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第2話 辺境に戻ることにした
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そして……しばらくあてもなく歩き回り、ある程度心を落ち着かせた俺は、街中にある乗用馬車貸出所にやってきていた。
馬車を借りに来たのは、ここ王都を離れ、辺境の街に向かうためだ。
人生最大級の嫌な思いを、たった今したのだしな。
人生を仕切り直し、前向きに生きていくためには、ここを物理的に離れることが必要不可欠だと思ったのだ。
「すみません。乗用馬車一台お借りできますか?」
【インセインスレイヤー】は、前線都市に遠征に出かけている時を除けば、基本的に王都を活動拠点にしている。
王都でも前線都市でもない街に行けば、今後の人生彼らと会うことはまずないだろう。
などと思いつつ、俺は貸出所の受付嬢にそう質問した。
「乗用馬車ですね、少々お待ちください……」
受付嬢は引き出しから予約台帳を取り出し、パラパラとめくった。
「中型のが、一台空きがありますね」
確認を終えた受付嬢は、俺にそう告げた。
中型、か。一人だから、小型で良かったんだが……まあいいか。
「分かりました。じゃあ、それで」
「かしこまりました。お代は、車体分が十万ジャーチ。馬は、一頭あたり五万ジャーチとなります」
受付嬢に値段を示され……俺は鞄を開き、所持金を確認した。
今の俺の所持金は……十二万ジャーチ。
車体は借りれるが、馬を借りるには少々足りなかった。
……仕方ない。アレを使うことにするか。
「では……車体だけ、十万ジャーチでお借りすることはできますか?」
俺は受付嬢に、そんな借り方が可能かどうか聞いてみた。
「え……? まあ、可能か不可能かで言えば可能ですけど……そんなことしてどうするんですか?」
「それで移動するんですよ」
「何言ってるんですか……」
受付嬢は、呆れた様子でそう言ったが……不可能では無いと知れたので、俺は十万ジャーチを払い、馬車の車体を借りることにした。
「一旦ここを離れたら、払い戻しには応じませんよ?」
などと言われる中、受付嬢の案内のもと車庫へ向かう。
車庫が開けられると……そこには中型の馬車が一台だけ、ポツンと置かれてあった。
「これですけど……どうするんです?」
「こうするんですよ。——『念動運転』」
受付嬢に不思議そうな視線を向けられる中、俺は『念動運転』という、車輪のある物なら何でも念じるだけで動かせるようになる付与を馬車に施した。
「馬車が思い通りに動いてくれるような付与をかけました。これで目的地まで向かおうと思ってます」
両手を上に上げて馬車に触れてないことを示しつつ、馬車を前後に動かしてみる。
馬車が勝手に動く様を見て……受付嬢は、目が点になった。
「……は?」
口をあんぐりと開けた受付嬢は、そのまま動かなくなる。
「これでもう、出発して大丈夫ですよね?」
「え……あ……まあ……」
上の空で返事をする受付嬢を残し、俺は馬車に乗って運転し始めた。
◇
「そろそろスピード出していくか……」
正門を出て、しばらくして。
人通りが完全になくなったのを確認した俺は……『念動運転』の速度限界まで、スピードを上げることにした。
『念動運転』の速度限界は、付与術師の力量次第で変わるのだが……俺が付与した場合、中型の馬車ならチーターの全速力くらいで動かせるようになる。
加速しだすと、俺は後ろに引っ張られるような感覚と共に座席に押さえつけられたが……しばらくして加速が終わると、その感覚は完全になくなった。
街中でそんなスピードを出せば交通事故待ったなしだったので、さっきまでは徐行運転してたのだが……もうその心配は必要ない。
このペースで移動し、さっさと別の街に到着してしまおう。
などと考えつつ、俺は緩やかなカーブを描く街道を、ただひたすらに運転していった。
数時間、道中は平和だった。
魔物には一匹も遭遇することはなく、途中一度だけ遭遇しかけた盗賊団らしき連中も『念動運転』の速さには付いてこれなかったようで、ものの数分で撒くことができた。
このまま何事もなく、街に着くことができるかと思われた。
だがそんな時……俺は前方で、とある魔物が道のど真ん中に居座っているのを目撃してしまった。
そこにいたのは、青い猪型の魔物——ボアヴァルカンだった。
良く目を凝らすと、ボアヴァルカンは誰かと交戦中で、その近くには半壊した馬車と腕を押さえてうずくまっている人が見えた。
おそらくボアヴァルカンに追突され、馬車を壊されてしまったのだろう。
——交戦中の人も苦戦しているみたいだし……このままだと、二人ともボアヴァルカンの餌食になってしまうだろうな。
何とかして、助けてあげたいところだな。
「『交通事故ダメージ非対称化』『ミニターボ』」
俺は馬車に続けざまに二つの付与をかけ、戦闘態勢を整え始めた。
『交通事故ダメージ非対称化』は文字通り、衝突時自分の乗り物のダメージを減少させると同時に衝突相手のダメージを増加させる付与効果。
そして『ミニターボ』は、ドリフトをかけることで「ターボ」という加速因子を溜め、解放して瞬間的な加速を得る付与効果だ。
ドリフトを開始し、ターボを溜め始める。
青……黄……紫……。
後輪から出る火花の色の変化を見て、俺はターボが上限まで溜まったのを確認した。
ターボ発動中は、車体が少し頑丈になるという副次効果もある。
この勢いそのままボアヴァルカンに突っ込めば、ボアヴァルカンを絶命させ、かつこちらは無事でいられるだろう。
「ミニターボ解放」
そして……いよいよボアヴァルカンが目前まで迫ったところで、ドリフトをやめてターボを発動させ始めた。
最高速度に達した瞬間、俺は馬車共々猪に勢いよくぶつかった。
馬車を借りに来たのは、ここ王都を離れ、辺境の街に向かうためだ。
人生最大級の嫌な思いを、たった今したのだしな。
人生を仕切り直し、前向きに生きていくためには、ここを物理的に離れることが必要不可欠だと思ったのだ。
「すみません。乗用馬車一台お借りできますか?」
【インセインスレイヤー】は、前線都市に遠征に出かけている時を除けば、基本的に王都を活動拠点にしている。
王都でも前線都市でもない街に行けば、今後の人生彼らと会うことはまずないだろう。
などと思いつつ、俺は貸出所の受付嬢にそう質問した。
「乗用馬車ですね、少々お待ちください……」
受付嬢は引き出しから予約台帳を取り出し、パラパラとめくった。
「中型のが、一台空きがありますね」
確認を終えた受付嬢は、俺にそう告げた。
中型、か。一人だから、小型で良かったんだが……まあいいか。
「分かりました。じゃあ、それで」
「かしこまりました。お代は、車体分が十万ジャーチ。馬は、一頭あたり五万ジャーチとなります」
受付嬢に値段を示され……俺は鞄を開き、所持金を確認した。
今の俺の所持金は……十二万ジャーチ。
車体は借りれるが、馬を借りるには少々足りなかった。
……仕方ない。アレを使うことにするか。
「では……車体だけ、十万ジャーチでお借りすることはできますか?」
俺は受付嬢に、そんな借り方が可能かどうか聞いてみた。
「え……? まあ、可能か不可能かで言えば可能ですけど……そんなことしてどうするんですか?」
「それで移動するんですよ」
「何言ってるんですか……」
受付嬢は、呆れた様子でそう言ったが……不可能では無いと知れたので、俺は十万ジャーチを払い、馬車の車体を借りることにした。
「一旦ここを離れたら、払い戻しには応じませんよ?」
などと言われる中、受付嬢の案内のもと車庫へ向かう。
車庫が開けられると……そこには中型の馬車が一台だけ、ポツンと置かれてあった。
「これですけど……どうするんです?」
「こうするんですよ。——『念動運転』」
受付嬢に不思議そうな視線を向けられる中、俺は『念動運転』という、車輪のある物なら何でも念じるだけで動かせるようになる付与を馬車に施した。
「馬車が思い通りに動いてくれるような付与をかけました。これで目的地まで向かおうと思ってます」
両手を上に上げて馬車に触れてないことを示しつつ、馬車を前後に動かしてみる。
馬車が勝手に動く様を見て……受付嬢は、目が点になった。
「……は?」
口をあんぐりと開けた受付嬢は、そのまま動かなくなる。
「これでもう、出発して大丈夫ですよね?」
「え……あ……まあ……」
上の空で返事をする受付嬢を残し、俺は馬車に乗って運転し始めた。
◇
「そろそろスピード出していくか……」
正門を出て、しばらくして。
人通りが完全になくなったのを確認した俺は……『念動運転』の速度限界まで、スピードを上げることにした。
『念動運転』の速度限界は、付与術師の力量次第で変わるのだが……俺が付与した場合、中型の馬車ならチーターの全速力くらいで動かせるようになる。
加速しだすと、俺は後ろに引っ張られるような感覚と共に座席に押さえつけられたが……しばらくして加速が終わると、その感覚は完全になくなった。
街中でそんなスピードを出せば交通事故待ったなしだったので、さっきまでは徐行運転してたのだが……もうその心配は必要ない。
このペースで移動し、さっさと別の街に到着してしまおう。
などと考えつつ、俺は緩やかなカーブを描く街道を、ただひたすらに運転していった。
数時間、道中は平和だった。
魔物には一匹も遭遇することはなく、途中一度だけ遭遇しかけた盗賊団らしき連中も『念動運転』の速さには付いてこれなかったようで、ものの数分で撒くことができた。
このまま何事もなく、街に着くことができるかと思われた。
だがそんな時……俺は前方で、とある魔物が道のど真ん中に居座っているのを目撃してしまった。
そこにいたのは、青い猪型の魔物——ボアヴァルカンだった。
良く目を凝らすと、ボアヴァルカンは誰かと交戦中で、その近くには半壊した馬車と腕を押さえてうずくまっている人が見えた。
おそらくボアヴァルカンに追突され、馬車を壊されてしまったのだろう。
——交戦中の人も苦戦しているみたいだし……このままだと、二人ともボアヴァルカンの餌食になってしまうだろうな。
何とかして、助けてあげたいところだな。
「『交通事故ダメージ非対称化』『ミニターボ』」
俺は馬車に続けざまに二つの付与をかけ、戦闘態勢を整え始めた。
『交通事故ダメージ非対称化』は文字通り、衝突時自分の乗り物のダメージを減少させると同時に衝突相手のダメージを増加させる付与効果。
そして『ミニターボ』は、ドリフトをかけることで「ターボ」という加速因子を溜め、解放して瞬間的な加速を得る付与効果だ。
ドリフトを開始し、ターボを溜め始める。
青……黄……紫……。
後輪から出る火花の色の変化を見て、俺はターボが上限まで溜まったのを確認した。
ターボ発動中は、車体が少し頑丈になるという副次効果もある。
この勢いそのままボアヴァルカンに突っ込めば、ボアヴァルカンを絶命させ、かつこちらは無事でいられるだろう。
「ミニターボ解放」
そして……いよいよボアヴァルカンが目前まで迫ったところで、ドリフトをやめてターボを発動させ始めた。
最高速度に達した瞬間、俺は馬車共々猪に勢いよくぶつかった。
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