27 / 30
第27話 エミリアへの贈り物~⑥アデリーナ目撃
しおりを挟む
ヴィスク・ワグニスの『大逆罪』が確定的になり、獄へと引っ立てられていく。
彼は諦めたようだったが、口を閉ざした。
ベルントも、連行される父親を見送ると、再びローブを深く被った。
ベルント・ワグニスの存在が完全に消える。
ワグニスに関する捜査は連日続き、不正も次々に明るみに出る。
サンデリーヌの誘拐についても、関与が特定された。
「遠くからでもサンデリーヌ嬢の姿を確認するかい? チューリー」
「いえ、心身に不調が無いのであれば、それで十分です」
「……そうか」
捜査を統括していたマクシミリアンにも余裕ができ、数日ぶりにレロヘス家に向かう。
リンクスとクリスには王城で会っていたが、エミリアには会えていなかった。
(たった数日。……けれど、長く感じた。理由はなんとなく――いや、はっきりと分かっている。焦らぬように、焦らぬように)
マクシミリアンは、逸る気持ちを抑える。
「マックス様!」
「エミリア」
久し振りのマックスとの再会に、抱きつきたい衝動に駆られるエミリアであったが、堪えて彼の腕にそっと手を添える。
(たとえ少し、指の先であってもマックス様に触れていたい……)
「ご無事でなによりでした。計画の完遂、おめでとうございます」
「ありがとう。言っただろう? 君が祈ってくれたら、必ず戻るって。……祈ってくれてありがとう。エミリア」
「マックス様……」
(ああ、その瞳! その瞳が私を捕まえて下さっている。嬉しい)
見つめ合う二人を、同室にいるクリスが軽い咳払いで(私の妹ですよ?)と牽制する。
「ク、クリス! 君にも感謝を。お父上と二人で私の力になってくれて、助かった。そして、二人の有能さも実証されたよ」
リンクスとクリスは、エミリアとの手紙のやり取り以降、キューウェル公爵と連携して密かに国内でワグニスの不正の全容解明に動いた。
その過程での情報の処理・分析に、他に比類なき活躍をしたのだ。
「第三王子殿下はどうなるのですか?」
「フェリクスと言うのだが、彼はまだまだ幼い。何の関与も無いだろうし、実際侍従達もワグニスがその様に彼を担ぎあげようと動いていた事を知って驚いていたよ」
「そうですか……。よかった」
そして、会えなかった数日の近況をひと通り話すと、マックスが「ちょっと待っていて」と、外の馬車に向かう。
戻ってきたマックスの手には大きめの丸い箱。
「たまにはエミリアと街に行きたいと思ってね。これまで屋敷を出ていないだろう?」
中身は、大きなつばの帽子だった。
両サイドがふわりと持ち上がった白のつば広帽子で、レースがさりげなく飾られている。
「うわぁ。奇麗なお帽子!」
「それに……」
今度はクリスが同じように大きな箱を持ってきた。
「これもマクシミリアン殿下からだよ。今日の為に作って下さったよ」
白と淡い黄色のサテンが重ねられ、アクセントに紫がかった青――バイオレットブルーの縦のラインが使われた服。
貴族が着用するフォーマルドレスではなく、上流市民が着るようなセミ・フォーマルなドレス。
「まぁ! ドレスまで」
「私が君に似合うと思った色で、勝手に作って申し訳ない」
「とんでもありません!」
「私は……その……服には詳しくなくて……サイズも知らないだろう? だからクリスに仕立て屋との仲介を頼んだんだ」
「すてき。このラインの色も素敵です! 帽子ともぴったり合いそうです! これを着て街に出たくなりました」
エミリアが、瞳を輝かせて喜ぶ姿に、マックスも嬉しくなった。
彼女は急いでメイドを伴って着替えに向かう。
「ど、どうでしょう? 似合いますか?」
マックスの目に、部屋の入り口で恥ずかしそうに佇むエミリアの姿が飛び込んで来る。
白と淡い黄色が基調で、光に当たったエミリアは輝いていた。
白に金糸の腕着け時計のリボンとも合っている。
ルノワも彼女の肩にちょこんと座っているが、マックスには見えていない。
「素晴らしい……」
マックスは、エミリアの美しさに一言つぶやくのが精一杯だった。
またもクリスの咳払いで我に返ったマックスが、エミリアを馬車までエスコートする。
「で、では行こうかエミリア?」
マックスがそっと手を差し出し、エミリアも「はい!」と微笑んで手を重ねて、揃って馬車へと向かう。
◆◆◆数日前。アデリーナ
アデリーナは乗合馬車を降り、数か月ぶりに王都の地を踏んだ。
(王都には着いたものの、こんな安物の平民服……。これからどうする? もう夕方よ?)
