【R15】【第一作目完結】最強の妹・樹里の愛が僕に凄すぎる件【第二作目連載中】

木村 サイダー

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第一巻

★呼び出し主と合流~田中の話はタブーとなりつつあった~

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らんちゃんや亜子さんらを見つけるのは容易かった。会館の前すぐ横にある公園に置くようなプラスティック製のベンチがあり、そこに何本かのペットボトルを並べながら亜子さんらんちゃんが座っていて、前に辻本君と他のクラスメイトらがいた。
「お、御堂くんと樹里ちゃん」
「あ、にんたまとねーたま来た!」
「おつかれー」
「お疲れ様ー」
「早いなあ、あんたら。タクシー?」
スマホをちょうど亜子さんが開いていて、時計が大きく表示されていた。
「ヒッチハイク」
樹里が親指を立ててウインクをした。
「そんなわけないやろ」
「タクシーで着た」
「ああ、せやろなあ。普通に考えたら今から出るわって言ってからやと・・・電車がうまくつながったとしても後プラス三十分は遅いやろうなあ」
「ええ、ねーたまら、びっくりするぐらいすぐ着ましたもんね。タクシーもすぐあったんですね。最近乗務員さん減っているのか学校の駅前すぐタクシーなくなるんですわ」
雰囲気がやはりいつもと違うのは夜会うというのと、服装なのかも。
亜子さんは袖が五分ほどある白っぽい肩だしトップスに黒のパンツを合わせて、腰に一瞬金色のスカーフでも巻いている?と言いたくなるような飾り付きのベルトをつけて黒のキャップを被っている。肩だしファッションはさすが大人っぽい色気が出ていて周囲の空気を飲み込む。さすが亜子お姉さん。
らんちゃんは黒のTシャツにデニムのホットパンツ、何やら模様の入った薄い赤茶色の羽織るもの。らんちゃんのは学生らしさが残っているけどホットパンツで太ももを全だししているところがかなりこれまた健康的で色っぽい。そしていつもブラウス越しでもよく分かる釣鐘型の豊かなお胸がTシャツだとほぼパンパンで、ホットパンツにシャツをインしているが身体を動作で伸ばすたびにその二つの大きなお山に引っ張りだされてしまっている。から揚げのカップを持ちながら「食べてください」と近づいてきた。
「食べますよね?」
「いただきま~す」
つまようじの刺さったから揚げを一ついただく。樹里も続いて食べる
「こういう中で食べるもんはホントおいしく感じるよね」
焼きそばや、インスタントのラーメンなんて特にシチュエーションで味が変化してるかのように思う時がある。
「そうですね、食べ物って雰囲気の要素がすごく強いですから。おいしいものであってもお店に入った時の雰囲気で変わってきますからね。一概にきれいだからとか、汚いから、とかではなくその食べ物にあった雰囲気なんだと思います」
あきらかにお店の雰囲気を大事にしている人の言葉である。
「らんちゃんち、そば屋さんやもんなあ」
「はい、そば処らん、です(笑)ネーミングにひねりがない(苦笑)」
「やっぱ店のディスプレイはこだわるんや?」
「あ、めっちゃこだわりますよ。よく小さな改装はするんですね。お客様が多くなってくると当然痛みも激しいですから。で、そこに私も参加しているんですよ、改装会議。パピー(父親)から「おまえ言いすぎ!」って(笑)いっつもどうする?って聞いてくるくせに私が言い出すと色々多すぎるみたいです(笑)」
鈴を転がすかのように笑顔で話す。こんな子といたらきっと飽きなくて楽しいんだろうなあ。

「私も浴衣着たかったなあ・・・」

浴衣の女性たちが通り過ぎて行く。駅から歩いてメイン通りに入るならこの道になるので女性たちの衣装鑑賞をしたいならもってこいの場所だろう。らんちゃんの言葉と表情に少し影を落す。樹里は何かを察したのか、、
「あんたも私と一緒でいかり肩の大きな背中やねんからあんまり似合わないって」
「ええーー?でも着たかったですよーたまにはキレイにして歩きたいものです」
「そうかあ?」樹里が理解を示さない
「そりゃあ、私も女ですから、女の子が素敵って思えることたまにはしたいんです・・・・けど、なんかいっつも縁がないんだな。。。」
「浴衣着にくい理由みたいなんがあるわけ?」
素朴な疑問だった。
「いやあ、それはめちゃくちゃ段取りして絶対その日に!とまで決意表明でもしたら着れないこともないですよ。けど基本的にはお休みのときじゃないと浴衣着てお祭りを満喫してってできないんですよ。お店があるし定休日とお祭りの日とが被らない時もあるし、秋から冬の一時期は割と暇ですがそれ以外は平日の定休日とお正月以外はずっと仕事して、おかげさまですが忙しくさせてもらっている・・・そういうの考えたらそこまでして浴衣着るのは、ねえ」
「彼氏できたら変わるんちゃう?」
「ハハハハハハ、亜子ちゃん、そうかもしんない」
「まずはそのすぐ下ネタ言うのんやめなあかんわ」
「ええ??男の子は下ネタ好きなんじゃないんですか?」
「いや、普通にあんたのは引くって」
「にんたま引きます?」
「・・・・・・・・まあ、状況じゃないかな」
まあ、僕も樹里とかにだったら言ったりもするから、否定はしきれない。
男子同士だともっとめちゃくちゃだし。
「ああ、状況かあ。。。ソフトんとき状況なんて関係なくみんな言ってたからなあ」
女子もめちゃくちゃらしい。。。
「まあもうちょっと状況考えたらいいんとちゃう?それと今日は結構おしゃれにしてるやん」
「そうかなあ?まあちょっとだけ・・・意識してるかな」
「なにを?」
「内緒」
「なにが内緒やねん(笑)なあそこのまったく意識ゼロ女」
「私のことかい」
樹里は黒のロンT(ちょっと襟よれ目)腕まくりにいつもの臙脂色のジャージにこないだの新しく買った白の通気穴のあるスポーツサンダル。
「もうあんたら二人今日は服ちゃんとしてきてなって言わんとホンマヤバいねんて」
「ちゃんと着てるやんけ、ふんどしいっちょとちゃうで」
「逆にそれ見てみたい(笑)」
辻本君の間の良い突っ込みに周りがどっと笑う。
「でも、その服装だけでパッとまわりを明るくしてしまえるのんやっぱ樹里ちゃん凄いわなあ」
「辻本くんありがとう」分かってるねーと笑顔で突っ込み。
「やっぱ凄いキレイだよねー」
「背高いしねー」他の男子クラスメイトたちが話に入ってくる。
「そういやちょっと前に田中さんて子めっちゃきれいに突然変異したよね」

