103 / 265
第一巻
★あなたの基準となる男さんたちがそもそも異常じゃありませんか?
しおりを挟む
★OVER VIEW
今日も多くのファンのいる廊下を亜子と、らんの護衛で廊下を切り抜け、下駄箱へ。
下駄箱も余裕のフルオープンはせずに、様子見して開ける。
今日は手紙は数通。少ない方だ。
それらの手紙もまた中身をすぐに開けるのではなく、亜子とかに手伝ってもらってまずは振る。中に金属的なものが入っている時もあるから。剃刀の刃とか。
手紙は必ずしも愛を語るだけのものではない。時には、彼氏を返せ、おまえはどうして私の思いに応えない、などという自己中心的で思い詰めたものもある。ただ悪口を原稿用紙一面に書かれているようなものは、ドライな対応で先生に言えばいい。刃物は事件性もあるので同じく先生に言うが事情説明に時間がかかることがある。
今日は危険なものは何もなかった。
ローファーに履き替えて校庭へ。亜子と二人歩く。らんは今日は忙しいらしく先に挨拶をして走って行った。この季節にさしかかると授業を終える時間でもまったく昼となんら変わらず太陽の強い光が燦燦と届いている。花というより緑が映える校庭を歩き、亜子と二人校門へと向かう。結衣や紗良も居れば寄ってくるが普通科と英数科ではまあまあ終わる時間はズレている。それにあの二人は部活があるから、あまり一緒にはならない。
「なあ、亜子」
「ふん?」
「純粋な男って知ってる?」
「何を急にそんな突拍子もないことを。それは・・・・」
「・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・」
「・・・・ひょっとしたら知らんかもなあ」
過去に付き合ってきた男たちを回想してみた。確かにたまたま純粋な愛情表現もしたように思うけど、元彼たち自身が純粋だったかといえばかなり怪しい雲行きになる。
「せやねん、実は知っているようで知らないかもしれないなあ、純粋な男の扱いって」
「そうかもしれないなあ・・・・」
「でさ、ずっと一緒にいたい男って、そういう純粋な男じゃないのん、亜子は?」
「・・・・そうやなあ、今は遊び上手な人よりも、そうなってきてるかも」
「この男にはやってもいいけど、この男にはやったらあかんて分かる?」
「それはよくあるよね。元カレの話御法度な彼もいれば、全然平気な人もおる」
「そうやねんなあ・・・・その基準て、かなりおかしなもんになっていたかもしれん」
「私等の基準か・・・・そうやなあ、確かに今後私が好きになっていきたい人たちにとって、私の基準ておかしいかもしれへんなあ・・・・ちょっと意味違うかもしれへんけどな?」
「うん」
「いわゆる、普通の男子って誰ぐらい?純粋という意味とはまた違うかもしれへんけど。こないだの辻本君や大成くんぐらいかな?」
樹里は失笑する。
「そんなわけないやん。あんなんはかなりやり手のうちやで」
「ええ?!そうなん?あんなんが純粋・・・かどうかは分からんけど、普通な男子やと思ってた」
亜子の今まで付き合ってきた男達は、いわゆる遊び人や、そのポジションに追加して、場合によっては暴力や恫喝を利用して都合の良い用にすることに慣れた男たちだ。つまりそれが亜子の基準値に近い。
――――そうやろうと思う。私達は案外知ってるようで知らない。男を。一部だけのよく近づいてくるチャラついた男たちや、詐欺師みたいな男たちが基準値になり、そこから加算減算で男の区別をしている。でも基準となる男たちがそもそも普通やいわゆる純粋なものからかけ離れていれば、私達の基準も普通でないもので、普通と思い込んでしまっている。
「私は、用法容量をだいぶ間違えていたわ・・・だいぶアホやったわ」
――――間違っていたわ。薬の錠剤で言うところの五ミリで良いところ五十ミリ飲ませ続けたようなものやわ。しかもそこに気づかずに何度も何度もやってしまっていた。こんな簡単なことになぜ気づけなかったのか後悔しかない。というか、あにぃは私にチャラチャラ言い寄る種類の男たちと全く違うなんてよく分かっていたはず。きっと私の欲しがる気持ちが大きくなりすぎて分別が付かなくなっていたのかも。大きな軌道修正を必要とするなあ・・・それが
『今後一人で勝手に夜遊びはしません』宣言だった。
かといって、今までの分が全て帳消しになったわけじゃない。
真面目で純粋な男ほど、怖がりで与えたダメージに対しての根が深い。そしてそこをクリアしていかなければ再び信用してもらえなくなる。
――――修正をかけるだけでなく、長い時間をかけて、ひよこが卵からかえるのを様子見するかのように丁寧に行くしかないか・・・・頭抱えてまうわ。
「やるんじゃなかった・・・・」
今日も多くのファンのいる廊下を亜子と、らんの護衛で廊下を切り抜け、下駄箱へ。
下駄箱も余裕のフルオープンはせずに、様子見して開ける。
今日は手紙は数通。少ない方だ。
それらの手紙もまた中身をすぐに開けるのではなく、亜子とかに手伝ってもらってまずは振る。中に金属的なものが入っている時もあるから。剃刀の刃とか。
手紙は必ずしも愛を語るだけのものではない。時には、彼氏を返せ、おまえはどうして私の思いに応えない、などという自己中心的で思い詰めたものもある。ただ悪口を原稿用紙一面に書かれているようなものは、ドライな対応で先生に言えばいい。刃物は事件性もあるので同じく先生に言うが事情説明に時間がかかることがある。
今日は危険なものは何もなかった。
ローファーに履き替えて校庭へ。亜子と二人歩く。らんは今日は忙しいらしく先に挨拶をして走って行った。この季節にさしかかると授業を終える時間でもまったく昼となんら変わらず太陽の強い光が燦燦と届いている。花というより緑が映える校庭を歩き、亜子と二人校門へと向かう。結衣や紗良も居れば寄ってくるが普通科と英数科ではまあまあ終わる時間はズレている。それにあの二人は部活があるから、あまり一緒にはならない。
「なあ、亜子」
「ふん?」
「純粋な男って知ってる?」
「何を急にそんな突拍子もないことを。それは・・・・」
「・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・」
「・・・・ひょっとしたら知らんかもなあ」
過去に付き合ってきた男たちを回想してみた。確かにたまたま純粋な愛情表現もしたように思うけど、元彼たち自身が純粋だったかといえばかなり怪しい雲行きになる。
「せやねん、実は知っているようで知らないかもしれないなあ、純粋な男の扱いって」
「そうかもしれないなあ・・・・」
「でさ、ずっと一緒にいたい男って、そういう純粋な男じゃないのん、亜子は?」
「・・・・そうやなあ、今は遊び上手な人よりも、そうなってきてるかも」
「この男にはやってもいいけど、この男にはやったらあかんて分かる?」
「それはよくあるよね。元カレの話御法度な彼もいれば、全然平気な人もおる」
「そうやねんなあ・・・・その基準て、かなりおかしなもんになっていたかもしれん」
「私等の基準か・・・・そうやなあ、確かに今後私が好きになっていきたい人たちにとって、私の基準ておかしいかもしれへんなあ・・・・ちょっと意味違うかもしれへんけどな?」
「うん」
「いわゆる、普通の男子って誰ぐらい?純粋という意味とはまた違うかもしれへんけど。こないだの辻本君や大成くんぐらいかな?」
樹里は失笑する。
「そんなわけないやん。あんなんはかなりやり手のうちやで」
「ええ?!そうなん?あんなんが純粋・・・かどうかは分からんけど、普通な男子やと思ってた」
亜子の今まで付き合ってきた男達は、いわゆる遊び人や、そのポジションに追加して、場合によっては暴力や恫喝を利用して都合の良い用にすることに慣れた男たちだ。つまりそれが亜子の基準値に近い。
――――そうやろうと思う。私達は案外知ってるようで知らない。男を。一部だけのよく近づいてくるチャラついた男たちや、詐欺師みたいな男たちが基準値になり、そこから加算減算で男の区別をしている。でも基準となる男たちがそもそも普通やいわゆる純粋なものからかけ離れていれば、私達の基準も普通でないもので、普通と思い込んでしまっている。
「私は、用法容量をだいぶ間違えていたわ・・・だいぶアホやったわ」
――――間違っていたわ。薬の錠剤で言うところの五ミリで良いところ五十ミリ飲ませ続けたようなものやわ。しかもそこに気づかずに何度も何度もやってしまっていた。こんな簡単なことになぜ気づけなかったのか後悔しかない。というか、あにぃは私にチャラチャラ言い寄る種類の男たちと全く違うなんてよく分かっていたはず。きっと私の欲しがる気持ちが大きくなりすぎて分別が付かなくなっていたのかも。大きな軌道修正を必要とするなあ・・・それが
『今後一人で勝手に夜遊びはしません』宣言だった。
かといって、今までの分が全て帳消しになったわけじゃない。
真面目で純粋な男ほど、怖がりで与えたダメージに対しての根が深い。そしてそこをクリアしていかなければ再び信用してもらえなくなる。
――――修正をかけるだけでなく、長い時間をかけて、ひよこが卵からかえるのを様子見するかのように丁寧に行くしかないか・・・・頭抱えてまうわ。
「やるんじゃなかった・・・・」
2
お気に入りに追加
11
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

可愛すぎるクラスメイトがやたら俺の部屋を訪れる件 ~事故から助けたボクっ娘が存在感空気な俺に熱い視線を送ってきている~
蒼田
青春
人よりも十倍以上存在感が薄い高校一年生、宇治原簾 (うじはられん)は、ある日買い物へ行く。
目的のプリンを買った夜の帰り道、簾はクラスメイトの人気者、重原愛莉 (えはらあいり)を見つける。
しかしいつも教室でみる活発な表情はなくどんよりとしていた。只事ではないと目線で追っていると彼女が信号に差し掛かり、トラックに引かれそうな所を簾が助ける。
事故から助けることで始まる活発少女との関係。
愛莉が簾の家にあがり看病したり、勉強したり、時には二人でデートに行ったりと。
愛莉は簾の事が好きで、廉も愛莉のことを気にし始める。
故障で陸上が出来なくなった愛莉は目標新たにし、簾はそんな彼女を補佐し自分の目標を見つけるお話。
*本作はフィクションです。実在する人物・団体・組織名等とは関係ございません。

先輩に退部を命じられた僕を励ましてくれたアイドル級美少女の後輩マネージャーを成り行きで家に上げたら、なぜかその後も入り浸るようになった件
桜 偉村
恋愛
みんなと同じようにプレーできなくてもいいんじゃないですか? 先輩には、先輩だけの武器があるんですから——。
後輩マネージャーのその言葉が、彼の人生を変えた。
全国常連の高校サッカー部の三軍に所属していた如月 巧(きさらぎ たくみ)は、自分の能力に限界を感じていた。
練習試合でも敗因となってしまった巧は、三軍キャプテンの武岡(たけおか)に退部を命じられて絶望する。
武岡にとって、巧はチームのお荷物であると同時に、アイドル級美少女マネージャーの白雪 香奈(しらゆき かな)と親しくしている目障りな存在だった。
そのため、自信をなくしている巧を追い込んで退部させ、香奈と距離を置かせようとしたのだ。
そうすれば、香奈は自分のモノになると錯覚していたから。
武岡の思惑通り、巧はサッカー部を辞めようとしていた。そこに現れたのが、香奈だった。
香奈に励まされてサッカーを続ける決意をした巧は、彼女のアドバイスのおかげもあり、だんだんとその才能を開花させていく。
一方、巧が成り行きで香奈を家に招いたのをきっかけに、二人の距離も縮み始める。
しかし、退部するどころか活躍し出した巧にフラストレーションを溜めていた武岡が、それを静観するはずもなく——。
「これは警告だよ」
「勘違いしないんでしょ?」
「僕がサッカーを続けられたのは、君のおかげだから」
「仲が良いだけの先輩に、あんなことまですると思ってたんですか?」
先輩×後輩のじれったくも甘い関係が好きな方、スカッとする展開が好きな方は、ぜひこの物語をお楽しみください!
※基本は一途ですが、メインヒロイン以外との絡みも多少あります。
※本作品は小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しています。

大好きな幼なじみが超イケメンの彼女になったので諦めたって話
家紋武範
青春
大好きな幼なじみの奈都(なつ)。
高校に入ったら告白してラブラブカップルになる予定だったのに、超イケメンのサッカー部の柊斗(シュート)の彼女になっちまった。
全く勝ち目がないこの恋。
潔く諦めることにした。


覚えたての催眠術で幼馴染(悔しいが美少女)の弱味を握ろうとしたら俺のことを好きだとカミングアウトされたのだが、この後どうしたらいい?
みずがめ
恋愛
覚えたての催眠術を幼馴染で試してみた。結果は大成功。催眠術にかかった幼馴染は俺の言うことをなんでも聞くようになった。
普段からわがままな幼馴染の従順な姿に、ある考えが思いつく。
「そうだ、弱味を聞き出そう」
弱点を知れば俺の前で好き勝手なことをされずに済む。催眠術の力で口を割らせようとしたのだが。
「あたしの好きな人は、マーくん……」
幼馴染がカミングアウトしたのは俺の名前だった。
よく見れば美少女となっていた幼馴染からの告白。俺は一体どうすればいいんだ?
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる