続 オッサンとインキュバス

薗 蜩

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オッサン、昨夜の出来事について

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清一兄さんの悪い癖だった。
酒を飲まして酔った時の本性を見極める。
先に言っておくが無理やりではない決して。
お酒が飲めない人にはそんなことはしない。あくまでも本人の意思を伺っての行動である。
本人がこれ以上飲めないと言えばそれまでだ。
昔、結婚まで考えていた当時の彼女を家に連れて帰って来た時にお祝いだと清一兄さんが酒を勧めた。
当然当時の彼女も合意の上で飲酒したのだが、翌日『あの女はやめておけ』と注意された。
その後少しして彼女の浮気が発覚し別れたのだが…。
あの時酒の席に私も居たのに何も変わった事が無かったと思ったのに、何がどうあって何を感じたのか…兄さんの洞察力は馬鹿にできないと感じた出来事だった。
レオン君は浮気の心配はなさそうだけど別の意味でヤバイ。
流石に弟に彼氏が出来て同性愛者に寛容でも”淫魔”という人間ではないという時点で…話にならないだろう…。
彼に注意する間もなく兄さんは酒を注ぎ、それを喜んで飲んでいるレオン君。
忠告も何もできなかったが「レオン君は酒に弱いからあまり飲ませないで」と兄さんを何度か注意した程度だった。
レオン君もレオン君で日本酒は苦手と言っていたのに…
まぁ喜んで注がれた酒を飲んでいるので自己責任として監視だけしておこうと思った。

暫くすると完全にレオン君は潰れてそのままソファの上で寝てしまった。
こんな姿は初めて見るので呆れるというより可愛いが勝って少し笑ってしまう。
「へー、そんな顔してんの初めて見るな…」
兄さんの声にハッとして一瞬にして恥ずかしくなる。
「そんなってなんだよ、普通の顔だろう!」
へんな返答をして少し後悔する。
首の後ろが擽ったい。
「兄さんさ、帰ったら知らない人がいてびっくりしたろ?事前に連絡出来てたら良かったんだけど…ごめん」
「俺は滅多に帰らないからな、泥棒じゃなかったんなら良い」
「……うん。」
恥ずかしさを隠すつもりで話題を変えようとしたが何を話すかも考えていなかったので会話が続かない。
前はどんなことしたのかとか危ない体験したとかの話を沢山聞いていたが、今はそんな感じの話を聞く気分と時間ではなかった。
手元の酒は温くなっていた。
「お前、あいつとデート予定だったんだろ?」
「うーん…そうなんだけど…兄さん帰ってきたから家で帰国祝いに変更しようってレオン君と話して…あ、ちゃんと二人で話して決めたからさ」
「そうか…なんかわりーな」
「頻繁に帰ってくるなら放置してたけど」
「なら毎月帰ってくるか!」
他愛もない会話で少しだけ二人で盛り上がったがすぐにお開きとした。
横で眠っているレオン君を二人で寝室へ運び、清一兄さんは離れた自室へと移動した。
目の前で潰れ寝ているレオン君を見ながら” そんな顔してんの初めて見るな  ”と言われたことを思い出す。
どんな顔なのかよくわからないが恥かしい顔には違いない。
シャワーをせずそのままの服で寝られるのは少し嫌なので介護職の本領発揮「自力で動けない人を着替えさせる」を実行することにした。
上半身は比較的簡単に脱がせられたが下半身になり少し戸惑った。
下着を脱がせようとして完起ちの状態のものが見えた。
いつから!!とも思ったが今更どう考えても生理現象として落ち着かせた。
まだあまり見慣れていないレオン君のレオン君。
今までは女性が好きだったはずなのに今はレオン君に優しくされたり顔が近づいてきたりするだけでドキドキしてしまう。
顔が良すぎるのが原因だったとしても情だけではない何かが心の中に住み着いている感じだ。
下履きまで脱がすのはどうかと思いそのままの状態で人肌に温めたタオルでレオン君の体を拭き上げていく。
仕事で慣れているせいか、ソコを見なければどうってことは無い。
本来仕事中ならどれだけ見てもどうってことは無いのだが…。
一通り拭き終わったら彼専用のパジャマを出して着せていく。
流石に成人男性の体重は高齢者と違い重い。
上半身が終わるとお酒も入っているのでいつもより疲れた。
抱きつく様に一度休憩した。
インキュバスでも心臓の音は人間と同じ。
違う部分は食事に関する内容だけだ。
ドクンドクンと心地よい音が聞こえる。
少しだけの休憩が自分も酒が入っていた為うとうとし始めて結局そのまま寝入ってしまった。
それからどれくらい時間がたったのだろうか、部屋の明かりは全灯では無いにしろ常夜灯よりは明るく一瞬眩しかった。
時計の針は2時。
レオン君の着替えを中途半端にしてしまったがそれ以上してもしなくても大丈夫だろうと思い体を離そうとしたが離れなかった。
がっちりとレオン君の腕が抱き付いた状態でしかも背中やお尻の方をさわさわと完全に厭らしい手つきで弄っていた。
「あっ…もしかして起きた??んっ…」
「……………」
「おっ…きてるんだろ?」
「……………」
「んっ………」
レオン君が家に来てから殆ど毎日何かしらの刺激を与えてくれるので体は否が応でも反応する。
深夜の時計の針の音と自分の吐息とたまに漏れる声だけが響く。
レオン君は本当に寝ているのかさえ怪しいがいつもなら”美味しい”だとか”可愛い”だとか”大好き”だとか言ってくる。
その言葉が無いので変な感じだが無意識なのかもしれないと思うと気持ち的にむずむずした。
完全に起ってしまったのに中途半端に弄られて自分で処理するしかないかと思いレオン君から離れようとしたが…。
「しゅう…いちさ…ん……」
レオン君から耳元で名前を呼ばれゾクリとした。
彼の手はしっかりと陰茎を掴みゆっくりを揉みだした。
それからゆっくりと体勢を変えながらいつもの定位置へレオン君が動く。
寝ぼけているにも限度があるのだろうが絶対起きてるだろ!!!と思うような動きにだんだんとなって、いつの間にかレオン君が上になりお腹の方から陰部へ触り吸い舐めながら移動していく。
中心部へは手で揉まれるだけの刺激に少しずつ物足りなさを感じた瞬間、強烈な快感が一瞬にして上がってきた。
「!!んっっっ」
下腹部を甘い痺れと快感が体の上部へ引っ張られるように走る。
声も抑えられず自分のいつもの声とは違う高い喘声が出たが”清一兄さんが別部屋に居る”事ですぐに押させるように息を止めた。
レオン君の喉まで届くような深い口淫が何度も絶頂に届かないもどかしさに快感を与える。
「んっ……ふぅっ……ん…」
声がふいに出ない様に手で口を押さえ息も出来るだけしない様にしても抗えない快感には勝てずいつの間にか意識を手放した。
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