凶から始まる凶同生活!!

風浦らの

文字の大きさ
上 下
62 / 90
第三章【陰陽師編】

イケメンコンテスト

しおりを挟む
 ■■■■

    俺達は模擬店を見つけて、お好み焼きを食べながら一息ついていた。

 お好み焼きに乗った鰹節がウネウネと動くのを見て、サタコはビクッとしている。虫だとでも思っているのだろうか。


「サタコちゃんもお好み焼き食べますか?」

 気を使ってシルシルがサタコに勧めてみるが、首をフルフルと横に振り拒否している。余程鰹節が怖いのだろう。


 ──お集まりの皆様にお知らせです。これより、『イケメン、美少女コンテスト』を開催致します。エントリーを受け付けますので、参加者の方は学園入口までお集まり下さい。尚、優勝者には『図書券五万円分』を進呈致しますので、皆様奮ってご参加お願い致します。──


「恭。図書券とはなんだ?優勝したら貰えるのか?」
「あぁ。図書券ってのは、本を買う時に使うお金みたいなもんだな。五万円分貰えるみたいだな。結構な金額だぜ」


 俺の説明を聞いたサタコは、よいしょと椅子を降り、学園の入口の方へトコトコと歩き出す。


「おいサタコ、まさか出るつもりなのか?    無謀だからやめとけって」
「む?    結構見た目には自信があるのだがな?」


 サタコは振り向き、自信満々の顔で言い放ち、ワンピースの裾を摘みクルリと回ってみせた。

「確かに可愛らしい見た目をしているけど、お前の守備範囲は狭すぎる。敗北は目に見えているぜ」
「くっ、ならばシルシルならどうなのだ?    私が言うのもなんだが、なかなか可愛いぞ?」


 サタコの視線に釣られて俺もシルシルを見る。確かに可愛い……

「え、え?    やめてくださいよ、私なんて無理ですって」
「シルシル出るのだ。そして私に漫画を山ほど買うのだ。私も一緒に出てやるから。な?な?」


 サタコに手を掴まれ、グイグイと引っ張られて行くシルシル。ま、俺もちょっと見てみたいから止めはしないのだが。

 ■■■■


 皆で学園の入口に戻り、受付のテーブルにて係の人に受付番号の書かれたプレートを貰った。

 サタコが四番、シルシルが五番らしい。ちょっと楽しみになってきた。

「凶さん、やるからには頑張るのですが、代わりに凶さんもイケメンコンテストに出てください」

「え?    いやいや、俺なんて無理だよ。そもそも俺はイケメンじゃないし……」
「私だって自分が美少女だなんて思ってません。でも凶さんなら、もしかしたら優勝できるかもしれませんよ」
「で、でもよ……」

    更に言い訳を重ね回避しようとしていた俺だったのだが、突然腕を掴まれた。

 「え?」

    驚き見てみれば、大吉だった。

「恭~、丁度いい所にいるじゃねーか。よし行くぞ!」
「行くって何処にだよ?」
「決まってんだろ?『イケメンコンテスト』だよ!    俺達が出ねーでどうするんだよ?    なっはっはっは」

 行ってらっしゃいと手を振るサタコとシルシル。大吉に連れられて俺は少し離れた受付のテーブルに強引に連れて行かれてしまった。
 そして、流れるように受付にて番号の書かれたプレートを貰う。俺が八番で、大吉が九番。

    あははは……大吉はともかく俺なんかじゃ無理だ。精々恥を晒して終わりだぜ……


 ■■■■


『これより、イケメンコンテストを行います!!』


 エントリー者は全部で十人。一番から順番に、観客の前で簡単な自己紹介をするようだ。それを見て、観客が投票し、その上位四名が決勝に進む。決勝では特技を披露して自己アピール。その後に決選投票が行われ優勝者が決まるらしい。

    出場者は暗幕で仕切られた場所で待機し、一番から順に呼ばれてステージに立つ。そして今は各々出番を待っている所だ。

 それはいいんだけど……

「なんでお前がここに居るんだよ!?」
「ん?    俺は七番だ。この位置で間違いない。お互い頑張ろう」

 俺の一つ前に居たのは金髪をワックスで立てた男(女)涼だ。

「いや、そういう事じゃなくて……」
「知らないのか?恭。このコンテストは、この大学に通っていなくても出場出来るんだよ」
「いや、そういう事でもなくてだな……」

『次の方どうぞー』


 誘導員の声に従い、涼が暗幕から出て会場に姿を現す。


「キャ~涼様~!」
「涼ちゃーん」
「涼くんカッコイイ!」
  「イケメーン!」


 こっちからは見えないが、黄色い声が飛び交っているな。すげぇ人気だな……うわぁ……緊張してきたぁ。

 程なくして涼が戻ってくると、すれ違いざまに俺の肩をポンと叩き「決勝で待ってる」と一言。

 なんのバトルマンガですかぁ!?


『次の方どうぞー』
「あ、ハイッ!」

 俺は誘導員に従い暗幕を潜る。くぐった先は小さな舞台になっていて、観衆が周りを取り囲んでいた。俺はあまりの迫力についビビってしまう。


「は、は、初めまして!    佐藤恭です、エントリーナンバー八番です!    よ、宜しくお願いします!」


 心臓が口から出そうだぜ……早く終わってくれぇぇ……


「恭くーん!」
「可愛いー!」
「新人類!」
「ブラ男~」
「応援してるわよー」


 なんか俺の時だけ変な声も混ざってるんですけどぉぉぉ!!!

 自己紹介を終え、俺はなんとか幕の中に戻って来れた。

 待っていた大吉の肩をポンと叩き「あとは任せた」と言う。大吉はバトルマンガの様に、親指を立て「おう!」と言って出て行った。


「わははは」
「大吉~!!」
「あははっおっかしい~」


 なんか笑い声が凄いな……


 ■■■■


 こうしてイケメンコンテストを終えたのだったが、残念ながら俺は予選落ちしてしまった。しかし、涼と大吉は決勝に進む事に。なんとか優勝して欲しいものだ。


「っと、美少女コンテストはどうなったかな?見に行かねぇと」


 俺は美少女コンテストが行われている会場に向かった。

 すぐ近くで同時進行で行われていた美少女コンテストの会場に着くと、丁度決勝進出者の発表が行われていた所だった。


『それでは決勝に進む美少女四名を発表します!!!』


 ドルルルルルルルというドラムロールが響き、なり止むと同時に発表される。


『エントリーナンバー二番、モブ子ちゃん!』

 え?名前からして脇役感が凄い……

『エントリーナンバー四番、小悪魔サタコちゃーん!』

 マジかよ、日本の未来が心配だぜ……

『エントリーナンバー五番、可愛すぎる巫女、天神  瑞ちゃーん!』

 ほっ。流石シルシル!    絶対決勝に
 残ると信じてたぜ!

『そして最後は、エントリーナンバー十番!    謎の美少女、間場  凛まじょうりんちゃーん!!』


 ──ッッッ!!!


 え……!?
    まじょう……りん……
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】初級魔法しか使えない低ランク冒険者の少年は、今日も依頼を達成して家に帰る。

アノマロカリス
ファンタジー
少年テッドには、両親がいない。 両親は低ランク冒険者で、依頼の途中で魔物に殺されたのだ。 両親の少ない保険でやり繰りしていたが、もう金が尽きかけようとしていた。 テッドには、妹が3人いる。 両親から「妹達を頼む!」…と出掛ける前からいつも約束していた。 このままでは家族が離れ離れになると思ったテッドは、冒険者になって金を稼ぐ道を選んだ。 そんな少年テッドだが、パーティーには加入せずにソロ活動していた。 その理由は、パーティーに参加するとその日に家に帰れなくなるからだ。 両親は、小さいながらも持ち家を持っていてそこに住んでいる。 両親が生きている頃は、父親の部屋と母親の部屋、子供部屋には兄妹4人で暮らしていたが…   両親が死んでからは、父親の部屋はテッドが… 母親の部屋は、長女のリットが、子供部屋には、次女のルットと三女のロットになっている。 今日も依頼をこなして、家に帰るんだ! この少年テッドは…いや、この先は本編で語ろう。 お楽しみくださいね! HOTランキング20位になりました。 皆さん、有り難う御座います。

【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる

三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。 こんなはずじゃなかった! 異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。 珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に! やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活! 右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり! アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

スキルが【アイテムボックス】だけってどうなのよ?

山ノ内虎之助
ファンタジー
高校生宮原幸也は転生者である。 2度目の人生を目立たぬよう生きてきた幸也だが、ある日クラスメイト15人と一緒に異世界に転移されてしまう。 異世界で与えられたスキルは【アイテムボックス】のみ。 唯一のスキルを創意工夫しながら異世界を生き抜いていく。

魅了が解けた貴男から私へ

砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。 彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。 そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。 しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。 男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。 元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。 しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。 三話完結です。

エリクサーは不老不死の薬ではありません。~完成したエリクサーのせいで追放されましたが、隣国で色々助けてたら聖人に……ただの草使いですよ~

シロ鼬
ファンタジー
エリクサー……それは生命あるものすべてを癒し、治す薬――そう、それだけだ。 主人公、リッツはスキル『草』と持ち前の知識でついにエリクサーを完成させるが、なぜか王様に偽物と判断されてしまう。 追放され行く当てもなくなったリッツは、とりあえず大好きな草を集めていると怪我をした神獣の子に出会う。 さらには倒れた少女と出会い、疫病が発生したという隣国へ向かった。 疫病? これ飲めば治りますよ? これは自前の薬とエリクサーを使い、聖人と呼ばれてしまった男の物語。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

処理中です...