叶うのならば結ばれたい。

ろーる

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6. 俺の恋人だからな。

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白明が何者なのかもまだ疑問形...。
それに、さっき言われた、歓迎します。も何を歓迎されてるのかいまいち分からない。
あっ!もしかして宿とか??
宿なら歓迎の意味も通る。
頭でぐるぐると思考を巡らせていた。

「そういえば、」
と声をかけられて我に帰る。
「楓様は名前を教えてくださっていたのに私は名前を言っていませんでした。」

あっ本当だ。確かにまだこの人の名前知らなかったな

「私は涼玖りくといいます。」

あれ?また苗字なし?
白明も苗字いってなかったし
そういうものなのかな??

「楓様の好きなように呼んでくださいね。」

「あっはい!」
「えっとじゃあ涼玖りくさんで。」

「よろしくお願いします。楓様。」
そう言って涼玖さんは笑った。

「はい!こちらこそ!」

苗字の事は気になったままだけど、いつか白明にも涼玖さんにも聞いてみようと思った。
それより今は.. ここがどこなのかを早く知るのが最優先事項だ。
「...あの涼玖さん..」
「僕ここに来たばかりで、状況が分かっていなくて...」
「ここの事教えてもらえませんか?」

「あれ?白明様から何も聞いていませんか?」

「何も聞いてません...」
本当に何も聞いてない。
名前しか聞いてない。

「それは失礼しました。」
「どこから説明したらいいか...」
「そうですね...まずこの建物は、神社ですね。」

あぁ神社か。それなら、どこか年季を感じる和風な内装も、納得はいくけど..
「そして白明様も私も、ここで暮らしています。」

えっ?暮らしてる?
「ここが涼玖さんの家って事ですか?」

「はい。でも正確には、職場兼家です。」
職場兼家なら、やっぱり本物の執事...

「楓様が会ったのは私と白明様だけですか?」

「はい..白明と涼玖さんだけです。」
だけですか?って、この言い方なら、まだ何人か、住んでるってことかな?

「ここには、全員で、5人、住んでます。
その内の2人が、白明様と私です。」

「もっと沢山の人が住んでると思ってました。」

「そうですよね...実際部屋が余ってます。」
「掃除から、管理まで、5人でやっているので、正直、毎日目が回りそうです。」
そう言って涼玖さんは苦笑した。

この広い場所を5人で、掃除と管理って...
それだけで一日が終わりそう..。

「あっ」
「楓様、また2人来ましたよ。」
涼玖さんが僕の後ろに視線を向けながら言った。
僕も涼玖さんが向いている方向を向くと...
たしかに人影が2人。

「おはよ~!りく~!!」
「ってあれ?僕の知らない人。このおにいさん誰?」
「ねぇみずき、知ってる?」

「は?誰?」
「知らねぇ。こんな奴。」

分かりやすく言うと、ギャルと不良。
そんな、2人の視線が僕に向く。
正直...きつい。
ギャルの方は僕って言ってるし...たぶん男?
見た目だけ見たら女の人...そしてかなりの美形。白明とはまた違う種類の美形。
ギャルを観察していると...
不良に睨まれた。そして、

「おい。お前何、さっきから、コウのこと見てんだ」
「あんまり見てると目潰す」

....こっ怖!犯罪秒読み!理不尽!!
「すいません!もう一生見ません!」
ギャルをこれ以上観察するのは無理がある。

「僕が男か女か気になっただけでしょ?おにいさん?」

「はい。」
不良が怖すぎて、ギャルを見ずに頷いた。

「男だよ!僕はおとこのこ!」

「そうですか...」と言いながら僕は、やっぱり女に見えるな~と思いながら少しギャルの方向を向いたけど、その瞬間不良に睨まれたので、すぐ視線を逸らした。怖!

「それよりさ~!みずき。僕の事見るなって言ったのってやきもち~?」

「違う!」
「断じて違う!」
あれ?不良の顔赤い?

「え~!ちがうの~?」
「僕、ざんねん...」

「おい、コウ。やめてくれ。」
そういいながら不良は嬉しそう。
すぐ2人の世界に入る不良とギャル。

それを見兼ねたのか、今まで静かに聞いていた涼玖さんが発言する。
「すみません。楓様。お騒がせして...」
「とりあえず...この2人は水旗みずき様と紅月こうづき様です。」
不良が、水旗みずきさんで、ギャルが紅月こうづきさんか。じゃあ水旗さんが言ってる「コウ」っていうのはあだ名かな。
名前は聞いたものの2人の名前を呼ぶ自分が想像できない。
普通に話せそうにない!
一応、小さな声で「よろしくお願いします。」と言っておいた。

すると紅月さんが、
「あとひとつ!」
「僕達は恋人だよ、」
「ね!みずき!」

「ああ。」
その後、紅月さんが「ちゅ」っと水旗さんの頬にキス。
キスされた水旗さんは一瞬目を丸くしてびっくりしていたけど、今日一番嬉しそうな表情。

「お前にコウは渡さねぇよ。」
「コウは俺の恋人だからな。」

こいびと...?
え??
また僕の頭の中は混乱し始めた。
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