【R15】【第一作目完結】最強の妹・樹里の愛が僕に凄すぎる件【第二作目連載中】

木村 サイダー

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第一巻

★大失敗~私なりの思うところはこうだった~

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★樹里の視界


考え事をして、無口になりがちだ。
回転寿司のネタは普通に新鮮でおいしく、二人でとった茶碗蒸しも良い感じ。
何分にも、あにぃと食べるご飯は大好きだ。何でもおいしく感じて笑顔になる。
「最近野菜少なくて、肉ッ気が多いから。ちょっと肉控えないとなあ、で野菜の・・・・」
あにぃが明日からの食べ物の話をしてくれている。
私のことを気遣ってくれてのことだろう。

でも今日は・・・・今日のこと・・・・やはり胸が締め付けられる。

自分が失敗したことに関してでなく、私を助けてくれたこと、それだけでなく、その後の対応。折れた竿は私のせいなのに私を責めない優しさや潔さ。。。

なんでこんな応援したんだろ。。。
こんな思いするなら別にあんな田中さんになんて関わらなかったらよかった。
自分で自分がバカだと思う。

「樹里は肉食べたいの?」
「へ??あ、肉?肉、、、うん、私は平気やで」
「ふーん、なんか野菜と魚中心の食生活に賛同していただけない感じだったからさ」
「うん、、、偏るのはあんまり好きじゃないかな」
「あ、そうかあ、、、確かにそうだよなあ」
「肉の割合、ちょっと高かったけど全然許容範囲やで」
「え、そうなん?」
「うん、揚げ物、焼き肉!ばっかりというわけじゃなかったんだし」
「ああーまあな」

しかしここで急に反旗を翻したように、田中さんを突き放したら、あにぃの顔も潰れてしまう。最悪だ・・・・けど、それと同時にまだはっきりと言い表せない新たな感覚が私の中心に芽生えだしている。嫉妬をベースとしたものだ・・・・まあ今はいい。

「樹里?ひょっとして、今日のことまだ考えてる?」
「ふぇ?・・・・」
「おまえ即効で顔がシュンてなったで今」
「・・・・・あ、ああ、ごめんごめん、ちょっと、、、うん、そうかも」
下手糞な苦笑いをする。
「もう気にせんといてや~まぐろ頼むけど、食べる?」
「う、うんうん、おねがーい」
「はいはい!」

ベッドの中、寝る前も同じことを考えていた。
本当は、あにぃには、ちょっとぐらい女のことを知ってもらいたかった。
エロゲーばっかりで空想の女とばかり遊んでいないで、実物を知ってもらいたかった。中学校時代のあの事件があってから兄は「微笑を貼り付けた」ような顔をして学校生活を送っている。勿論そんなことは他人は誰も知らない。無能な両親も。「問題なければそれでよし主義者」だ。それではいずれこの先のことが問題になってくる。

この時期は女性とかかわる良い時期。女性が男性に、男性が女性に慣れておくこと。それは勉学と同じぐらい大切なことよ。「そんなのはまだ早い」「今後大学にいけば出会いがあって、合コンがあって、異性三昧な生活を送る」という人、特に年配の親どもや先生どもが責任感もなくそういうことを言うが、時代は変わっている。私が実際に大学生や大学生に成りたての人らと遊んだ時の感覚でいえば、男子も女子もコミュニケーションのレベルは高く、上手だったし大人になりつつあったし、いちいち男子女子という『壁』もなくなっていた。それはきっと中学、高校時代からの慣れの積み重ねがあるからだと私は思う。
もっと遊んでいる人らはコミュウマレベルではなく、口説き上手・口説かれ上手になりつつある。
余談だけど、「仕上がっている女」も多くなってくる(いわゆる首都の某区女子的存在)。男が仕上がるのは多分もっと後なんだろう。

そんな連中らとスタートラインが一緒でうまくいくわけもなく、今のあにぃなら「僕そういうの苦手だから」といって男女が交わる場に出向かなくなるだろう。

そう考えるとどうなる?
中学校で痛い目に遭い、仮面を被ったものは、高校でそのチャンスを失い、チャンスを失ったため大学のスタートラインの差を目の前にして 同じ列に並ばず自ら退場してしまい、自分の世界に籠る。
その結果どうなるだろう。社会に出たら職場で男も女も関係なく混合して芋を洗われるかのように揉まれて生きて行かないといけないのよ。そんなときに「女性だから」といっていちいち二の足を踏むようなコミュニケーションをしてしまっていたら、きっとうまくいかない。
異性とのコミュニケーション能力、当たり前に周囲ができることを当たり前にできないハンデを背負うため、会社での居心地がきっと悪くなる。そこにいる女どもにしたら「なんであの人あんなんなん?」ぐらいにしか思えない。
まさかただ純粋でおぼこいだけだ、なんて自分にはそのかけらも無くなってしまっているから、脳裏にも過らないだろう。
「そんなことで社会生活うまくいかないなんてありえない」と思っている奴らがいたら、そいつらのほうが世間知らずだと思う。そういうのは結構ある。

そう、親たちは、特に母親・女性は、自分たちがチヤホヤしてもらって結婚したものだから、センスやトークに磨きをかけることなんて毛頭ないうえに、今が全ての人だから、男女間からは第一線からは退いていて、「息子が男女間のコミュニケーションに疎いのは、純朴で良い」ぐらいにしか思っておらず、むしろ遊び人でチャラチャラされたくないぐらいにしか思っていない。そこに危機感がないのが腹立たしい。自分の成長の伸びしろを切除した感性でもって生きているから、いつまでも自分の青春時代と同じままの感覚なのだと思う。そんな人らから、異性とのコミュニケーションのあり方をとやかく言われても、そんなもの箸にも棒にもかからない。母親に対して私が嫌悪している理由はこれではないけど、これもその一つ。

この世はどこまでいっても男と女。。。。

女のリアルを知る必要がある。
諦めること。下手に神秘化しないこと。
男と「同じ」下種な生き物で、男とは「違う方法」で得たいものを得ようとしていること。
だから激しくなく、優しく接してくれる人がまず一番いいと思った。
田中さんはあにぃの話と、ファミレスで会った時に、「あ、この子ならいけるかも」と思った。感じの良い子だなと思った。この子ならある程度のところまでは、あにぃにとって良い教材になりうるのかなあと。

付き合うとか、男女関係になることではない。
ニュートラルに接することに対する良い教材に成り得るのじゃないかと。
ちょっとずつ女に慣れていってほしかった。将来のために。
慣らしにはあの子は良い子だと思った。

けど、あの子もあんまり頭がいいとは思えなかった。田中さんがあにぃの教材としては、役不足と今は思える。
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