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正体不明の
教育
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朝ごはんはおいしかった。いつもよりもおいしくすら感じたのだが、いかんせん量が多い。いつもの二倍以上はあるだろう。
アルがこのように朝食に気合を入れる時はいつも決まって、僕と喧嘩した時だった。
昨晩も今朝も喧嘩した記憶はないから、もしかしたら昨晩の魔法の話を気にしてのことなのかもしれない。ともかく、それはもうどうでもいい。
「こんなに食べられないよ」
こんな風に文句を言われたら怒りたくもなるはずだが、彼女は比較的穏やかだ。
「ちょうど私もそう思っていたところ」
彼女自身作りすぎたと感じていたようで、反省しているようだ。
このご時世、食べ物を粗末にできるほど食料が有り余っているというわけでもない。だから多く食物をとりすぎる必要性もないし、もっと有意義に使うべきだろう。それが食材に対する感謝の気持ちというやつだ。
僕は余った料理を冷蔵する。水系統の魔法によって温度を下げている保存庫があるのだ。そこに買ってきた食材や冷やしておくべきものを詰め込んでいる。それを昼には、火系統の魔法によって温めて食べる。それほどまでに魔法は人々の生活に必要不可欠なものになっている。
つまり、道具は使いようということだ。しかし、このような魔法だって下民は使えない。
僕だって、魔法の不平等さには少し思うところがある。
「魔法ってつくづく変だよね……」
今までであれば口にすることはおろか、考えることすらなかった言葉を僕は口にする。それを聞いたアルは飛び上がらんばかりに驚いている。
「……何が!?」
「いや、だって使える人と使えない人がいるなんて不自然じゃない?」
よくよく考えるとそうだ。どうして使えない人がいるのだろう。うまく使えない人とうまく使える人がいるというだけならまだ理解できる。だが、どれほど練習しても生まれつきの才能がなければ、これっぽちも使えないというのは明らかに不自然であろう。
僕は考えれば考えるほど、魔法について理解できないことが多いことに気がついた。
「あなた学校に通ってたんじゃなかったっけ?」
「それとこれとは関係ないでしょ?」
「関係あるわよ……私だって学校に行ってた頃に習ったんだから」
習った……何をだ? 魔法について習ったというのか?
僕は彼女の言っている言葉は理解できたものの、僕の記憶上では魔法について学校で教育していたという事実は存在しない。
「いやいや、魔法について習ったことなんてないよ」
何度記憶を穿り返しても、学校で教師から魔法について聞いた覚えなどまるでない。そりゃそうだ。学校に通えるぐらいの年齢になると、みんな魔法を完全にマスターしていたから、学校で教えてもらうことなんて何一つない。それに、みんな魔法が大好きだから、生徒たちで互いに魔法について話し合うことはあったが、教育されたなんてことは絶対にない。
彼女の勘違いではないだろうか。
しかし、彼女は頭を抱えながら、僕に言う。
「習ったわよ。『魔法とは我が国の国民の血をひくものだけが使える奥義である』なんて、奥義の仰々しさがクラスでウケて、よく冗談なんかに使っていたからよく覚えているもの」
そんな言葉は初めて聞いた。というか、奥義なのに使われすぎだし、悪霊とやらに頼りすぎだし、写しを持っているだけで使えるなんておかしいだろう。そもそも、じゃあ魔法書って何の意味があるんだ? 聖霊とは? 悪霊とはなんだ? そんな意味不明な存在から与えられた力を振りかざして奥義なんて呼べるのか?
