【R15】【第一作目完結】最強の妹・樹里の愛が僕に凄すぎる件【第二作目連載中】

木村 サイダー

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第一巻

★あなたの基準となる男さんたちがそもそも異常じゃありませんか?

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今日も多くのファンのいる廊下を亜子と、らんの護衛で廊下を切り抜け、下駄箱へ。
下駄箱も余裕のフルオープンはせずに、様子見して開ける。
今日は手紙は数通。少ない方だ。
それらの手紙もまた中身をすぐに開けるのではなく、亜子とかに手伝ってもらってまずは振る。中に金属的なものが入っている時もあるから。剃刀の刃とか。
手紙は必ずしも愛を語るだけのものではない。時には、彼氏を返せ、おまえはどうして私の思いに応えない、などという自己中心的で思い詰めたものもある。ただ悪口を原稿用紙一面に書かれているようなものは、ドライな対応で先生に言えばいい。刃物は事件性もあるので同じく先生に言うが事情説明に時間がかかることがある。
今日は危険なものは何もなかった。
ローファーに履き替えて校庭へ。亜子と二人歩く。らんは今日は忙しいらしく先に挨拶をして走って行った。この季節にさしかかると授業を終える時間でもまったく昼となんら変わらず太陽の強い光が燦燦と届いている。花というより緑が映える校庭を歩き、亜子と二人校門へと向かう。結衣や紗良も居れば寄ってくるが普通科と英数科ではまあまあ終わる時間はズレている。それにあの二人は部活があるから、あまり一緒にはならない。

「なあ、亜子」
「ふん?」
「純粋な男って知ってる?」
「何を急にそんな突拍子もないことを。それは・・・・」
「・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・」
「・・・・ひょっとしたら知らんかもなあ」
過去に付き合ってきた男たちを回想してみた。確かにたまたま純粋な愛情表現もしたように思うけど、元彼たち自身が純粋だったかといえばかなり怪しい雲行きになる。
「せやねん、実は知っているようで知らないかもしれないなあ、純粋な男の扱いって」
「そうかもしれないなあ・・・・」
「でさ、ずっと一緒にいたい男って、そういう純粋な男じゃないのん、亜子は?」
「・・・・そうやなあ、今は遊び上手な人よりも、そうなってきてるかも」
「この男にはやってもいいけど、この男にはやったらあかんて分かる?」
「それはよくあるよね。元カレの話御法度な彼もいれば、全然平気な人もおる」
「そうやねんなあ・・・・その基準て、かなりおかしなもんになっていたかもしれん」
「私等の基準か・・・・そうやなあ、確かに今後私が好きになっていきたい人たちにとって、私の基準ておかしいかもしれへんなあ・・・・ちょっと意味違うかもしれへんけどな?」
「うん」
「いわゆる、普通の男子って誰ぐらい?純粋という意味とはまた違うかもしれへんけど。こないだの辻本君や大成くんぐらいかな?」
樹里は失笑する。
「そんなわけないやん。あんなんはかなりやり手のうちやで」
「ええ?!そうなん?あんなんが純粋・・・かどうかは分からんけど、普通な男子やと思ってた」
亜子の今まで付き合ってきた男達は、いわゆる遊び人や、そのポジションに追加して、場合によっては暴力や恫喝を利用して都合の良い用にすることに慣れた男たちだ。つまりそれが亜子の基準値に近い。
――――そうやろうと思う。私達は案外知ってるようで知らない。男を。一部だけのよく近づいてくるチャラついた男たちや、詐欺師みたいな男たちが基準値になり、そこから加算減算で男の区別をしている。でも基準となる男たちがそもそも普通やいわゆる純粋なものからかけ離れていれば、私達の基準も普通でないもので、普通と思い込んでしまっている。
「私は、用法容量をだいぶ間違えていたわ・・・だいぶアホやったわ」
――――間違っていたわ。薬の錠剤で言うところの五ミリで良いところ五十ミリ飲ませ続けたようなものやわ。しかもそこに気づかずに何度も何度もやってしまっていた。こんな簡単なことになぜ気づけなかったのか後悔しかない。というか、あにぃは私にチャラチャラ言い寄る種類の男たちと全く違うなんてよく分かっていたはず。きっと私の欲しがる気持ちが大きくなりすぎて分別が付かなくなっていたのかも。大きな軌道修正を必要とするなあ・・・それが
『今後一人で勝手に夜遊びはしません』宣言だった。
かといって、今までの分が全て帳消しになったわけじゃない。
真面目で純粋な男ほど、怖がりで与えたダメージに対しての根が深い。そしてそこをクリアしていかなければ再び信用してもらえなくなる。
――――修正をかけるだけでなく、長い時間をかけて、ひよこが卵からかえるのを様子見するかのように丁寧に行くしかないか・・・・頭抱えてまうわ。
「やるんじゃなかった・・・・」
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