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★スキルと愛

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やはり今日も樹里は起きなかった。
最近遅刻はどうなんだろう。ギリギリセーフを繰り返しているのかな。
セーフならいいんだが、たまにアウトになっているからなあアイツ。
目玉焼き二個とパンを焼いて置いて出てきた。
お弁当も作り置きした。感謝しろよこのロクデモナイ妹よ!
普通に長い脚剥き出しにして布団抱いて横向けに寝ていて、そのまま起きなかった。臀部から伸びた白い太ももを見せたことが感謝のつもりかな。まあそんなことはないだろうけど。

先生ともすでに人間関係構築しちゃって、なーなーで済ますように持っていってるみたいだけど、そうじゃない先生とかもいてる。一応僕のとこは厳しめの高校ということにはなっている。昔の話をきくとエグいけど、それは生徒もエグかったからだ。学校が終業してからのほうが先生の仕事は忙しく、各方面の謝罪行脚だったそうだ。なにしろ「校門の前で屁こいたらその勢いで入れる」と言われた学校だったらしいから。
だからあのクソダッサイ寸胴スカートも誕生したんだろう。もっとずっとずっと昔は女子は普通のセーラー服だったとか。ことごとく違反してくるからあんなやぼったい制服になったとか聞く。

にしても、、、樹里の脚・・・・太もも、キレイだよなあ。。。
昨日、、、なんかちょっと。。。。

「おはよう!」
「おぅ??」
昨日の淡い思い出を手繰り寄せていたら、突然聞き覚えのある声が、
「・・・・・・・・あ、三原君」
「今日はちょっと、はよついてもうた」
少し小走りに走ってきた。
彼は僕同様ボッチ陰キャだが、確実に違うところがある。まず外見は背が低くかなり見た目より幼く見える。中学1年生だとしてもそんなに違和感がない。
あとは性格。ボッチ陰キャだが、誰かにすり寄ろうとしてくることはなく、そこは僕と似ているのだが、話せば結構毒舌で、いつもかなりエグ目なことを言う。悪気はないのだろうけど外見と反するので周囲を驚かせることもしばしばだ。

僕と三原は何気ない世間話をしながら、天川橋を渡りきり、学校通りへとさしかかった時だった。

「は~あ、どっかでヤラしてくれる女おらんかな~」

遠い目をした三原君がそうぼやいた。
高校二年生の考えることなんぞ、いや、十四歳以降に考える男子のことなんぞこんなもんが大半である。空が美しかろうが、川のせせらぎが心を癒そうが、軒下の黒猫があくびをしようが、縁側のおばあちゃんがこくりこくりと眠たそうにしていようが、セックスで頭がいっぱいだ。
「朝から元気やね」
僕は挨拶代わりに卒のない返答をしておく。
御多分に漏れず僕もそうだ。
妹がいてるが、一応妹だ。肉親だ。けど特殊だ。そんな領域をかき消すぐらいにアイツも悪いし僕の性欲は節操がない。朝からあんな腿見せつけられて、お色気ゼロのボクサータイプとはいえ、パンイチの下半身で、性欲を想起しないわけがない。で、次に思うことは
田中さんて、どんなんだろう。。。

「サッカー部の西村おるやん、普通科の同級生の」
三原の言葉に自分に戻る。
「うん」

「あいつこの半年で四人とエッチしたらしいで」
「ほんまいかいな(笑)」

そういう嘘は多い。男はヤッた女の数とケンカで勝った数は『ほとんどが嘘』だ。
「うん、何か僕も全部は信用していないけど、一人はこの学校の子らしいから、そこはホンマちゃうかな」
一人でも凄い。西村はかなりイケメンで一年の時から割と人気があったように思うが、性格の悪さも結構噂に聞く。
「でもうちら全然甘いみたいやで。他所の高校の男子とか、一年で三十人ぐらいヤレる男とかいてるみたいやし」
「へへ、凄いね」
一年で三十人といえば一か月で二~三人ペース。
そんなに女の子とヤレるもんなん?一応それなりに順番もあって何回かデートして、そしてキスして、その後またデート繰り返して、それから、って感じやろ?中には直ぐ行ける子も一人二人居てるかもしれんけど、そんな子ばっかりちゃうやろうし。。。
なにしろまだ一人として「お付き合い」の経験すらないものなので、セックスに至るまでの手順など分かるわけもなかった。なんとなくアオハル系の青年誌やそれこそ宮本から借りている美少女恋愛ゲームだけしか知らない。たまにエッチな本を読むと、もうちょっと色々ショートカットされた、それこそゲーム感覚のような恋愛物語が掲載されてあったり、こないだのネット記事のような竿役男子だったり、そういう早い手法や特異な存在になるのは自分には縁遠い気がしている。

「『日本おさせ村』でもあってそこの村民登録でもしたら、したい放題できるのかな」
三原が僕と一部同じことを思っていたようだ。好きな人ときっちり付き合えばしないけど
「間違いなく登録するわ」正直な気持ちだ。
「僕月10,000円でサブスクする~」
三原のアンサーに二人笑いあう。

あれ?セックスの前に「愛」があるんじゃないのかな。
だとしたらそんな三十人て、「愛の瞬間湯沸かし器」じゃないか。
そんなことできるもんなのかな。。。

「ふと疑問に思ったけどな」
先ほど沸いた疑問を毒舌・三原に聞いてみる。
「そんな四人とか、三十人とかって、、、気持ち入るんかなあとも思う」
愛というのはこっ恥ずかしすぎるので、「気持ち入る」に変換した。
「そんなんいけるんちゃう?風俗みたいなもんやんかあ」
「気持ちってあるんかな。。。」
「気持ちいいやろ」
「いや、それじゃなくて・・・・」
自分の本音のところは語りたくない。自分ってどんな人か知られたくない。だからどうでも良い会話だが、思わずしっかり語りたくなる。
「好きとか、ずっと一緒に居たいとか、そういうやつよ」
「そんなんはないやろ。一人ゲット~だけや」
朝から路上でドギツイ言葉を三原は口から吐く。。。さらに続けて
「そんなんあったら数なんていけるわけないやん、でも数行かないと誰が自分に合うかも分からんし」
「つまり、好きの気持ちより先に・・・・なのか?」
愛は、その後なのか?そんなふうに描いているドラマも漫画もアニメもなかったように思えるのだが。。。エロゲーはたまに残酷な話とかではあるけど、それは非現実的すぎるから頭の中で実社会との切り離しができている。
「そうそう、実際そんなもんやと思うわ。女とヤル前とかはさ、『おまえを愛してる』とか『おまえだけだから』とか言うけど。実際結果出している子とか見てたら・・・・」
そんなもんかあ。。なんか違う気もするんだけど。
・・・・きっと僕もそんな節操の無い雄の一人なんだろうか。
もしそうなら、やりまくりたい限りである。
そして僕は西村なんかどうでもいいが、その年間三十人はかなり羨ましい。

でもなんか僕は「愛」が引っかかる。きっと雄としてはひょっとしたら「とても面倒くさい」生き物のような予感がしてならない。

また思う。田中さんはどうなんだろう。。。
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