僕の頭の中では様々な疑問が浮かんでは消える。結局、僕の頭では答えを出すことができないからだ。
しかし、重要なのは彼女がどこの学校に通っていたかだ。
「君が貴族の学校に通っていたなんて初めて知ったよ」
「貴族……。違うわ、私が学校に通い始めたころには、両親は暗殺されて私はもう平民だったからね。私が通っていたのは平民の学校よ」
彼女が何気なく話した内容は、僕にとって少しだけ気が滅入るようなものだったが、それはともかく、これで合点がいった。
僕と彼女の記憶に違いがあるのは、そもそも、別の記憶だからだ。
恋人同士とはいえ、あくまで体の異なる他人なわけだから、記憶がまるで一緒なわけがない。なにより、彼女とであってから長かったようで、まだ1年ぐらいしかたっていない。思えば、彼女は僕と出会うよりも前から怪盗として活躍していたのかもしれない。
ともかく、彼女の言う教育とは、平民に対する魔法思想の教育を指している。それなら、僕が知らないのも当たり前であり、貴族が受けるべき授業ではないといえるだろう。
元来、貴族とは選民思想の持ち主が多く、その子供のほとんども選民思想を引き継いでいる。しかしながら、平民は教育が行き届いていないため、学校に通えるほど裕福なものにはすべて魔法が使えることの素晴らしさとやらを懇切丁寧に教えていると聞く。
まあ、そんな生徒の中から怪盗が出たのなら、国の教育方針を根本から見直す必要性があると思うが、まあ、ある意味ではこのままでもよいといえるだろう。反対に、アルのような実行するものがいなければいつまでたっても国が変わることなんてないだろう。
アルがいなければ、僕はこのまま一生魔法のことだけ考えて生きているところだった。
「……急に黙りこんだと思ったら、今度は私の顔をじろじろ見始めるし、いったいどうしたのよ?」
彼女は白々しく怒る。それはもう本気で怒っていなということがバレバレなほどに、わざとらしくだ。
そんな彼女を見て、僕は思わず笑う。
「いや、何でもないよ。アルがいてよかったなって……」
「え?」
部屋の気温がいつもよりも高いようで、アルは顔が少しだけ赤い。
もしかしたら熱でもあるんじゃないかと、僕は彼女のおでこに手をやった。いろんな劇で見てきた熱の測り方だが、いざ実践するとき恥ずかしいものだ。
彼女のおでこから、僕の手に伝わるぬくもりがいつもより熱いのか、はたまた常温なのかよくわからない。このやり方はロマンチックではあるが、あまりお利口なやり方ではないのだと気がついた。病院に行けば体温計があるのだが、そこまで気軽に行ける場所でもない。
特に貴族のはみ出し者や、平民に落ちた者などはあまりいい顔をされないだろう。
僕はどうしたものかと考えていた。そんな時、彼女が僕の手を払った。
「別に熱なんかないわよ」
「でも、顔が赤いよ?」
「この部屋が暑いからよ。とにかく大丈夫だから……心配してくれてありがとう」
彼女は微笑みながら、机の上の食器を洗い場まで運び始める。
こんな恋人らしいことをしたのはいつ以来だっただろう。僕がそんなことを考えるのも無理はない。僕とアルは、恋人でありながら一線を引いていることが多いからだ。別に僕は彼女を嫌っていないが、彼女がいつからか僕と一緒に暮らしていてもどこか後ろめたい感情を抱いていたからだろう。
怪盗など、どのような崇高な目的があったとしても犯罪でしかない。だから彼女は、僕を避けようとしてきたのだろう。
アルがこのように朝食に気合を入れる時はいつも決まって、僕と喧嘩した時だった。
昨晩も今朝も喧嘩した記憶はないから、もしかしたら昨晩の魔法の話を気にしてのことなのかもしれない。ともかく、それはもうどうでもいい。
「こんなに食べられないよ」
こんな風に文句を言われたら怒りたくもなるはずだが、彼女は比較的穏やかだ。
「ちょうど私もそう思っていたところ」
彼女自身作りすぎたと感じていたようで、反省しているようだ。
このご時世、食べ物を粗末にできるほど食料が有り余っているというわけでもない。だから多く食物をとりすぎる必要性もないし、もっと有意義に使うべきだろう。それが食材に対する感謝の気持ちというやつだ。
僕は余った料理を冷蔵する。水系統の魔法によって温度を下げている保存庫があるのだ。そこに買ってきた食材や冷やしておくべきものを詰め込んでいる。それを昼には、火系統の魔法によって温めて食べる。それほどまでに魔法は人々の生活に必要不可欠なものになっている。
つまり、道具は使いようということだ。しかし、このような魔法だって下民は使えない。
僕だって、魔法の不平等さには少し思うところがある。
「魔法ってつくづく変だよね……」
今までであれば口にすることはおろか、考えることすらなかった言葉を僕は口にする。それを聞いたアルは飛び上がらんばかりに驚いている。
「……何が!?」
「いや、だって使える人と使えない人がいるなんて不自然じゃない?」
よくよく考えるとそうだ。どうして使えない人がいるのだろう。うまく使えない人とうまく使える人がいるというだけならまだ理解できる。だが、どれほど練習しても生まれつきの才能がなければ、これっぽちも使えないというのは明らかに不自然であろう。
僕は考えれば考えるほど、魔法について理解できないことが多いことに気がついた。
「あなた学校に通ってたんじゃなかったっけ?」
「それとこれとは関係ないでしょ?」
「関係あるわよ……私だって学校に行ってた頃に習ったんだから」
習った……何をだ? 魔法について習ったというのか?
