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エピソード2
シンドローム13/27
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「今日はそろそろお開きだな。君達、寿司の味はどうだったかい? 特にミシェルン。寿司の創作レシピとか期待してるぜ!」
「はいですー。カリフォルニアシュリンプスシは、すぐに再現可能ですー」
頼もしい。ちょっと味が気になってたんだ、カリフォルニアシュリンプ。
ではログアウトを……ん?
【おめでとうございます! プレイヤー名『卍スサノオ卍』様が、期間限定レアアイテム『ヤタガラス』を入手しました!
期間限定イベント『討伐せよ! ヤマタノオロチ!』は絶賛開催中です。ヤマタノオロチを倒してレアアイテムをゲットしよう!
今後とも『ヘルゲート・アヴァロン』をよろしくお願いいたします】
ぶっ!
久しぶりに見たシステムメッセージに思わず吹き出してしまった。
「……なあ、アイちゃん。今のシステムメッセージを見たか?」
「……ええ、マスター。まさかとは思いますが。ネーミングセンスからして、もしや……」
「いやいや、アイちゃん。……さすがに他人だろう。スサノオなんて名前を付ける奴なんて珍しくないし、昔からその界隈では人気の中二ネームだしな……」
でも、もし本人なら俺達の戦力になるやもしれない。
システムメッセージにピックアップされるような活躍をしてるようだし。
そう、さっきのシステムメッセージは、サーバー全体のプレイヤーにアナウンスされるやつだ。つまり高レベルのプレイヤーに違いない。
「確かにですね。では私がダイレクトメッセージを送るとしましょう。他人だったら謝罪してそれまでです。手早く済ませるとしますか」
>>アイ・アマテラス☀(ソーサラーLV71) がメッセージを送りました。
「おい! 愚弟。お前は現在取り調べ中のはずだが。なぜゲームをしているのですか?」
>>卍スサノオ卍(テンプラーLV94) からメッセージが届きました。
「姉上、ご勘弁でござる。これは致し方ないのでござる。それに取り調べは先日終わりました。よってイベント期間に間に合ったのでちょっと息抜きをというか……でござる」
「……マスター。ビンゴです。本人でした。これから合流しましょう。彼なら事情を話しても問題ありませんし。
戦力としてパーティーに迎えてもいいでしょうね。
……それにしても、博物館で暇なのは分かりますがネットゲームに没頭するとは。
LV94。やり込み過ぎですね。これはお仕置きが必要でしょうか」
「まあまあ。せっかく攻略の糸口が掴めたんだ。この際は大目に見よう。ちょっとゲームにのめり込むのは人間だってよくあるんだ。まあ、おちついて」
だが、同時に俺は思う。この数日でアイちゃんのレベルは2しか上がっていない。
もちろん適正な経験値が得られないのだからしょうがないとはいえ、高レベルになればなるほどレベルアップに必要な経験値は膨大だ。
それなのに彼はレベル94……これは……アイちゃんの怒りはごもっともだと思った。
彼もまたネトゲ廃人……ということだろうか。
「まあ、スサノオさんは博物館だったんだし、暇な時間は多かったはずだ。
姉弟だからってそこまで厳しくしなくてもいいじゃないか?」
「まったく、マスターは相変わらず優しいんですから。忘れたのですか? 愚弟は私達を攻撃してきた戦艦スサノオのAIなのですよ?」
「おう、もちろん憶えている。でも彼のおかげで子供達は全員無事だったんだ。
……アイちゃん、もしスサノオが本気で俺達を殺そうとしてたら……アイちゃんはどうしてた?」
「……そうですね。開幕の無意味なタキオンビーム砲の遠距離砲撃。そして威嚇と思われる亜光速巡航ミサイルの一撃。
もし、あれが一発ではなく数発を同時に喰らったらかなりの損害がありました。
そして私が取る手段は……マスターの生存を最優先にバリアーをフルパワーにしてスサノオに突撃でしたね」
「そうだな、もしそうだとすればスサノオはどうなってた?」
「はい、スサノオは轟沈。船内の子供達は一人も生きていなかったでしょう」
「だろ? だから俺はスサノオさんはいい人だと思う。だからアイちゃんも少しだけ優しくしてあげてよ。まあ、なんとなくお互いに仲が悪いのはわかるけど……」
そう、アマテラスとスサノオ。成り立ちからして仲がいい訳が無い。
日本神話は俺だって知ってる。だが、この場合はあくまで設定なのだ。設定に引っ張られるのは良くない。
「ふふ、分かりました。マスターが居る限りは私は弟には何も言いません。設定変更は霊子フラクタルの根幹に影響するので完全には不可能ですが、そこは理性で努力しましょう」
「うん、それでいいよ。スサノオさん、トッププレイヤーみたいだし、ぜひ仲間に迎えたいところだね」
スサノオさんには本当に感謝してる。
子供達を守ってくれたんだ。
廃艦にならなくて本当に良かった。
もっとも、そうならないように根回しをしたのはアイちゃん自身だ。
クリステルさん宛に詳細な戦闘記録を送ったのを俺は知っている。
もっとも、俺には戦術のイロハも知らない猪突猛進の愚弟だと茶化していたけど……。
案外、アイちゃんはツンデレなところがあるのかもしれない。
「はいですー。カリフォルニアシュリンプスシは、すぐに再現可能ですー」
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ぶっ!