「まずは、ヤミル様ね。彼の元へ行けば、私を歓迎してくれるはずよ」
アデリーナは、記憶を辿り貴族屋敷が並ぶ区画を奥へ行くと、クルーガー家屋敷に着いた。
門番に「ヤミル様にお会いしたいのですが」と尋ねる。
門番は、アデリーナを一瞥すると、にべもなく言い放つ。
「誰だお前は! ここはお前のような平民が来て良い場所ではない! 立ち去れ!」
「なんですって!? 私も貴族家の者よ!」
門番は一瞬反応し掛けるが、鼻で笑う。
「だから、そんな恰好の貴族がいるか? それに歩いてくるなど……」
「ぐっ」
アデリーナは、門番を怒鳴りつけそうになったが、その前に門番が口を滑らせる。
「まぁ、どっちにしろヤミル様はご領地で蟄居だ。帰っては来られないだろう」
何も知らない彼女は、意味を飲み込めない。
「ご領地? 蟄居? 蟄居ってどういうことよ!」
門番に掴みかかって聞くが、「いいから離れろ! これ以上ここに留まるのなら切り捨てるぞ」と言われては引き下がるしかない。
アデリーナは仕方なく、学園で親しくしていた学友の屋敷に向かうが、平民の恰好をした彼女を信じて屋敷に取り次ぐ門番はいなかった。
一人だけ疲れ果てた彼女を見かねて取り次ぎに向かってくれたが、「『そのような者は知らない』そうだ」と言い捨てられた。
アデリーナは、暗くなった夜道を沈んだ気持ちで街に向かう。
(せっかく危ない目に遭いながらも王都まで来たのよ。諦めちゃダメ! まだ訪ねていない屋敷だってある。諦めるもんか)
自らを奮い立たせて、アデリーナは街の外れまで歩き、安宿を見つけて泊まった。
安宿で、同性とはいえ他人との雑魚寝に、なけなしのお金を取られないように警戒しながら夜を過ごし、昼間は学友の屋敷を訪ね歩いては断られを繰り返すこと二日。
アデリーナの所持金は底が見え始め、何よりも自分が相手にされないという事実に心が折れる。
(どなたの屋敷も門前払いか「今、この屋敷はそれどころの騒ぎではない。誰も取り次がない」の一点張り。一体何があったというの?)
実際アデリーナの学友の中には、ワグニス派閥の貴族令息も多く、マックスによる追及の手が及んでいた。
(せっかく王都まで来たけれど、潮時かもしれないわね……。レロヘス家に行って、お父様に謝って、また領地で謹慎して次の機会を待つ。そうしましょう)
「まだお昼を過ぎたばかりだけど、門の前でお父様の帰宅を待って許しを請うしかないわ」
彼女は疲れが残る脚でレロヘス家に向かう。
すると、途中で門が開けられているのが見えた。
(誰かが出入りするのかしら? もしかしてお父様?)
アデリーナは僅かな期待を胸に門へ向かう。
「おい、そこの娘! もうすぐ馬車が出入りする! 邪魔だから退いていろ」
以前なら恭しく頭を下げていた門番のその様な声に、怒る気力はアデリーナには残っていなかった。
「み、見て! 私よ! アデリーナよ! この家のアデリーナよ」
そう言われた門番が、彼女を凝視する。彼女の足元、服装、そして顔。
顔を見た門番がギョッと目を見開き、叫ぶ。
「アデリーナ様!」
やっと相手にしてもらえたアデリーナは破顔一笑し、門番の元へ駆け寄った。
「覚えていてくれたのね?」
「ど、どど、どうしてここに? ご領地で謹慎のはずでは?」
門番に目を向けるアデリーナは、視界の端に屋敷入口に着けてある馬車を捉えた。
「ねぇ? 誰かいらしているの? もしかしてお父様は屋敷にいらっしゃるの?」
僅かな期待が大きな期待へと膨らむ。
そして、アデリーナが見ていると、エントランスから誰かが出てきた。
日光を受けて白く輝くようなドレス姿の女性。風にスカートを靡かせ、つば広の帽子が飛ばぬように片手で押えていて顔は見えない。
もう片方の手は、貴公子のような艶めく銀髪の男性の手の中。
まるで絵画を見ているかのごとく美しい光景。
(二人してお父様を訪ねていらしたのかしら?)
「ねぇ、あのお二人はどな――」
アデリーナが「どなた?」と発する前に、見てしまった……
見えてしまった……
見つけてしまった……
「……エミリア?」
彼は諦めたようだったが、口を閉ざした。
ベルントも、連行される父親を見送ると、再びローブを深く被った。
ベルント・ワグニスの存在が完全に消える。
ワグニスに関する捜査は連日続き、不正も次々に明るみに出る。
サンデリーヌの誘拐についても、関与が特定された。
「遠くからでもサンデリーヌ嬢の姿を確認するかい? チューリー」
「いえ、心身に不調が無いのであれば、それで十分です」
「……そうか」
捜査を統括していたマクシミリアンにも余裕ができ、数日ぶりにレロヘス家に向かう。
リンクスとクリスには王城で会っていたが、エミリアには会えていなかった。
(たった数日。……けれど、長く感じた。理由はなんとなく――いや、はっきりと分かっている。焦らぬように、焦らぬように)
マクシミリアンは、逸る気持ちを抑える。
「マックス様!」
「エミリア」
久し振りのマックスとの再会に、抱きつきたい衝動に駆られるエミリアであったが、堪えて彼の腕にそっと手を添える。
(たとえ少し、指の先であってもマックス様に触れていたい……)
「ご無事でなによりでした。計画の完遂、おめでとうございます」
「ありがとう。言っただろう? 君が祈ってくれたら、必ず戻るって。……祈ってくれてありがとう。エミリア」
「マックス様……」
(ああ、その瞳! その瞳が私を捕まえて下さっている。嬉しい)
見つめ合う二人を、同室にいるクリスが軽い咳払いで(私の妹ですよ?)と牽制する。
「ク、クリス! 君にも感謝を。お父上と二人で私の力になってくれて、助かった。そして、二人の有能さも実証されたよ」
リンクスとクリスは、エミリアとの手紙のやり取り以降、キューウェル公爵と連携して密かに国内でワグニスの不正の全容解明に動いた。
その過程での情報の処理・分析に、他に比類なき活躍をしたのだ。
「第三王子殿下はどうなるのですか?」
「フェリクスと言うのだが、彼はまだまだ幼い。何の関与も無いだろうし、実際侍従達もワグニスがその様に彼を担ぎあげようと動いていた事を知って驚いていたよ」
「そうですか……。よかった」
そして、会えなかった数日の近況をひと通り話すと、マックスが「ちょっと待っていて」と、外の馬車に向かう。
戻ってきたマックスの手には大きめの丸い箱。
「たまにはエミリアと街に行きたいと思ってね。これまで屋敷を出ていないだろう?」
中身は、大きなつばの帽子だった。
両サイドがふわりと持ち上がった白のつば広帽子で、レースがさりげなく飾られている。
「うわぁ。奇麗なお帽子!」
「それに……」
今度はクリスが同じように大きな箱を持ってきた。
「これもマクシミリアン殿下からだよ。今日の為に作って下さったよ」
白と淡い黄色のサテンが重ねられ、アクセントに紫がかった青――バイオレットブルーの縦のラインが使われた服。
貴族が着用するフォーマルドレスではなく、上流市民が着るようなセミ・フォーマルなドレス。
「まぁ! ドレスまで」
「私が君に似合うと思った色で、勝手に作って申し訳ない」
「とんでもありません!」
「私は……その……服には詳しくなくて……サイズも知らないだろう? だからクリスに仕立て屋との仲介を頼んだんだ」
「すてき。このラインの色も素敵です! 帽子ともぴったり合いそうです! これを着て街に出たくなりました」
エミリアが、瞳を輝かせて喜ぶ姿に、マックスも嬉しくなった。
彼女は急いでメイドを伴って着替えに向かう。
「ど、どうでしょう? 似合いますか?」
マックスの目に、部屋の入り口で恥ずかしそうに佇むエミリアの姿が飛び込んで来る。
白と淡い黄色が基調で、光に当たったエミリアは輝いていた。
白に金糸の腕着け時計のリボンとも合っている。
ルノワも彼女の肩にちょこんと座っているが、マックスには見えていない。
「素晴らしい……」
マックスは、エミリアの美しさに一言つぶやくのが精一杯だった。
またもクリスの咳払いで我に返ったマックスが、エミリアを馬車までエスコートする。
「で、では行こうかエミリア?」
マックスがそっと手を差し出し、エミリアも「はい!」と微笑んで手を重ねて、揃って馬車へと向かう。
◆◆◆数日前。アデリーナ
アデリーナは乗合馬車を降り、数か月ぶりに王都の地を踏んだ。
(王都には着いたものの、こんな安物の平民服……。これからどうする? もう夕方よ?)
「まずは、ヤミル様ね。彼の元へ行けば、私を歓迎してくれるはずよ」
アデリーナは、記憶を辿り貴族屋敷が並ぶ区画を奥へ行くと、クルーガー家屋敷に着いた。
門番に「ヤミル様にお会いしたいのですが」と尋ねる。
門番は、アデリーナを一瞥すると、にべもなく言い放つ。
「誰だお前は! ここはお前のような平民が来て良い場所ではない! 立ち去れ!」
「なんですって!? 私も貴族家の者よ!」
門番は一瞬反応し掛けるが、鼻で笑う。
「だから、そんな恰好の貴族がいるか? それに歩いてくるなど……」
「ぐっ」
アデリーナは、門番を怒鳴りつけそうになったが、その前に門番が口を滑らせる。
「まぁ、どっちにしろヤミル様はご領地で蟄居だ。帰っては来られないだろう」
何も知らない彼女は、意味を飲み込めない。
「ご領地? 蟄居? 蟄居ってどういうことよ!」
門番に掴みかかって聞くが、「いいから離れろ! これ以上ここに留まるのなら切り捨てるぞ」と言われては引き下がるしかない。
アデリーナは仕方なく、学園で親しくしていた学友の屋敷に向かうが、平民の恰好をした彼女を信じて屋敷に取り次ぐ門番はいなかった。
一人だけ疲れ果てた彼女を見かねて取り次ぎに向かってくれたが、「『そのような者は知らない』そうだ」と言い捨てられた。
アデリーナは、暗くなった夜道を沈んだ気持ちで街に向かう。
(せっかく危ない目に遭いながらも王都まで来たのよ。諦めちゃダメ! まだ訪ねていない屋敷だってある。諦めるもんか)
自らを奮い立たせて、アデリーナは街の外れまで歩き、安宿を見つけて泊まった。
安宿で、同性とはいえ他人との雑魚寝に、なけなしのお金を取られないように警戒しながら夜を過ごし、昼間は学友の屋敷を訪ね歩いては断られを繰り返すこと二日。
アデリーナの所持金は底が見え始め、何よりも自分が相手にされないという事実に心が折れる。
(どなたの屋敷も門前払いか「今、この屋敷はそれどころの騒ぎではない。誰も取り次がない」の一点張り。一体何があったというの?)
実際アデリーナの学友の中には、ワグニス派閥の貴族令息も多く、マックスによる追及の手が及んでいた。
(せっかく王都まで来たけれど、潮時かもしれないわね……。レロヘス家に行って、お父様に謝って、また領地で謹慎して次の機会を待つ。そうしましょう)
「まだお昼を過ぎたばかりだけど、門の前でお父様の帰宅を待って許しを請うしかないわ」
彼女は疲れが残る脚でレロヘス家に向かう。
すると、途中で門が開けられているのが見えた。
(誰かが出入りするのかしら? もしかしてお父様?)