僕は彼女の言っている言葉は理解できたものの、僕の記憶上では魔法について学校で教育していたという事実は存在しない。
「いやいや、魔法について習ったことなんてないよ」
何度記憶を穿り返しても、学校で教師から魔法について聞いた覚えなどまるでない。そりゃそうだ。学校に通えるぐらいの年齢になると、みんな魔法を完全にマスターしていたから、学校で教えてもらうことなんて何一つない。それに、みんな魔法が大好きだから、生徒たちで互いに魔法について話し合うことはあったが、教育されたなんてことは絶対にない。
彼女の勘違いではないだろうか。
しかし、彼女は頭を抱えながら、僕に言う。
「習ったわよ。『魔法とは我が国の国民の血をひくものだけが使える奥義である』なんて、奥義の仰々しさがクラスでウケて、よく冗談なんかに使っていたからよく覚えているもの」
そんな言葉は初めて聞いた。というか、奥義なのに使われすぎだし、悪霊とやらに頼りすぎだし、写しを持っているだけで使えるなんておかしいだろう。そもそも、じゃあ魔法書って何の意味があるんだ? 聖霊とは? 悪霊とはなんだ? そんな意味不明な存在から与えられた力を振りかざして奥義なんて呼べるのか?
僕の頭の中では様々な疑問が浮かんでは消える。結局、僕の頭では答えを出すことができないからだ。
しかし、重要なのは彼女がどこの学校に通っていたかだ。
「君が貴族の学校に通っていたなんて初めて知ったよ」
「貴族……。違うわ、私が学校に通い始めたころには、両親は暗殺されて私はもう平民だったからね。私が通っていたのは平民の学校よ」
彼女が何気なく話した内容は、僕にとって少しだけ気が滅入るようなものだったが、それはともかく、これで合点がいった。
僕と彼女の記憶に違いがあるのは、そもそも、別の記憶だからだ。
恋人同士とはいえ、あくまで体の異なる他人なわけだから、記憶がまるで一緒なわけがない。なにより、彼女とであってから長かったようで、まだ1年ぐらいしかたっていない。思えば、彼女は僕と出会うよりも前から怪盗として活躍していたのかもしれない。
ともかく、彼女の言う教育とは、平民に対する魔法思想の教育を指している。それなら、僕が知らないのも当たり前であり、貴族が受けるべき授業ではないといえるだろう。
元来、貴族とは選民思想の持ち主が多く、その子供のほとんども選民思想を引き継いでいる。しかしながら、平民は教育が行き届いていないため、学校に通えるほど裕福なものにはすべて魔法が使えることの素晴らしさとやらを懇切丁寧に教えていると聞く。
まあ、そんな生徒の中から怪盗が出たのなら、国の教育方針を根本から見直す必要性があると思うが、まあ、ある意味ではこのままでもよいといえるだろう。反対に、アルのような実行するものがいなければいつまでたっても国が変わることなんてないだろう。
アルがいなければ、僕はこのまま一生魔法のことだけ考えて生きているところだった。
「……急に黙りこんだと思ったら、今度は私の顔をじろじろ見始めるし、いったいどうしたのよ?」
彼女は白々しく怒る。それはもう本気で怒っていなということがバレバレなほどに、わざとらしくだ。
そんな彼女を見て、僕は思わず笑う。
「いや、何でもないよ。アルがいてよかったなって……」
「え?」
部屋の気温がいつもよりも高いようで、アルは顔が少しだけ赤い。
もしかしたら熱でもあるんじゃないかと、僕は彼女のおでこに手をやった。いろんな劇で見てきた熱の測り方だが、いざ実践するとき恥ずかしいものだ。
彼女のおでこから、僕の手に伝わるぬくもりがいつもより熱いのか、はたまた常温なのかよくわからない。このやり方はロマンチックではあるが、あまりお利口なやり方ではないのだと気がついた。病院に行けば体温計があるのだが、そこまで気軽に行ける場所でもない。
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僕はどうしたものかと考えていた。そんな時、彼女が僕の手を払った。
「別に熱なんかないわよ」
「でも、顔が赤いよ?」
「この部屋が暑いからよ。とにかく大丈夫だから……心配してくれてありがとう」
彼女は微笑みながら、机の上の食器を洗い場まで運び始める。
こんな恋人らしいことをしたのはいつ以来だっただろう。僕がそんなことを考えるのも無理はない。僕とアルは、恋人でありながら一線を引いていることが多いからだ。別に僕は彼女を嫌っていないが、彼女がいつからか僕と一緒に暮らしていてもどこか後ろめたい感情を抱いていたからだろう。
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