26 / 28
第26話 スポーンロックの秘密
しおりを挟む
「あの……『メタルな敵』ってなんですか?」
総ツッコミを受けた俺は、リーダーにそう質問をしてみた。
……明らかに金属光沢を放ってたし、アレを「メタルな敵」と呼ぶことに関しては特に違和感は無い。
だが……それを一撃で倒すのは、何かおかしいことなのだろうか。
「知らないのか? つい最近出現しだした、新種のモンスターのこと。メタルな敵ってのはな……どんな攻撃を受けても、必ずダメージを1にしちまうモンスターのことだ」
不思議に思っていると……リーダーは、そう教えてくれた。
何だよそれ、理不尽すぎんだろそんな敵。
と言いつつも、なぜか俺は一撃で倒せたんだが……
「雷は弱点で、唯一1以上のダメージを与えられる……とかじゃないですか?」
「いや。ダメージに関しては、ソースが鑑定持ちの発言だからな。そんなはずはない」
ふと思いついた仮説を言ってみるも、それは一瞬で否定された。
そんなことなら、俺も鑑定してみれば良かったな……。
「北野君。なんか、変なアーティファクトとか装備してるんじゃない?」
などと考えていると、今度は平林さんにそう聞かれた。
平林さん、今回も参加してたんだな。
「そうだな。北野君なら、どんなトンデモアイテムを持ってたって、俺は驚きはしない」
リーダーも平林さんの発言を、そう追認する。
その納得の仕方は、なんか俺が変人扱いされてるみたいでちょっと解せないんだが……
などと思いつつも、俺は一度、自分が装備しているアーティファクトをチェックしてみることにした。
というのも……今回に関しては、心当たりが無いわけではなかったからだ。
不思議なアーティファクトといえば……そう。
スポーンロックの素材でできた、【???????】というアーティファクトがある。
ステータスウィンドウを開き、アーティファクト装備枠の一覧を眺める。
すると……【???????】というアーティファクトが無い代わりに、見覚えのないアーティファクトが存在していることが分かった。
「なんか『メタル定義変換』ってのがありました」
その効果は、「一撃あたりのメタルな敵に与えられる最大ダメージを100倍にする。3つまで効果重複可能」というものだった。
「「「それだーっ!」」」」
そのアーティファクト名を答えると、またもやメンバーたちの声がハモった。
「やっぱりなんかそういうの持ってたんじゃないか! というか、持ってることに気づかなかったのか?」
「少し前まで『???????』と表示されていたもんで……。おそらく、メタルな敵と対峙して効果名が開示された、とかかと」
「なるほど……。で、それ材料は何なんだ?」
「スポーンロックの素材7個ですね」
そんなやり取りをリーダーと続けていると。
またしても、ここにいる全員が口をあんぐりと開けた。
「スポーンロックって、壊しても奇跡的にしか素材手に入らないって発表されてたよね?」
「うん。それなんかネットで見た気がする」
「ってことは……北野君、いったい何個のスポーンロックを破壊したっていうの?」
……あれ。
スポーンロックの素材って、普通必ず手に入るんじゃないのか?
俺今までに二十ちょいのスポーンロックを破壊してきたけど、それら全部素材に変わってるし……。
という疑問は残ったが、俺はそれは一旦置いておいて、「メタルな敵」への対策について考えることにした。
この様子だと、「メタル定義変換」の持ち主は極端に少ない……少なくとも、この掃魔集会のメンバーにはいそうにないからな。
そんな所持率なら……せっかく形代化した紙を売っても、購入者がメタルな敵に遭遇してしまったら、何の役にも立たないということになってしまう。
それは避けたい。
何か良い方法はないか、とステータスウィンドウを眺めているうちに……俺は、とある仮説を立てるに至った。
スキル「固定ダメージ」を、形代化した折り紙に付与することってできないか?
おそらく「固定ダメージ」は、メタルな敵とかの特性を無視して決まったダメージを与えるものという認識で間違いないはず。
なら、そのスキルの効果を「融合魔法の素質」で、折り紙に付与させられたら……?
