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第17話 最大魔力量増加薬、マナビタンD
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次の日。
俺は今日の冒険はお休みして、代わりにポーション屋さんに立ち寄ることにした。
今日ポーション屋に寄る目的は一つ。
最大魔力量増加薬「マナビタンD」を作るために、その元となるポーションを買いに行くことである。
本格的にソロ冒険者をしていく以上は、魔力はいくらあっても損はしないからな。
この薬は、俺の最大魔力量が魔力消費最大の付与術100回分に達した頃から久しく飲んでないが……もう一度、日課として飲むのを再開しようと思ったのである。
ちなみにその「元となるポーション」というのは、マナポーションのこと。
マナポーションは本来ただの魔力回復薬で、最大魔力量を増やすような効果は無いのだが……ちょちょいと付与術を施してやることで、最大魔力量を増やせる薬に変貌するのだ。
店に入ると、早速俺はマナポーションを探そうとした。
しかし……探そうとするまでもなく、マナポーションは店内の分かりやすい位置にこれでもかとばかりに山積みにされていた。
「マナポーション、やけにたくさんありますね」
レジでは、店員と思われる女の子が暇そうにしてたので……俺はそう声をかけてみた。
「それが……ちょっと前に、原料のマジヤ草がわけわかんないほど入荷されてね。マナポーションだけ有り余ってるんだ」
すると店員さんは、そう返してきた。
「あんな量のマジヤ草を採ってくるには、マイアズマタケの生えてる所から持ってくるしかないだろうに。一体誰がそんな無茶したんだろうねえ……」
店員さんはハァとため息をつきながら、そう続けた。
マジヤ草……あっ。
これもしかして、俺が原因か。
明らかな超過供給に困ってそうな店員さんの表情を見て、俺は少し申し訳なくなった。
だが……同時に俺は、こうも思った。
そういうことなら……今ならマナポーションを大量購入しても、迷惑にならないかもしれないぞ。
むしろ有り余る在庫がはけて、喜んでくれることだろう。
というわけで……俺はワゴン一個分のマナポーションの山を一気に購入することに決め、レジに持っていった。
「え゛……。こんなに買うの?」
すると店員さんは、驚いた顔になった。
「はい。毎日服用するので、まとまった量買っておこうと思って」
マナビタンDは、一日に飲める量の限界が決まっているので……毎日欠かさずコツコツと飲み続けることが肝心だからな。
そう考えつつ、俺は店員さんにそう答えた。
「マナポーションって、毎日飲むとかそういう類の薬じゃないと思うんだけど……」
すると店員さんは、困惑したような表情でそう言った。
そのまま店員さんは、レジ打ちに入り始めた。
だが……その作業の途中。
店員さんはふと何かに気づいたかのように手を止め……こう聞いてきた。
「マナポーションを毎日飲むって、どういう意味かと思ったけど……君、多分凄腕の錬金術師だよね。この職やってたら、見れば分かるもん。もしかして君……マナポーションを何かに変えて飲むつもり?」
どうやら俺は、錬金術師だと勘違いされてしまったみたいだった。
惜しいんだよな、俺、付与術師の方なんだよな。
まあ、俺も錬金術の勉強をした事が全く無いわけではないのだけれど。
錬金術と付与術は基礎理論が似通っていて、錬金術の基礎を学ぶことが付与術への理解を深めることにも繋がるので、一通りのことは習得しているのだ。
例えば俺がキリア草にかけた『遺伝子組み換え』や『ATPブースト』などは、かなり錬金術の理論を取り入れた付与術だったりするし。
「いやー、どっちかと言えば付与術メインですね」
というわけで、俺はそう答えた。
「ふーん。もし良かったら教えて欲しいんだけど……何作るの?」
「マナビタンD……最大魔力量増加薬ですね」
店員さんが更にしてきた質問にも、俺は隠さずそう答えた。
すると……店員さんは、急に怪訝な表情になった。
「最大魔力量増加薬? あんなの作っても、意味なくない?」
更に店員さんは、こうまくし立ててきた。
「飲んだところで、ほっとんど魔力伸びないし。飲んでも飲まなくても変わらないような、微々たる差しか出ないじゃん。そんなものを……本気で作って飲むって言ってるの?」
どうやら店員さんは、マナビタンDの効果を丸っきり信じていないみたいだった。
「いや、結構効果ありますよ」
流石に、俺もその言い分には反論させてもらった。
俺は今でこそ、付与術を学び始めた頃の何百倍もの最大魔力量があるが……それはひとえに、昔俺がマナビタンDを毎日コツコツ飲み続けていた成果なのだ。
付与効果の中には、魔力を流すことで初めて効果を発揮するものもいくつかあるが……その代表例である『念動運転』で長距離運転できるのは、俺にそうやって培った魔力があるからである。
微々たる差しか出ないなんて、そんなはずはない。
「じゃあ、ここで一本作ってみてよ」
すると店員さんは、そう返してきた。
しょうがない。
そこまで言うなら……一度実演して見せるとするか。
俺は今日の冒険はお休みして、代わりにポーション屋さんに立ち寄ることにした。
今日ポーション屋に寄る目的は一つ。
最大魔力量増加薬「マナビタンD」を作るために、その元となるポーションを買いに行くことである。
本格的にソロ冒険者をしていく以上は、魔力はいくらあっても損はしないからな。
この薬は、俺の最大魔力量が魔力消費最大の付与術100回分に達した頃から久しく飲んでないが……もう一度、日課として飲むのを再開しようと思ったのである。
ちなみにその「元となるポーション」というのは、マナポーションのこと。
マナポーションは本来ただの魔力回復薬で、最大魔力量を増やすような効果は無いのだが……ちょちょいと付与術を施してやることで、最大魔力量を増やせる薬に変貌するのだ。
店に入ると、早速俺はマナポーションを探そうとした。
しかし……探そうとするまでもなく、マナポーションは店内の分かりやすい位置にこれでもかとばかりに山積みにされていた。
「マナポーション、やけにたくさんありますね」
レジでは、店員と思われる女の子が暇そうにしてたので……俺はそう声をかけてみた。
「それが……ちょっと前に、原料のマジヤ草がわけわかんないほど入荷されてね。マナポーションだけ有り余ってるんだ」
すると店員さんは、そう返してきた。
「あんな量のマジヤ草を採ってくるには、マイアズマタケの生えてる所から持ってくるしかないだろうに。一体誰がそんな無茶したんだろうねえ……」
店員さんはハァとため息をつきながら、そう続けた。
マジヤ草……あっ。
これもしかして、俺が原因か。
明らかな超過供給に困ってそうな店員さんの表情を見て、俺は少し申し訳なくなった。
だが……同時に俺は、こうも思った。
そういうことなら……今ならマナポーションを大量購入しても、迷惑にならないかもしれないぞ。
むしろ有り余る在庫がはけて、喜んでくれることだろう。
というわけで……俺はワゴン一個分のマナポーションの山を一気に購入することに決め、レジに持っていった。
「え゛……。こんなに買うの?」
すると店員さんは、驚いた顔になった。
「はい。毎日服用するので、まとまった量買っておこうと思って」
マナビタンDは、一日に飲める量の限界が決まっているので……毎日欠かさずコツコツと飲み続けることが肝心だからな。
そう考えつつ、俺は店員さんにそう答えた。
「マナポーションって、毎日飲むとかそういう類の薬じゃないと思うんだけど……」
すると店員さんは、困惑したような表情でそう言った。
そのまま店員さんは、レジ打ちに入り始めた。
だが……その作業の途中。
店員さんはふと何かに気づいたかのように手を止め……こう聞いてきた。
「マナポーションを毎日飲むって、どういう意味かと思ったけど……君、多分凄腕の錬金術師だよね。この職やってたら、見れば分かるもん。もしかして君……マナポーションを何かに変えて飲むつもり?」
どうやら俺は、錬金術師だと勘違いされてしまったみたいだった。
惜しいんだよな、俺、付与術師の方なんだよな。
まあ、俺も錬金術の勉強をした事が全く無いわけではないのだけれど。
錬金術と付与術は基礎理論が似通っていて、錬金術の基礎を学ぶことが付与術への理解を深めることにも繋がるので、一通りのことは習得しているのだ。
例えば俺がキリア草にかけた『遺伝子組み換え』や『ATPブースト』などは、かなり錬金術の理論を取り入れた付与術だったりするし。
「いやー、どっちかと言えば付与術メインですね」
というわけで、俺はそう答えた。
「ふーん。もし良かったら教えて欲しいんだけど……何作るの?」
「マナビタンD……最大魔力量増加薬ですね」
店員さんが更にしてきた質問にも、俺は隠さずそう答えた。
すると……店員さんは、急に怪訝な表情になった。
「最大魔力量増加薬? あんなの作っても、意味なくない?」
更に店員さんは、こうまくし立ててきた。
「飲んだところで、ほっとんど魔力伸びないし。飲んでも飲まなくても変わらないような、微々たる差しか出ないじゃん。そんなものを……本気で作って飲むって言ってるの?」
どうやら店員さんは、マナビタンDの効果を丸っきり信じていないみたいだった。
「いや、結構効果ありますよ」
流石に、俺もその言い分には反論させてもらった。
俺は今でこそ、付与術を学び始めた頃の何百倍もの最大魔力量があるが……それはひとえに、昔俺がマナビタンDを毎日コツコツ飲み続けていた成果なのだ。
付与効果の中には、魔力を流すことで初めて効果を発揮するものもいくつかあるが……その代表例である『念動運転』で長距離運転できるのは、俺にそうやって培った魔力があるからである。
微々たる差しか出ないなんて、そんなはずはない。
「じゃあ、ここで一本作ってみてよ」
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