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公認の仲

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王太子はせっかく同じ年の闇(暗部候補)がいるなら遠慮なくクリスの護衛にしようと思った。


なので、王都に来るなり護身術を習わせ、ついでに礼儀作法も身に付けさせる。クリスがよく転ぶ人見知り、と言ったのも、これでダグがクリスを見下すようであれば、クリスは転ばずに、ダグも平穏に学園生活を送ることが出来るので得はあっても損はない。ハズであった。





王太子の予想に反してクリスは初日から転んだ。なんなら毎日転んだ、ダグの前でだけ。こけるが素早く体勢を整え気配を消すダグを認めざるを得なかった。


ダグ的には弟もいたし、地元には妹分も弟分もたくさんいたし、最初こそずいぶん過保護だなぁと思いつつ世話の焼ける弟扱いだったのだが(…これはこれで失礼)。決してめんどうくさいとか、イヤだとかいう意識はなかった。


当然害意はないので、精霊にも認められたのだ。







影から護衛ではなく、堂々と護衛に任命されてから、クリスにもダグにも注がれる視線は様々だった。


王太子は一応クリスの学友として同じ年の子息を数人、数年前からお茶会を称して引き合わせていたが、誰もお眼鏡には叶わなかったのだ。…クリスを見下すなど、精霊と王太子が認めることなどない。王族とお近づきになりたかった子息とその親たちの心中は複雑であった。


理由も分からず親しくなれず、学園に入ったと思ったら平民を側に置いているのだ。おもしろくない。




だが女子の視線はそれとは別だった。


ダグがクリスを抱きとめる度、遠くからはうれしそうな黄色い悲鳴が、近くからはため息が聞こえるのだった。




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