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エピソード1
クァンタムマインド1/7
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時間は少し遡る。
地球型惑星アーススリーの衛星軌道上にある宇宙ステーション『クシナダ』は修学旅行中の小学生で賑わっていた。
アーススリーで最大の規模を誇る宇宙ステーションは様々な企業の実験施設がある他に、施設の一部は観光スポットとして民間にも開放されている。
「おーい。皆、あんまりはしゃいで先生に迷惑をかけるなよ!」
そういうのはクラス委員長のトシオ。
「なんだよ、委員長は修学旅行でも点数稼ぎかよ!」
「違うって、大人の迷惑になるし、何より恥ずかしいって言ってんだ。小学生も今年で終わりなんだから、もう少し自覚もてっての」
「へいへい、トシお兄たまの言うとおりに」
トシオには五歳の妹がおり、クラスメイトにトシお兄たまと呼ばれているのを目撃されて以来、何かあるとこうしてからかわれているのだ。
「はいはい、皆さん。ここは宇宙ですから、はしゃぎすぎて宇宙に漂流、なんてことになったら大変ですよ?」
そう言うのは担任の先生。
「もう、スタン先生ったら、冗談でも言っていい事と悪いことがありますわよ」
副担任のエイミーは担任であるスタンをたしなめる。
宇宙で漂流するということは死を意味する隠語でもあるのだ。
「あはは、ごめんごめん。実は僕も戦艦スサノオが見られるから興奮してるんだよ。だってスサノオだよ? しかも現役時代と何も変わらない状態で保存されている、これは興奮せざるを得ない!」
早口で戦艦スサノオについて語るスタン。
オタク特有の早口にエイミーは呆れながらも聞き流す。
「まったく、どっちが子供なんだか……」
スタンは30代で博士の学位もあるエリートの先生。
だがシャツはしわだらけ、髪もぼさぼさで無精ひげ。
子供の様な彼に新任のエイミーは振り回されっぱなしだ。
エイミーは宇宙ステーションで戦艦スサノオ博物館のチケットを人数分購入する。
携帯デバイスに生徒、百人分の決済完了の表示がされる。
子供百人の命を預かっているのだ。
新任のエイミーは責任の重さを痛感せざるを得ない。
先生になりたいという子供の頃の夢はかなった。
けどこれからは責任ある大人として子供ではいられない。
それにいまいちな担任の先生、いや直属の上司の面倒を見なければならない不安。
エイミーは若い。若いころの苦労は買ってでもしろと、父からの言葉を思い出し携帯デバイスを握りしめる。
「皆さーん! それでは戦艦スサノオに入りますよ? 貸し切りだからってはしゃぎすぎて悪戯したらだめですよ!」
エイミーの言葉に子供達は戦艦スサノオの搭乗口に並ぶ。
ほっと一息。
子供達は本当にいい子ばかりでエイミーは胸をなでおろすのだった。
学級崩壊を起こしている学校では先生の人権は無いとか、フィクションの世界ではよくあったのだ。
それにしても……。
「あはは、エイミー先生の言うとおりだぞ? 戦艦の中にはまだ現役で使える兵器がたくさんだからね。見るだけだよ、ノータッチが基本だからね? たしかスサノオのミサイルは亜光速だっけ。
旧式だからって馬鹿にしちゃいけないぞ! 亜光速エンジンとは、反物質による対消滅バーストを利用しているからね。一つ間違えたら僕達は木っ端みじんだよ?
ちなみに対消滅反応については今度のテストに出るぞ! この機会に実物をみるといい、あははは!」
最近のエイミーにとっては子供達よりもこの上司、スタン先生の方が頭痛の種であった。
一つ間違えただけで爆発するミサイルなんてありえないのに、子供達をからかってばかりだ。
「……まったく、責任感がないんだから。うふふ、これじゃどっちが子供だか分からないわ」
『戦え……』
突如、スサノオの艦内から低い男性の声が聞こえた。
「え? スタン先生、何か言いましたか?」
スタンは答えない。エイミーは床に倒れたスタンを目撃した。
持病があるなど聞いていない。転んだだけだろうと思った瞬間。
自身の意識も遠のく。
そこでエイミーの意識は無くなった。
地球型惑星アーススリーの衛星軌道上にある宇宙ステーション『クシナダ』は修学旅行中の小学生で賑わっていた。
アーススリーで最大の規模を誇る宇宙ステーションは様々な企業の実験施設がある他に、施設の一部は観光スポットとして民間にも開放されている。
「おーい。皆、あんまりはしゃいで先生に迷惑をかけるなよ!」
そういうのはクラス委員長のトシオ。
「なんだよ、委員長は修学旅行でも点数稼ぎかよ!」
「違うって、大人の迷惑になるし、何より恥ずかしいって言ってんだ。小学生も今年で終わりなんだから、もう少し自覚もてっての」
「へいへい、トシお兄たまの言うとおりに」
トシオには五歳の妹がおり、クラスメイトにトシお兄たまと呼ばれているのを目撃されて以来、何かあるとこうしてからかわれているのだ。
「はいはい、皆さん。ここは宇宙ですから、はしゃぎすぎて宇宙に漂流、なんてことになったら大変ですよ?」
そう言うのは担任の先生。
「もう、スタン先生ったら、冗談でも言っていい事と悪いことがありますわよ」
副担任のエイミーは担任であるスタンをたしなめる。
宇宙で漂流するということは死を意味する隠語でもあるのだ。
「あはは、ごめんごめん。実は僕も戦艦スサノオが見られるから興奮してるんだよ。だってスサノオだよ? しかも現役時代と何も変わらない状態で保存されている、これは興奮せざるを得ない!」
早口で戦艦スサノオについて語るスタン。
オタク特有の早口にエイミーは呆れながらも聞き流す。
「まったく、どっちが子供なんだか……」
スタンは30代で博士の学位もあるエリートの先生。
だがシャツはしわだらけ、髪もぼさぼさで無精ひげ。
子供の様な彼に新任のエイミーは振り回されっぱなしだ。
エイミーは宇宙ステーションで戦艦スサノオ博物館のチケットを人数分購入する。
携帯デバイスに生徒、百人分の決済完了の表示がされる。
子供百人の命を預かっているのだ。
新任のエイミーは責任の重さを痛感せざるを得ない。
先生になりたいという子供の頃の夢はかなった。
けどこれからは責任ある大人として子供ではいられない。
それにいまいちな担任の先生、いや直属の上司の面倒を見なければならない不安。
エイミーは若い。若いころの苦労は買ってでもしろと、父からの言葉を思い出し携帯デバイスを握りしめる。
「皆さーん! それでは戦艦スサノオに入りますよ? 貸し切りだからってはしゃぎすぎて悪戯したらだめですよ!」
エイミーの言葉に子供達は戦艦スサノオの搭乗口に並ぶ。
ほっと一息。
子供達は本当にいい子ばかりでエイミーは胸をなでおろすのだった。
学級崩壊を起こしている学校では先生の人権は無いとか、フィクションの世界ではよくあったのだ。
それにしても……。
「あはは、エイミー先生の言うとおりだぞ? 戦艦の中にはまだ現役で使える兵器がたくさんだからね。見るだけだよ、ノータッチが基本だからね? たしかスサノオのミサイルは亜光速だっけ。
旧式だからって馬鹿にしちゃいけないぞ! 亜光速エンジンとは、反物質による対消滅バーストを利用しているからね。一つ間違えたら僕達は木っ端みじんだよ?
ちなみに対消滅反応については今度のテストに出るぞ! この機会に実物をみるといい、あははは!」
最近のエイミーにとっては子供達よりもこの上司、スタン先生の方が頭痛の種であった。
一つ間違えただけで爆発するミサイルなんてありえないのに、子供達をからかってばかりだ。
「……まったく、責任感がないんだから。うふふ、これじゃどっちが子供だか分からないわ」
『戦え……』
突如、スサノオの艦内から低い男性の声が聞こえた。
「え? スタン先生、何か言いましたか?」
スタンは答えない。エイミーは床に倒れたスタンを目撃した。
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自身の意識も遠のく。
そこでエイミーの意識は無くなった。
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