不器用な指先

merori

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6年前、忘れられない少女

大人びた少女

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僕の自宅から車で30分程で到着した先は…これから非常勤で勤める中学校だ。



まだ僕が非常勤講師のため、体調不良の理科教諭の代わりに僕がこの学校の2年生の理科の授業をすることになった。

どうやらこの中学校はかなり荒れているようだ。
『生徒への扱い気をつけて、そうじゃないと痛い目に遭います』と教頭から忠告された。

生徒への扱い……気をつけろと言われても難しいものだ。
とりあえず、僕は僕らしく授業をやっていこう。






「これから三学期末まで理科の担当します。渡辺宏貴です。よろしくお願いします。」


生徒達に僕はそう言ったが、誰も僕の挨拶を聞きもしなかった。 

……こういうことか、荒れているというのは。




だが、一人だけ僕の目を見ている女生徒がいた。

彼女は白く透明感のある肌に大きな瞳…さらさらのロングヘアを二つに結んでいる。
教え子にこんなことを思うのは罪悪感があるが、とても綺麗な少女だった。


荒れているこの教室の中で、この少女はとても浮いている。
見た感じ、友人は居るみたいだが…その友人はどちらかというと明るく自由奔放な女生徒だ。


「さよ~!昼休み、3年生ンとこ行こうよ~!福田先輩に会いたいの~~」

「わかったよ、それじゃ給食食べ終わったら行こうね」


…この少女の名前はさよ、小夜。
思わず出席簿を見た。

【鈴木 小夜】


容姿端麗でとても大人びていて…そして、どこからか儚い雰囲気。





僕はこの時、鈴木小夜と忘れられない出来事が起こるなんて…思ってもいなかった。



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