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第三章【陰陽師編】
一位&一位
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どうしよう……どうすればいいんだ。
「おや?浮かない顔だね、佐藤恭」
「そ、そりゃそうだろうよ」
なんだってこんな時にそんな事を言い出す。大切な仲間が奪われるんだ、当たり前だろうが!
「まーさか、気づいていないのかな?この違和感に。ふふっ」
「違和感??」
『続きまして、エントリーナンバーゼロ番……』
「ほ、他に決勝に出てた奴が……居るのか……!?」
「そうみたいだね。この観客は、ざっと百五十人は居たしね~」
『飛び入り参加、佐藤恭!!』
──!!
「お、俺ぇぇぇぇえ!!?」
困惑する俺を置いて、司会者の発表は続く。
『百十五票!!!よって、美少女コンテストの優勝者は、佐藤恭君に決定いたしましたぁぁぁぁ!!皆さん佐藤恭君に温かい拍手をお願い致します!!』
何故だ……全く意味が分からない。なんで俺が選ばれたんだよ……
放心状態の俺を他所に、会場は大きな拍手に包まれる。更に、拍手に混ざり歓声が聞こえてくる。
「カッコよかったぞ!」「感動した!」「勇気あるじゃねーか!」「お前に投票しちまったぜ!」
つ、つまり……
「あ~あ、美味しい所を持っていっちゃうんだもんな~、本当ズルイわね」
とニヤケながら間場 凛が冗談めいた口調で話しかけてくる。
ゲス男にぶん殴られながらも立ち向かい、臆することなく『守る』と言った俺の姿が、観客の心を掴んだらしい。
観客達は、真っ白な紙に名前を書くシステムだったゆえ、思わず『佐藤恭』と書いたのだろう。
これは……勝った……んだよな?
隣に居た間場 凛を見ると、「どうやらそのようだね」と、この結果に文句はない様子。
「あははは……やっ…………どわっ!」
喜びと安堵がこみ上げる。そして大きくガッツポーズをキメるより先に、サタコが俺のお腹に飛び込んで来た。
「やったな恭ぉぉ!!流石だ!」
「凶さんカッコよかったです!!おめでとうございます!!」
サタコとシルシルに祝福され、俺はなんだか照れくさくなった。ともあれ、ハッピーエンドだな!
──。
その後表彰式が行われる為、俺は近くに作られた特設ステージに上がる。なんでも、イケメン一位が、美少女一位に告白するというのがこのコンテストの通例の様だ。一位同士とあって、カップル成立も少なく無いんだとか。ただ、
俺は男なんだよな……
これではイケメン一位が可愛そうだろ!とか、なんの公開処刑だよ!とか、色々ツッコミが頭を過ぎったが、特設ステージに登ってきたイケメン一位を見て全てのツッコミが塗り替えられた。
「お前かよぉぉぉぉぉぉ!!!」
そう、イケメンコンテストを勝ち抜いたのは、雪水 涼だった!
奇しくも、イケメン一位が女の子で、美少女一位が男の子という奇跡っぷり。
「どんなかわい子ちゃんが待っているかと来てみれば、恭じゃないか」
涼がふふふっと笑い俺の前に立つと、司会者により進行がスタートされる。
『それでは、雪水 涼くん!思いの丈をお願いします!!!』
本来ならばここで『きゃ~!』や『ヒューヒュー』とか『やれやれー』みたいなのがあると思うんだけど、案の定観客は無言だった。
シーーーーーン……
ですよね。傍から見たら『男と男』ですものね。
しかし……
涼って女の子と知ってて近くで見ると、なかなか可愛いな……綺麗な顔立ちをしているとは思っていたが、ボーイッシュという括りで見れば、全然アリだ。
「恭、この場を借りて前から言いたかった事を伝えたい」
「え……」
な、なんだよ急にシリアスになりやがって。俺の心臓よ、ドキドキするんじゃないよ。
「実は俺には前から思いを寄せている人が居る」
涼の言葉にざわざわと、ざわつき始める会場。
「だ、誰だよそれ……」
「その人の名前は……」
バッと指差し、涼は想い人の名前を発表する。
「福田 幸さん!俺は君が好きだ!もし良かったらお付き合いして頂きたい!」
突然指さされ、名前を呼ばれたユキちゃんは、会場でおどおどしていたが、顔を赤くし小さな声で、
「宜しくお願いします」と、答えた。
えぇ!?だってユキちゃんソイツは……いったい何が何やら、俺の頭の中はパニック状態だ。
しかし会場からは大きな拍手と、歓声が湧き上がった!観客は知らないのだ。雪水 涼が『女の子』だということを。
──。
俺達はそのまま表彰を受け、それぞれ図書券五万円分を受け取り、程なくして解散となった。
サタコが俺にちょこちょこと近寄って来て、ポンポンと肩を叩く。
余計なお世話だっつーの。
「恭。ヒロイン候補が二人いっぺんに脱落したな」
「誰と誰だよ!?」
いつもの茶番を繰り広げていたら、今度はシルシルが駆け寄ってくる。
「凶さん!間場さんが、疲れたから先に帰るって言って帰っちゃいました」
「えぇぇ!?いやいや、約束は!?」
「それが、これを凶さんに渡してくれって……」
そう言ってシルシルがポケットから取り出したのは、
「携帯番号とメールアドレスか……まぁ、皆無事だったし、俺も疲れたから、これでいっか!」
「ですね」とニッコリ笑うシルシル。
こうして俺達の学園祭は幕を閉じた。
「恭。確か明日も学園祭あるのだろ?」
「それは言わないでぇぇぇぇぇぇ!!!」
「おや?浮かない顔だね、佐藤恭」
「そ、そりゃそうだろうよ」
なんだってこんな時にそんな事を言い出す。大切な仲間が奪われるんだ、当たり前だろうが!
「まーさか、気づいていないのかな?この違和感に。ふふっ」
「違和感??」
『続きまして、エントリーナンバーゼロ番……』
「ほ、他に決勝に出てた奴が……居るのか……!?」
「そうみたいだね。この観客は、ざっと百五十人は居たしね~」
『飛び入り参加、佐藤恭!!』
──!!
「お、俺ぇぇぇぇえ!!?」
困惑する俺を置いて、司会者の発表は続く。
『百十五票!!!よって、美少女コンテストの優勝者は、佐藤恭君に決定いたしましたぁぁぁぁ!!皆さん佐藤恭君に温かい拍手をお願い致します!!』
何故だ……全く意味が分からない。なんで俺が選ばれたんだよ……
放心状態の俺を他所に、会場は大きな拍手に包まれる。更に、拍手に混ざり歓声が聞こえてくる。
「カッコよかったぞ!」「感動した!」「勇気あるじゃねーか!」「お前に投票しちまったぜ!」
つ、つまり……
「あ~あ、美味しい所を持っていっちゃうんだもんな~、本当ズルイわね」
とニヤケながら間場 凛が冗談めいた口調で話しかけてくる。
ゲス男にぶん殴られながらも立ち向かい、臆することなく『守る』と言った俺の姿が、観客の心を掴んだらしい。
観客達は、真っ白な紙に名前を書くシステムだったゆえ、思わず『佐藤恭』と書いたのだろう。
これは……勝った……んだよな?
隣に居た間場 凛を見ると、「どうやらそのようだね」と、この結果に文句はない様子。
「あははは……やっ…………どわっ!」
喜びと安堵がこみ上げる。そして大きくガッツポーズをキメるより先に、サタコが俺のお腹に飛び込んで来た。
「やったな恭ぉぉ!!流石だ!」
「凶さんカッコよかったです!!おめでとうございます!!」
サタコとシルシルに祝福され、俺はなんだか照れくさくなった。ともあれ、ハッピーエンドだな!
──。
その後表彰式が行われる為、俺は近くに作られた特設ステージに上がる。なんでも、イケメン一位が、美少女一位に告白するというのがこのコンテストの通例の様だ。一位同士とあって、カップル成立も少なく無いんだとか。ただ、
俺は男なんだよな……
これではイケメン一位が可愛そうだろ!とか、なんの公開処刑だよ!とか、色々ツッコミが頭を過ぎったが、特設ステージに登ってきたイケメン一位を見て全てのツッコミが塗り替えられた。
「お前かよぉぉぉぉぉぉ!!!」
そう、イケメンコンテストを勝ち抜いたのは、雪水 涼だった!
奇しくも、イケメン一位が女の子で、美少女一位が男の子という奇跡っぷり。
「どんなかわい子ちゃんが待っているかと来てみれば、恭じゃないか」
涼がふふふっと笑い俺の前に立つと、司会者により進行がスタートされる。
『それでは、雪水 涼くん!思いの丈をお願いします!!!』
本来ならばここで『きゃ~!』や『ヒューヒュー』とか『やれやれー』みたいなのがあると思うんだけど、案の定観客は無言だった。
シーーーーーン……
ですよね。傍から見たら『男と男』ですものね。
しかし……
涼って女の子と知ってて近くで見ると、なかなか可愛いな……綺麗な顔立ちをしているとは思っていたが、ボーイッシュという括りで見れば、全然アリだ。
「恭、この場を借りて前から言いたかった事を伝えたい」
「え……」
な、なんだよ急にシリアスになりやがって。俺の心臓よ、ドキドキするんじゃないよ。
「実は俺には前から思いを寄せている人が居る」
涼の言葉にざわざわと、ざわつき始める会場。
「だ、誰だよそれ……」
「その人の名前は……」
バッと指差し、涼は想い人の名前を発表する。
「福田 幸さん!俺は君が好きだ!もし良かったらお付き合いして頂きたい!」
突然指さされ、名前を呼ばれたユキちゃんは、会場でおどおどしていたが、顔を赤くし小さな声で、
「宜しくお願いします」と、答えた。
えぇ!?だってユキちゃんソイツは……いったい何が何やら、俺の頭の中はパニック状態だ。
しかし会場からは大きな拍手と、歓声が湧き上がった!観客は知らないのだ。雪水 涼が『女の子』だということを。
──。
俺達はそのまま表彰を受け、それぞれ図書券五万円分を受け取り、程なくして解散となった。
サタコが俺にちょこちょこと近寄って来て、ポンポンと肩を叩く。
余計なお世話だっつーの。
「恭。ヒロイン候補が二人いっぺんに脱落したな」
「誰と誰だよ!?」
いつもの茶番を繰り広げていたら、今度はシルシルが駆け寄ってくる。
「凶さん!間場さんが、疲れたから先に帰るって言って帰っちゃいました」
「えぇぇ!?いやいや、約束は!?」
「それが、これを凶さんに渡してくれって……」
そう言ってシルシルがポケットから取り出したのは、
「携帯番号とメールアドレスか……まぁ、皆無事だったし、俺も疲れたから、これでいっか!」
「ですね」とニッコリ笑うシルシル。
こうして俺達の学園祭は幕を閉じた。
「恭。確か明日も学園祭あるのだろ?」
「それは言わないでぇぇぇぇぇぇ!!!」
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