14 / 28
第14話 アイテムはもっと金になった
しおりを挟む
「はい、次のお客様……って、北野君じゃないか。待ってたよ」
ドロップ素材の換金に来た人の列に並び、自分の番が来ると……店の人はそう言うなり、奥の部屋に入ってしまった。
そして、しばらく待っていると……店の人は、札束を持ってカウンターに戻ってきた。
「追加報酬、100万円だ。ハヌマーンとスレイプニルの素材、想定より少し高く売れたからな。その分、換金額割り増しってことよ」
そう言われ……俺は店の人が手に持っていた札束を渡された。
400万円でも十分、いや高すぎるくらいだと思っていたのに……本当にその上を行ってしまうのか。
なんか色々と感覚が麻痺してしまいそうになるな。
まだ何も出す前から大金を渡され、一瞬本来の目的を忘れかけた俺だったが……店の人に「で、今日も何か持ってきたのか?」と籠を出され、俺はアイテムを売りに来たことを思い出した。
「はい。今回はこれを持って来ました」
そう言って……俺はアイテム版ディスラプターと力源の衣2着、そして余ったドロップ素材を籠に入れた。
すると……店の人は目をまん丸にして、口をあんぐりと開けたままフリーズしてしまった。
「な……お、お前、錬金術までできたのかよ!?」
「一応スキルは持ってたんで、試してみました。これもここで換金してもらう事ってできるんですかね?」
「あ、ああ。一応可能だ。アイテムの流通ルートも持ってないわけじゃないからな」
店の人はそう言うと、アイテムのうちまずはアイテム版ディスラプターを手に取り、査定を開始した。
「ディスラプター……っておい、これ特級かよ! 一体何を素材にしたら、こんなものが作れるのやら……」
店の人は何やらブツブツと呟きながら、一つ一つ査定を進めていった。
そして……。
店の人が合計金額を計算し終えたかと思うと、カウンターの上には厚み10cmを超えるであろう札束がドーンと置かれたのだった。
……おいおい。
流石に嘘だろ?
この札束、前来た時の倍はあるぞ。
加工費分が上乗せされてより多く金が貰えそう、とは思っていたが、まさかこれほどなんて……。
「合計金額1025万円だ」
しかしやはり、これだけのお金がもらえるというのはれっきとした事実のようだった。
先週同様、実感が沸かない中。
俺は一つ疑問に思ったことがあったので……それを店の人に聞いてみることにした。
「あの……ここまでの金額になるなら、銀行振り込みとかにしてもらえないんでしょうか?」
すると店の人はハッとしたような表情をして、こう答えた。
「そう言えば……北野君、ソロだもんな。掃魔集会なんかだと、その場で報酬を山分けにしたりする都合上現金支給が好まれることが多いんだが……北野君の場合は銀行振り込みの方が都合がいいか。分かった、そうしよう」
そんなわけで、俺は口座番号を店の人に伝え、1025万円は銀行に振り込んでもらうことにしてもらった。
良かった。
こんな額の現金、一晩だって家に置いておきたくはないからな。
先週も、週明けになると即行で500万円を銀行口座にぶち込んだもんだが……その瞬間まで、結構ヤキモキした気分だったんだよな。
今度からはそれがなくなるというのは、非常に助かる。
「ありがとうございました」
そう言って俺は、換金所を出ようとした。
だが……
「ちょっと待ってくれ」
店の人は若干慌てたように、俺を引き留めた。
「北野君。君さ……このままだと、所得税とんでもないことになるだろ?」
そして唐突に、そんな話題を振ってきた。
「そう……なるんですかね?」
「ああ。そこでだが……一つ提案があるんだ。JMEO——日本モンスター討伐機構に加入して一定の功績を上げれば、特例措置としてドロップ素材関連の収入が非課税になるんだが……興味はないか?」
ドロップ素材の換金に来た人の列に並び、自分の番が来ると……店の人はそう言うなり、奥の部屋に入ってしまった。
そして、しばらく待っていると……店の人は、札束を持ってカウンターに戻ってきた。
「追加報酬、100万円だ。ハヌマーンとスレイプニルの素材、想定より少し高く売れたからな。その分、換金額割り増しってことよ」
そう言われ……俺は店の人が手に持っていた札束を渡された。
400万円でも十分、いや高すぎるくらいだと思っていたのに……本当にその上を行ってしまうのか。
なんか色々と感覚が麻痺してしまいそうになるな。
まだ何も出す前から大金を渡され、一瞬本来の目的を忘れかけた俺だったが……店の人に「で、今日も何か持ってきたのか?」と籠を出され、俺はアイテムを売りに来たことを思い出した。
「はい。今回はこれを持って来ました」
そう言って……俺はアイテム版ディスラプターと力源の衣2着、そして余ったドロップ素材を籠に入れた。
すると……店の人は目をまん丸にして、口をあんぐりと開けたままフリーズしてしまった。
「な……お、お前、錬金術までできたのかよ!?」
「一応スキルは持ってたんで、試してみました。これもここで換金してもらう事ってできるんですかね?」
「あ、ああ。一応可能だ。アイテムの流通ルートも持ってないわけじゃないからな」
店の人はそう言うと、アイテムのうちまずはアイテム版ディスラプターを手に取り、査定を開始した。
「ディスラプター……っておい、これ特級かよ! 一体何を素材にしたら、こんなものが作れるのやら……」
店の人は何やらブツブツと呟きながら、一つ一つ査定を進めていった。
そして……。
店の人が合計金額を計算し終えたかと思うと、カウンターの上には厚み10cmを超えるであろう札束がドーンと置かれたのだった。
……おいおい。
流石に嘘だろ?
この札束、前来た時の倍はあるぞ。
加工費分が上乗せされてより多く金が貰えそう、とは思っていたが、まさかこれほどなんて……。
「合計金額1025万円だ」
しかしやはり、これだけのお金がもらえるというのはれっきとした事実のようだった。
先週同様、実感が沸かない中。
俺は一つ疑問に思ったことがあったので……それを店の人に聞いてみることにした。
「あの……ここまでの金額になるなら、銀行振り込みとかにしてもらえないんでしょうか?」
すると店の人はハッとしたような表情をして、こう答えた。
「そう言えば……北野君、ソロだもんな。掃魔集会なんかだと、その場で報酬を山分けにしたりする都合上現金支給が好まれることが多いんだが……北野君の場合は銀行振り込みの方が都合がいいか。分かった、そうしよう」
そんなわけで、俺は口座番号を店の人に伝え、1025万円は銀行に振り込んでもらうことにしてもらった。
良かった。
こんな額の現金、一晩だって家に置いておきたくはないからな。
先週も、週明けになると即行で500万円を銀行口座にぶち込んだもんだが……その瞬間まで、結構ヤキモキした気分だったんだよな。
今度からはそれがなくなるというのは、非常に助かる。
「ありがとうございました」
そう言って俺は、換金所を出ようとした。
だが……
「ちょっと待ってくれ」
店の人は若干慌てたように、俺を引き留めた。
「北野君。君さ……このままだと、所得税とんでもないことになるだろ?」
そして唐突に、そんな話題を振ってきた。
「そう……なるんですかね?」
「ああ。そこでだが……一つ提案があるんだ。JMEO——日本モンスター討伐機構に加入して一定の功績を上げれば、特例措置としてドロップ素材関連の収入が非課税になるんだが……興味はないか?」
25
お気に入りに追加
3,552
あなたにおすすめの小説
最下級冒険者は英雄である事をひた隠す 〜生産スキルで、メカチート生産?〜
水先 冬菜
ファンタジー
二年前、魔王を倒した功績を持ちながら、それをひた隠しにし、最下級のEランク冒険者として成り済ます転生者の少年ライハ。
唯一無二の生産スキル《創造》を隠しながら、田舎と蔑まれる辺境の地で、薬草採取などの依頼の報酬で生計を立て、細々と暮らしていたのだが------------
魔王が復活して、事態は一変する。
世界中に魔物が溢れ、当然、その影響はライハが住む辺境の地へと襲い始めた。
ライハは面倒がりながらも、ありえない方法で、魔物の侵攻を食い止められた。
だが、運悪く、その姿を"あの時の勇者"に目撃され--------
追放されてFランク冒険者をやってたけど、憧れの冒険者に拾われたので辺境を大都市にする
緑井
ファンタジー
ある日、主人公アルティは突然、実の父から追放を言い渡された。
理由は、アルティが弟ハーマンに比べて劣っているから、だった。
追放されたアルティは食い繋ぐための手段として冒険者をしていたのだが、あまりの弱さに6年もの間Fランクのままだった。
Fランクに許されるのは、底辺職とも言われる下水道掃除のみ。
そしてその日も、アルティは下水道掃除をしていたのだが、突然スライムが下水道に現れた。
そのスライムをかなりの時間をかけてようやく倒したアルティ。
しかし、そのスライムがドロップした魔法石は虹色に光っていた。
それを冒険者ギルドに持っていくと、突然他の冒険者たちに絡まれる事に。
するとなぜか突然、憧れのSSランク冒険者の少女に処刑される事に?!
その後、色々あって荒野の小村の領主となった主人公は、数々の改革を行い、小村を街に成長させつつも、色々な事件に巻き込まれていく。
種から始める生産チート~なんでも実る世界樹を手に入れたけど、ホントに何でも実ったんですが!?(旧題:世界樹の王)
十一屋 翠
ファンタジー
とある冒険で大怪我を負った冒険者セイルは、パーティ引退を強制されてしまう。
そんな彼に残されたのは、ダンジョンで見つけたたった一つの木の実だけ。
だがこれこそが、ありとあらゆるものを生み出す世界樹の種だったのだ。
世界樹から現れた幼き聖霊はセイルを自らの主と認めると、この世のあらゆるものを実らせ、彼に様々な恩恵を与えるのだった。
お腹が空けばお肉を実らせ、生活の為にと家具を生み、更に敵が襲ってきたら大量の仲間まで!?
これは世界樹に愛された男が、文字通り全てを手に入れる幸せな物語。
この作品は小説家になろう、カクヨムにも掲載しています。
追放されたテイマー半年後に従魔が最強になったのでまた冒険する
Miiya
ファンタジー
「テイマーって面白そうだったから入れてたけど使えんから出ていって。」と言われ1ヶ月間いたパーティーを追放されてしまったトーマ=タグス。仕方なく田舎にある実家に戻りそこで農作業と副業をしてなんとか稼いでいた。そんな暮らしも半年が経った後、たまたま飼っていたスライムと小鳥が最強になりもう一度冒険をすることにした。そしてテイマーとして覚醒した彼と追放したパーティーが出会い彼の本当の実力を知ることになる。
異世界でネットショッピングをして商いをしました。
ss
ファンタジー
異世界に飛ばされた主人公、アキラが使えたスキルは「ネットショッピング」だった。
それは、地球の物を買えるというスキルだった。アキラはこれを駆使して異世界で荒稼ぎする。
これはそんなアキラの爽快で時には苦難ありの異世界生活の一端である。(ハーレムはないよ)
よければお気に入り、感想よろしくお願いしますm(_ _)m
hotランキング23位(18日11時時点)
本当にありがとうございます
誤字指摘などありがとうございます!スキルの「作者の権限」で直していこうと思いますが、発動条件がたくさんあるので直すのに時間がかかりますので気長にお待ちください。
家族に無能と追放された冒険者、実は街に出たら【万能チート】すぎた、理由は家族がチート集団だったから
ハーーナ殿下
ファンタジー
冒険者を夢見る少年ハリトは、幼い時から『無能』と言われながら厳しい家族に鍛えられてきた。無能な自分は、このままではダメになってしまう。一人前の冒険者なるために、思い切って家出。辺境の都市国家に向かう。
だが少年は自覚していなかった。家族は【天才魔道具士】の父、【聖女】の母、【剣聖】の姉、【大魔導士】の兄、【元勇者】の祖父、【元魔王】の祖母で、自分が彼らの万能の才能を受け継いでいたことを。
これは自分が無能だと勘違いしていた少年が、滅亡寸前の小国を冒険者として助け、今までの努力が実り、市民や冒険者仲間、騎士、大商人や貴族、王女たちに認められ、大活躍していく逆転劇である。
この度異世界に転生して貴族に生まれ変わりました
okiraku
ファンタジー
地球世界の日本の一般国民の息子に生まれた藤堂晴馬は、生まれつきのエスパーで透視能力者だった。彼は親から独立してアパートを借りて住みながら某有名国立大学にかよっていた。4年生の時、酔っ払いの無免許運転の車にはねられこの世を去り、異世界アールディアのバリアス王国貴族の子として転生した。幸せで平和な人生を今世で歩むかに見えたが、国内は王族派と貴族派、中立派に分かれそれに国王が王位継承者を定めぬまま重い病に倒れ王子たちによる王位継承争いが起こり国内は不安定な状態となった。そのため貴族間で領地争いが起こり転生した晴馬の家もまきこまれ領地を失うこととなるが、もともと転生者である晴馬は逞しく生き家族を支えて生き抜くのであった。
目つきが悪いと仲間に捨てられてから、魔眼で全てを射貫くまで。
桐山じゃろ
ファンタジー
高校二年生の横伏藤太はある日突然、あまり接点のないクラスメイトと一緒に元いた世界からファンタジーな世界へ召喚された。初めのうちは同じ災難にあった者同士仲良くしていたが、横伏だけが強くならない。召喚した連中から「勇者の再来」と言われている不東に「目つきが怖い上に弱すぎる」という理由で、森で魔物にやられた後、そのまま捨てられた。……こんなところで死んでたまるか! 奮起と同時に意味不明理解不能だったスキル[魔眼]が覚醒し無双モードへ突入。その後は別の国で召喚されていた同じ学校の女の子たちに囲まれて一緒に暮らすことに。一方、捨てた連中はなんだか勝手に酷い目に遭っているようです。※小説家になろう、カクヨムにも同じものを掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる