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第1章 Departure for the Fantastic World
第50話 所詮それはきれいごと(1)
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そこに居たのは、ガードナーが最も会いたくなかった魔法使いの少年だった。
いつも着ているラフなジャケットではなく、留紺色の戦闘服。上は胸元まで開かれていて、その内側で薬品の入った金属筒が光っている。足に縛るように付けられた薬品ポーチには、使い切りの魔法が封入された特殊実包入りの細長いマガジン。
腰に差さっているのは艶消し加工のされた真っ黒な木剣。東洋の剣を基にしていて、剣と異なり薄く細く、そして反りがある。あれはたしか〝カタナ〟と呼んだか。
ガードナーをにらみつける目は、静かに、それでいて弾け飛ぶほどの怒りを内包している。手は腰のカタナに添えられ、いつでも抜刀できるように柔らかく握っている。よく見ればその手はわずかに震え、カタナを固定している金具が立てるカチカチという音がかすかに耳を掻いた。
やる気だ。
あの少年はこの場で、魔法界の裏切り者を始末するつもりなのだ。
他でもない、自分自身の手で。
「やはり、君だったか」
最後の最後まで計画がズタボロにされたことで、ガードナーはそう吐き捨てる。しかしハルはその言葉にも返事はしなかった。吐き捨てたそれを聞き流したのか、一度だけ目をつむり、
「すごいな、ここ」
再び目を開け周りを見渡しながら口を開いた。
「この世界じゃ変化しないはずのオオミズゴケが魔力活性型に成長してる。マナの濃度は俺たちの世界と変わらないくらいかな。こんなに良い条件の環境はこの世界で見たことない」
はぁ、とハルは溜息を吐いた。
ハルの言葉通り、壁際に生えているオオミズゴケは、普通なら考えられないような形に成長していた。長い茎のようなものが針金のようにジグザグに上に向かって伸びている。伸びた先は赤く変色していて、その周りではきらきらとマナの結晶体が舞っている。
この倉庫全体だってそうだ。夜だというのに、天井の窓から差し込む月明かりで空気がガラス片をまき散らしたように七色に瞬いている。それはまるで妖精たちが踊っているようだ。事実、これだけマナの濃い場所なら必ずと言っていいほど妖精たちが住処にしてしまう。
だけどここには、いるはずの妖精はいない。
なぜならこの場所は、彼女たちにとって一番と言ってもいいほど危険な場所だから。
「…………悪魔を下ろすのに最適な場所だ」
彼女たちを喰らう存在――悪魔を降ろすための場所なのだから。
たった今、ハルが立っているのは床に描かれた大きな模様の前。赤黒い色の何かで描かれたそれを背中にして、ガードナーと向き合っている。
床に描かれているのは、複雑な模様と文字が飾られた円だ。
直径が約八・一メートル。円は蛇がとぐろを巻く形で描かれていて、円の中に描かれているのは深い緑色をした頂点が六つの星形が四つ。それは円の中だけじゃなく外にも描かれていて、こちらも頂点が五つの星形が四つだ。
一・八メートル東に離れたところには、東を頂点にした三角形。一辺が二・七メートル。三角形の辺上には『PRIMEUMATON』『TETRAGRAMMATON』『ANAPHAXETON』という単語がそれぞれに沿うように書かれている。
これは『魔法〝円〟』、またの名を『召喚陣』。悪魔を呼び出すために生み出された高度な魔法術式。悪魔を呼び出すために特化し、それ以外には使うことのできない禁術中の禁術。
ハルたち魔法使いが最も犯してはいけないとされる禁足事項、その最上位に来るものだ。
「こいつは完璧だ。破綻もないし、今まで見てきたどんな術者たちより精確だ。資料閲覧すら制限されてるのによくここまで調べたよな。おかげで、何をしようとしてるのか見た瞬間に理解できた」
これが存在すること自体が。ガードナーがここにいることが。これから言わんとするハルの言葉をどうしようもないほど裏付ける。否定する材料をつぶしてしまう。
その理由とは……、
