106 / 133
エピソード3
フェイタルフェイト4/31
しおりを挟む
「さてとアイちゃん、当面の俺達の仕事は何かな? 地上は嵐だし、このまま観光って訳にもいかないしな」
『はい、当面の間、我々の仕事としては地上にいる彼らを上空から監視することです。
この場を離れてしまったら万が一の救難信号も受け取ることが出来ませんし』
「だよな、監視するのも大事な仕事だよなー。さてと、どうしようか、ところでミシェルさんは今何してるの?」
そう、ミシェルさんは未成年の女子なのでゴロツキ……いや、恰幅の良い血気盛んな男性たちの相手をさせるわけにはいかないので特別に休暇を与えている。
『ええ、彼女は自室で調べものをしているようですね。勉強熱心でなによりです』
「ふむ、それは感心感心。さて、そんな彼女にもそろそろ仕事を与えないとな。さすがに俺だって24時間の監視は無理だし、交代要員が必要だ」
数分後、ミシェルさんはブリッジにやってきた。
「イチローさん。今回の仕事、私は何もしなくてもいいんですか? お手伝いくらいはできると思うんです!」
暇を持て余していたようで、開口一番から文句を言われた。
「ああ、でも、おっさんたちの相手はさすがにちょっとって感じだ。セクハラとか平気でしてきそうだしな。
でも仕事が無いわけじゃない。
これから一週間は上空からの監視が俺達の仕事なんだ。今は地上は雷雨だからなにも見えないけど、晴れたら画像での監視もしなくちゃいけない。
それに救難信号が出るかもしれないからな。何気に監視の仕事も大変なんだ」
とはいえ、監視の仕事はただただ暇である。
警備員のバイトは一日で断念したこともあるくらいだ。
「なるほど、分かりました。では私はこれからブリッジで監視業務をするということですね」
「そういうこと、これから交代しながらやるからね、引継ぎに関してはアイちゃんよろしく。
俺は飯食ってちょっと仮眠してくるよ。まあ映画でも見ながらリラックスしてやるといいよ」
そう、昔と違ってモニターを常に凝視することはない。
監視自体はアマテラスが自動でおこなっている、要は最終判断ができる人間がその場に居ることが大事なのだ。
つまり緊張しないように常に冷静でいることが大切。映画でも本でもゲームでもやりたいことをすればいいのだ。
さてと、俺も面白い映画を探さないとだ。
ここはあえてジュラシックシリーズを見直すのもいいかもな、けど続編シリーズは総じて微妙だしなぁ。
そんなことを思いながら歩いているとマードックさんが声を掛けてきた。
「イチロー、少し話があるんだがいいか?」
「ええもちろん。マードックさんも食事はまだでしたね。なら飯食いながら聞きますよ」
俺達は食事の為に船内の宿泊施設へ向かう。
調理ロボットミシェルンの仕事場である。
団体さんが居る場合は俺達もここで食事を取るようにしている。
「いらっしゃいですー」
「おう、ミシェルン。頑張っているようで感心だ。飯が美味いって好評だったぜ」
「当然ですー。私の腕は三ツ星級ですー!」
「大きくでたな。では俺達もその三ツ星を食わしてくれよ」
俺とマードックさんは席に着く。
「そう言えばマリーさんが居ませんね」
「ああ、あいつは食事を必要としない、それに話がめんどくさくなるからな……」
たしかに同意だ。彼女は基本的に話を茶化す癖がある。
真面目な会話には不向きだろう。
「では、さっそくお願いします。真面目な話なんでしょ?」
「うむ、実はな、マクシミリアンを見つけた。残念ながら逃げられたがな……」
マクシミリアン。そう言えばそんな奴がいた。アンプラグド事件で俺を殺そうとした奴。
「しぶとい奴ですね。警察は何をしてるんだか……」
「警察は動かない。どうやら奴のバックには警察を動かせるだけの何者かと繋がりがあるようだ。
指名手配はいつのまにやら取り消されたようだ」
「野放しってことですか? それってマズくないですか?」
「ああ、まずいな。もっとも奴はあくまで政治犯であり暴力の危険はないとの公式見解だそうだ。
……だが、奴はアマテラスを奪おうとしていた。
今は民間船とはいえ、主砲を搭載している超光速宇宙戦艦をな……」
マクシミリアンは確かにあの時俺に言っていた。
「目的のために船が必要だって言ってましたね。その目的が何なのか……絶対ろくなことにならないですね」
「ああ、それに奴はオーバード・ブーステッドヒューマンを持っている。その時点で大罪だというのにな……」
なるほどな。オーバード・ブーステッドヒューマンか……。
それって何なんだろうか……。まあ名前から察するにとんでもなく倫理的に反する存在なのだろう。
普段冷静なマードックさんが押し黙るほどに。
……これ以上詳しいことは聞けないな。後でアイちゃんに聞いてみるとしよう。
「なるほど、了解しました。こちらとしても上司に相談してみます」
政治的な圧力があるだろう。これはクリステルさんやクロスロード上院議員にも相談しないとだな。
『はい、当面の間、我々の仕事としては地上にいる彼らを上空から監視することです。
この場を離れてしまったら万が一の救難信号も受け取ることが出来ませんし』
「だよな、監視するのも大事な仕事だよなー。さてと、どうしようか、ところでミシェルさんは今何してるの?」
そう、ミシェルさんは未成年の女子なのでゴロツキ……いや、恰幅の良い血気盛んな男性たちの相手をさせるわけにはいかないので特別に休暇を与えている。
『ええ、彼女は自室で調べものをしているようですね。勉強熱心でなによりです』
「ふむ、それは感心感心。さて、そんな彼女にもそろそろ仕事を与えないとな。さすがに俺だって24時間の監視は無理だし、交代要員が必要だ」
数分後、ミシェルさんはブリッジにやってきた。
「イチローさん。今回の仕事、私は何もしなくてもいいんですか? お手伝いくらいはできると思うんです!」
暇を持て余していたようで、開口一番から文句を言われた。
「ああ、でも、おっさんたちの相手はさすがにちょっとって感じだ。セクハラとか平気でしてきそうだしな。
でも仕事が無いわけじゃない。
これから一週間は上空からの監視が俺達の仕事なんだ。今は地上は雷雨だからなにも見えないけど、晴れたら画像での監視もしなくちゃいけない。
それに救難信号が出るかもしれないからな。何気に監視の仕事も大変なんだ」
とはいえ、監視の仕事はただただ暇である。
警備員のバイトは一日で断念したこともあるくらいだ。
「なるほど、分かりました。では私はこれからブリッジで監視業務をするということですね」
「そういうこと、これから交代しながらやるからね、引継ぎに関してはアイちゃんよろしく。
俺は飯食ってちょっと仮眠してくるよ。まあ映画でも見ながらリラックスしてやるといいよ」
そう、昔と違ってモニターを常に凝視することはない。
監視自体はアマテラスが自動でおこなっている、要は最終判断ができる人間がその場に居ることが大事なのだ。
つまり緊張しないように常に冷静でいることが大切。映画でも本でもゲームでもやりたいことをすればいいのだ。
さてと、俺も面白い映画を探さないとだ。
ここはあえてジュラシックシリーズを見直すのもいいかもな、けど続編シリーズは総じて微妙だしなぁ。
そんなことを思いながら歩いているとマードックさんが声を掛けてきた。
「イチロー、少し話があるんだがいいか?」
「ええもちろん。マードックさんも食事はまだでしたね。なら飯食いながら聞きますよ」
俺達は食事の為に船内の宿泊施設へ向かう。
調理ロボットミシェルンの仕事場である。
団体さんが居る場合は俺達もここで食事を取るようにしている。
「いらっしゃいですー」
「おう、ミシェルン。頑張っているようで感心だ。飯が美味いって好評だったぜ」
「当然ですー。私の腕は三ツ星級ですー!」
「大きくでたな。では俺達もその三ツ星を食わしてくれよ」
俺とマードックさんは席に着く。
「そう言えばマリーさんが居ませんね」
「ああ、あいつは食事を必要としない、それに話がめんどくさくなるからな……」
たしかに同意だ。彼女は基本的に話を茶化す癖がある。
真面目な会話には不向きだろう。
「では、さっそくお願いします。真面目な話なんでしょ?」
「うむ、実はな、マクシミリアンを見つけた。残念ながら逃げられたがな……」
マクシミリアン。そう言えばそんな奴がいた。アンプラグド事件で俺を殺そうとした奴。
「しぶとい奴ですね。警察は何をしてるんだか……」
「警察は動かない。どうやら奴のバックには警察を動かせるだけの何者かと繋がりがあるようだ。
指名手配はいつのまにやら取り消されたようだ」
「野放しってことですか? それってマズくないですか?」
「ああ、まずいな。もっとも奴はあくまで政治犯であり暴力の危険はないとの公式見解だそうだ。
……だが、奴はアマテラスを奪おうとしていた。
今は民間船とはいえ、主砲を搭載している超光速宇宙戦艦をな……」
マクシミリアンは確かにあの時俺に言っていた。
「目的のために船が必要だって言ってましたね。その目的が何なのか……絶対ろくなことにならないですね」
「ああ、それに奴はオーバード・ブーステッドヒューマンを持っている。その時点で大罪だというのにな……」
なるほどな。オーバード・ブーステッドヒューマンか……。
それって何なんだろうか……。まあ名前から察するにとんでもなく倫理的に反する存在なのだろう。
普段冷静なマードックさんが押し黙るほどに。
……これ以上詳しいことは聞けないな。後でアイちゃんに聞いてみるとしよう。
「なるほど、了解しました。こちらとしても上司に相談してみます」
政治的な圧力があるだろう。これはクリステルさんやクロスロード上院議員にも相談しないとだな。
10
お気に入りに追加
23
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

異世界宇宙SFの建艦記 ――最強の宇宙戦艦を建造せよ――
黒鯛の刺身♪
SF
主人公の飯富晴信(16)はしがない高校生。
ある朝目覚めると、そこは見たことのない工場の中だった。
この工場は宇宙船を作るための設備であり、材料さえあれば巨大な宇宙船を造ることもできた。
未知の世界を開拓しながら、主人公は現地の生物達とも交流。
そして時には、戦乱にも巻き込まれ……。
クロノ・コード - 成長の螺旋 -
シマセイ
SF
2045年、東京。16歳になると国から「ホワイトチップ」が支給され、一度装着すると外せないそのチップで特別な能力が目覚める。
ハルトはFランクの「成長促進」という地味な能力を持つ高校生。
幼馴染でSランクの天才、サクラとは違い、平凡な日々を送るが、チップを新たに連結すれば能力が強くなるという噂を知る。
ハルトは仲間と共に、ダンジョンや大会に挑みながら、自分の能力とチップの秘密に迫っていく。
忘却の艦隊
KeyBow
SF
新設された超弩級砲艦を旗艦とし新造艦と老朽艦の入れ替え任務に就いていたが、駐留基地に入るには数が多く、月の1つにて物資と人員の入れ替えを行っていた。
大型輸送艦は工作艦を兼ねた。
総勢250艦の航宙艦は退役艦が110艦、入れ替え用が同数。
残り30艦は増強に伴い新規配備される艦だった。
輸送任務の最先任士官は大佐。
新造砲艦の設計にも関わり、旗艦の引き渡しのついでに他の艦の指揮も執り行っていた。
本来艦隊の指揮は少将以上だが、輸送任務の為、設計に関わった大佐が任命された。
他に星系防衛の指揮官として少将と、退役間近の大将とその副官や副長が視察の為便乗していた。
公安に近い監査だった。
しかし、この2名とその側近はこの艦隊及び駐留艦隊の指揮系統から外れている。
そんな人員の載せ替えが半分ほど行われた時に中緊急警報が鳴り、ライナン星系第3惑星より緊急の救援要請が入る。
機転を利かせ砲艦で敵の大半を仕留めるも、苦し紛れに敵は主系列星を人口ブラックホールにしてしまった。
完全にブラックホールに成長し、その重力から逃れられないようになるまで数分しか猶予が無かった。
意図しない戦闘の影響から士気はだだ下がり。そのブラックホールから逃れる為、禁止されている重力ジャンプを敢行する。
恒星から近い距離では禁止されているし、システム的にも不可だった。
なんとか制限内に解除し、重力ジャンプを敢行した。
しかし、禁止されているその理由通りの状況に陥った。
艦隊ごとセットした座標からズレ、恒星から数光年離れた所にジャンプし【ワープのような架空の移動方法】、再び重力ジャンプ可能な所まで移動するのに33年程掛かる。
そんな中忘れ去られた艦隊が33年の月日の後、本星へと帰還を目指す。
果たして彼らは帰還できるのか?
帰還出来たとして彼らに待ち受ける運命は?
俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない
亮亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。
不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。
そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。
帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。
そして邂逅する謎の組織。
萌の物語が始まる。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる