19 / 24
第19話 測定不能
しおりを挟む
それから一週間、俺はマジヤ草採取に勤しんだ。
店頭には結構な量のマナポーションがあったが……前線都市の冒険者たちの力を全体的に引き上げるとなると、圧倒的に足りない量だったからな。
【インセインスレイヤー】不在の危機を自力で乗り越えてもらいたい以上は、もっとたくさん供給した方がいいんじゃないかと思ったのだ。
ただ……前線都市の魔物の活性化は、あと二か月ちょいでピークに達するらしい。
それを考慮すると、あまりにも長い時間をマジヤ草採取に費やしていると、届いた頃にはもう手遅れってことになってしまいかねない。
だから俺は、一週間という期限を設け、集められるだけのマジヤ草を採取しまくることにした。
結果……結構な量が集まった。
おそらく、マナポーション換算で三千リットル分くらいのマジヤ草を手に入れることができたのだ。
マナビタンDの一日分の用量は百二十ミリリットルなので、この量あれば、四百人の冒険者が約二か月間マナビタンDを飲み続けられる計算になる。
当面の量は、確保できたと言えるだろう。
ちなみに報酬契約だが……店員さんは自分の取り分はマナポーション代に毛が生えた程度で良いって事で、それと輸送などの経費を除いた売り上げのほとんどを俺が貰っていいと言ってくれた。
契約書もきちんと書いてくれていて、法的に有効な控えもちゃんともらってある。
店員さんは、「国から防衛予算が出るクラスのポーションなので、かなり高額で買い取ってもらえるはず」などと言っていたが……まあ捕らぬ狸の皮算用をするのもアレなのでな。
報酬は、届いてからのお楽しみと思っておこう。
そして、今日だが……俺は久しぶりに、冒険者ギルドに顔を出していた。
ダークパイソンの革製の鞄ができたとのことで、それに『亜空間拡張』を付与するために、解体施設に呼び出されていたからだ。
受付嬢の案内のもと解体施設に行くと、そこにはダークパイソンの革でできた鞄が山積みにされており、その横で解体作業員も待機していた。
解体作業員は、まずは一本の水筒を手に近づいてきて……俺にそれを渡しつつこう言った。
「約束の特注品、ちゃんと用意できてるぞ」
実は……マナポーションを買いに行った日。
マナビタンD市販の話がまとまった後、俺はギルドに行って「余った革でダークパイソンの革製の水筒を一個作ってもらえませんか」と頼んでいたのだ。
これに『亜空間拡張』を付与し、中にマナビタンDを詰めたら輸送が楽になると思ったからである。
それが、ちゃんとできていたということだ。
「ありがとうございます」
俺はそう言って水筒を受け取りつつ、早速水筒に『亜空間拡張』を付与した。
「じゃあ早速……まずはこれに、『亜空間拡張』を付与してもらえないか」
水筒の件が終わると、解体作業員は山積みになったダークパイソン製の鞄の一つを手に取りそう言った。
「分かりました。『亜空間拡張』付与」
俺はそれに、即座に付与を施した。
「ありがとう。じゃあ、他のに付与する前に……ちょっと待っててくれ」
すると解体作業員はそう言ったかと思うと、横から何やらデカい水晶玉がついた装置を取り出した。
「それ……何ですか?」
そう聞いてみると、解体作業員はこう答えてくれた。
「魔法袋は、容量で値段が決まるからな。売値交渉の判断材料にするために、これで容量を測定しておくのさ」
……なるほど。水晶玉がついた装置は、容量測定器具だったか。
確かに魔法袋の容量は、素材の材質だけでなく『亜空間拡張』の熟練度によっても左右されるからな。
同じダークパイソンの革製でも、値段に差がつくということなのか。
良い結果になるといいな。
そう思いつつ、測定の様子を見守る。
「この水晶が何色に変化するかで、容量が分かるってわけよ」
解体作業員はそう言って、装置を起動させた。
だが……次の瞬間。
その装置は、俺たちが予想だにしない反応を見せたのだった。
パリインッッ!!
