乙女ゲームの住人達はヒロインが居ないときが一番楽しい

つくね

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ヒロイン退場

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「へ?」

目を開けると、ヒロインから五歩ほど離れて攻略対象者たちが、その他パーティ会場に居たすべての人物が、その場から拍手喝采していた。みな輝かんほどの笑顔で。

何だこれ?と茫然としていると、バァン!と扉が開き、先程退場したはずの令嬢たちも満面の笑みで再入場してきた。

「ヒロイン様、お疲れ様でございました!」

と悪役令嬢に花束を渡される。とっさに受け取るも、何がどうなっているの?

王「すごいね、逆ハーなんて初めてだったよ。」

宰「本当にね、出来たんですね、このゲーム。」

騎「お前、すげぇ根性だな!」

魔「気持ち悪いよ、現実だったらドン引きするよ。」

担「セリフ、まんまだったもんな。」

騎婚「私、終盤、無駄にドキドキしましたわ。」

魔婚「私も~、ここまで来たらって思うよねぇ。」

王婚「ヒロイン様、大丈夫ですの?固まってますわよ?」

王「あ、ホントだ、もしもーし、聞こえてる?心配しなくても、もうすぐ君死ぬからね。」

魔「そうそう、そのままにしてれば勝手に消えていくから。」

は?

担「あー、なんかまだ固まってるぞ、つまりね、この世界は君の思ってる通り乙女ゲームの世界なわけ、分かる?」

頷く。

宰婚「つまりクリアしたから終了ですの。」

そんな!やっと動き出した頭でどうしようと考えるも、

王「これで君は無事成仏できるね、おめでとう。」

成仏?私が?確かに死んでこの世界に転生したと思ったけど…

担「体感で二年経ったかもしれないが、実際には四十九日だよ、ご家族の顔見てから逝けるよ。」

そうか、よかった………じゃない!このゲーム逆ハーするのに時間がかかった訳、それは誰ともそういう関係にならないからってのもあるのよ!全員の好感度を一定に保つのに、誰かと何かあってはいけないのだ。つまり、まだ、誰ともキスもしてないのよ!こんなイケメン取り揃えてんのに!勝手に消えるですって?じゃあ今のうちにキスを!

再起動した頭で、この中なら!と王子をロックオン!花束を放り出し、王子に向かって走り出す。一秒でも早く!と唇を突き出しコアラのごとく抱き付いた。

が、ヒロインは頭から消えていくようだ。首なしドレスに拘束される王子、怖い。

やがて全身が消えると、王子がホッ息を吐いた。


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