叶うのならば結ばれたい。

ろーる

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8.好きだからに決まってるでしょ

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「ねぇ楓?」
「いつ涼玖とそんなに仲良くなったの?」
僕が涼玖さんと話してた事に妬いてるって事.....?

「ただ話してただけだけど...」
「妬くって....なんで..?」

「楓が好きだからに決まってるでしょ」

思い出した。今日も目が覚めた後に「好きだよ」って言われたっけ。
その後の出来事が衝撃的で、忘れかけてたけど..

「好きな子が誰かと仲良さそうにしてたら妬くよ。」

「あっえっと...」
「...好きな子..って.....」
「本気?」

「ひどいなぁ」
「嘘はつかないよ。」
「....それよりさ」
「拒絶しないんだ?私の事?」

拒絶って....
「できる訳ないし....」
「白明が助けてくれなかったら、どうなってたか分からないから...」

「楓は優しすぎだね」
「ねぇ」
「どうしたら好きになってくれる?」

「どうしたらって言われても...」

「やっぱり、楓に気持ちよくなってもらうのが一番だよね?」
僕は呆気にとられた。
は??もしかして....ああゆう...なんと言うか....えろい事をすれば、好きになると思ってる?
だから、僕にあんな事した...??

「私、変な事言った?」 

「白明すごい誤解してると思うけど..」
「そういう事をされて好きにはならない...」

「え?本当?」

本当?って言いたいのは僕の方なんだけどな

「でも気持ち良さそうだったよ?」

「あぁーもう!」
「そうゆう事じゃない!」

「じゃあどうすればいいの?」

...それは自分で考えて欲しいと思ったけど、また変な事を思いつくと困るので、一応具体的に言っておくことにした。
「話したり、一緒に過ごしたり、遊んだりとか...」

「そういうものなの?」

「うん。そういうもの。」
まず、僕は恋愛対象が男な事に驚いてる段階だから、スタートラインにすら立ててないけど。

「楓に好きになってもらえるようにがんばるね。」

頑張るって言われてもな...
白明は、正直っていうか、なんか言動が直進過ぎて否定できない。
返答に困る...
なんて答えればいいか迷っていた時、

ぐぅ~

とお腹が鳴った。
....僕だ。
そういえば、ここにきてから何も口にしてなかった。
それ以前に、昨日の夜から食べてない。
考え出したらすごくお腹が空いてきたかも...

「ふふっ」 
「お腹空いたの?」
と、白明に笑われた。

「うん...」
....それにしても、昨日から情けない姿ばかり見られてるな...
泣いたり...とか。挙句、お腹を鳴らすって...

でも、いい話題転換になったかも。
自分のお腹に助けられる日がくるなんて。

「あと何時間かしたら夕飯だけど...」
「よし!何か食べよう!」
「みんなには秘密ね?」

「食べていいの!」
「やった!」
一気に、テンションが上がる。
思わず、やった!と大きく喜んでしまった。

「楓、この先にキッチンがあるから食べに行こうか?」

「うん!」
「ありがとう」

そうして僕たちは、キッチンに向かう。
白明についていくだけだったけど、部屋が沢山あって、廊下も入り組んでいて、一回教えてもらっただけでは、場所は覚えることは出来なさそう。

その時、白明が、足を止めた。
そして、僕も足を止める。
「ついたよ。」
ここだけ襖ではなく、木で造られた扉だ。
扉を開けると、広めの和室と、数人で食べることの出来そうな長机の下に、座布団があった。
言うなら、旅館の部屋の机と座布団のイメージ。

部屋の左側を見ると、和室が区切られている空間があり、冷蔵庫や、キッチンがあった。そこだけは、木で造られた床みたいだ。

そして、白明が冷蔵庫を開けた。

「あっ!あるある。」
「楓、ドーナツあるよ。」
部屋の内装に似合わず洋な食べ物。
ちょっとびっくり。
でも今は何でも食べたい気分だからどんな食べ物でも嬉しい。

「チョコと...あっチョコのやつしかない。」
「楓チョコレート大丈夫?」

「うん。チョコレート好き。」

「よし。じゃあドーナツ食べようか。」
「はい。どうぞ」

おしゃれな紙に包まれた、チョコのドーナツが白明から手渡された。
確か、オールドファッションってやつだ。
それにチョコがかかってる。

「好きなところに座って食べてね。」

「ありがとう」
座布団に座るとほぼ同時に、「いただきます。」と言ってドーナツを口にした。

うわ!おいしい!ほぼ1日ぶりの食事。ドーナツをこんなにおいしく感じた事はないかも。久々に食事をしたからおいしく感じるのかな。
「おいひぃ」

「え?なんて?」
と白明に聞き返された。
口にドーナツをいれたまま「おいしい」と言おうとしたけど、うまく言えなかったらしい。

「おいしい。」
「白明、ありがと」
次は、口の中のドーナツを飲み込んで話したのでちゃんと伝わったはず..

「よかった。」
「楓は本当に美味しそうに食べるね。」

「このドーナツ本当おいしい!」

「あっ」
「楓、口にチョコレート付いてる。」

「え?どこ?」
手で口のまわりを触ってみたけど、白明の表情を見る限りとれていないらしい。

「いいよ。じっとしてて。」
そう言われたと同時に白明の手が伸びてきて、僕の口についたチョコを取った。

「あっありがと。」

「慌てて食べるからだよ。」
そう言って白明が笑う。

ん?.... あれ?今、心臓がドキって....

なんでかな...
心臓の動きが早い気がする。
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