パーティーを追放された装備製作者、実は世界最強 〜ソロになったので、自分で作った最強装備で無双する〜

Tamaki Yoshigae

文字の大きさ
上 下
23 / 24

第23話 ギルドへの報告、そしてとある剣豪との出会い

しおりを挟む
「いらっしゃいませ……あ、ロイルさん。どうでした、調査の感じは?」

 そして、ギルドに帰還すると。
 俺は受付嬢にそう言って迎えられつつ、クラーケンに関する調査依頼の報告をすることになった。

「クラーケン、確かにいましたよ。これです。森にゲリラ特殊空間ができてましたね」

 俺はそう答えつつ、魔法袋からクラーケンの頭を覗かせた。

「ゲリラ特殊空間……まさか、そんなものが出現していたとは……。って、『これです』て何サラッと言ってるんですか!」

「なんかちょうど出現したんで、持って帰りましたよ。ちなみにですが、泉の女神に願いは叶えてもらったので、もうゲリラ特殊空間は消えてます」

 クラーケンの頭を見た受付嬢が、途端に青ざめて素っ頓狂な声をあげる中……俺は、今回起こったことをざっくりと説明した。

「ま、まあ、ロイルさんなら見つけたらついでに狩ってきますよね。ところで……ゲリラ特殊空間は、どこと繋がってましたか?」

 落ち着きを取り戻した受付嬢は、次はそんなことを聞いてくる。

「海でしたね」

「そうですか。でしたら……一応、証拠として金と銀の斧を見せてはいただけませんか?」

「あ……」

 そして、受付嬢に泉の女神との交渉の証拠を求められ。
 俺は、言葉を濁さざるを得なくなった。
 だって……代わりにゴッドアイを受け取って、それを使ってしまった以上、金や銀の斧みたいな証拠品は持ち合わせていないからな。

「実は……裏オプションで、女神からはちょっと特殊な物を受け取ってしまったもので。そしてそれも剣の強化に使ってしまったので、もう証拠品は無いんです」

 一応俺は、クラウソラスを特殊な光魔法で照らしつつ、そう言ってみることにした。
 この光魔法は「ゴッドアイヒストリー」という、ゴッドアイの使用回数分目玉の模様を照らし出す付与術師御用達の光魔法。
 受付嬢がゴッドアイを知ってれば話は早いのだが……これを見て、分かってくれるだろうか。

「な、なるほど……。まあロイルさんがそう言うなら、信じることにします。本当はそんな手続きの進め方しちゃだめなんですが……ロイルさん、そもそもクラーケン狩ってきちゃってますからね。追加報酬が発生することに変わりはないので、今回はその計算でお支払いします」

 ……それでいいのかよ。
 一瞬つっこみたくなったが、まあ結果往来かと思うことにした。

「こちら達成報酬の十万ジャーチと追加報酬の五十万ジャーチを合わせた六十万ジャーチになります。クラーケンも換金するなら、受け取りますが……その場合は、その報酬は解体後別途お支払いしますね」

 直後、受付嬢はそう言ってカウンターに現金の山を置いたので、俺はそれを魔法袋にしまった。



 さて、じゃあクラーケンを解体してもらうために、解体施設に向かうとするか。
 そう思い、ギルドを後にしようとした時のことだった。

「おい、ちょっと待て」

 ふいに……俺は、屈強なガタイのいかにも剣豪っぽい男に呼び止められてしまった。

「お前がロイルという冒険者で、間違いないな?」

「……はい、そうですが」

 なぜこの男は俺の名前を知っているのか、と疑問に思ったが、嘘をつく理由も無いので俺はそう答えた。
 すると……。

「お前は門下生でもないのに、勝手に我が流派の使い手を名乗った。俺はそう聞いている。そのことでちょっと話がある」

 その男は急に、そんなことを言い出した。


 ◇

 男は、シサムと名乗った。
 シサムは「話は訓練場で」と言うので……俺は訓練場に移動し、話の続きを聞くことにした。

「あなたの……流派、ですか?」

 まずはとりあえず、そう遠慮がちに聞いてみる。

「ああ。お前最近、剣の流派を詐称した覚えはないか?」

 剣の流派。そんな覚えは……あっ。
 そこまで言われ、俺はとある出来事を思い出した。

 ……そういえば、俺がBランク昇格試験で『人工剣聖知能』を使った時、試験官に「八極剣の使い手か?」とか言われたよな。
 まさか、それのことだろうか。

「……もしかしてその流派とは、『八極剣』のことでしょうか?」

「そうだ。……しらばっくれるつもりは、無いみたいだな」

 どうやら、予想は正解みたいだった。

「……なぜ我が流派を名乗った?」

 そしてシサムは、そう問い詰めてきた。

「実は俺……付与術師でして。Bランク昇格試験の際、剣術試験を突破しないといけなくなって、手持ちの剣に剣技補助の付与をかけたんです。それで試験に臨んだら、その剣技補助のおかげで身体が勝手に動いて勝てたんですが……どうやら試験官が、その時の技をあなた方の『八極剣』だと勘違いしたみたいなんです」

