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第1話
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前略、僕はモガミ・ユーギ、異世界の元神様だ。
地球の神共のせいで人間として転生を繰り返し絶賛スタディ中である。
今回の僕のスタディ場所は、漢王朝の辺境の異民族、匈奴の生まれだ。ちなみに今回は女の子である。
微妙なポジションだ、この時代の女子はハードモードである。まあ男も男でワンチャン出世はできるかもしれないけど死ぬ確率もめちゃくちゃ高い、特に今は乱世の時代である。
どちらかといえば、女子のほうが立ち回り方によっては生存率はずっと高い。ようはやり方次第だ。
僕の今生の親兄弟は戦争でとっくに死んでいる。戦争というか内乱なんだけどね。
匈奴の王族同士で揉め事があってそれに巻き込まれた感じかな、もう殺し合いだの奪い合いだの凄い時代だ。
そんなこんなで、今は、漢王朝側の部族である、於夫羅君の元で巫女みたいな仕事をしている。
巫女っていうかほら、僕は神だし頭がいいし見た目もいい、人間としての経験も長いからトークスキルでなんとでもなるのさ。
しかし、於夫羅君、故郷を追われて、漢王室にも無視されて今は孤独なポジションだね。
でも、匈奴の王である、単于の名前は伊達ではない。彼には多くの部下たちがいる。
それにしても漢王朝って詰んでるよね。皇帝ってだれそれって感じかな、みんな好きかってやってるや。
ついこの間まで董卓というデブで好色な変態に連れ去られたかと思ったら愛人をめぐって部下と殺し合い、なんやかんやで今は曹操って奴が実権をにぎってる。
そういえば皇帝さんはこの間、都から逃げてきて曹操のところで暮らしてるんだっけ。
於夫羅君も、曹操に負けてしまって彼の配下になってしまった。曹操か、やるやつだ。ぜひ一度有ってみたいものだ。
「巫女殿! 大変だ於夫羅様が亡くなられた、至急参られよとのこと」
おっと、これはこれは、悲しいものだ、親しい人間が亡くなるというのはいつの時代もつらいものがある。
――天幕内では葬儀が執り行われていた。
「於夫羅単于、君とは苦楽を共にしたね。神も見ているよ。安らかに眠れ」
僕は全ての祭祀の責任者になっている。特に身分の高い人間は婚姻から葬儀まで、僕が全て面倒を見ることになっている。一通りの儀式を終えると。
「さてと、次の単于を決めないといけない。誰が適任だろうか、僕としてはそうだね、順当に弟君の呼廚泉君がふさわしいと思うよ。皆も相違ないね?」
葬儀に参列した氏族の長たちは全員頷く。困難な状況下で権力闘争をする愚か者はいない。現実はなお厳しいのだ、内輪もめで散々な目にあっている我らにとってはなおさらである。
「そういえば劉豹君は新しい嫁さんゲットしたんだっけ? 聡明でかわいこちゃんらしいじゃないか、あはは」
――劉豹は於夫羅の子で、呼廚泉が単于になったことで左賢王に就任した。左賢王とは単于に次ぐナンバー2の地位である。
「なっ! ユーギ様、父上亡き後に不謹慎です」
「あはは! いいじゃないか、みんなも暗い顔しないの、敵は多いよ、袁紹なんかはかなりの勢力を広げてかなり厄介な存在になっている。それに曹操だって信用できない。
基本的に漢民族は離間の計を得意とする。我らがここまで落ちぶれたのも奴らのせいといっても過言ではない。……知らんけど」
「知らんけどとは無責任な!」
「あははは、いやー実際、僕らもかなりのへまをしてるじゃない? あんまし他人のせいにしても良い事は無いよ。前向きにね」
「ユーギ様の言うとおりだ、兄である於夫羅も全て正しいことをしたわけではない。いや、漢民族の騙し合いに負けてしまった。我らは狡猾であるべきだ」
ふむ、彼なら今後は問題ないかな。頑張りたまえよ、呼廚泉君。
残念だが僕は戦に興味はないし、男の仕事だ。うまく立ち回るといいさ、まあ相談くらいはしてあげるし。