早速俺はアイテムボックスから折り紙を一枚取り出し、それを試してみた。
すると折り紙は一瞬輝き、「固定ダメージ」が付与されたことが確認できた。
あとはこれを、手裏剣の形にしてっと。
「平林さん。次メタルな敵に遭遇したら、これ投げてみてくれません?」
「……紙の手裏剣? そんなもの……まあでも北野君が言うなら」
果たして、俺以外の人が攻撃してもメタルな敵を一撃で倒せることになるのか。
それを、試してもらうことにした。
◇
それから一時間後。
俺たちの目の前に、金属光沢のある全長1mくらいの蛾が現れた。
鑑定によると、ソイツは「メタルモス」。
正真正銘、メタルな敵だった。
「平林さん、あれを」
「分かった。えいっ!」
投げられた手裏剣は、若干明後日の方向に行きかけたが……それくらいは弾道補正でどうにかなり、メタルモスに直撃した。
「ギアアァァァッ!」
メタルモスは金属的な叫び声をあげたかと思うと、すぐに消滅した。
「な、何いぃぃっ!」
「夏音ちゃん、今のどうやったの!?」
平林さんの近くにいた人たちが、その様子に目を丸くしつつそう質問する。
「え、今何が? わ、私が一撃でメタルを……」
だが誰よりも、その結果に一番驚いていたのは平林さんだった。
総ツッコミを受けた俺は、リーダーにそう質問をしてみた。
……明らかに金属光沢を放ってたし、アレを「メタルな敵」と呼ぶことに関しては特に違和感は無い。
だが……それを一撃で倒すのは、何かおかしいことなのだろうか。
「知らないのか? つい最近出現しだした、新種のモンスターのこと。メタルな敵ってのはな……どんな攻撃を受けても、必ずダメージを1にしちまうモンスターのことだ」
不思議に思っていると……リーダーは、そう教えてくれた。
何だよそれ、理不尽すぎんだろそんな敵。
と言いつつも、なぜか俺は一撃で倒せたんだが……
「雷は弱点で、唯一1以上のダメージを与えられる……とかじゃないですか?」
「いや。ダメージに関しては、ソースが鑑定持ちの発言だからな。そんなはずはない」
ふと思いついた仮説を言ってみるも、それは一瞬で否定された。
そんなことなら、俺も鑑定してみれば良かったな……。
「北野君。なんか、変なアーティファクトとか装備してるんじゃない?」
などと考えていると、今度は平林さんにそう聞かれた。
平林さん、今回も参加してたんだな。
「そうだな。北野君なら、どんなトンデモアイテムを持ってたって、俺は驚きはしない」
リーダーも平林さんの発言を、そう追認する。
その納得の仕方は、なんか俺が変人扱いされてるみたいでちょっと解せないんだが……
などと思いつつも、俺は一度、自分が装備しているアーティファクトをチェックしてみることにした。
というのも……今回に関しては、心当たりが無いわけではなかったからだ。
不思議なアーティファクトといえば……そう。
スポーンロックの素材でできた、【???????】というアーティファクトがある。
ステータスウィンドウを開き、アーティファクト装備枠の一覧を眺める。
すると……【???????】というアーティファクトが無い代わりに、見覚えのないアーティファクトが存在していることが分かった。
「なんか『メタル定義変換』ってのがありました」
その効果は、「一撃あたりのメタルな敵に与えられる最大ダメージを100倍にする。3つまで効果重複可能」というものだった。
「「「それだーっ!」」」」
そのアーティファクト名を答えると、またもやメンバーたちの声がハモった。
「やっぱりなんかそういうの持ってたんじゃないか! というか、持ってることに気づかなかったのか?」
「少し前まで『???????』と表示されていたもんで……。おそらく、メタルな敵と対峙して効果名が開示された、とかかと」
「なるほど……。で、それ材料は何なんだ?」
「スポーンロックの素材7個ですね」
そんなやり取りをリーダーと続けていると。
またしても、ここにいる全員が口をあんぐりと開けた。
「スポーンロックって、壊しても奇跡的にしか素材手に入らないって発表されてたよね?」
「うん。それなんかネットで見た気がする」
「ってことは……北野君、いったい何個のスポーンロックを破壊したっていうの?」
……あれ。
スポーンロックの素材って、普通必ず手に入るんじゃないのか?
俺今までに二十ちょいのスポーンロックを破壊してきたけど、それら全部素材に変わってるし……。
という疑問は残ったが、俺はそれは一旦置いておいて、「メタルな敵」への対策について考えることにした。
この様子だと、「メタル定義変換」の持ち主は極端に少ない……少なくとも、この掃魔集会のメンバーにはいそうにないからな。
そんな所持率なら……せっかく形代化した紙を売っても、購入者がメタルな敵に遭遇してしまったら、何の役にも立たないということになってしまう。
それは避けたい。
何か良い方法はないか、とステータスウィンドウを眺めているうちに……俺は、とある仮説を立てるに至った。
スキル「固定ダメージ」を、形代化した折り紙に付与することってできないか?
おそらく「固定ダメージ」は、メタルな敵とかの特性を無視して決まったダメージを与えるものという認識で間違いないはず。
なら、そのスキルの効果を「融合魔法の素質」で、折り紙に付与させられたら……?
早速俺はアイテムボックスから折り紙を一枚取り出し、それを試してみた。
すると折り紙は一瞬輝き、「固定ダメージ」が付与されたことが確認できた。
あとはこれを、手裏剣の形にしてっと。
「平林さん。次メタルな敵に遭遇したら、これ投げてみてくれません?」
「……紙の手裏剣? そんなもの……まあでも北野君が言うなら」
果たして、俺以外の人が攻撃してもメタルな敵を一撃で倒せることになるのか。
それを、試してもらうことにした。
◇
それから一時間後。
俺たちの目の前に、金属光沢のある全長1mくらいの蛾が現れた。
鑑定によると、ソイツは「メタルモス」。
正真正銘、メタルな敵だった。
「平林さん、あれを」
「分かった。えいっ!」
投げられた手裏剣は、若干明後日の方向に行きかけたが……それくらいは弾道補正でどうにかなり、メタルモスに直撃した。
「ギアアァァァッ!」
メタルモスは金属的な叫び声をあげたかと思うと、すぐに消滅した。
「な、何いぃぃっ!」
「夏音ちゃん、今のどうやったの!?」
平林さんの近くにいた人たちが、その様子に目を丸くしつつそう質問する。
「え、今何が? わ、私が一撃でメタルを……」
だが誰よりも、その結果に一番驚いていたのは平林さんだった。
25
お気に入りに追加
3,552
あなたにおすすめの小説
最下級冒険者は英雄である事をひた隠す 〜生産スキルで、メカチート生産?〜
水先 冬菜
ファンタジー
二年前、魔王を倒した功績を持ちながら、それをひた隠しにし、最下級のEランク冒険者として成り済ます転生者の少年ライハ。
唯一無二の生産スキル《創造》を隠しながら、田舎と蔑まれる辺境の地で、薬草採取などの依頼の報酬で生計を立て、細々と暮らしていたのだが------------
魔王が復活して、事態は一変する。
世界中に魔物が溢れ、当然、その影響はライハが住む辺境の地へと襲い始めた。
ライハは面倒がりながらも、ありえない方法で、魔物の侵攻を食い止められた。
だが、運悪く、その姿を"あの時の勇者"に目撃され--------
追放されてFランク冒険者をやってたけど、憧れの冒険者に拾われたので辺境を大都市にする
緑井
ファンタジー
ある日、主人公アルティは突然、実の父から追放を言い渡された。
理由は、アルティが弟ハーマンに比べて劣っているから、だった。
追放されたアルティは食い繋ぐための手段として冒険者をしていたのだが、あまりの弱さに6年もの間Fランクのままだった。
Fランクに許されるのは、底辺職とも言われる下水道掃除のみ。
そしてその日も、アルティは下水道掃除をしていたのだが、突然スライムが下水道に現れた。
そのスライムをかなりの時間をかけてようやく倒したアルティ。
しかし、そのスライムがドロップした魔法石は虹色に光っていた。
それを冒険者ギルドに持っていくと、突然他の冒険者たちに絡まれる事に。
するとなぜか突然、憧れのSSランク冒険者の少女に処刑される事に?!
その後、色々あって荒野の小村の領主となった主人公は、数々の改革を行い、小村を街に成長させつつも、色々な事件に巻き込まれていく。
種から始める生産チート~なんでも実る世界樹を手に入れたけど、ホントに何でも実ったんですが!?(旧題:世界樹の王)
十一屋 翠
ファンタジー
とある冒険で大怪我を負った冒険者セイルは、パーティ引退を強制されてしまう。
そんな彼に残されたのは、ダンジョンで見つけたたった一つの木の実だけ。
だがこれこそが、ありとあらゆるものを生み出す世界樹の種だったのだ。
世界樹から現れた幼き聖霊はセイルを自らの主と認めると、この世のあらゆるものを実らせ、彼に様々な恩恵を与えるのだった。
お腹が空けばお肉を実らせ、生活の為にと家具を生み、更に敵が襲ってきたら大量の仲間まで!?