「あんた、ここで悪魔を降ろすつもりだったんだな。サラさんを治すために」
「…………」
「正確にはサラさんの病気を移す、だよな。子供五人のうち三人を生贄にして、残り二人のうち一人から生気を奪う。奪った生気で生命力を底上げして、最後の一人に病気を移す。そうすれば、サラさんの体は健康な状態に戻る。この方法は……ブエル系列の悪魔だな。どうやってグリモワールを手に入れたのかは知らないけど、それでもここまで用意できたのはやっぱすげーよ」
「…………やはり君はすごい。そこまでお見通しだったとはね。最年少で魔法士資格を取得しただけある」
少しだけ表情を緩め、ガードナーが苦笑した。うれしさと苛立ちのどちらも確かに抱いていて、その二つがぐちゃぐちゃに混ざった形容しがたい感情だ。
ひとつは、産まれる前から知っている息子同然の少年の成長を見ることができたうれしさ。だけど同時に抱く苛立ちは、彼が厄介な相手として立ちふさがったから。うれしくとも憎い相手、やはりあのとき強引にでも戦闘不能にしておくべきだった。
「君を信用していないわけではないが一応訊く。妻はどうした」
「心配しなくていいよ。ちゃんと安全なところに運んだから。ここの見張りは全員縛って向こうのドブに半身浴してる。ここに部外者はいないよ」
「そうか、なら安心だ。それで、君はどうしてここへ? まさかとは思うが、ここまで来て説得でもするつもりだったのかい? わたしがそれであきらめるとでも? 残念だが、そういうことなら、」
「いや、あんたが止まらないってことくらい分かってる。ここまで精確な召喚陣を描き上げたんだ。俺だったら絶対に止めない」
言葉をさええぎり、ハルがそう断言する。
「だとしたらなぜ」
「力ずくで止めるため。あと、一発ぶん殴る」
「それは本気なのかい?」
それにハルは答えない。それはあの少年にも、ガードナーの発言が本気じゃないことくらいわかっているからだろう。ここまで準備をして、使えるだけの装備を身に着けて、それで説得しに来たと本気で思うバカはいない。この沈黙はハルにとって、肯定の意を示すというのは明らかだ。
だけど――否、だからこそ、ガードナーにはハルの取った行動が理解できなかった。なぜこんなにも穴だらけな作戦を立てたのかと、その疑問を口にする。
「だとすれば分からないな。だったら、なぜ君はわたしと馬鹿正直に対峙している。わたしが考えを変えないと分かっているのなら、どうしてそこに居る。陣を消すなり、ほかの魔法士を呼ぶなりできたはずだ。いや、わたしを確実に止めるならその方法しかないはずだ。だがこの付近の魔法士は君しかいない。君が敗れればわたしを野に放つことになる。なぜこんな、」
「俺の手で……あんたを止めたかったから」
「………………」
ハルが返した感情の理由が、ガードナーには理解できなかった。なぜならそれが、想定していたものとは大きくかけ離れていて、かつこれから先向けられる資格などないと思っていたものだったから。
帰ってきた返答に込められていた感情は、怒りではなかった。失望でも、嘲りでもない。
悲しみ、それから親愛。
自身の命すら狙う相手にぶつけるには最もふさわしくない感情の類だ。
「…………どうしてそこまでする」
胸の奥からこみ上げる熱いものを押さえつけ、ガードナーは声を絞り出す。
「あんたが、根っからの悪党じゃないから」
「おかしなことを言う。君たちを牢に閉じ込めたのはわたしなんだぞ?」
「だからだよ。本気で口封じしたかったなら、あの場で殺した方が得策だ。いや、本当に口封じして時間稼ぎする気ならやらなきゃいけなかったはずだ。なのに、あんたはそれをしなかった」
「…………」
気分が悪い。
殺しきれなかった甘い部分を、自身の甘さが招いた最悪の状況下で、それもすべてを引っ掻き回した張本人にストレートに指摘されることがこんなに歯がゆいものだったとは。
腹立たしい。
冷徹になったつもりで、それでも甘さを捨てきれなかった自分自身が。
最悪の状況を予想しておきながら、その可能性をつぶしきれなかった自分自身が。
徹底すれば防げたことを指摘されることがこんなにも心を苛立たせるとは。
「だから、俺の手で止めたかったんだ。あんたみたいな優しい人に、儀式をさせて地獄を見て欲しくなかった」
「面白い。まるで儀式が失敗するような口ぶりだ」
「失敗するよ。絶対に」
「……なに?」
ガードナーが言い終わるよりも早く、遮るようにハルはそう即答した。
いつも着ているラフなジャケットではなく、留紺色の戦闘服。上は胸元まで開かれていて、その内側で薬品の入った金属筒が光っている。足に縛るように付けられた薬品ポーチには、使い切りの魔法が封入された特殊実包入りの細長いマガジン。
腰に差さっているのは艶消し加工のされた真っ黒な木剣。東洋の剣を基にしていて、剣と異なり薄く細く、そして反りがある。あれはたしか〝カタナ〟と呼んだか。
ガードナーをにらみつける目は、静かに、それでいて弾け飛ぶほどの怒りを内包している。手は腰のカタナに添えられ、いつでも抜刀できるように柔らかく握っている。よく見ればその手はわずかに震え、カタナを固定している金具が立てるカチカチという音がかすかに耳を掻いた。
やる気だ。
あの少年はこの場で、魔法界の裏切り者を始末するつもりなのだ。
他でもない、自分自身の手で。
「やはり、君だったか」
最後の最後まで計画がズタボロにされたことで、ガードナーはそう吐き捨てる。しかしハルはその言葉にも返事はしなかった。吐き捨てたそれを聞き流したのか、一度だけ目をつむり、
「すごいな、ここ」
再び目を開け周りを見渡しながら口を開いた。
「この世界じゃ変化しないはずのオオミズゴケが魔力活性型に成長してる。マナの濃度は俺たちの世界と変わらないくらいかな。こんなに良い条件の環境はこの世界で見たことない」
はぁ、とハルは溜息を吐いた。
ハルの言葉通り、壁際に生えているオオミズゴケは、普通なら考えられないような形に成長していた。長い茎のようなものが針金のようにジグザグに上に向かって伸びている。伸びた先は赤く変色していて、その周りではきらきらとマナの結晶体が舞っている。
この倉庫全体だってそうだ。夜だというのに、天井の窓から差し込む月明かりで空気がガラス片をまき散らしたように七色に瞬いている。それはまるで妖精たちが踊っているようだ。事実、これだけマナの濃い場所なら必ずと言っていいほど妖精たちが住処にしてしまう。
だけどここには、いるはずの妖精はいない。
なぜならこの場所は、彼女たちにとって一番と言ってもいいほど危険な場所だから。
「…………悪魔を下ろすのに最適な場所だ」
彼女たちを喰らう存在――悪魔を降ろすための場所なのだから。
たった今、ハルが立っているのは床に描かれた大きな模様の前。赤黒い色の何かで描かれたそれを背中にして、ガードナーと向き合っている。
床に描かれているのは、複雑な模様と文字が飾られた円だ。
直径が約八・一メートル。円は蛇がとぐろを巻く形で描かれていて、円の中に描かれているのは深い緑色をした頂点が六つの星形が四つ。それは円の中だけじゃなく外にも描かれていて、こちらも頂点が五つの星形が四つだ。
一・八メートル東に離れたところには、東を頂点にした三角形。一辺が二・七メートル。三角形の辺上には『PRIMEUMATON』『TETRAGRAMMATON』『ANAPHAXETON』という単語がそれぞれに沿うように書かれている。
これは『魔法〝円〟』、またの名を『召喚陣』。悪魔を呼び出すために生み出された高度な魔法術式。悪魔を呼び出すために特化し、それ以外には使うことのできない禁術中の禁術。
ハルたち魔法使いが最も犯してはいけないとされる禁足事項、その最上位に来るものだ。
「こいつは完璧だ。破綻もないし、今まで見てきたどんな術者たちより精確だ。資料閲覧すら制限されてるのによくここまで調べたよな。おかげで、何をしようとしてるのか見た瞬間に理解できた」
これが存在すること自体が。ガードナーがここにいることが。これから言わんとするハルの言葉をどうしようもないほど裏付ける。否定する材料をつぶしてしまう。
その理由とは……、
「あんた、ここで悪魔を降ろすつもりだったんだな。サラさんを治すために」
「…………」
「正確にはサラさんの病気を移す、だよな。子供五人のうち三人を生贄にして、残り二人のうち一人から生気を奪う。奪った生気で生命力を底上げして、最後の一人に病気を移す。そうすれば、サラさんの体は健康な状態に戻る。この方法は……ブエル系列の悪魔だな。どうやってグリモワールを手に入れたのかは知らないけど、それでもここまで用意できたのはやっぱすげーよ」
「…………やはり君はすごい。そこまでお見通しだったとはね。最年少で魔法士資格を取得しただけある」
少しだけ表情を緩め、ガードナーが苦笑した。うれしさと苛立ちのどちらも確かに抱いていて、その二つがぐちゃぐちゃに混ざった形容しがたい感情だ。
ひとつは、産まれる前から知っている息子同然の少年の成長を見ることができたうれしさ。だけど同時に抱く苛立ちは、彼が厄介な相手として立ちふさがったから。うれしくとも憎い相手、やはりあのとき強引にでも戦闘不能にしておくべきだった。
「君を信用していないわけではないが一応訊く。妻はどうした」
「心配しなくていいよ。ちゃんと安全なところに運んだから。ここの見張りは全員縛って向こうのドブに半身浴してる。ここに部外者はいないよ」
「そうか、なら安心だ。それで、君はどうしてここへ? まさかとは思うが、ここまで来て説得でもするつもりだったのかい? わたしがそれであきらめるとでも? 残念だが、そういうことなら、」
「いや、あんたが止まらないってことくらい分かってる。ここまで精確な召喚陣を描き上げたんだ。俺だったら絶対に止めない」
言葉をさええぎり、ハルがそう断言する。
「だとしたらなぜ」
「力ずくで止めるため。あと、一発ぶん殴る」
「それは本気なのかい?」
それにハルは答えない。それはあの少年にも、ガードナーの発言が本気じゃないことくらいわかっているからだろう。ここまで準備をして、使えるだけの装備を身に着けて、それで説得しに来たと本気で思うバカはいない。この沈黙はハルにとって、肯定の意を示すというのは明らかだ。
だけど――否、だからこそ、ガードナーにはハルの取った行動が理解できなかった。なぜこんなにも穴だらけな作戦を立てたのかと、その疑問を口にする。
「だとすれば分からないな。だったら、なぜ君はわたしと馬鹿正直に対峙している。わたしが考えを変えないと分かっているのなら、どうしてそこに居る。陣を消すなり、ほかの魔法士を呼ぶなりできたはずだ。いや、わたしを確実に止めるならその方法しかないはずだ。だがこの付近の魔法士は君しかいない。君が敗れればわたしを野に放つことになる。なぜこんな、」
「俺の手で……あんたを止めたかったから」
「………………」
ハルが返した感情の理由が、ガードナーには理解できなかった。なぜならそれが、想定していたものとは大きくかけ離れていて、かつこれから先向けられる資格などないと思っていたものだったから。
帰ってきた返答に込められていた感情は、怒りではなかった。失望でも、嘲りでもない。
悲しみ、それから親愛。
自身の命すら狙う相手にぶつけるには最もふさわしくない感情の類だ。
「…………どうしてそこまでする」
胸の奥からこみ上げる熱いものを押さえつけ、ガードナーは声を絞り出す。
「あんたが、根っからの悪党じゃないから」
「おかしなことを言う。君たちを牢に閉じ込めたのはわたしなんだぞ?」
「だからだよ。本気で口封じしたかったなら、あの場で殺した方が得策だ。いや、本当に口封じして時間稼ぎする気ならやらなきゃいけなかったはずだ。なのに、あんたはそれをしなかった」
「…………」
気分が悪い。
殺しきれなかった甘い部分を、自身の甘さが招いた最悪の状況下で、それもすべてを引っ掻き回した張本人にストレートに指摘されることがこんなに歯がゆいものだったとは。
腹立たしい。
冷徹になったつもりで、それでも甘さを捨てきれなかった自分自身が。
最悪の状況を予想しておきながら、その可能性をつぶしきれなかった自分自身が。
徹底すれば防げたことを指摘されることがこんなにも心を苛立たせるとは。
「だから、俺の手で止めたかったんだ。あんたみたいな優しい人に、儀式をさせて地獄を見て欲しくなかった」
「面白い。まるで儀式が失敗するような口ぶりだ」
「失敗するよ。絶対に」
「……なに?」
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