アデリーナは僅かな期待を胸に門へ向かう。
「おい、そこの娘! もうすぐ馬車が出入りする! 邪魔だから退いていろ」
以前なら恭しく頭を下げていた門番のその様な声に、怒る気力はアデリーナには残っていなかった。
「み、見て! 私よ! アデリーナよ! この家のアデリーナよ」
そう言われた門番が、彼女を凝視する。彼女の足元、服装、そして顔。
顔を見た門番がギョッと目を見開き、叫ぶ。
「アデリーナ様!」
やっと相手にしてもらえたアデリーナは破顔一笑し、門番の元へ駆け寄った。
「覚えていてくれたのね?」
「ど、どど、どうしてここに? ご領地で謹慎のはずでは?」
門番に目を向けるアデリーナは、視界の端に屋敷入口に着けてある馬車を捉えた。
「ねぇ? 誰かいらしているの? もしかしてお父様は屋敷にいらっしゃるの?」
僅かな期待が大きな期待へと膨らむ。
そして、アデリーナが見ていると、エントランスから誰かが出てきた。
日光を受けて白く輝くようなドレス姿の女性。風にスカートを靡かせ、つば広の帽子が飛ばぬように片手で押えていて顔は見えない。
もう片方の手は、貴公子のような艶めく銀髪の男性の手の中。
まるで絵画を見ているかのごとく美しい光景。
(二人してお父様を訪ねていらしたのかしら?)
「ねぇ、あのお二人はどな――」
アデリーナが「どなた?」と発する前に、見てしまった……
見えてしまった……
見つけてしまった……
「……エミリア?」
1
お気に入りに追加
89
あなたにおすすめの小説

愛しき夫は、男装の姫君と恋仲らしい。
星空 金平糖
恋愛
シエラは、政略結婚で夫婦となった公爵──グレイのことを深く愛していた。
グレイは優しく、とても親しみやすい人柄でその甘いルックスから、結婚してからも数多の女性達と浮名を流していた。
それでもシエラは、グレイが囁いてくれる「私が愛しているのは、あなただけだよ」その言葉を信じ、彼と夫婦であれることに幸福を感じていた。
しかし。ある日。
シエラは、グレイが美貌の少年と親密な様子で、王宮の庭を散策している場面を目撃してしまう。当初はどこかの令息に王宮案内をしているだけだと考えていたシエラだったが、実はその少年が王女─ディアナであると判明する。
聞くところによるとディアナとグレイは昔から想い会っていた。
ディアナはグレイが結婚してからも、健気に男装までしてグレイに会いに来ては逢瀬を重ねているという。
──……私は、ただの邪魔者だったの?
衝撃を受けるシエラは「これ以上、グレイとはいられない」と絶望する……。

【完結】傷跡に咲く薔薇の令嬢は、辺境伯の優しい手に救われる。
朝日みらい
恋愛
セリーヌ・アルヴィスは完璧な貴婦人として社交界で輝いていたが、ある晩、馬車で帰宅途中に盗賊に襲われ、顔に深い傷を負う。
傷が癒えた後、婚約者アルトゥールに再会するも、彼は彼女の外見の変化を理由に婚約を破棄する。
家族も彼女を冷遇し、かつての華やかな生活は一転し、孤独と疎外感に包まれる。
最終的に、家族に決められた新たな婚約相手は、社交界で「醜い」と噂されるラウル・ヴァレールだった―――。
踏み台令嬢はへこたれない
IchikoMiyagi
恋愛
「婚約破棄してくれ!」
公爵令嬢のメルティアーラは婚約者からの何度目かの申し出を受けていたーー。
春、学院に入学しいつしかついたあだ名は踏み台令嬢。……幸せを運んでいますのに、その名付けはあんまりでは……。
そう思いつつも学院生活を満喫していたら、噂を聞きつけた第三王子がチラチラこっちを見ている。しかもうっかり婚約者になってしまったわ……?!?