これは世界樹に愛された男が、文字通り全てを手に入れる幸せな物語。
この作品は小説家になろう、カクヨムにも掲載しています。
追放されたテイマー半年後に従魔が最強になったのでまた冒険する
Miiya
ファンタジー
「テイマーって面白そうだったから入れてたけど使えんから出ていって。」と言われ1ヶ月間いたパーティーを追放されてしまったトーマ=タグス。仕方なく田舎にある実家に戻りそこで農作業と副業をしてなんとか稼いでいた。そんな暮らしも半年が経った後、たまたま飼っていたスライムと小鳥が最強になりもう一度冒険をすることにした。そしてテイマーとして覚醒した彼と追放したパーティーが出会い彼の本当の実力を知ることになる。
異世界キャンパー~無敵テントで気ままなキャンプ飯スローライフ?
夢・風魔
ファンタジー
仕事の疲れを癒すためにソロキャンを始めた神楽拓海。
気づけばキャンプグッズ一式と一緒に、見知らぬ森の中へ。
落ち着くためにキャンプ飯を作っていると、そこへ四人の老人が現れた。
彼らはこの世界の神。
キャンプ飯と、見知らぬ老人にも親切にするタクミを気に入った神々は、彼に加護を授ける。
ここに──伝説のドラゴンをもぶん殴れるテントを手に、伝説のドラゴンの牙すら通さない最強の肉体を得たキャンパーが誕生する。
「せっかく異世界に来たんなら、仕事のことも忘れて世界中をキャンプしまくろう!」
異世界でネットショッピングをして商いをしました。
ss
ファンタジー
異世界に飛ばされた主人公、アキラが使えたスキルは「ネットショッピング」だった。
それは、地球の物を買えるというスキルだった。アキラはこれを駆使して異世界で荒稼ぎする。
これはそんなアキラの爽快で時には苦難ありの異世界生活の一端である。(ハーレムはないよ)
よければお気に入り、感想よろしくお願いしますm(_ _)m
hotランキング23位(18日11時時点)
本当にありがとうございます
誤字指摘などありがとうございます!スキルの「作者の権限」で直していこうと思いますが、発動条件がたくさんあるので直すのに時間がかかりますので気長にお待ちください。
家族に無能と追放された冒険者、実は街に出たら【万能チート】すぎた、理由は家族がチート集団だったから
ハーーナ殿下
ファンタジー
冒険者を夢見る少年ハリトは、幼い時から『無能』と言われながら厳しい家族に鍛えられてきた。無能な自分は、このままではダメになってしまう。一人前の冒険者なるために、思い切って家出。辺境の都市国家に向かう。
だが少年は自覚していなかった。家族は【天才魔道具士】の父、【聖女】の母、【剣聖】の姉、【大魔導士】の兄、【元勇者】の祖父、【元魔王】の祖母で、自分が彼らの万能の才能を受け継いでいたことを。
これは自分が無能だと勘違いしていた少年が、滅亡寸前の小国を冒険者として助け、今までの努力が実り、市民や冒険者仲間、騎士、大商人や貴族、王女たちに認められ、大活躍していく逆転劇である。
この度異世界に転生して貴族に生まれ変わりました
okiraku
ファンタジー
地球世界の日本の一般国民の息子に生まれた藤堂晴馬は、生まれつきのエスパーで透視能力者だった。彼は親から独立してアパートを借りて住みながら某有名国立大学にかよっていた。4年生の時、酔っ払いの無免許運転の車にはねられこの世を去り、異世界アールディアのバリアス王国貴族の子として転生した。幸せで平和な人生を今世で歩むかに見えたが、国内は王族派と貴族派、中立派に分かれそれに国王が王位継承者を定めぬまま重い病に倒れ王子たちによる王位継承争いが起こり国内は不安定な状態となった。そのため貴族間で領地争いが起こり転生した晴馬の家もまきこまれ領地を失うこととなるが、もともと転生者である晴馬は逞しく生き家族を支えて生き抜くのであった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる