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第一巻
★私の下着を買いなさい。
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田中さんはその日は樹里と亜子さんと居残りで、なにかをやっていた。
その日だけではなく、翌日も
「今日からちょっと、担任と面談があるから帰れない。多分、、、ちょっとしばらく続くと思う」
ということだ。
面談、、、樹里、亜子さん、担任。。。
何してるん??
まったく想像がつかなかった。
田中さんはお昼は相変わらず、一緒に三人でご飯を食べてはいたが、何をするのかは江藤さんにも言っていないようで、まあそれは女同士の友情で僕には言わないのかもしれないけど、多分本当に知らないように思えた。
その次の日も、
「今日はどんな感じ?」
と、なるべくせっつかずにやんわりとした感じに徹して確認するにした。
「今日も昨日のを受け継いで、があるから、ごめんなさい、ちょっと無理かな」
だった。
あ、ちなみに、どうでもいいことを一つ紹介。
樹里の履き古した、滑る通気穴のあるスポーツサンダルはベランダ用となりました。
これでちょっとは洗濯物干しをお手伝いをしてくれたらいいなあ。
まあそんなことはないだろう。
足のサイズはあにぃと一緒やから置いておいてあげたわ、履き心地ええやろ~
ぐらいが関の山だろう。
案の定洗濯物を入れるときに、
「私のやから、心地ええやろう」
と言ってきやがった。「そんなに心地ええなら手伝え!」と言ったら、僕の声をかき消すように動画サイトの本人歌唱に合わせて歌い出した。ちなみに樹里は歌もうまい。玄人っぽい歌い方するなあと全くの素人の僕が思う。今歌っているのは、世界的に大ヒットした曲で、映画のタイトルにもなっている曲だ。その曲をこれまた世界的に成功した、今は亡きロックアーティストがアコースティックバージョンでカバーしたものがある。そちらの方の動画を流し、歌っている。僕と一緒にいて欲しい、君がいれば怖くない、とリフするところが特徴的で、物悲しく切ない気持ちにさせる。悔しいからサビの語尾裏声のところだけはコーラスしてやったぜ。樹里はウケてくれてますます乗ってくれたみたいで、勢いがついて、超メジャーなアップテンポなレゲエソングをスマホの動画サイトでかけた。
この曲のサビは分かるぜ!OK!カモン!
気持ちが乗ってきたぜ~~~!
この曲はサビでオーディエンスがタオルを回すのだが、僕は樹里の干してて乾いたどでかいスポーツブラを振り回す
「コラコラコラ、WOWWOW・・・?!」
文句言いながら笑ってちゃんとコーラスする樹里だが、僕の振り回す手の感触から、生地の感触が消え去った。
「・・・・あれ?」
Iカップのスポーツブラが、街の夜空に舞っていた。あ、手が滑った。
「ちょっと!」
さすがに演奏ストップ。表情も凍る。
僕は空中浮遊するブラを目で追っていた。ヒラリハラリ、またヒラリハラリ・・・マンションの五階から下の道路に向かって風に舞いながらヒラリハラリ・・・そして、下を通行していたスーツのサラリーマン推定六十歳(髪の毛薄い)の頭頂部にハラリ・・・・行方を見届けたあと、僕は窓を閉めた。南無阿弥陀仏。。。
もう取りに行けない。おっさんいいもの被ったなあ、、いや拾ったなあ。そいつはあげるぜ、樹里のだとは知らないだろうが家宝にしろよ。
「どないなったん?」
「うん、おっさんが拾った」
「あかんがな」
「もう、あげよう」
「・・・・・・・・(不満げ)」
「じゃあ、今から降りて行ってそれ私のです!って言うか?」
「いや!それは、、、いや。う、うん、じゃあ、、、そうしよう」
「そういうことで・・・・」
「いや、弁償してーや」
「べ、弁償??あんなんそんな高くないんじゃないの?」
ブラの値段なんぞ知らんし。
「あれはそこまで高くないけど、、、それで三、四千円はするで」
「マジか!おっさん返せ!」
ベランダに飛び出そうとする僕を
「いや、もう恥ずかしいからええって」
制止してきた。
「お、おう」
「弁償してなー」
「う、うう・・・・同じぐらいのだろ?」
「そうやなあ、イジャーレビアンテとかのにしょうかなあ~あ、上下セットものとかやったら喜んでくれる??」
イジャーレビアンテは若者層を中心にブームが来ているスポーツウェアと香水のブランドで、その他財布やスーツ、カジュアルシャツなども手がけている。最近このブランド、男性用女性用問わず下着がブームになっている。スポーツタイプでありながらセクシーだったり、ブランドロゴを利用したお洒落なデザインなものが多い。
――――樹里はセクシーなのは選ばないだろうけど、お洒落で強そうなのにはしそうだな。
あと、めちゃくちゃ高いわけではなく、僕ら高校生でも下手すれば中学生でも買えるブランド。けどお安くはない。そこらのスーパーのワゴンでは売っていない。ということは・・・・ついでになんやねん、上下セットで喜ぶって、喜ぶかいアホ!財布が悲しむわ!
さっそくスマホで通販サイトを回覧しだしている。
「ちょうどええかもなあ、、、最近Iきついから。Jに買い換えて行かななあって思ってたし」
「Iやと小生意気な」
「いっつもジロジロ見るくせ(笑)」
「・・・・・・・・・・・・・」
それは男の特性だー!どうしようもないやつなんだ!
そういや、僕・・・竿!一号折られたんだけど・・・僕のは?
あと、樹里の下駄箱が最近崩壊寸前になっている。前からちょくちょくあったが、なにかっていうとラブレターだ。樹里は基本的にはあまりメッセージアプリは交換していないし、基本的には他言無用。自動登録にもなっていない。本来は僕に命令指示する系(主に飯系の買い物)以外はあまりいらない人なのだ。教えた人らに対する受信専用。だもんで未だに行われるそういうアナログな気持ちの伝え方。普通のは全然良いのだが、キッツいのがある。季節が夏だから飲料水を入れているやつとか(炭酸はさすがにないけど、一度封を切って口つけたやつ)、ハンカチ(しかもなんとなく一度開封した形跡ありでどこか拭いてそうなやつ)、そして極めつけは余りに思いが強すぎるのがあって、それは僕に見せてくることもある。
「これ、キッツいなあ、さすがにビビるわ(笑)」
それは新聞紙の文字を切り取り、文字のサイズがまちまちで
「愛」「し」「て」「い」「ま」「す」
となっていた。
「・・・・・・もうちょっとやなあ」
自分で言ってなにがやねんと突っ込みを入れたくなった。
「そう、もうちょっと。。。」
樹里も意味わかってんのんかいな??
「なんとか表現できやんかったんかなあって」
樹里の推測によると、
「多分文字の癖で誰か分かられたくなかったんやろうと思うけど、これは聞きたいわ。どこかの消費者金融のCMの真似してな、あんたー!?って(笑)」
その日だけではなく、翌日も
「今日からちょっと、担任と面談があるから帰れない。多分、、、ちょっとしばらく続くと思う」
ということだ。
面談、、、樹里、亜子さん、担任。。。
何してるん??
まったく想像がつかなかった。
田中さんはお昼は相変わらず、一緒に三人でご飯を食べてはいたが、何をするのかは江藤さんにも言っていないようで、まあそれは女同士の友情で僕には言わないのかもしれないけど、多分本当に知らないように思えた。
その次の日も、
「今日はどんな感じ?」
と、なるべくせっつかずにやんわりとした感じに徹して確認するにした。
「今日も昨日のを受け継いで、があるから、ごめんなさい、ちょっと無理かな」
だった。
あ、ちなみに、どうでもいいことを一つ紹介。
樹里の履き古した、滑る通気穴のあるスポーツサンダルはベランダ用となりました。
これでちょっとは洗濯物干しをお手伝いをしてくれたらいいなあ。
まあそんなことはないだろう。
足のサイズはあにぃと一緒やから置いておいてあげたわ、履き心地ええやろ~
ぐらいが関の山だろう。
案の定洗濯物を入れるときに、
「私のやから、心地ええやろう」
と言ってきやがった。「そんなに心地ええなら手伝え!」と言ったら、僕の声をかき消すように動画サイトの本人歌唱に合わせて歌い出した。ちなみに樹里は歌もうまい。玄人っぽい歌い方するなあと全くの素人の僕が思う。今歌っているのは、世界的に大ヒットした曲で、映画のタイトルにもなっている曲だ。その曲をこれまた世界的に成功した、今は亡きロックアーティストがアコースティックバージョンでカバーしたものがある。そちらの方の動画を流し、歌っている。僕と一緒にいて欲しい、君がいれば怖くない、とリフするところが特徴的で、物悲しく切ない気持ちにさせる。悔しいからサビの語尾裏声のところだけはコーラスしてやったぜ。樹里はウケてくれてますます乗ってくれたみたいで、勢いがついて、超メジャーなアップテンポなレゲエソングをスマホの動画サイトでかけた。
この曲のサビは分かるぜ!OK!カモン!
気持ちが乗ってきたぜ~~~!
