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第1章 突入! エベレストダンジョン!
第45話 殺人事件!? ……犯人はアニカ?
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テッテテテッテレテテッテン♪ ブブブ! テッテテテッテレテテッテン♪ ブブブ!
遅めの時間にセットした目覚ましが鳴っている。
「う……ん~~~! ……時間か?」
起きると、昨晩開催された夕食兼ホールケーキパーティーの残骸が散らばっている。
みんな疲れていて、片付けもせずに寝落ちしてしまったようだ。
俺にしがみついて寝ているアニカとアニタを優しく引き離して、“巣”の淵に立つ。
これで朝日でも昇ってきて、雀がチュンチュン鳴いていれば格好もつくのだろうが……ただの殺風景なボスフロアだ。
巣から下を見下ろすと、地面で白狐姿のミケがうつ伏せで倒れていた。
「……傍から見れば転落死の現場だぞ、アレ」
俺はミケがこんなことで死ぬような奴ではないと知っているので、何も慌てることはない。
「お~い! ミケ~、起きろ~!」
上から大声で起こそうとしていたら、後ろのアニカとアニタが先に起きた。
「おはようございます、ユウトさん」
「もう朝なの~?」
「朝って言うか、昼前な……」
そして、「大きな声を出してどうしたんですか?」というアニカの問いに、ミケを指差して答える。
「ミケの奴、あんなところで寝てやがるんだ。アニタ、連れて来てくれるか?」
「うんい~よ~! いってくるね~」
アニタは軽くそう言って、自分で《フライ》を発動してミケを迎えに行った。
アニカは青ざめて、両手で口を覆っている。
「ミケは寝ている内に自分で落ちたんだろうな。大丈夫だ、あれくらいで死にはしないって」
アニカはミケの――転落死の現場の様な――寝姿にショックを受けているのだろうと思って声をかけたのだが、彼女は何度も首を横に振る。
「ち、違うんです!」
口を覆う手が小刻みに震えている。
「違うって、何が?」
「わわ、わ、私かもしれないんです!」
――ん?
「アニカが? どうしたの?」
「私が、寝ぼけてミケさんを……」
「ミケを?」
何を言っているのか呑み込めないうちにアニタが戻って来た。
「ぜんぜん起きないよ~? 死んでるみたい――」
「いやぁーーーーーーー!」
「――に寝てるよ~」
アニカがフロア全体に響き渡る様な大きな叫び声をあげて、そして、泣き崩れた。
アニタが寝ていると言った事は聞こえていないみたいだ。
「おいおい、アニカ」
「グスッ、あ~、ど、どうしよう! わたし、人殺しに……、うわ~~~~~~ん!」
「お姉ちゃん?」
アニカは、自分がどうして泣いているのかを理解していないアニタに抱きついた。
「アニタ~! ごめんね~、お姉ちゃん犯罪者になっちゃった~」
「はんざいしゃ? ってなぁに?」
「グスッ、悪いことをした人のことよ……」
「お姉ちゃん、わるいことしたの?」
「ごめんね~、悪いお姉ちゃんで、ごめんね~。グズン」
不謹慎だけど、なんか……すれ違いが面白いから黙って見ていよう。
天真爛漫で純情なアニタは、ミケが寝ているだけという事実を忘れ、お姉ちゃんが悪いことをしてしまったのだという事に意識が向いてしまった。
アニタはアニカの両肩に手を当て、アニカを見つめる。
「お姉ちゃん……、なにしちゃったの~? アニタも一緒にあやまったげるから、あやまろ? ねっ?」
「グズッ、……アニタ!」
アニカはアニタを再びぎゅっと抱きしめた。
「何しとるんじゃ? お主ら」
「――ギャーーーーーーーーーーー! お化けぇーーーーーーー!」
死んだと思っていたミケの姿を見たアニカが、驚きのあまりアニタを抱いたまま、マットレスの方向に文字通り飛び退いた。
「ふぎゃ! ……あ、ミケちゃん! やっと起きたの~?」
「せっかく寝ておったのに、イヤーじゃのウワンだの、うるさくてのう。挙句に何じゃ! 我をお化けなんぞと言いおってー!」
アニカは、まだワナワナと震えている。
「で、でも、アニタが死んでいるって……」
言っていない。
「勝手に我を殺すでないわ。ピンピンしておるぞ?」
「ミケちゃん、なかなか起きないんだもん。ペシペシしても起きなかったよ?」
結局のところ、ミケは最初は俺の枕元に寝ていたが、寝相が悪くていつの間にか俺の胸元に移動して寝ていた。
そして、俺の隣で寝ていたアニカが、寝ぼけてか何か知らないが俺に抱きついてきた。
その時に、胸元にいたミケが邪魔で、掴んで放り投げてしまった……、という事のようだ。
放り投げられて地面に落ちていくミケを想像するだけでも面白いな。
ピュー、ベタッ! 「ふげっ」って落ちたんだろうか?
いや、ミケのことだから、実際は眠りながらもシュタッっと着地してからうつ伏せになったんだろうな。
とか考えて、「ふっ」と吹き出してしまった俺を、ミケが睨みつける。
「笑いごとでは無いぞ! ユウトよ。そもそも、こ奴らが我の事をあまりにも軽く考えすぎ――」
「まあまあ、無事だったんだからいいじゃないか」
「――って聞いておるのか?」
アニカはまだシュンとしている。
「ミケさん、本当にごめんなさい」
「ミケちゃん、お姉ちゃんがごめんなさい。ゆるしてあげてよ~」
「しかしじゃのぅ」
「ミケちゃんだって、寝てるときにしっぽをフリフリするからくすぐったいんだよ~」
「うぐっ! そ、それとこれとは……。わ、わかったわい! 許せば良いのじゃろ? アニカよ、我は許すぞ。気にするでない」
「本当?」
「もちろんじゃ。我はピンピンしておる。気にするでない」
「あ、ありがとうございます。ミケさん、私、これからは気をつけますから」
「ミケちゃん、ありがと~」
起きぬけにそんな“事件”があり、昼時近くになってしまった。
みんなでパーティーの残骸を片付け、寝床も片付け、ブランチを摂ってから気合を入れ直す。
「よし、準備はいいか?」
「バッチリじゃ!」
「はい、お騒がせした分、頑張ります」
「れっつご~」
「お、おー!」
遅めの時間にセットした目覚ましが鳴っている。
「う……ん~~~! ……時間か?」
起きると、昨晩開催された夕食兼ホールケーキパーティーの残骸が散らばっている。
みんな疲れていて、片付けもせずに寝落ちしてしまったようだ。
俺にしがみついて寝ているアニカとアニタを優しく引き離して、“巣”の淵に立つ。
これで朝日でも昇ってきて、雀がチュンチュン鳴いていれば格好もつくのだろうが……ただの殺風景なボスフロアだ。
巣から下を見下ろすと、地面で白狐姿のミケがうつ伏せで倒れていた。
「……傍から見れば転落死の現場だぞ、アレ」
俺はミケがこんなことで死ぬような奴ではないと知っているので、何も慌てることはない。
「お~い! ミケ~、起きろ~!」
上から大声で起こそうとしていたら、後ろのアニカとアニタが先に起きた。
「おはようございます、ユウトさん」
「もう朝なの~?」
「朝って言うか、昼前な……」
そして、「大きな声を出してどうしたんですか?」というアニカの問いに、ミケを指差して答える。
「ミケの奴、あんなところで寝てやがるんだ。アニタ、連れて来てくれるか?」
「うんい~よ~! いってくるね~」
アニタは軽くそう言って、自分で《フライ》を発動してミケを迎えに行った。
アニカは青ざめて、両手で口を覆っている。
「ミケは寝ている内に自分で落ちたんだろうな。大丈夫だ、あれくらいで死にはしないって」
アニカはミケの――転落死の現場の様な――寝姿にショックを受けているのだろうと思って声をかけたのだが、彼女は何度も首を横に振る。
「ち、違うんです!」
口を覆う手が小刻みに震えている。
「違うって、何が?」
「わわ、わ、私かもしれないんです!」
――ん?
「アニカが? どうしたの?」
「私が、寝ぼけてミケさんを……」
「ミケを?」
何を言っているのか呑み込めないうちにアニタが戻って来た。
「ぜんぜん起きないよ~? 死んでるみたい――」
「いやぁーーーーーーー!」
「――に寝てるよ~」
アニカがフロア全体に響き渡る様な大きな叫び声をあげて、そして、泣き崩れた。
アニタが寝ていると言った事は聞こえていないみたいだ。
「おいおい、アニカ」
「グスッ、あ~、ど、どうしよう! わたし、人殺しに……、うわ~~~~~~ん!」
「お姉ちゃん?」
アニカは、自分がどうして泣いているのかを理解していないアニタに抱きついた。
「アニタ~! ごめんね~、お姉ちゃん犯罪者になっちゃった~」
「はんざいしゃ? ってなぁに?」
「グスッ、悪いことをした人のことよ……」
「お姉ちゃん、わるいことしたの?」
「ごめんね~、悪いお姉ちゃんで、ごめんね~。グズン」
不謹慎だけど、なんか……すれ違いが面白いから黙って見ていよう。
天真爛漫で純情なアニタは、ミケが寝ているだけという事実を忘れ、お姉ちゃんが悪いことをしてしまったのだという事に意識が向いてしまった。
アニタはアニカの両肩に手を当て、アニカを見つめる。
「お姉ちゃん……、なにしちゃったの~? アニタも一緒にあやまったげるから、あやまろ? ねっ?」
「グズッ、……アニタ!」
アニカはアニタを再びぎゅっと抱きしめた。
「何しとるんじゃ? お主ら」
「――ギャーーーーーーーーーーー! お化けぇーーーーーーー!」
死んだと思っていたミケの姿を見たアニカが、驚きのあまりアニタを抱いたまま、マットレスの方向に文字通り飛び退いた。
「ふぎゃ! ……あ、ミケちゃん! やっと起きたの~?」
「せっかく寝ておったのに、イヤーじゃのウワンだの、うるさくてのう。挙句に何じゃ! 我をお化けなんぞと言いおってー!」
アニカは、まだワナワナと震えている。
「で、でも、アニタが死んでいるって……」
言っていない。
「勝手に我を殺すでないわ。ピンピンしておるぞ?」
「ミケちゃん、なかなか起きないんだもん。ペシペシしても起きなかったよ?」
結局のところ、ミケは最初は俺の枕元に寝ていたが、寝相が悪くていつの間にか俺の胸元に移動して寝ていた。
そして、俺の隣で寝ていたアニカが、寝ぼけてか何か知らないが俺に抱きついてきた。
その時に、胸元にいたミケが邪魔で、掴んで放り投げてしまった……、という事のようだ。
放り投げられて地面に落ちていくミケを想像するだけでも面白いな。
ピュー、ベタッ! 「ふげっ」って落ちたんだろうか?
いや、ミケのことだから、実際は眠りながらもシュタッっと着地してからうつ伏せになったんだろうな。
とか考えて、「ふっ」と吹き出してしまった俺を、ミケが睨みつける。
「笑いごとでは無いぞ! ユウトよ。そもそも、こ奴らが我の事をあまりにも軽く考えすぎ――」
「まあまあ、無事だったんだからいいじゃないか」
「――って聞いておるのか?」
アニカはまだシュンとしている。
「ミケさん、本当にごめんなさい」
「ミケちゃん、お姉ちゃんがごめんなさい。ゆるしてあげてよ~」
「しかしじゃのぅ」
「ミケちゃんだって、寝てるときにしっぽをフリフリするからくすぐったいんだよ~」
「うぐっ! そ、それとこれとは……。わ、わかったわい! 許せば良いのじゃろ? アニカよ、我は許すぞ。気にするでない」
「本当?」
「もちろんじゃ。我はピンピンしておる。気にするでない」
「あ、ありがとうございます。ミケさん、私、これからは気をつけますから」
「ミケちゃん、ありがと~」
起きぬけにそんな“事件”があり、昼時近くになってしまった。
みんなでパーティーの残骸を片付け、寝床も片付け、ブランチを摂ってから気合を入れ直す。
「よし、準備はいいか?」
「バッチリじゃ!」
「はい、お騒がせした分、頑張ります」
「れっつご~」
「お、おー!」
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