままソファーに寝かすわけにはいかんな?」
「は、分かりました。しかしこの子は何者なのでしょう。極大呪術を回避する技術、いろいろと疑問がありますが」
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