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星座遊び
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家にあるすべての本を読み尽くしてしまい、久しぶりに図書館や書店を巡ろうと思い立ったまではよかった。せっかく好きなことをしに行くのならばとちょっぴりおしゃれをして家を出たのもよかった。
好きな作家さんの新作、前から読みたいと思っていた作品、ふと惹かれた作品。キラキラと輝く宝物のように見えるそれらをかばんの中に丁寧にしまって。
さあ帰ろう、と視線をあげたそこに。鈍色の世界がひろがっていた。
天気予報は調べていないし、折りたたみ傘も持っていない。なによりせっかくの宝物たちを濡らしたくない。そう考え、近くのコンビニに行く。小さい透明なビニール傘と、はちみつのラテを買う。急な雨で少し下がり気味だった気分を何とかしたくて、温かいそれを一口飲む。ふんわりと優しいはちみつの風味がひろがって、いつの間にか詰めていた息をほぅ…とほどいた。
再び外に出て、今度は傘をさす。それほど強いわけではないが、家まで歩くとなるとしっかり濡れてしまう程度。等しく上から注がれてくる雨粒がビニールの上に着地し、流れることなくそこに鎮座している。歩きながらぼんやりとそれを眺めているうちに、満天の星空のように見えてくる。
三つの連なっている雫からちょうどいい位置にある雫同士を繋げて「オリオン座」
繋げるとT字になる雫で簡単に「さそり座」
十字架に一雫おまけで繋げて「はくちょう座」
他にも何か作れる星座がないかと探していたが、気付いたら雨はやんでいた。そのまま傘を閉じて歩くのは、せっかく見つけた星座たちをなくしてしまうのが惜しいので、そのままにして歩く。陽の光が雫の中で反射して虹色に輝いていた。
好きな作家さんの新作、前から読みたいと思っていた作品、ふと惹かれた作品。キラキラと輝く宝物のように見えるそれらをかばんの中に丁寧にしまって。
さあ帰ろう、と視線をあげたそこに。鈍色の世界がひろがっていた。
天気予報は調べていないし、折りたたみ傘も持っていない。なによりせっかくの宝物たちを濡らしたくない。そう考え、近くのコンビニに行く。小さい透明なビニール傘と、はちみつのラテを買う。急な雨で少し下がり気味だった気分を何とかしたくて、温かいそれを一口飲む。ふんわりと優しいはちみつの風味がひろがって、いつの間にか詰めていた息をほぅ…とほどいた。
再び外に出て、今度は傘をさす。それほど強いわけではないが、家まで歩くとなるとしっかり濡れてしまう程度。等しく上から注がれてくる雨粒がビニールの上に着地し、流れることなくそこに鎮座している。歩きながらぼんやりとそれを眺めているうちに、満天の星空のように見えてくる。
三つの連なっている雫からちょうどいい位置にある雫同士を繋げて「オリオン座」
繋げるとT字になる雫で簡単に「さそり座」
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他にも何か作れる星座がないかと探していたが、気付いたら雨はやんでいた。そのまま傘を閉じて歩くのは、せっかく見つけた星座たちをなくしてしまうのが惜しいので、そのままにして歩く。陽の光が雫の中で反射して虹色に輝いていた。
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