その名前に推定四人が凍る。
・・・あれ?辻本くん?五人凍る。

「ああ、びっくりした。今まで仲道らにオッペケペーって言われていたのに、樹里ちゃんプロデュースで変わったって話やんねえ、樹里ちゃん」
「うん?まあそうかな・・・」
惚けて「らん、ジュースちょうだい」と言って輪から外れてベンチのはしのジュース置き場(勝手に作った)に逸れる。
ちなみに今の僕たちの立ち位置はこうだ。
ベンチに今は亜子さんのみが座っていて、その前に僕たちがいる。その他のクラスメイトたち、僕、辻本くん、が輪になり立ち話・・・輪といってもきれいなものではなく、なんとなく道路に背を向けて、辻本君は背を向けずに半身になって話していた。ちなみに道路は歩道があり、真ん中の車道は一車線ずつの対応で今日は通行止め。ばんばん観光客が歩いている。よくよく見ると辻本くんのズボンのポケットには緑色の腕章がある。そういえば・・・役割者に辻本君、田中さんを誘っていたと思うんだけど・・・どっかにいるのかな
「逆風覆すんはすごいよなあ、そんなん決まってしまったらもう・・・・」
「ちょちょちょ・・・・」
辻本君が他のクラスメイトたちの「田中さん話」を制す。
「あの女の話はあかんで。なんか樹里ちゃんとあったみたいやし」
「あったあった」亜子さんが大き目の声でベンチから投げかけてきたら
「あ、やっぱそうなん。実は俺もやられた・・・」
「え、辻本くんも?」
辻本君は眉をひそめた。
「うん、役割者ドタキャン」
僕は驚愕を隠せなかった。
「ええ、ひでぇ」他のクラスメイトが「そんなん大人の話ですやん」と唖然とする。
「そう、もう顔合わせも終わって配置も決まって予行もしとったで。全部参加してくれたよ。皆とも顔合わせして喋って仲良くしてたのに今日になって突然あかんて・・・」
「ええ?そしたらそこの警備とかどうしてんの?」
「いや、まあ今年から予算もらってやり始めた取り組みやから。予算といってもそこにあるジュース代みたいなもんやけどさ。まだ配置換えはちょっとワイドにしたらなんとかごまかしはできるもんやったみたいやけど・・・・」
「めちゃビビったやろ」心中察するわ。なんでそんなことをしたのだろう。
「うん、どうなるかと思った。めちゃキレられるんかなとか、おまえが二つやれとかそういうこと言われるかな、とか想像した。何分にも今回がはじめてやから全然分からんやん。やってみたらこうやって友達らとも遊べて余裕やってんけどな。でももうあんな女もう俺もあんまり関わらん。あ、もうちょっとしたら俺一時間ぐらい立って見に行かなあかんところあるから・・・・うん、この近く。いいところ割り当ててもらってるよ、浴衣のお姉ちゃん見ながら目の保養しとくわ。うん、またその後来てくれたらここには居てるけど、それやともう遅いやろ・・・・・」
クラスメイトらと話しながらこのあとのスケジュールをさらっと説明していた。樹里は亜子さんの左横に集めてあるペットボトル置き場でらんちゃんに「誰と間接キス」とか子供みたいなこと言いながらジュースを飲んでいた。
頭の中が「僕ももう関わらない」というキーワードと「何があってその行動をしたんか?」というキーワードの二つ双方が大きく戦いあうように渦を巻いて占拠していった。まさかスマホでアプリで聞いてみるとか・・・・一瞬出したがまた引っ込めた。
渦を巻いて占拠した二つの言葉はやがて「そんな悪い子でもないはず」というキーワードと「もう彼女は変わってしまった」というキーワードを生み出す。メッセージをもらったときの右なのか左なのか分からないあの感じをまたリアルに再現した。自分の中でまるで「おまえも変われ」「いや、このままでいろ」という葛藤がぶつかりあっているように思えた。その勝敗はいまだ決まらない。
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