さて、僕は僕で仕事をしよう。劉豹君のお気に入りのかわいこちゃんのご尊顔を拝むという大事な仕事を。
地球の神共のせいで人間として転生を繰り返し絶賛スタディ中である。
今回の僕のスタディ場所は、漢王朝の辺境の異民族、匈奴の生まれだ。ちなみに今回は女の子である。
微妙なポジションだ、この時代の女子はハードモードである。まあ男も男でワンチャン出世はできるかもしれないけど死ぬ確率もめちゃくちゃ高い、特に今は乱世の時代である。
どちらかといえば、女子のほうが立ち回り方によっては生存率はずっと高い。ようはやり方次第だ。
僕の今生の親兄弟は戦争でとっくに死んでいる。戦争というか内乱なんだけどね。
匈奴の王族同士で揉め事があってそれに巻き込まれた感じかな、もう殺し合いだの奪い合いだの凄い時代だ。
そんなこんなで、今は、漢王朝側の部族である、於夫羅君の元で巫女みたいな仕事をしている。
巫女っていうかほら、僕は神だし頭がいいし見た目もいい、人間としての経験も長いからトークスキルでなんとでもなるのさ。
しかし、於夫羅君、故郷を追われて、漢王室にも無視されて今は孤独なポジションだね。
でも、匈奴の王である、単于の名前は伊達ではない。彼には多くの部下たちがいる。
それにしても漢王朝って詰んでるよね。皇帝ってだれそれって感じかな、みんな好きかってやってるや。
ついこの間まで董卓というデブで好色な変態に連れ去られたかと思ったら愛人をめぐって部下と殺し合い、なんやかんやで今は曹操って奴が実権をにぎってる。
そういえば皇帝さんはこの間、都から逃げてきて曹操のところで暮らしてるんだっけ。
於夫羅君も、曹操に負けてしまって彼の配下になってしまった。曹操か、やるやつだ。ぜひ一度有ってみたいものだ。
「巫女殿! 大変だ於夫羅様が亡くなられた、至急参られよとのこと」
おっと、これはこれは、悲しいものだ、親しい人間が亡くなるというのはいつの時代もつらいものがある。
――天幕内では葬儀が執り行われていた。
「於夫羅単于、君とは苦楽を共にしたね。神も見ているよ。安らかに眠れ」
僕は全ての祭祀の責任者になっている。特に身分の高い人間は婚姻から葬儀まで、僕が全て面倒を見ることになっている。一通りの儀式を終えると。
「さてと、次の単于を決めないといけない。誰が適任だろうか、僕としてはそうだね、順当に弟君の呼廚泉君がふさわしいと思うよ。皆も相違ないね?」
葬儀に参列した氏族の長たちは全員頷く。困難な状況下で権力闘争をする愚か者はいない。現実はなお厳しいのだ、内輪もめで散々な目にあっている我らにとってはなおさらである。
「そういえば劉豹君は新しい嫁さんゲットしたんだっけ? 聡明でかわいこちゃんらしいじゃないか、あはは」
――劉豹は於夫羅の子で、呼廚泉が単于になったことで左賢王に就任した。左賢王とは単于に次ぐナンバー2の地位である。
「なっ! ユーギ様、父上亡き後に不謹慎です」
「あはは! いいじゃないか、みんなも暗い顔しないの、敵は多いよ、袁紹なんかはかなりの勢力を広げてかなり厄介な存在になっている。それに曹操だって信用できない。
基本的に漢民族は離間の計を得意とする。我らがここまで落ちぶれたのも奴らのせいといっても過言ではない。……知らんけど」
「知らんけどとは無責任な!」
「あははは、いやー実際、僕らもかなりのへまをしてるじゃない? あんまし他人のせいにしても良い事は無いよ。前向きにね」
「ユーギ様の言うとおりだ、兄である於夫羅も全て正しいことをしたわけではない。いや、漢民族の騙し合いに負けてしまった。我らは狡猾であるべきだ」
ふむ、彼なら今後は問題ないかな。頑張りたまえよ、呼廚泉君。
残念だが僕は戦に興味はないし、男の仕事だ。うまく立ち回るといいさ、まあ相談くらいはしてあげるし。
さて、僕は僕で仕事をしよう。劉豹君のお気に入りのかわいこちゃんのご尊顔を拝むという大事な仕事を。
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