叶うのならば結ばれたい。

ろーる

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5.歓迎します。

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「っはぁ」
「はあはあ」
まだ息が苦しい。呼吸が乱れる。

「いっぱい出たね。」
白明は自分の手を見ながら言った。
「そんなによかった?」
「楓が気持ちよかったなら嬉しいな。」
と、笑顔。
この人はどんな時でも通常運転だな....

気持ちよかったなら嬉しいって何?
どういう意味??

「...気持ちいいとか....」
「そういう問題じゃなくて.....」
「それより!はっ...はやくそれ拭いて!」

「え?」
僕の勢いに驚く声と同時に、僕は白明の手を引っ張って枕元のティッシュに手を伸ばし、さっき僕が放ったばかりの液体を拭いた。 

呼吸が落ち着いて思考が戻ると、さっきまでの出来事が次々と思い出される。
あぁーー!恥ずかしい!!!
でも流された僕も僕だなぁ...
白明が悪いか僕が悪いかでいったら、たぶん7:3ぐらい。
3ぐらい流された僕にも非がある。

白明と顔を合わせられない。
思い出しそう..。
とりあえずこの場所から離れたい。
そう思って、脱がされた服を急いで着て、勢いよく立ちあがる。

「楓?」
「急に立ったら危ないよ。」
白明が、立ちあがった僕を支えようとしてくれたけど、その手を払ってしまった。

「っ」
「ごめん!!」
そうして僕は白明に背を向けた。

「あっちょっと楓!」

白明が僕を呼んだ気がしたけど、振り返れない。恥ずかしすぎて...
逆になんであんなに余裕そうな顔ができるんだろう。
白明....なんか手慣れてたな...
もしかしてよくある事?
いやいやいや。いくら白明でもそれはない!
.....はず
まだ何も知らないのに知った口は聞けないけど。
僕は、あれがはじめてなんだけどなぁ...

部屋には襖がひとつしか付いていなかったので、その襖を開けて、部屋から脱出した。
フラフラしたけどなんとか歩けて良かった...

開けた先は、長い廊下が続いている。
まずは、この部屋から離れないと、
というか、白明から離れないと

さすがに、どこかも分からない所で、全力疾走する訳にもいかないので、とにかく早足で、部屋を離れた。

考えたらいろいろ逃げてばかりだな....

そして...やっと廊下の終わりが見えたと思ったら、曲がり角だった。この廊下終わりがないんじゃ...?
それでも、早歩きをやめる事なく廊下を曲がろうとしたその時....

ドンッ

「うわっ!!」
今すごい大きな声が出た。

「えっ?」
「あっ!すみません!」
「お怪我ありませんか?」
相手も僕の声に驚いている。

「こっ、こちらこそすいません!」
曲がり角で、誰かとぶつかって、僕は勢いで後ろに倒れてしまった。
ここに来てから白明以外誰とも会わないから、もしかして1人で暮らしているのかと思い始めていたところだったけど....誰か住んでた。
体を起こしながらそんな事を考えていた。

この人は白明と身につけているものが対象的で、スーツをビシッと着こなしていて、外見は執事が一番近い表現かな。
短めの黒髪を片方だけ耳にかけている。

響がスーツ着るとこんな感じになるのかなぁなんて考えてしまった。
響も黒髪だからそう見えたのかもしれない。

そして観察し過ぎたせいか、こちらを伺う様な表情を浮かべながら、
「失礼ですが、あなたは....」  
と、聞かれた。

なんて言えばいいのかな。
「えーっと」

家出して、橋の下にいたら、白明が助けてくれました。....いや違うな。

すいません!今すぐ出て行きます!...これも違う。
出て行っても、今帰れないし...
追い出されたら困るし...。

「....僕、国見 楓って言って....えっとそれで...」

でも、正直に言うしかない....隠す事もないし

「...きのう、白明と会って、それで、ここまで連れて来てもらいました。」

そして、白明という名前が出た途端、この人の僕を探る様な表情は無くなった。
白明の事を知っているか尋ねようとしたけど、それも必要ないみたいだ。

「そうでしたか!」
「白明様と会われてるなら大丈夫です。」
「歓迎します。楓様」

そう言って僕に笑いかけた。

少し安心したと同時に、白明って何者なんだろうという疑問が更に大きくなったような気がした....
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