久しぶりに見たシステムメッセージに思わず吹き出してしまった。
「……なあ、アイちゃん。今のシステムメッセージを見たか?」
「……ええ、マスター。まさかとは思いますが。ネーミングセンスからして、もしや……」
「いやいや、アイちゃん。……さすがに他人だろう。スサノオなんて名前を付ける奴なんて珍しくないし、昔からその界隈では人気の中二ネームだしな……」
でも、もし本人なら俺達の戦力になるやもしれない。
システムメッセージにピックアップされるような活躍をしてるようだし。
そう、さっきのシステムメッセージは、サーバー全体のプレイヤーにアナウンスされるやつだ。つまり高レベルのプレイヤーに違いない。
「確かにですね。では私がダイレクトメッセージを送るとしましょう。他人だったら謝罪してそれまでです。手早く済ませるとしますか」
>>アイ・アマテラス☀(ソーサラーLV71) がメッセージを送りました。
「おい! 愚弟。お前は現在取り調べ中のはずだが。なぜゲームをしているのですか?」
>>卍スサノオ卍(テンプラーLV94) からメッセージが届きました。
「姉上、ご勘弁でござる。これは致し方ないのでござる。それに取り調べは先日終わりました。よってイベント期間に間に合ったのでちょっと息抜きをというか……でござる」
「……マスター。ビンゴです。本人でした。これから合流しましょう。彼なら事情を話しても問題ありませんし。
戦力としてパーティーに迎えてもいいでしょうね。
……それにしても、博物館で暇なのは分かりますがネットゲームに没頭するとは。
LV94。やり込み過ぎですね。これはお仕置きが必要でしょうか」
「まあまあ。せっかく攻略の糸口が掴めたんだ。この際は大目に見よう。ちょっとゲームにのめり込むのは人間だってよくあるんだ。まあ、おちついて」
だが、同時に俺は思う。この数日でアイちゃんのレベルは2しか上がっていない。
もちろん適正な経験値が得られないのだからしょうがないとはいえ、高レベルになればなるほどレベルアップに必要な経験値は膨大だ。
それなのに彼はレベル94……これは……アイちゃんの怒りはごもっともだと思った。
彼もまたネトゲ廃人……ということだろうか。
「まあ、スサノオさんは博物館だったんだし、暇な時間は多かったはずだ。
姉弟だからってそこまで厳しくしなくてもいいじゃないか?」
「まったく、マスターは相変わらず優しいんですから。忘れたのですか? 愚弟は私達を攻撃してきた戦艦スサノオのAIなのですよ?」
「おう、もちろん憶えている。でも彼のおかげで子供達は全員無事だったんだ。
……アイちゃん、もしスサノオが本気で俺達を殺そうとしてたら……アイちゃんはどうしてた?」
「……そうですね。開幕の無意味なタキオンビーム砲の遠距離砲撃。そして威嚇と思われる亜光速巡航ミサイルの一撃。
もし、あれが一発ではなく数発を同時に喰らったらかなりの損害がありました。
そして私が取る手段は……マスターの生存を最優先にバリアーをフルパワーにしてスサノオに突撃でしたね」
「そうだな、もしそうだとすればスサノオはどうなってた?」
「はい、スサノオは轟沈。船内の子供達は一人も生きていなかったでしょう」
「だろ? だから俺はスサノオさんはいい人だと思う。だからアイちゃんも少しだけ優しくしてあげてよ。まあ、なんとなくお互いに仲が悪いのはわかるけど……」
そう、アマテラスとスサノオ。成り立ちからして仲がいい訳が無い。
日本神話は俺だって知ってる。だが、この場合はあくまで設定なのだ。設定に引っ張られるのは良くない。
「ふふ、分かりました。マスターが居る限りは私は弟には何も言いません。設定変更は霊子フラクタルの根幹に影響するので完全には不可能ですが、そこは理性で努力しましょう」
「うん、それでいいよ。スサノオさん、トッププレイヤーみたいだし、ぜひ仲間に迎えたいところだね」
スサノオさんには本当に感謝してる。
子供達を守ってくれたんだ。
廃艦にならなくて本当に良かった。
もっとも、そうならないように根回しをしたのはアイちゃん自身だ。
クリステルさん宛に詳細な戦闘記録を送ったのを俺は知っている。
もっとも、俺には戦術のイロハも知らない猪突猛進の愚弟だと茶化していたけど……。
案外、アイちゃんはツンデレなところがあるのかもしれない。
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