そんな劈くような音を立て、水晶玉は勢いよく割れてしまったのだ。
何がどうなったんだ。動作不良か?
それを見て、俺は少し心配になった。
そんな中……解体作業員は口をあんぐりと開けて、絞りだすような声でこう叫んだ。
「な……バカな! 測定不能、だと……?」
……測定不能? 付与は失敗などしてないはずだが……なんでそんな結果が出る?
疑問に思っていると、解体作業員はこう続けた。
「麻に『亜空間拡張』を付与できるって時点で、異常だとは思ってたが……まさか、マトモな材質に付与するとこんな結果になるなんてな。測定上限を超える魔法袋なんて初めてみた……というか、おそらく歴史上存在しないレベルだぞ! お前マジで、どんだけ付与の腕前高いんだよ……」
……どうやら俺の魔法袋は、単に容量が測定上限を超えていただけみたいだった。
「ということは……高く売れそうですね?」
「お前、歴史的快挙を見せておいて、気にするのそこかよ……。ま、まあ、とんでもない値はつくだろうな」
とんでもない値、か。
なんか最近、そういうの多いな。
などと思いつつ、俺は残りの鞄にも『亜空間拡張』の付与をつけていった。
そして、全ての鞄に『亜空間拡張』の付与を終えると。
「あの……これ一応、壊れちゃったのそのままにするのもアレなので直しときますね」
俺はそう言って、測定装置に『自動修復』という付与を施した。
すると、水晶の破片は逆再生でもするかのように集まっていき……瞬く間に、傷一つない水晶玉に戻った。
「では、失礼します」
「あ、ああ……こちらの不手際なのに、測定器の修復までしてもらって申し訳ない。なんか今日は、ずっと変な夢見てるみたいだな……」
呆然とする解体作業員をよそに、俺は解体施設を後にした。
店頭には結構な量のマナポーションがあったが……前線都市の冒険者たちの力を全体的に引き上げるとなると、圧倒的に足りない量だったからな。
【インセインスレイヤー】不在の危機を自力で乗り越えてもらいたい以上は、もっとたくさん供給した方がいいんじゃないかと思ったのだ。
ただ……前線都市の魔物の活性化は、あと二か月ちょいでピークに達するらしい。
それを考慮すると、あまりにも長い時間をマジヤ草採取に費やしていると、届いた頃にはもう手遅れってことになってしまいかねない。
だから俺は、一週間という期限を設け、集められるだけのマジヤ草を採取しまくることにした。
結果……結構な量が集まった。
おそらく、マナポーション換算で三千リットル分くらいのマジヤ草を手に入れることができたのだ。
マナビタンDの一日分の用量は百二十ミリリットルなので、この量あれば、四百人の冒険者が約二か月間マナビタンDを飲み続けられる計算になる。
当面の量は、確保できたと言えるだろう。
ちなみに報酬契約だが……店員さんは自分の取り分はマナポーション代に毛が生えた程度で良いって事で、それと輸送などの経費を除いた売り上げのほとんどを俺が貰っていいと言ってくれた。
契約書もきちんと書いてくれていて、法的に有効な控えもちゃんともらってある。
店員さんは、「国から防衛予算が出るクラスのポーションなので、かなり高額で買い取ってもらえるはず」などと言っていたが……まあ捕らぬ狸の皮算用をするのもアレなのでな。
報酬は、届いてからのお楽しみと思っておこう。
そして、今日だが……俺は久しぶりに、冒険者ギルドに顔を出していた。
ダークパイソンの革製の鞄ができたとのことで、それに『亜空間拡張』を付与するために、解体施設に呼び出されていたからだ。
受付嬢の案内のもと解体施設に行くと、そこにはダークパイソンの革でできた鞄が山積みにされており、その横で解体作業員も待機していた。
解体作業員は、まずは一本の水筒を手に近づいてきて……俺にそれを渡しつつこう言った。
「約束の特注品、ちゃんと用意できてるぞ」
実は……マナポーションを買いに行った日。
マナビタンD市販の話がまとまった後、俺はギルドに行って「余った革でダークパイソンの革製の水筒を一個作ってもらえませんか」と頼んでいたのだ。
これに『亜空間拡張』を付与し、中にマナビタンDを詰めたら輸送が楽になると思ったからである。
それが、ちゃんとできていたということだ。
「ありがとうございます」
俺はそう言って水筒を受け取りつつ、早速水筒に『亜空間拡張』を付与した。
「じゃあ早速……まずはこれに、『亜空間拡張』を付与してもらえないか」
水筒の件が終わると、解体作業員は山積みになったダークパイソン製の鞄の一つを手に取りそう言った。
「分かりました。『亜空間拡張』付与」
俺はそれに、即座に付与を施した。
「ありがとう。じゃあ、他のに付与する前に……ちょっと待っててくれ」
すると解体作業員はそう言ったかと思うと、横から何やらデカい水晶玉がついた装置を取り出した。
「それ……何ですか?」
そう聞いてみると、解体作業員はこう答えてくれた。
「魔法袋は、容量で値段が決まるからな。売値交渉の判断材料にするために、これで容量を測定しておくのさ」
……なるほど。水晶玉がついた装置は、容量測定器具だったか。
確かに魔法袋の容量は、素材の材質だけでなく『亜空間拡張』の熟練度によっても左右されるからな。
同じダークパイソンの革製でも、値段に差がつくということなのか。
良い結果になるといいな。
そう思いつつ、測定の様子を見守る。
「この水晶が何色に変化するかで、容量が分かるってわけよ」
解体作業員はそう言って、装置を起動させた。
だが……次の瞬間。
その装置は、俺たちが予想だにしない反応を見せたのだった。
パリインッッ!!
そんな劈くような音を立て、水晶玉は勢いよく割れてしまったのだ。
何がどうなったんだ。動作不良か?
それを見て、俺は少し心配になった。
そんな中……解体作業員は口をあんぐりと開けて、絞りだすような声でこう叫んだ。
「な……バカな! 測定不能、だと……?」
……測定不能? 付与は失敗などしてないはずだが……なんでそんな結果が出る?
疑問に思っていると、解体作業員はこう続けた。
「麻に『亜空間拡張』を付与できるって時点で、異常だとは思ってたが……まさか、マトモな材質に付与するとこんな結果になるなんてな。測定上限を超える魔法袋なんて初めてみた……というか、おそらく歴史上存在しないレベルだぞ! お前マジで、どんだけ付与の腕前高いんだよ……」
……どうやら俺の魔法袋は、単に容量が測定上限を超えていただけみたいだった。
「ということは……高く売れそうですね?」
「お前、歴史的快挙を見せておいて、気にするのそこかよ……。ま、まあ、とんでもない値はつくだろうな」
とんでもない値、か。
なんか最近、そういうの多いな。
などと思いつつ、俺は残りの鞄にも『亜空間拡張』の付与をつけていった。
そして、全ての鞄に『亜空間拡張』の付与を終えると。
「あの……これ一応、壊れちゃったのそのままにするのもアレなので直しときますね」
俺はそう言って、測定装置に『自動修復』という付与を施した。
すると、水晶の破片は逆再生でもするかのように集まっていき……瞬く間に、傷一つない水晶玉に戻った。
「では、失礼します」
「あ、ああ……こちらの不手際なのに、測定器の修復までしてもらって申し訳ない。なんか今日は、ずっと変な夢見てるみたいだな……」
呆然とする解体作業員をよそに、俺は解体施設を後にした。
33
お気に入りに追加
3,313
あなたにおすすめの小説

屋台飯! いらない子認定されたので、旅に出たいと思います。
彩世幻夜
ファンタジー
母が死にました。
父が連れてきた継母と異母弟に家を追い出されました。
わー、凄いテンプレ展開ですね!
ふふふ、私はこの時を待っていた!
