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エピソード2
カニパーティー7/8
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アマテラス、貨物搬入デッキにて。
そこにはサンバ君と。
海洋調査ロボット、シースパイダーが鎮座している。
「船長さん! どおっすか。シースパイダー・アサルトモードっす」
「武装マシマシですー」
ミシェルンも手伝ったのだろう、普通、調理ロボットが貨物デッキに降りるときは食材の搬入以外はありえないのだ。
しかし、何が変わったのだろうか。
俺はサンバ達から説明を受ける。
八本脚はそのままだが、さらに前方に二本のマニピュレーターが増設されている。
腕の代わりとなる汎用マニピュレータとのこと。その姿はスパイダーというよりはカニに近い。
さらに残りの脚の先には大きな鉤爪があり、かなり凶悪なデザインである。
そして、汎用マニピュレータに握られているのが今回の主力装備。
トライデント:対テロ用、高電圧パルス対艦長槍が握られている。
これの本来の用途は今だ地球で活動を続ける、はた迷惑な反捕鯨団体などのテロ対策に開発された装備でる。
ハイパータングステン合金製の鋭い槍の先端が船の装甲を貫き。
船の内部で高電圧パルスを発生させ。船の電気系統全てを無力化するというものだ。
どうやら、クリステルさんはテロを懸念して送ってくれたようだが、今回の相手にも通用する武器といえる。
そう、奴はクラゲとはいえ、神経系の構造はコンピューターの様なものだとアイちゃんは言っていた。
船全体をショートさせるだけの強力な電気の攻撃はまさにうってつけの武器だろう。
ちなみに電磁パルス対策で双方向通信が出来なくなっている。
つまり遠隔操作はできない。
「うーん、これって人が乗らないといけないってことか?」
『はい、そうですね。私のアンドロイドも破損して使えませんし。サンバやミシェルンが単独で攻撃兵器に乗ることは契約違反ですし。
というか無人兵器の運用は国際法に抵触する行為ですね……マスターは無免許ですし、困りましたね』
「イチローさん。アイさん。でしたら私に任せてください。
先ほどマニュアルを読みましたが、シースパイダーの操縦方法にはフルダイブリンクシステムが内蔵されています。
それなら私には一日の長がありますから」
「そうは言ってもなぁ。これはガチで危険なんだよ。下手したら死ぬかもしれないんだよ?」
「船長さん、コジマ重工製シースパイダーは安全な乗り物っす。それに奴の精神攻撃の正体は電磁波っす。
アサルトモードとなったシースパイダーの装甲は下手なシェルターよりも頑丈っす」
「でもなぁ。相手は100メートルを超える化け物クラゲだろ? 女の子一人で戦わせるのはちょっと俺としては思うところが……」
「マスター。言いたいことは理解しますけど、ここはミス・クロスロードにお任せしようじゃありませんか。
他に案も無いのですし。
それに、マスターはお忘れですか? 彼女はインフィというフルダイブゲームで最強クラスのランカーだったということを」
「もちろん憶えてるさ、でも、せっかく抜け出したのにまたフルダイブゲームみたいな事……」
「イチローさん。いいえ、スズキ船長。
だからこそ私にやらせてください。それに多くの人命がかかっています。
好き嫌いの問題ではないんです。
……それに私の罪が消えるわけではないですが、せめて償いをしないと、自分の気持ちに整理をつけたいんです!」
ミシェルさんは真っすぐな瞳で俺を見つめる。
なるほど。彼女もいろいろ悩んでいたんだ。
騙されたとはいえ、彼女の中では爆弾テロを起こしかけた事実は消えないのだろう。
「よしわかった。俺は戦闘ではまったく役に立たないけど、何かできることはあるかな?」
「ありがとうございます。そうですね、ならミシェルンちゃんをお借りできますか? フルダイブシステムのサポートをお願いしたいのです」
「なるほど、オッケーだ。おーい! ミシェルン。出番だぞ?」
シースパイダーの調整を行っているミシェルンはマニピュレーターをクルクル動かしながら同意のポーズをとる。
「了解ですー。久しぶりのコンビネーション技をお見舞いするですー。よーし、シースパイダー完全マニュアル制御ですー」
ミシェルンは、自分のマニピュレーターをシースパイダーの外部端子に接続する。
すると、シースパイダーから何やら警告音が聞こえてきた。
まるで盗難防止ブザーのようなうるさい音がした。
【警告! シースパイダーの制御系は全てマニュアルモードに移行しました。操縦ミスによる重大事故のリスクに関して弊社の安全管理規約によると――】
ミシェルンは自身のマニピュレーターをシースパイダーから引っこ抜くと警告音は消えた。
「オッケーですー。ではインフィさん。やってやるですよー」
なにがオッケーなのか。明らかに警告されてたぞ。
それにしても同じコジマ製品なのか随分と簡単に設定変更とかできるんだな。
まあこれも企業戦略なのだろう。
俺の時代にもあった。全ての家電とゲーム機をリンクさせる、壮大ではあるが見事にズッコケた企業が……。
ちなみに、シースパイダーの操縦はミシェルンが担当。
全体の指揮及び、攻撃システムはミシェルさんが担当するようだ。
そう言えば、ゲームでは二人で色々なコンビネーション技を開発していたっけ。
「じゃあ、気を付けて。大丈夫だと思うけど、無理はしないように」
「はい、ではミシェル・クロスロード行ってまいります!」
貨物搬入デッキの外部ハッチが開く。
『フルダイブリンクシステム正常ですー。インフィさんは大丈夫ですー?』
『ええ、問題ないわ。じゃあ行きましょう。お土産にブラックロッククラブを獲って帰りましょうか』
シースパイダーは八本の脚を器用に動かし、勢いよく海に飛び込んだ。
「うわ。まるで蜘蛛の様な動きだ! 懐かしのツチグモみたいだな」
「ふふふ、船長さん。あれがリミッターを解除した完全マニュアル操作のシースパイダーの運動性能っす。
オートとは違い、全ての脚を独立して動かすことにより、リアルな蜘蛛の様な動きが再現出来るっす。
コジマ重工の技術の賜物っすよ」
なるほどね、たしかに性能ではナンバー1と言えるな。でもそのせいでコスパが悪くなったんじゃ……。
そこにはサンバ君と。
海洋調査ロボット、シースパイダーが鎮座している。
「船長さん! どおっすか。シースパイダー・アサルトモードっす」
「武装マシマシですー」
ミシェルンも手伝ったのだろう、普通、調理ロボットが貨物デッキに降りるときは食材の搬入以外はありえないのだ。
しかし、何が変わったのだろうか。
俺はサンバ達から説明を受ける。
八本脚はそのままだが、さらに前方に二本のマニピュレーターが増設されている。
腕の代わりとなる汎用マニピュレータとのこと。その姿はスパイダーというよりはカニに近い。
さらに残りの脚の先には大きな鉤爪があり、かなり凶悪なデザインである。
そして、汎用マニピュレータに握られているのが今回の主力装備。
トライデント:対テロ用、高電圧パルス対艦長槍が握られている。
これの本来の用途は今だ地球で活動を続ける、はた迷惑な反捕鯨団体などのテロ対策に開発された装備でる。
ハイパータングステン合金製の鋭い槍の先端が船の装甲を貫き。
船の内部で高電圧パルスを発生させ。船の電気系統全てを無力化するというものだ。
どうやら、クリステルさんはテロを懸念して送ってくれたようだが、今回の相手にも通用する武器といえる。
そう、奴はクラゲとはいえ、神経系の構造はコンピューターの様なものだとアイちゃんは言っていた。
船全体をショートさせるだけの強力な電気の攻撃はまさにうってつけの武器だろう。
ちなみに電磁パルス対策で双方向通信が出来なくなっている。
つまり遠隔操作はできない。
「うーん、これって人が乗らないといけないってことか?」
『はい、そうですね。私のアンドロイドも破損して使えませんし。サンバやミシェルンが単独で攻撃兵器に乗ることは契約違反ですし。
というか無人兵器の運用は国際法に抵触する行為ですね……マスターは無免許ですし、困りましたね』
「イチローさん。アイさん。でしたら私に任せてください。
先ほどマニュアルを読みましたが、シースパイダーの操縦方法にはフルダイブリンクシステムが内蔵されています。
それなら私には一日の長がありますから」
「そうは言ってもなぁ。これはガチで危険なんだよ。下手したら死ぬかもしれないんだよ?」
「船長さん、コジマ重工製シースパイダーは安全な乗り物っす。それに奴の精神攻撃の正体は電磁波っす。
アサルトモードとなったシースパイダーの装甲は下手なシェルターよりも頑丈っす」
「でもなぁ。相手は100メートルを超える化け物クラゲだろ? 女の子一人で戦わせるのはちょっと俺としては思うところが……」
「マスター。言いたいことは理解しますけど、ここはミス・クロスロードにお任せしようじゃありませんか。
他に案も無いのですし。
それに、マスターはお忘れですか? 彼女はインフィというフルダイブゲームで最強クラスのランカーだったということを」
「もちろん憶えてるさ、でも、せっかく抜け出したのにまたフルダイブゲームみたいな事……」
「イチローさん。いいえ、スズキ船長。
だからこそ私にやらせてください。それに多くの人命がかかっています。
好き嫌いの問題ではないんです。
……それに私の罪が消えるわけではないですが、せめて償いをしないと、自分の気持ちに整理をつけたいんです!」
ミシェルさんは真っすぐな瞳で俺を見つめる。
なるほど。彼女もいろいろ悩んでいたんだ。
騙されたとはいえ、彼女の中では爆弾テロを起こしかけた事実は消えないのだろう。
「よしわかった。俺は戦闘ではまったく役に立たないけど、何かできることはあるかな?」
「ありがとうございます。そうですね、ならミシェルンちゃんをお借りできますか? フルダイブシステムのサポートをお願いしたいのです」
「なるほど、オッケーだ。おーい! ミシェルン。出番だぞ?」
シースパイダーの調整を行っているミシェルンはマニピュレーターをクルクル動かしながら同意のポーズをとる。
「了解ですー。久しぶりのコンビネーション技をお見舞いするですー。よーし、シースパイダー完全マニュアル制御ですー」
ミシェルンは、自分のマニピュレーターをシースパイダーの外部端子に接続する。
すると、シースパイダーから何やら警告音が聞こえてきた。
まるで盗難防止ブザーのようなうるさい音がした。
【警告! シースパイダーの制御系は全てマニュアルモードに移行しました。操縦ミスによる重大事故のリスクに関して弊社の安全管理規約によると――】
ミシェルンは自身のマニピュレーターをシースパイダーから引っこ抜くと警告音は消えた。
「オッケーですー。ではインフィさん。やってやるですよー」
なにがオッケーなのか。明らかに警告されてたぞ。
それにしても同じコジマ製品なのか随分と簡単に設定変更とかできるんだな。
まあこれも企業戦略なのだろう。
俺の時代にもあった。全ての家電とゲーム機をリンクさせる、壮大ではあるが見事にズッコケた企業が……。
ちなみに、シースパイダーの操縦はミシェルンが担当。
全体の指揮及び、攻撃システムはミシェルさんが担当するようだ。
そう言えば、ゲームでは二人で色々なコンビネーション技を開発していたっけ。
「じゃあ、気を付けて。大丈夫だと思うけど、無理はしないように」
「はい、ではミシェル・クロスロード行ってまいります!」
貨物搬入デッキの外部ハッチが開く。
『フルダイブリンクシステム正常ですー。インフィさんは大丈夫ですー?』
『ええ、問題ないわ。じゃあ行きましょう。お土産にブラックロッククラブを獲って帰りましょうか』
シースパイダーは八本の脚を器用に動かし、勢いよく海に飛び込んだ。
「うわ。まるで蜘蛛の様な動きだ! 懐かしのツチグモみたいだな」
「ふふふ、船長さん。あれがリミッターを解除した完全マニュアル操作のシースパイダーの運動性能っす。
オートとは違い、全ての脚を独立して動かすことにより、リアルな蜘蛛の様な動きが再現出来るっす。
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