この曲はサビでオーディエンスがタオルを回すのだが、僕は樹里の干してて乾いたどでかいスポーツブラを振り回す
「コラコラコラ、WOWWOW・・・?!」
文句言いながら笑ってちゃんとコーラスする樹里だが、僕の振り回す手の感触から、生地の感触が消え去った。
「・・・・あれ?」
Iカップのスポーツブラが、街の夜空に舞っていた。あ、手が滑った。
「ちょっと!」
さすがに演奏ストップ。表情も凍る。
僕は空中浮遊するブラを目で追っていた。ヒラリハラリ、またヒラリハラリ・・・マンションの五階から下の道路に向かって風に舞いながらヒラリハラリ・・・そして、下を通行していたスーツのサラリーマン推定六十歳(髪の毛薄い)の頭頂部にハラリ・・・・行方を見届けたあと、僕は窓を閉めた。南無阿弥陀仏。。。
もう取りに行けない。おっさんいいもの被ったなあ、、いや拾ったなあ。そいつはあげるぜ、樹里のだとは知らないだろうが家宝にしろよ。
「どないなったん?」
「うん、おっさんが拾った」
「あかんがな」
「もう、あげよう」
「・・・・・・・・(不満げ)」
「じゃあ、今から降りて行ってそれ私のです!って言うか?」
「いや!それは、、、いや。う、うん、じゃあ、、、そうしよう」
「そういうことで・・・・」
「いや、弁償してーや」
「べ、弁償??あんなんそんな高くないんじゃないの?」
ブラの値段なんぞ知らんし。
「あれはそこまで高くないけど、、、それで三、四千円はするで」
「マジか!おっさん返せ!」
ベランダに飛び出そうとする僕を
「いや、もう恥ずかしいからええって」
制止してきた。
「お、おう」
「弁償してなー」
「う、うう・・・・同じぐらいのだろ?」
「そうやなあ、イジャーレビアンテとかのにしょうかなあ~あ、上下セットものとかやったら喜んでくれる??」
イジャーレビアンテは若者層を中心にブームが来ているスポーツウェアと香水のブランドで、その他財布やスーツ、カジュアルシャツなども手がけている。最近このブランド、男性用女性用問わず下着がブームになっている。スポーツタイプでありながらセクシーだったり、ブランドロゴを利用したお洒落なデザインなものが多い。
――――樹里はセクシーなのは選ばないだろうけど、お洒落で強そうなのにはしそうだな。
あと、めちゃくちゃ高いわけではなく、僕ら高校生でも下手すれば中学生でも買えるブランド。けどお安くはない。そこらのスーパーのワゴンでは売っていない。ということは・・・・ついでになんやねん、上下セットで喜ぶって、喜ぶかいアホ!財布が悲しむわ!
さっそくスマホで通販サイトを回覧しだしている。
「ちょうどええかもなあ、、、最近Iきついから。Jに買い換えて行かななあって思ってたし」
「Iやと小生意気な」
「いっつもジロジロ見るくせ(笑)」
「・・・・・・・・・・・・・」
それは男の特性だー!どうしようもないやつなんだ!
そういや、僕・・・竿!一号折られたんだけど・・・僕のは?
あと、樹里の下駄箱が最近崩壊寸前になっている。前からちょくちょくあったが、なにかっていうとラブレターだ。樹里は基本的にはあまりメッセージアプリは交換していないし、基本的には他言無用。自動登録にもなっていない。本来は僕に命令指示する系(主に飯系の買い物)以外はあまりいらない人なのだ。教えた人らに対する受信専用。だもんで未だに行われるそういうアナログな気持ちの伝え方。普通のは全然良いのだが、キッツいのがある。季節が夏だから飲料水を入れているやつとか(炭酸はさすがにないけど、一度封を切って口つけたやつ)、ハンカチ(しかもなんとなく一度開封した形跡ありでどこか拭いてそうなやつ)、そして極めつけは余りに思いが強すぎるのがあって、それは僕に見せてくることもある。
「これ、キッツいなあ、さすがにビビるわ(笑)」
それは新聞紙の文字を切り取り、文字のサイズがまちまちで
「愛」「し」「て」「い」「ま」「す」
となっていた。
「・・・・・・もうちょっとやなあ」
自分で言ってなにがやねんと突っ込みを入れたくなった。
「そう、もうちょっと。。。」
樹里も意味わかってんのんかいな??
「なんとか表現できやんかったんかなあって」
樹里の推測によると、
「多分文字の癖で誰か分かられたくなかったんやろうと思うけど、これは聞きたいわ。どこかの消費者金融のCMの真似してな、あんたー!?って(笑)」
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