Team F

Prolog

#1

　私は生まれてこの方、ごく一般的な家庭に育ち、ニュースで聴くような犯罪とは程遠い生活を送っている。
それが変わる事なんか一生無いと信じて疑わなかったのはつい数秒前までの話だ。

 

とある日の深夜。
皆が寝静った中、私は不思議と眠れずにいた。
布団に潜り目をつぶってもどうしてもダメ。
何度も寝返りを打ち続け、気がつけば1時間ほど経っていた。
…明日朝早いのに。
時計は深夜の2時頃を指している。

そんな時だった。
両親が寝ている隣の部屋から、窓が割れる大きな音がした。
どういう事？
反射的に布団から飛び起きる。

私は理解出来ぬまま身を守るためクローゼットに駆け込んだ。
直後、日本語では無い複数人の大声が聞こえ、家中に響いた2発の銃声。
｢っ！｣
思わず叫びそうになった口を抑え、クローゼットで声を上げずに泣いた。



しばらくして、今度は男達の声が自分の部屋に近ずいて来るのが分かった。
大きな音でドアが蹴破られるとぞろぞろ聞こえる足音、話し声。

焦りと恐怖から上手く息ができない。
呼吸を荒らげるとバレるかもしれない。
ずっと同じ体制だから手が痺れてきた。
動くと物音がするかもしれない。

もう、死ぬかもしれない。

そう気持ちを固めた時、男達は何が言いながら出ていった。