 それに対し、俺はありのままのことを簡潔に話してみた。

「何ぃっ!?」

 だが……それが気に入らなかったのか。
 シサムはそれを聞いて、さらに眉を吊り上げてしまった。

「付与術なんかで我が流派の剣術を再現できる訳がなかろう! お前、舐めとるのか!」

 そしてシサムは、そう怒鳴り散らした。

 ……狙って再現したわけじゃないんだけどな。
 正直、俺はそう言われても困惑するより他なかった。


 とはいえ……「付与術なんか」とは、ちょっと聞き捨てならないな。
 俺は困惑すると同時に、このシサムという男に対し少しムカついた。

 ……そんな時だった。

「そんなことを言うなら、我が剣にその『剣技補助』とやらを付与してみよ。それで儂が直々に、本当にそれが我が流派と言っても差し支えないほどの物か判断する」

 シサムがそう続けたことにより……偶然にも、俺とコイツの利害が一致した。

 ……良いだろう。
 そういうことなら……『人工剣聖知能』を付与して、実際に効果を体験させてやる。

「分かりました。剣、お借りしますね」

 剣技に身体がついていけなくて怪我しても知らないぞ、とまでは続けなかった。
 そんなことを言っても、ただただ神経を逆なでするだけになってしまいそうだからな。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

屋台飯! いらない子認定されたので、旅に出たいと思います。

彩世幻夜
ファンタジー
母が死にました。 父が連れてきた継母と異母弟に家を追い出されました。 わー、凄いテンプレ展開ですね! ふふふ、私はこの時を待っていた! いざ行かん、正義の旅へ! え? 魔王? 知りませんよ、私は勇者でも聖女でも賢者でもありませんから。 でも……美味しいは正義、ですよね? 2021/02/19 第一部完結 2021/02/21 第二部連載開始 2021/05/05 第二部完結

無能扱いされた実は万能な武器職人、Sランクパーティーに招かれる~理不尽な理由でパーティーから追い出されましたが、恵まれた新天地で頑張ります~

詩葉 豊庸(旧名:堅茹でパスタ)
ファンタジー
鍛冶職人が武器を作り、提供する……なんてことはもう古い時代。 現代のパーティーには武具生成を役目とするクリエイターという存在があった。 アレンはそんなクリエイターの一人であり、彼もまたとある零細パーティーに属していた。 しかしアレンはパーティーリーダーのテリーに理不尽なまでの要望を突きつけられる日常を送っていた。 本当は彼の適性に合った武器を提供していたというのに…… そんな中、アレンの元に二人の少女が歩み寄ってくる。アレンは少女たちにパーティーへのスカウトを受けることになるが、後にその二人がとんでもない存在だったということを知る。 後日、アレンはテリーの裁量でパーティーから追い出されてしまう。 だが彼はクビを宣告されても何とも思わなかった。 むしろ、彼にとってはこの上なく嬉しいことだった。 これは万能クリエイター(本人は自覚無し)が最高の仲間たちと紡ぐ冒険の物語である。

竜騎士の俺は勇者達によって無能者とされて王国から追放されました、俺にこんな事をしてきた勇者達はしっかりお返しをしてやります

しまうま弁当
ファンタジー
ホルキス王家に仕えていた竜騎士のジャンはある日大勇者クレシーと大賢者ラズバーによって追放を言い渡されたのだった。 納得できないジャンは必死に勇者クレシーに訴えたが、ジャンの意見は聞き入れられずにそのまま国外追放となってしまう。 ジャンは必ずクレシーとラズバーにこのお返しをすると誓ったのだった。 そしてジャンは国外にでるために国境の町カリーナに向かったのだが、国境の町カリーナが攻撃されてジャンも巻き込まれてしまったのだった。 竜騎士ジャンの無双活劇が今始まります。

なんだって? 俺を追放したSS級パーティーが落ちぶれたと思ったら、拾ってくれたパーティーが超有名になったって?

名無し
ファンタジー
「ラウル、追放だ。今すぐ出ていけ!」 「えっ? ちょっと待ってくれ。理由を教えてくれないか?」 「それは貴様が無能だからだ!」 「そ、そんな。俺が無能だなんて。こんなに頑張ってるのに」 「黙れ、とっととここから消えるがいい!」  それは突然の出来事だった。  SSパーティーから総スカンに遭い、追放されてしまった治癒使いのラウル。  そんな彼だったが、とあるパーティーに拾われ、そこで認められることになる。 「治癒魔法でモンスターの群れを殲滅だと!?」 「え、嘘!? こんなものまで回復できるの!?」 「この男を追放したパーティー、いくらなんでも見る目がなさすぎだろう!」  ラウルの神がかった治癒力に驚愕するパーティーの面々。  その凄さに気が付かないのは本人のみなのであった。 「えっ? 俺の治癒魔法が凄いって? おいおい、冗談だろ。こんなの普段から当たり前にやってることなのに……」

その無能、実は世界最強の魔法使い 〜無能と蔑まれ、貴族家から追い出されたが、ギフト《転生者》が覚醒して前世の能力が蘇った〜

蒼乃白兎
ファンタジー
15歳になると、人々は女神様からギフトを授かる。  しかし、アルマはギフトを何も授かることは出来ず、実家の伯爵家から無能と蔑まれ、追い出されてしまう。  だが実はアルマはギフトを授からなかった訳では無かった。  アルマは既にギフト《転生者》を所持していたのだ──。  実家から追い出された直後にギフト《転生者》が発動し、アルマは前世の能力を取り戻す。  その能力はあまりにも大きく、アルマは一瞬にして世界最強の魔法使いになってしまった。  なにせアルマはギフト《転生者》の能力を最大限に発揮するために、一度目の人生を全て魔法の探究に捧げていたのだから。  無能と蔑まれた男の大逆転が今、始まる。  アルマは前世で極めた魔法を利用し、実家を超える大貴族へと成り上がっていくのだった。

異世界転移「スキル無!」~授かったユニークスキルは「なし」ではなく触れたモノを「無」に帰す最強スキルだったようです~

夢・風魔
ファンタジー
林間学校の最中に召喚(誘拐?)された鈴村翔は「スキルが無い役立たずはいらない」と金髪縦ロール女に言われ、その場に取り残された。 しかしそのスキル鑑定は間違っていた。スキルが無いのではなく、転移特典で授かったのは『無』というスキルだったのだ。 とにかく生き残るために行動を起こした翔は、モンスターに襲われていた双子のエルフ姉妹を助ける。 エルフの里へと案内された翔は、林間学校で用意したキャンプ用品一式を使って彼らの食生活を改革することに。 スキル『無』で時々無双。双子の美少女エルフや木に宿る幼女精霊に囲まれ、翔の異世界生活冒険譚は始まった。 *小説家になろう・カクヨムでも投稿しております(完結済み

魔力無しだと追放されたので、今後一切かかわりたくありません。魔力回復薬が欲しい?知りませんけど

富士とまと
ファンタジー
一緒に異世界に召喚された従妹は魔力が高く、私は魔力がゼロだそうだ。 「私は聖女になるかも、姉さんバイバイ」とイケメンを侍らせた従妹に手を振られ、私は王都を追放された。 魔力はないけれど、霊感は日本にいたころから強かったんだよね。そのおかげで「英霊」だとか「精霊」だとかに盲愛されています。 ――いや、あの、精霊の指輪とかいらないんですけど、は、外れない?! ――ってか、イケメン幽霊が号泣って、私が悪いの? 私を追放した王都の人たちが困っている?従妹が大変な目にあってる?魔力ゼロを低級民と馬鹿にしてきた人たちが助けを求めているようですが……。 今更、魔力ゼロの人間にしか作れない特級魔力回復薬が欲しいとか言われてもね、こちらはあなたたちから何も欲しいわけじゃないのですけど。 重複投稿ですが、改稿してます

お荷物認定を受けてSSS級PTを追放されました。でも実は俺がいたからSSS級になれていたようです。

幌須 慶治
ファンタジー
S級冒険者PT『疾風の英雄』 電光石火の攻撃で凶悪なモンスターを次々討伐して瞬く間に最上級ランクまで上がった冒険者の夢を体現するPTである。 龍狩りの一閃ゲラートを筆頭に極炎のバーバラ、岩盤砕きガイル、地竜射抜くローラの4人の圧倒的な火力を以って凶悪モンスターを次々と打ち倒していく姿は冒険者どころか庶民の憧れを一身に集めていた。 そんな中で俺、ロイドはただの盾持ち兼荷物運びとして見られている。 盾持ちなのだからと他の4人が動く前に現地で相手の注意を引き、模擬戦の時は2対1での攻撃を受ける。 当然地味な役割なのだから居ても居なくても気にも留められずに居ないものとして扱われる。 今日もそうして地竜を討伐して、俺は1人後処理をしてからギルドに戻る。 ようやく帰り着いた頃には日も沈み酒場で祝杯を挙げる仲間たちに報酬を私に近づいた時にそれは起こる。 ニヤついた目をしたゲラートが言い放つ 「ロイド、お前役にたたなすぎるからクビな!」 全員の目と口が弧を描いたのが見えた。 一応毎日更新目指して、15話位で終わる予定です。 作品紹介に出てる人物、主人公以外重要じゃないのはご愛嬌() 15話で終わる気がしないので終わるまで延長します、脱線多くてごめんなさい 2020/7/26

処理中です...