【R15】【第一作目完結】最強の妹・樹里の愛が僕に凄すぎる件【第二作目連載中】

木村 サイダー

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第一巻

★スカート丈膝から何センチ?

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僕「あ、いもジャやん(いもジャージスタイルの略称)(笑)」

これは校則のスカート丈を守らなかったものが抜き打ちで食らう仕打ち。スカートの下にジャージをはかされ、家に帰るまでその恰好でいないといけない。意識高い系女子からしたらいわば罰ゲーム以外のなにものでもない。最近は割とそこまでではなく、普通に『寒いから』とか『ちょっとあまりにも短くて自転車乗りにくいから』とかで履く子もいるようだが。
「・・・・・いもジャ言わんといて」
樹里は嫌なようだ。
よれよれになったような感じで僕らのところにきて、一段上の階段でペタリとへたり込んで髪を大きくかき分けた。こないだのランウェイを歩くトップモデルの雰囲気とは大違いだ。

「どしたん?」と同時ぐらいに、
「樹里ちゃん、昨日はホンマにありがとう!おもしろかったよ!」と田中さん。言葉がほぼ被った。
「うん」とこの時は強い目をした笑顔になったが、僕の質問にはまたくたびれた顔になり、
「今日も間に合わんかった。。。お弁当忘れてもうて、マンションの下で気づいて取りに戻ったんがあかんかったなあ。しかも今日よ、谷本教頭よ、、、もうサイテー」
三人とも「あちゃーーー」となる。
うちの学校の鬼教師の一人。
「あにぃ、私出るまでこれからおってぇやあ、で、弁当忘れるなとか言ってぇやあ」
「アホ、特進科やのにそんな時間に余裕ないわ!」
「あいつ容赦ないんやてホンマ。ジャージ履け!って履かされて、頭二発はられたわ。一発目グワーンってなったで、大概痛かったわチクショー、ありえへん」
「谷本教頭怖いもんねえ」と江藤さんがいえば「うん、怖い怖い」と田中さんが同意。
そしてうちの学校には未だに体罰がある。面接のときに親の同意を取り付けるすごい学校。だいぶ昔よりは無くなってきたけど。昔は女子でも先生に刃向かいでもすれば髪の毛引っ張られてグラウンド一周引きづりまわしの刑とかあったらしい。男子など推して知るべし。
樹里は入学二か月で早速洗礼を受けたわけだ。
でも多分本気出したら樹里が一瞬でぶっ飛ばすと思う。そこはしないし、訴えるだ、へちゃむくれじゃ、とは言わないところは、悪いのは自分、という弁えと潔さがあるなあと思う。

「って、私十五センチぐらい短いだけやで十五センチ!しかも膝の真ん中から!」
いや、短いことは短いがなと。
「真ん中から十五センチやったら、、、そこまですごくないんかな」
と江藤さんが田中さんの顔を見にいく。
「ねー!すごくないですよねー!すごくないですよー!ほら!分かってはるわー!」
樹里が激しく同意を江藤さんに求めた。ハゲドーというやつだ。
短いのは短いねんて。目立つからついでに検挙されたパターンやな。
「もっと短いやつおるって!おおーっ!おったおった!こっち!」
振り返り、階段の上に向かって手招きをする。

らんちゃんが、階段の上に姿を現した。
ゲッ!確かに・・・短い!
「あーーー!にんたま!」
にんたま??なに?誰?多分僕か。
「お、らんちゃん!脚もう大丈夫??」
学校で会うたびに何度も聞いているが、やはり結構大きな事故だったので心配はしている。
「あ! その節はどうもありがとうございました!!」
深々と頭を下げたかと思うと、ぴょこっと凄いスピードで顔を上げ、ニカッと笑顔。びっくりするくらい爽やか。動きも多くて表情もコロコロ変わって全身で可愛いが溢れている子だ。
「もうおかげさまで全然大丈夫です!」
と両手を胸の手前で曲げてのガッツポーズ。
「ほらほら!こんなこともーーー」
ダンスのようなターンを華麗にしてみせる。
しかし、らんちゃんはベージュのカーディガンの袖を腰に巻いて後ろに胴体の部分がくるようにしているが、回ったときにふわ~っとめくれ上がり同時に中のプリーツスカートも一緒に、傘を開いたように舞い上がった。

あ、、、白とグレーのボーダー

「あ、見えたな」
「・・・見えた」
こちら側の女子、田中さんと江藤さんも小声で呟く。
「らん、見えたで」
樹里が容赦なく、指摘を入れるが、
「今日は見せパンだから大丈夫!」腰に両手をあててポーズをとるが
「見せパン?シマシマの小さいやつやったけど、、、あれ見せパンなん?」
と樹里がさらに指摘すると
「・・・・・・・・・」腰に手を当てたまま一瞬固まった。
そして
「ちょっと待ってちょっと待って待って~」
後ろ向きになり、がに股でなにやらスカートめくって見ている。
そこに亜子さんがやってきた。
「ちょ・・・あんた何やってんよ」
「ああ、亜子ちゃん、私見せパン履いている思ってたら履いてなかってん!どうしよ!にんたまにめっちゃ見られたかも!」
「知らんしもう・・・」
「いや、見えてない、見えてないから」
僕は恥ずかしくなって嘘のフォローをする。
「いや、確実見てたやろ」
樹里がいじわるそうに覆す。
「うわーーん、にんたま紳士!」
タッタッターッと階段を飛ぶように降りてきて、僕の背中の前でギーーーッと急ブレーキ!

「あ、お弁当中ですか!抱きつけない抱きつけない・・・・」
といってすごすご階段をまた飛ぶように上がっていく。

「今抱き着いたらあの残りの弁当吹っ飛ばすで」
樹里がボソッといえば
「お弁当の最後の残りは大事ですもんね。私よく分かります~ううーーーーにんたまに抱き着きたかったのにーーーー」
「にんたまってなによ」亜子さんも座っている樹里の横にきた。
今日の樹里はオーラが「いもジャージスタイル」のせいで三分の一。しかもしょげてるからさらにマイナス。けどこの二人も並ぶと・・・眩しい。

亜子さんはブラウスの第二ボタンまで外してあり、メイクしているのも分かるし、髪もかなり茶色で巻いてある。そしてスカート丈は樹里のそれより確実に短く見える。学生としてはすごくセクシーだ。
本日のらんちゃんは、天然素材。おそらくノーメイク・・・・に見えるけど、目が大きくて鼻筋も樹里ほどではないにしてもスッときれい。今日は前髪を少し無造作におろして左目のさらに左側らへんを隠しているようなアレンジが決まっている。ひょっとしたらリップは塗っているのかも。ぷっくりとしたきれいなピンクに見える。

「樹里ねーさんが「ねーたま」やんか。だから樹里ねーたまのお兄さんだから「にいたま」。だけど「にんたま」の方が可愛いかなって」
亜子さん「アンタが言ってたら、なんか別のもんに聞こえそうやわ」
「キ〇〇マ?」
あっさりとそれ言ってしまう・・・・・
「ぷっ・・・!」
樹里と亜子さんが肩を揺すって堪え笑いをする。樹里はらんちゃんの脹脛あたりをパシッと叩く。それでもきょとんとしている。
こちらはどう反応していいか分からず三人で固まる。

顔も表情も、動作も、可愛いのは可愛いのだが、、、
樹里同様、あまり口を開かないほうがいいキャラなのかもしれない。

「食事中やで、しかも三人とも先輩!」亜子さんが言うと、
「ああ、どうも、すみませんでしたー」
超笑顔で全然悪いと思っていない「テヘッ」とした様子。

あきらかに学園内のパワーの違いを感じる。江藤さん田中さんは、田中さんが面識があるからかろうじて話せているが、おそらくなにもなかったら透明人間化することでこの場をやり過ごそうとしているに違いない。

「二人とも座りーさ。まだちょっとだけおかず残っているけど、食べる?」
「え?いいんですか?」らんちゃん反応良し!それに対して、
「ああ、ありがとうございます。でもここは・・・座れない」と亜子さん

え?そうなん?

「ここは無理やんなあ」と樹里もいう。
その間にらんちゃんが僕らのそばに小走りできて、立ったまま「・・・・あ、シューマイ残ってる。もらっても・・・・」
江藤さんと田中さんは「どうぞどうぞ!」とし、田中さんが箸でらんちゃんの口に持っていき、「あーん」と食べさせてもらう状態になった。これ、羨ましいやないか!
「あ、おいしいわ、おいしい!ありがとうございます!」そう言って超笑顔でまた樹里の横に戻った。
「え?なんで無理なん?」
僕は尋ねる。というのはこれからもここでの階段ランチをずっと続けていきたいのに女子が無理な理由が知りたかったからなんだ。その答えは、
「私の座っているの見てみいよ・・・」
「・・・・・普通やけど」
「そんなわけないやろ!」
「ええ??」
田中さんと江藤さんも見入る
「・・・・・・あ、あれやわ、あれ」
と田中さんが僕の腕をポンポンと叩いた。
「あ、私も分かったわ」と江藤さん。

男子の僕にはピンとこないぞ。。。

そして、
「新制服やったら、そこの段差のとこに腰かけたら、、、、高さが無さ過ぎてスカートの中が下にいる人らに丸見えになるんですね」
田中さんが答える。
「はい、その通り。二年とかは寸胴スカートやからここがそんなに開かないやん」
そういって太ももの裏側を左手で行き来させることで示している。
「新制服はプリーツスカートやから全然足に引っ付いて巻きあがってくれへんねん」

「はっ」となった。確かにそうだ。
スカートが前はタイトでスリットもない一本筒のようなところに脚を通すようなスカートだったため、こういうところに座ってもスカートがある程度脚と一緒の角度に添ってくれたけど、プリーツスカートは生地に張りがそこまでなく、重力に負けて下に降りるため、段差が低く膝があがるところに座ればスカートはそのまま下に垂れて、中が全開になるということかあ。。。
「あ、ごめん、そんなつもりで言ったんじゃなかってん、亜子さん」
「大丈夫ですよ、分かっていますから(笑)」
亜子さんははっきりいってこの学校内でいえばこのメイクされた顔、制服は不良だ。けどどことなく「あ、これはこれで整ってるからええやん」と納得させるようなものがある。それが彼女の美しさなんだろうなあと思う。
「ちなみに亜子それ、スカート、膝まで何センチ空いてる?」
「ちゃんとはかったことないけど、、、私樹里みたいにそんな脚長くないし。多分膝上から二十センチぐらいちゃう」
「ほら!、おかしいってあの教頭ボケ!私十五センチやのに!膝真ん中から!おかしいわ!しかもこれ、測る場所に寄っては十五センチないってマジで」
「もう有名税やって」亜子さんが左手をヒラヒラさせている。

でも分かった。
それで来なかったのかあ、一年と三年の女子は。てことは、
「来月制服変わる日で、食べる場所変わらないとあかんなあ」「そうやなあ、どこにしよう」「おもしろくないけど、教室かなあ」そんな会話をはじめたとき、

「ごめん、まりっぺ、ちょっとかまわない?」
「はい!」
なにやら田中さんと三人が階段の上へと上がっていき、一番上で何やら立ち話を開始した。少し江藤さんが不安げな顔をしたが、余り僕は気にしなかった。それ以上に、

そっかあ、あのプリーツスカートはとても可愛いと思うし、今まで寸胴スカートに縛られていた女子が解放されて可愛い制服に変わってゆくのは、女子にとっても良いことずくめだと思っていたけど、可愛い制服にしてお洒落になったがゆえに、できてたことができなかったり、当たり前にしていたことが、嫌になったり、するもんなんだなあ。。。
と思っていた。

上では風向きで、女子四人の笑いながら話す声と、
「”きょうせい”のほうがいいよ絶対」
「”きょうせい”は結構高いですよ~」
「今月はどうしても買いたいものがあって。。。それは来月でもいいですか」
樹里の声だ
「じゃあ、揃えるもんだけ揃えて、徐々に始めよう。で、”しんせいふく”にあわせたらいいねん。んじゃ、いついつまるまるむにゃむにゃモールで買いまむにゃむにゃ・・・・」
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