いざ行かん、正義の旅へ!
え? 魔王? 知りませんよ、私は勇者でも聖女でも賢者でもありませんから。
でも……美味しいは正義、ですよね?
2021/02/19 第一部完結
2021/02/21 第二部連載開始
2021/05/05 第二部完結

無能扱いされた実は万能な武器職人、Sランクパーティーに招かれる~理不尽な理由でパーティーから追い出されましたが、恵まれた新天地で頑張ります~
詩葉 豊庸(旧名:堅茹でパスタ)
ファンタジー
鍛冶職人が武器を作り、提供する……なんてことはもう古い時代。
現代のパーティーには武具生成を役目とするクリエイターという存在があった。
アレンはそんなクリエイターの一人であり、彼もまたとある零細パーティーに属していた。
しかしアレンはパーティーリーダーのテリーに理不尽なまでの要望を突きつけられる日常を送っていた。
本当は彼の適性に合った武器を提供していたというのに……
そんな中、アレンの元に二人の少女が歩み寄ってくる。アレンは少女たちにパーティーへのスカウトを受けることになるが、後にその二人がとんでもない存在だったということを知る。
後日、アレンはテリーの裁量でパーティーから追い出されてしまう。
だが彼はクビを宣告されても何とも思わなかった。
むしろ、彼にとってはこの上なく嬉しいことだった。
これは万能クリエイター(本人は自覚無し)が最高の仲間たちと紡ぐ冒険の物語である。

竜騎士の俺は勇者達によって無能者とされて王国から追放されました、俺にこんな事をしてきた勇者達はしっかりお返しをしてやります
しまうま弁当
ファンタジー
ホルキス王家に仕えていた竜騎士のジャンはある日大勇者クレシーと大賢者ラズバーによって追放を言い渡されたのだった。
納得できないジャンは必死に勇者クレシーに訴えたが、ジャンの意見は聞き入れられずにそのまま国外追放となってしまう。
ジャンは必ずクレシーとラズバーにこのお返しをすると誓ったのだった。
そしてジャンは国外にでるために国境の町カリーナに向かったのだが、国境の町カリーナが攻撃されてジャンも巻き込まれてしまったのだった。
竜騎士ジャンの無双活劇が今始まります。

なんだって? 俺を追放したSS級パーティーが落ちぶれたと思ったら、拾ってくれたパーティーが超有名になったって?
名無し
ファンタジー
「ラウル、追放だ。今すぐ出ていけ!」
「えっ? ちょっと待ってくれ。理由を教えてくれないか?」
「それは貴様が無能だからだ!」
「そ、そんな。俺が無能だなんて。こんなに頑張ってるのに」
「黙れ、とっととここから消えるがいい!」
それは突然の出来事だった。
SSパーティーから総スカンに遭い、追放されてしまった治癒使いのラウル。
そんな彼だったが、とあるパーティーに拾われ、そこで認められることになる。
「治癒魔法でモンスターの群れを殲滅だと!?」
「え、嘘!? こんなものまで回復できるの!?」
「この男を追放したパーティー、いくらなんでも見る目がなさすぎだろう!」
ラウルの神がかった治癒力に驚愕するパーティーの面々。
その凄さに気が付かないのは本人のみなのであった。
「えっ? 俺の治癒魔法が凄いって? おいおい、冗談だろ。こんなの普段から当たり前にやってることなのに……」

異世界転移「スキル無!」~授かったユニークスキルは「なし」ではなく触れたモノを「無」に帰す最強スキルだったようです~
夢・風魔
ファンタジー
林間学校の最中に召喚(誘拐?)された鈴村翔は「スキルが無い役立たずはいらない」と金髪縦ロール女に言われ、その場に取り残された。
しかしそのスキル鑑定は間違っていた。スキルが無いのではなく、転移特典で授かったのは『無』というスキルだったのだ。
とにかく生き残るために行動を起こした翔は、モンスターに襲われていた双子のエルフ姉妹を助ける。
エルフの里へと案内された翔は、林間学校で用意したキャンプ用品一式を使って彼らの食生活を改革することに。
スキル『無』で時々無双。双子の美少女エルフや木に宿る幼女精霊に囲まれ、翔の異世界生活冒険譚は始まった。
*小説家になろう・カクヨムでも投稿しております(完結済み

お荷物認定を受けてSSS級PTを追放されました。でも実は俺がいたからSSS級になれていたようです。
幌須 慶治
ファンタジー
S級冒険者PT『疾風の英雄』
電光石火の攻撃で凶悪なモンスターを次々討伐して瞬く間に最上級ランクまで上がった冒険者の夢を体現するPTである。
龍狩りの一閃ゲラートを筆頭に極炎のバーバラ、岩盤砕きガイル、地竜射抜くローラの4人の圧倒的な火力を以って凶悪モンスターを次々と打ち倒していく姿は冒険者どころか庶民の憧れを一身に集めていた。
そんな中で俺、ロイドはただの盾持ち兼荷物運びとして見られている。
盾持ちなのだからと他の4人が動く前に現地で相手の注意を引き、模擬戦の時は2対1での攻撃を受ける。
当然地味な役割なのだから居ても居なくても気にも留められずに居ないものとして扱われる。
今日もそうして地竜を討伐して、俺は1人後処理をしてからギルドに戻る。
ようやく帰り着いた頃には日も沈み酒場で祝杯を挙げる仲間たちに報酬を私に近づいた時にそれは起こる。
ニヤついた目をしたゲラートが言い放つ
「ロイド、お前役にたたなすぎるからクビな!」
全員の目と口が弧を描いたのが見えた。
一応毎日更新目指して、15話位で終わる予定です。
作品紹介に出てる人物、主人公以外重要じゃないのはご愛嬌()
15話で終わる気がしないので終わるまで延長します、脱線多くてごめんなさい 2020/7/26

その無能、実は世界最強の魔法使い 〜無能と蔑まれ、貴族家から追い出されたが、ギフト《転生者》が覚醒して前世の能力が蘇った〜
蒼乃白兎
ファンタジー
15歳になると、人々は女神様からギフトを授かる。
しかし、アルマはギフトを何も授かることは出来ず、実家の伯爵家から無能と蔑まれ、追い出されてしまう。
だが実はアルマはギフトを授からなかった訳では無かった。
アルマは既にギフト《転生者》を所持していたのだ──。
実家から追い出された直後にギフト《転生者》が発動し、アルマは前世の能力を取り戻す。
その能力はあまりにも大きく、アルマは一瞬にして世界最強の魔法使いになってしまった。
なにせアルマはギフト《転生者》の能力を最大限に発揮するために、一度目の人生を全て魔法の探究に捧げていたのだから。
無能と蔑まれた男の大逆転が今、始まる。
アルマは前世で極めた魔法を利用し、実家を超える大貴族へと成り上がっていくのだった。

魔力無しだと追放されたので、今後一切かかわりたくありません。魔力回復薬が欲しい?知りませんけど
富士とまと
ファンタジー
一緒に異世界に召喚された従妹は魔力が高く、私は魔力がゼロだそうだ。
「私は聖女になるかも、姉さんバイバイ」とイケメンを侍らせた従妹に手を振られ、私は王都を追放された。
魔力はないけれど、霊感は日本にいたころから強かったんだよね。そのおかげで「英霊」だとか「精霊」だとかに盲愛されています。
――いや、あの、精霊の指輪とかいらないんですけど、は、外れない?!
――ってか、イケメン幽霊が号泣って、私が悪いの?
私を追放した王都の人たちが困っている?従妹が大変な目にあってる?魔力ゼロを低級民と馬鹿にしてきた人たちが助けを求めているようですが……。
今更、魔力ゼロの人間にしか作れない特級魔力回復薬が欲しいとか言われてもね、こちらはあなたたちから何も欲しいわけじゃないのですけど。
重複投稿ですが、改稿してます
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる