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第二十夜 黒猫の魔導師
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空が燃えるような夕映えが、黄金の扉を照らす。
魔導師は大狼姿のまま、後宮へと繋がる扉の側に引き縄で繋がれ、ただじっと待っていた。
扉の前には常に交代で一人か二人の衛士が立っており、後宮への人の出入りを見張っている。その上、魔導師を常に視界の内に入れている。まさかこの場で堂々と変化の秘術を使うわけにもいかなかった。
だが、しかし。
ハティーシャが後宮へ招き入れられてから、既に数刻が経っていた。
高かった太陽が自然の摂理に従って傾くほど、魔導師の心中は益々穏やかならざるものとなった。
(幾ら何でも遅過ぎるのではないか!? 父と子の今生の別れとやらには一体どれだけ時間を費やすのだ!?)
魔導師には分からなかった。親への情も子への愛も、ついぞ感じたことはない人生だった。ただ、その全てと比べても余りある情愛を、己に注いでくれたのはただひとり、ハティーシャであった。
(ハティーシャに、何かあったに違いない……)
だが、ハティーシャが後宮へ赴いたことは、侍女も衛士も通りがかりの官吏も、王宮内の幾人もが目撃している。秘密裏にハティーシャを害するにしても、後宮内では誰もが王妃の仕業と気づくだろう。
(流石に、そこまで形振り構わず、頭の回らぬ女ではあるまい……が、……だとしたら何故、今更ハティーシャを捕らえる必要がある? 黙って出ていくという者を、見過ごすことさえ出来ぬ何か事情が生じたか……)
そう結論付ければ、魔導師は最早大人しく待っている訳にはいかなかった。
(ハティーシャを、探しに行かなければ)
まずは、衛士の目を逸らすことが先決であった。ちょうど、衛士の立つ扉の上の庇には、後宮の誰かの飼い猫なのであろう、一匹の黒猫が昼寝をしている。
──グ、ルォォォォンンッッ!
魔導師は吠えた。
人も獣も一瞬で震え上がりそうな、身の毛のよだつ恐ろしい声で。
ずっと大人しくその場に繋がれていた大狼の突然の咆哮に、衛士は驚いて飛び上がった。だが、最も驚いたのは庇の上でのんびり寝ていた哀れな黒猫だった。
ふぎゃァッッ!と凄まじい声を上げて飛び上がると、弾みで衛士の上に落下する。ギャァギャァと暴れて当たり構わず引っ掻き回る。
「うわッ!? コラ! やめろッッ! いだッ! いだだだッ!!!」
相手は後宮の誰かの飼う大事なお猫様だ。打ち据える事も出来ずにされるがままで悲鳴を上げる衛士を尻目に、魔導師はするり、と姿を変えた。
モフモフの首から首輪が抜け落ちる。
それは、真っ赤な瞳の黒猫であった。
※※※
黒猫に姿を変えた魔導師は、後宮の塀伝いに難なく中へと入り込んだ。
とんっ!と軽やかに降り立ったのは、四方を装飾タイルと透かし彫りの窓に囲まれた、中庭である。
見上げれば、高い尖塔が沈みかけた太陽の橙色に染まっている。
(さて、ハティーシャは何処に捕らわれているものか……)
幾ら変幻自在の魔導師といえども、後宮の地理には疎い。だが、猫の姿であれば誰に見咎められたとて支障はない。魔導師は大胆にも人の気配のする部屋へ入り込むことにした。
中庭に面した建物のひとつ。飾り窓から灯りが漏れる中へと入れば、そこは侍女達の部屋のようだった。中ではしどけない姿の女達が掃除をしたり、思い思いに身支度をしている。
──にゃぁ、ぉ……
人懐っこい鳴き声に、数人が振り返る。
「あらあら! 何処から来たの? あなた、何処の子かしら?」
「ほら、あの子じゃない? 王女様の部屋付きの子が飼ってるあの……なんて名前だったかしらね?」
「そう? でもあの尻尾の形、侍女頭様の猫にも似ているような……?」
全身真っ黒の黒猫は、飼い主にすら見分けが付き難い。魔導師は素知らぬ顔で部屋をぐるり、と一周した。ここにはハティーシャの気配はない。
そんな中、分厚いローブを被った女が一人、支度部屋を後にしようとした。寛いでいた同輩の侍女が声をかける。
「あら? あんた、こんな時間にどこ行くの?」
「……あの落とし子のお姫さんのところよ。勝手に逃げ出したりしないか、交代で見張っておけって王妃様が……」
「あぁ……あれね。明日の日没までだっけ」
「なになに?どうしたの?」
「え、なにそれ聞いてない! どういうこと?」
部屋の中は俄かに活気づく。姦しい噂話の花が一気に咲き乱れる。
魔導師は部屋の隅に寝そべって、聞き耳を立てた。前脚をペロペロしながらさも愛らしい猫らしく顔を洗う。何を馬鹿馬鹿しい猫みたいな真似を!と自分でも思ったが、そうすることで何となくささくれだった気分が落ち着いた。
「王妃様があの子を魔神の尖塔に閉じ込めちゃったのよ。明日の日没までに魔神の名前を明かさないと、本物の王女とは認めないって」
「やだ、何それ? それってあの、王家の血を引く者の前にしか現れないっていう、魔神の名前?」
「そうそう、もしも出来なければ王家を謀った罪で舌を切るって……」
「うわぁ……でもそれってあれでしょう? ほら、あのシャムザの王子様が、落とし子に求婚したとかいう噂のせい?」
「その噂、どうやら本当らしいよ。王女の勅命を賜って、シャムザに連れ帰りたいんだって」
「えー!? あの子ったら大人しそうな顔してやるじゃない! あぁ、でもそれで……王妃様もお怒りのはずね。パリヤール姫の嫁ぎ先にはこれ以上ない良縁だって、すっかりお喜びだったのに。あの子に横から搔っ攫われちゃったんだもの……」
「しッ……そんな言い方、王妃様に知られたらあんたこそ舌を抜かれちまうよ」
──にゃ、ぉ……
(そういうことか……! あの、ッ……クソ王子め! またしても余計なことをしくさりおって!)
侍女達はそれっきり、シャムザの王子の人物評に夢中になってしまった。やれ、肌の色が白くて良いだのもっと逞しい方が私は好きだの、魔導師からすれば愚にもつかない与太話ばかり。
肝心の、魔神の名に関しては誰も知らない様子であった。
この砂漠の小国を興したのは魔神の契約者であるという古い伝説を、魔導師は何処かで耳にしたことがあった。
だがそれも何百年も前の話だ。少なくとも魔導師が魔導師として砂漠に砂塵の城を構えて以降、この国に魔神が現れたなどという話は一度も聞いたことがない。
(王家の血を引く者の前にしか現れぬ魔神だと……? そんなものが本当に、あの尖塔に存在するのか?)
魔導師の心は揺れた。
いっそこのまま見過ごせばどうなるのか。
もしも万が一、ハティーシャの前に魔神が現れたなら、それで万事丸く収まるのだろうか。
魔神の名を明かし、王女であると証しすることが出来たとして、ハティーシャはどうするのか。
(……まさか本当に、第二王子の求婚を受け入れ、シャムザに嫁ぐつもりなのか……?)
だが、もしも魔神が現れなかったら?
何処かで助け出せる機会があったとしても、魔導師はハティーシャの目の前では術が使えぬ。幾ら大いなる力を持つ魔導師とて、魔術の力なくては王宮の衛士を振り切りハティーシャを連れ去ることは難しいだろう。
捕らえられれば、ハティーシャは偽証の罪で舌を切られてしまう。
もう二度と、あの蕩けるような甘やかな声で、己を呼ぶことも出来ない。
──にゃ、ぅ……
(……ハティーシャよ)
魔導師は愛するハティーシャが傷付くことだけは、耐えかねた。
例えそのせいで、己のこの恋が永遠に報われぬことになったとしても。
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高かった太陽が自然の摂理に従って傾くほど、魔導師の心中は益々穏やかならざるものとなった。
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(ハティーシャに、何かあったに違いない……)
だが、ハティーシャが後宮へ赴いたことは、侍女も衛士も通りがかりの官吏も、王宮内の幾人もが目撃している。秘密裏にハティーシャを害するにしても、後宮内では誰もが王妃の仕業と気づくだろう。
(流石に、そこまで形振り構わず、頭の回らぬ女ではあるまい……が、……だとしたら何故、今更ハティーシャを捕らえる必要がある? 黙って出ていくという者を、見過ごすことさえ出来ぬ何か事情が生じたか……)
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──グ、ルォォォォンンッッ!
魔導師は吠えた。
人も獣も一瞬で震え上がりそうな、身の毛のよだつ恐ろしい声で。
ずっと大人しくその場に繋がれていた大狼の突然の咆哮に、衛士は驚いて飛び上がった。だが、最も驚いたのは庇の上でのんびり寝ていた哀れな黒猫だった。
ふぎゃァッッ!と凄まじい声を上げて飛び上がると、弾みで衛士の上に落下する。ギャァギャァと暴れて当たり構わず引っ掻き回る。
「うわッ!? コラ! やめろッッ! いだッ! いだだだッ!!!」
相手は後宮の誰かの飼う大事なお猫様だ。打ち据える事も出来ずにされるがままで悲鳴を上げる衛士を尻目に、魔導師はするり、と姿を変えた。
モフモフの首から首輪が抜け落ちる。
それは、真っ赤な瞳の黒猫であった。
※※※
黒猫に姿を変えた魔導師は、後宮の塀伝いに難なく中へと入り込んだ。
とんっ!と軽やかに降り立ったのは、四方を装飾タイルと透かし彫りの窓に囲まれた、中庭である。
見上げれば、高い尖塔が沈みかけた太陽の橙色に染まっている。
(さて、ハティーシャは何処に捕らわれているものか……)
幾ら変幻自在の魔導師といえども、後宮の地理には疎い。だが、猫の姿であれば誰に見咎められたとて支障はない。魔導師は大胆にも人の気配のする部屋へ入り込むことにした。
中庭に面した建物のひとつ。飾り窓から灯りが漏れる中へと入れば、そこは侍女達の部屋のようだった。中ではしどけない姿の女達が掃除をしたり、思い思いに身支度をしている。
──にゃぁ、ぉ……
人懐っこい鳴き声に、数人が振り返る。
「あらあら! 何処から来たの? あなた、何処の子かしら?」
「ほら、あの子じゃない? 王女様の部屋付きの子が飼ってるあの……なんて名前だったかしらね?」
「そう? でもあの尻尾の形、侍女頭様の猫にも似ているような……?」
全身真っ黒の黒猫は、飼い主にすら見分けが付き難い。魔導師は素知らぬ顔で部屋をぐるり、と一周した。ここにはハティーシャの気配はない。
そんな中、分厚いローブを被った女が一人、支度部屋を後にしようとした。寛いでいた同輩の侍女が声をかける。
「あら? あんた、こんな時間にどこ行くの?」
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「あぁ……あれね。明日の日没までだっけ」
「なになに?どうしたの?」
「え、なにそれ聞いてない! どういうこと?」
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「やだ、何それ? それってあの、王家の血を引く者の前にしか現れないっていう、魔神の名前?」
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「うわぁ……でもそれってあれでしょう? ほら、あのシャムザの王子様が、落とし子に求婚したとかいう噂のせい?」
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捕らえられれば、ハティーシャは偽証の罪で舌を切られてしまう。
もう二度と、あの蕩けるような甘やかな声で、己を呼ぶことも出来ない。
──にゃ、ぅ……
(……ハティーシャよ)
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