これは無自覚に他人の踏み台になって引っ張り上げる主人公が、たまにしょげては踏ん張りながらやっぱり周りを幸せにしたりやっと自分も幸せになったりするかもしれない物語。
「わたくし、甘い砂を吐くのには慣れておりますの」
ーー踏み台令嬢は今日も誰かを幸せにする。
なろうでも投稿しています。
【掌編集】今までお世話になりました旦那様もお元気で〜妻の残していった離婚受理証明書を握りしめイケメン公爵は涙と鼻水を垂らす
まほりろ
恋愛
新婚初夜に「君を愛してないし、これからも愛するつもりはない」と言ってしまった公爵。
彼は今まで、天才、美男子、完璧な貴公子、ポーカーフェイスが似合う氷の公爵などと言われもてはやされてきた。
しかし新婚初夜に暴言を吐いた女性が、初恋の人で、命の恩人で、伝説の聖女で、妖精の愛し子であったことを知り意気消沈している。
彼の手には元妻が置いていった「離婚受理証明書」が握られていた……。
他掌編七作品収録。
※無断転載を禁止します。
※朗読動画の無断配信も禁止します
「Copyright(C)2023-まほりろ/若松咲良」
某小説サイトに投稿した掌編八作品をこちらに転載しました。
【収録作品】
①「今までお世話になりました旦那様もお元気で〜ポーカーフェイスの似合う天才貴公子と称された公爵は、妻の残していった離婚受理証明書を握りしめ涙と鼻水を垂らす」
②「何をされてもやり返せない臆病な公爵令嬢は、王太子に竜の生贄にされ壊れる。能ある鷹と天才美少女は爪を隠す」
③「運命的な出会いからの即日プロポーズ。婚約破棄された天才錬金術師は新しい恋に生きる!」
④「4月1日10時30分喫茶店ルナ、婚約者は遅れてやってきた〜新聞は星座占いを見る為だけにある訳ではない」
⑤「『お姉様はズルい!』が口癖の双子の弟が現世の婚約者! 前世では弟を立てる事を親に強要され馬鹿の振りをしていましたが、現世では奴とは他人なので天才として実力を充分に発揮したいと思います!」
⑥「婚約破棄をしたいと彼は言った。契約書とおふだにご用心」
⑦「伯爵家に半世紀仕えた老メイドは伯爵親子の罠にハマり無一文で追放される。老メイドを助けたのはポーカーフェイスの美女でした」
⑧「お客様の中に褒め褒めの感想を書ける方はいらっしゃいませんか? 天才美文感想書きVS普通の少女がえんぴつで書いた感想!」
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。

私はあなたたちがお求めの聖女ではないので
黒木メイ
恋愛
今までガルディーニ王国で偽の聖女だとして酷い扱われ方をしてきたマリー・フィッツェ。自分でも自分のことを偽の聖女だとずっと思い込んでいた。周りからそう言われ続けてきたから。けれど、この世界の唯一神であるニュクス様の力によって前世の記憶を取り戻した時、その洗脳は解けた。そして、真実を知る。真実を知ったマリーの決断とは……。
※設定はふわふわ。
※予告なく修正、加筆する場合があります。
※小説家になろう様からの転載。他サイトにも随時転載中。

【完結】ずっと、ずっとあなたを愛していました 〜後悔も、懺悔も今更いりません〜
高瀬船
恋愛
リスティアナ・メイブルムには二歳年上の婚約者が居る。
婚約者は、国の王太子で穏やかで優しく、婚約は王命ではあったが仲睦まじく関係を築けていた。
それなのに、突然ある日婚約者である王太子からは土下座をされ、婚約を解消して欲しいと願われる。
何故、そんな事に。
優しく微笑むその笑顔を向ける先は確かに自分に向けられていたのに。
婚約者として確かに大切にされていたのに何故こうなってしまったのか。
リスティアナの思いとは裏腹に、ある時期からリスティアナに悪い噂が立ち始める。
悪い噂が立つ事など何もしていないのにも関わらず、リスティアナは次第に学園で、夜会で、孤立していく。
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる