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課金すれば【強くなる】んだ!
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【ファミクエ内】
このファミクエ内では、ある一定周期で【レイドボス】というのが現れる。
簡単に説明すると、巨大な敵が現れ、それをみんなで力を合わせて倒すイベントである。
そしてその活躍度合いによって報酬が与えられ、よりファミクエ内で優遇されたり、称号が与えられたりする。ファミクエ内でも人気のコンテンツだ。
そしてこの日はそのレイドボスが現れる日──────
「おー、カイジ。気合入ってるね!」
「そりゃ久しぶりのレイドボスだからな─────ってズミさん、その武器ッ!!」
「ふっふっふ。気づいた? ちょっと奮発しちゃったよ」
ズミの手には、眩い光を放つ長剣が握られていた。その他を寄せつけない輝きは、紛うことなき名刀の証────
「それって、この間出たばかりのスーパーレア武器じゃないですか! すっげえええ!」
「いいだろ? おっしゃー、いくぞカイジ! 付いてこい───ッ!」
「おおーズミさん頼もしい!!」
今回のボスは巨大なドラゴンだ。
一人では到底勝ち目は無いが、周りにいる他のプレイヤーと共に力を合わせて撃退するのだ。
そしてカイジ達もこの流れに遅れまいと、ズミを先頭にし強敵ドラゴンに立ち向かった。
「行っけえぇぇぇぇぇズミさんッッ!!」
「うおっしゃああ──────ッ!!!」
ズミの大きく振りかぶった一撃が、ドラゴンの眉間を捉えた!!
そして次の瞬間───────
「ぎゃあああっ! 買ったばかりの『エコスカリバー』が折れたあああッ!!」
「えええ─────ッ! そ、それ『五万円』するやつ!!」
課金して買ったばかりの聖剣が見事に真っ二つに折れた。これでは、もうこの強敵ドラゴンには到底太刀打ちできない。
────だが、ここで引いては課金した意味が無い。五万円を無駄にしない為にも、なんとしてもこのドラゴンを倒さなければならない。
圧倒的課金厨の思考回路────ッ!!
「カイジ、ちょっと待ってろ。十万円の『紫鮫』買ってくる!!」
「ち、ちょっとズミさん!? お金大丈夫ですか!? 十万円ですよ!? 十万ッッ!!」
「大丈夫大丈夫! お金なら自動的に入金されるから」
そして直ぐにズミは宣言通りに名刀『紫鮫』を担いで帰って来た。
その後、激闘の末、ズミは金に物を言わせたウルトラレア武器を駆使してドラゴンを一刀両断にし、無事報酬を得たのであった。
結果、それが損か得かは分からないが、パーティーメンバーのみならず、他のプレイヤーからもチヤホヤされたズミの心は満足感でいっぱいになった。
■■■■■■■■■■
そして【現実世界】
次の日の夕食────
この日は快晴の誕生日で、家族団欒の滅多に無い華やかな食事会が催される────筈だった。
「おふくろ、ケーキちっさくね?」
「贅沢言わないの」
「それに料理も……いつもと……いや、いつもよりショボイくね?」
「ウチだってそんなに裕福じゃないんだよ! 文句ならこの人に言いな!」
母(鈴美)の指さした先で、父(礼二)が小さくなっていた。
そんな父親を見た快晴は言葉を無くし、その後17歳の誕生日は囁かに執り行われ、勝木家の平穏が保たれた。
無論、母がゲームに散財している事は、知る由もなかった。
このファミクエ内では、ある一定周期で【レイドボス】というのが現れる。
簡単に説明すると、巨大な敵が現れ、それをみんなで力を合わせて倒すイベントである。
そしてその活躍度合いによって報酬が与えられ、よりファミクエ内で優遇されたり、称号が与えられたりする。ファミクエ内でも人気のコンテンツだ。
そしてこの日はそのレイドボスが現れる日──────
「おー、カイジ。気合入ってるね!」
「そりゃ久しぶりのレイドボスだからな─────ってズミさん、その武器ッ!!」
「ふっふっふ。気づいた? ちょっと奮発しちゃったよ」
ズミの手には、眩い光を放つ長剣が握られていた。その他を寄せつけない輝きは、紛うことなき名刀の証────
「それって、この間出たばかりのスーパーレア武器じゃないですか! すっげえええ!」
「いいだろ? おっしゃー、いくぞカイジ! 付いてこい───ッ!」
「おおーズミさん頼もしい!!」
今回のボスは巨大なドラゴンだ。
一人では到底勝ち目は無いが、周りにいる他のプレイヤーと共に力を合わせて撃退するのだ。
そしてカイジ達もこの流れに遅れまいと、ズミを先頭にし強敵ドラゴンに立ち向かった。
「行っけえぇぇぇぇぇズミさんッッ!!」
「うおっしゃああ──────ッ!!!」
ズミの大きく振りかぶった一撃が、ドラゴンの眉間を捉えた!!
そして次の瞬間───────
「ぎゃあああっ! 買ったばかりの『エコスカリバー』が折れたあああッ!!」
「えええ─────ッ! そ、それ『五万円』するやつ!!」
課金して買ったばかりの聖剣が見事に真っ二つに折れた。これでは、もうこの強敵ドラゴンには到底太刀打ちできない。
────だが、ここで引いては課金した意味が無い。五万円を無駄にしない為にも、なんとしてもこのドラゴンを倒さなければならない。
圧倒的課金厨の思考回路────ッ!!
「カイジ、ちょっと待ってろ。十万円の『紫鮫』買ってくる!!」
「ち、ちょっとズミさん!? お金大丈夫ですか!? 十万円ですよ!? 十万ッッ!!」
「大丈夫大丈夫! お金なら自動的に入金されるから」
そして直ぐにズミは宣言通りに名刀『紫鮫』を担いで帰って来た。
その後、激闘の末、ズミは金に物を言わせたウルトラレア武器を駆使してドラゴンを一刀両断にし、無事報酬を得たのであった。
結果、それが損か得かは分からないが、パーティーメンバーのみならず、他のプレイヤーからもチヤホヤされたズミの心は満足感でいっぱいになった。
■■■■■■■■■■
そして【現実世界】
次の日の夕食────
この日は快晴の誕生日で、家族団欒の滅多に無い華やかな食事会が催される────筈だった。
「おふくろ、ケーキちっさくね?」
「贅沢言わないの」
「それに料理も……いつもと……いや、いつもよりショボイくね?」
「ウチだってそんなに裕福じゃないんだよ! 文句ならこの人に言いな!」
母(鈴美)の指さした先で、父(礼二)が小さくなっていた。
そんな父親を見た快晴は言葉を無くし、その後17歳の誕生日は囁かに執り行われ、勝木家の平穏が保たれた。
無論、母がゲームに散財している事は、知る由もなかった。
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