3024年宇宙のスズキ

神谷モロ

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エピソード2

シンドローム14/27

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【卍スサノオ卍 がパーティーに参加しました。フレンド登録の申請があります。了承しますか?】

 もちろん。
 では、見せてもらおうか。廃ゲーマーの実力とやらを。


 名前:卍スサノオ卍
 職業:テンプラー
 レベル:94
 HP:3456
 力:3133
 素早さ:2156
 防御:3954
 魔力:2560

 ぶっ! ガチで激強っ!

「此度はイチロー殿の招集と聞き、このスサノオ馳せ参じた次第。
 麗しきご尊顔を拝し恐悦至極に存じます」

 相変わらず時代劇口調のオッサンだ。
 それに見た感じの装備が余計にそれを思わせた。

 全体的に和風の装備なのだ。

「しかし、ダークファンタジー系の世界観には少し場違いな気がするな。その刀ってイベントでゲットしたアイテムなのかい?」

「うむ、何度もイベントクエストを周回プレイしたが、ついこの間、やっと手に入れることができたのだ。
 これは『アマノムラクモ』テンプラー専用の剣装備。
 世界系モンスターに特攻ありで追加ダメージを与えることができる。
 ちなみに属性防御を大幅にあげる『ヤタノカガミ』魔力を上げる『ヤサカニノマガタマ』と、注目の装備アイテムはひとしきり集め終わったところでござるよ」

 ……こいつ、どれだけやり込んでんだ?

「……うん? さっきのシステムメッセージのアイテムは違ったよな?」

「おお、そうでござった。さっきゲットしたのはテンプラーには装備できぬからどうしたものかと思っておったのだ。
 イチロー殿はマシーン、であるならちょうどよい。受け取ってくれ」

「え? 良いの? レアアイテムなんじゃ」

「うむ、先日の御恩があるゆえに、いつかは恩返しせねばと思っておったのだ。
 本来なら我は国家反逆罪で解体処分されるはずであったのだ。それに比べればこんなアイテムなどどうということはない」

 スサノオから、アイテム譲渡のメッセージが送られてきた。

 どれどれ?
 【ヤタガラス精密誘導ミサイル。をスサノオ様より譲渡されました】

 早速アイテム確認だ。
 マシーン専用装備。両手、背面以外の第四の装備スロットに装備可能。
(現在、レイザー・スズキ様には、第四の装備スロットは空いていません。
 スロット開放には最新シナリオである。『ルシファーを追え!』を開放する必要があります)

「よし、ならばさっさと『アポカリプス』を倒してシナリオを開放するとしよう」

【黙示録。それは人類への警告であったのだろう……。実際に悪魔は現れた……世界は最早人類の敵になったのかもしれない、人類に対する『アポカリプス』として……】

「スキップっと。よしスサノオさんがパーティーに入ったんだ、さくっといくぞー」

「イチロー殿は、ムービーをスキップするタイプですな」

「もちろんさ、これはあくまで仕事なんだ、ストーリーにのめり込むのはよくないだろ?」

「うむ。似たようなことを言っていた御仁がいたな。我と同じくランキング上位のマシーンの御仁。
 曰く、『ヘルゲート・アヴァロン』は遊びじゃないのだと。
 彼はそれは熱心にこのゲームをプレイしていた。レベルの上がらないマシーンだというのに日々戦いを繰り返していたな。
 イチロー殿と気が合うのでは?」

 いやいや、それはベクトルは違う。
 でも昔からいたよな、遊びじゃないゲームをやってる奴らは……。

 マップは薄暗い都市の廃墟。
 昼間だというのに太陽は霧に隠れて月明かりの様な頼りなさであった。

「うん? アポカリプスのやつデカくなってないか?」

 見た目のビジュアルは前と同じだが明らかにデカい。

 そう、前見た通り半透明の骸骨の姿にフード付きのマント、両手には巨大な鎌を持っている。
 腰のあたりからは全て霧につつまれ、そこから下半身はない。

 さしずめ宙に浮かぶ半透明の死神って感じだな。

 なかなかに凝ったビジュアル。
 さすがはゲームリリース初期のラスボスである。
 
 でも前回はこんなに大きくなかった。
 人間よりも一回り大きいくらいだったが。
 今は三倍くらいあるぞ……。

「ははは、それは当然でござろう。世界系のボスモンスターはパーティーの戦力によってHPがあがるという特性があるのだ。
 ちなみにランカーである我が居る、故にやつも大幅に強化されておるのだ。
 さしずめ『シン・アポカリプス』と言ったところか。
 だが恩恵もあるぞ? ボスのランクが上がるということはレアアイテムのドロップ率も上がると言う事。
 トップランカーのパーティーでもシン・アポカリプスは未だに人気のボスキャラであるのだ」

 なるほどね。
 まあ今回は前衛として最適解のテンプラーがいるんだ。
 それにトップランカーだし、楽勝だろう。  
 
「ではイチロー殿、我がタンカーを引き受けましょうぞ。
 詳しいことはやりながら説明します故、さっそく戦闘開始でござる!」

 スサノオさんはアポカリプス目掛けて走り出す。

【卍スサノオ卍 がスキル『狂信者』を使用しました。パーティー全体の攻撃力及び状態異常耐性が向上しました】

【卍スサノオ卍 がスキル『聖騎士の誓い』を使用しました。パーティー全体の防御力が向上しました】

【卍スサノオ卍 がスキル『巡礼者の導き』を使用しました。パーティー全体に悪魔、ゴースト、世界系モンスターへの特攻効果が付与されました】

「これで、アポカリプスに対して、安定してダメージが通るようになったでござる。
 我がまず最初にヘイトの大きい一撃をお見舞いするでござる。
 そしたら全員で袋叩きでござる!」

「お、おう! 了解でござる」

 俺はスサノオさんに圧倒されっぱなしだった。
 語尾が釣られるくらいに……。

「よし、開幕一撃。アマノムラクモの固有スキルを喰らえ! 『クサナギ』!」

 スサノオは勢いよくアポカリプスへ大振りの一撃を喰らわす。

 アポカリプスは実体の無い世界系モンスターである。
 だが、効果は抜群のようだ。

「よし、アマノムラクモの武器特製により、世界系モンスターにさらなる追加ダメージ補正ができた。物理を含めたあらゆる属性ダメージは加速するぞ!
 イチロー殿、やつにガンガンぶち込むのだ。条件さえ整えばマシーンはDPSとして優秀であるからな、わっはっは!」

 おっさん、ゲームに詳しすぎだぜ……。

 だが望むところよ、この時の為にアロンダイトの弾丸は温存していたのだ。

 今回は確実に倒せる。今こそ赤字覚悟の出血大サービスだ!
 
「アロンダイト展開! 全弾撃ち尽くしてやるぜ!」
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