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★変わりたいんじゃなかったっけ?

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「・・・・どうでもなんて、、良いわけないじゃないですか。。。どうでもよかったらこんな相談していません!」
怒りがこみ上げたようだ。それでいい。

でもまた田中さんが考え込んだ。やはり怖いのかな。
一応は校則違反ではある。だけど「新制服組」は「旧制服組」よりももっと緩くなっていて、同じ違反をしていても「旧」に比べたら「新」は先生たちもそこまで言わない。旧制服組は昔の規則が厳しい時代のうちらの高校の伝統をを残している。「新」はナチュラルメイクは勿論、ネイルや髪も色々やっている子がいるし、私も時々時間あるときは髪は巻いたりもする。私の場合は目だちすぎるので、それとスカート丈と遅刻が合わされば即指導になる。ちなみにスカート丈はそこまで短いほうではないので、あれは完全「目をつけられてる」というやつで理不尽極まりない。
「・・・・・あの、、、一つ気になっていることが・・・あるんですけど」
「うん、何?」
「実は私、、、前にお化粧は考えたことがあったんです。で、そのとき両親に相談したんですね。・・・・で両親が言ったのは」
「うんうん」
「自分の心の持ちようや、気持ちの持ちようとか、あるいは食べているものや、温活、生活習慣や睡眠時間の改善で美しくなる、インナービューティーの方がいいんだと。。。それだけじゃなく性格を磨け、と。性格を磨くことで、さらに美しさは人の内面から溢れ、中から外へと伝わっていく『インサイドアウトになって体の表面に表れてくるんだ』と私によく言ってくれたんですね。。。」
「うん」
「で、私もそれを信じているんですけど。。。」申し訳なさそうに終わる。
「ふーん、じゃあ、さっき私が一番目に話したこと内容や意味分かるよね?」
「え?」
「あれはインナービューティーの話と同じだと思うんだけど。まりっぺが今後長い時間をかけて努力して、今すぐのカースト上位者になれなくても、なにかをやり続けて諦めなければどこかでインナービューティーを獲得できるという話に聞こえなかった?」
「・・・・・ええっと、なんか成功者の話かなと」
「成功者=ビューティーに置き換えればいいんじゃね?」
「は、はあ・・・・」
「それにインナービューティーの話を全肯定するなら、テレビや映画にでているタレントさんやモデルさんたちって性格良いからキレイなのかな?」
「・・・・い、いえ、それは一概には」
「あとさ、まりっぺの、お母さんは出かけるときお化粧しないの?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・実は、最近します」
「ほら」
「・・・・・・はい。前は倉庫系の仕事でしたけど、今は営業補助的な仕事をしていて、得意先にも一日何件かいくようで、化粧しています。インナービューティーの話をパパとしていたんですけど。。。」
「必要なものを補っているだけやん。そうでしょ」
「そうですね」
「倉庫の仕事の時は、化粧する必要なんてなかった。だって倉庫内で勝手知ったる仲間とだけ話していればよかったから。けどそれが外回りで対外的なことをするようになったら、やっぱりお化粧するんでしょ。インナービューティーだけではないってことやん」
「そうです・・・・ね」
「あとさ、これは私の持論だけど。私が『私たる理由』って、当たり前だけどこの外見があると思う。私が今の私のその、、、「地位」とかいうやつ?あんまり気にしたことはないんだけど。もしそれを象るものがあるとしたら、「外見」というのは切り離せないものでしょ。それってインサイドアウトじゃなく、アウトサイドイン(外側から内側へ)じゃないかな。勿論内側からあふれ出るものが一番大事かなとは思うけど、それでは足りない場面が実は多く存在していて、そこを補うために人はアウトサイドイン、つまり自分を飾るのでは?それで気分が高揚してうまくいかないことでもうまくいけるような自信が持てるようになる。だってこの世のほとんどの事柄なんてその個人の『思い込み』で成り立っているようなもんじゃない。そう思ったら「自信があるのか自信がないのか」というのは結構大きなその人の行動を大きく左右していると思わない?」
「・・・・・・・・・・・・」
なにかが彼女の中で新しい動きをしだしたように思えた。黙って海を、一点を見つめだした。
「で、まりっぺ?」
「あ、はい」
急に我に返らされたように返事した。

「あなたは、変わりたいんじゃなかったっけ?悔しいなら見返してやりたいのではないの?しかもなるべく急いで?」
自分でもよく覚えていないが、いつの間にか私は田中さんを見下ろす位置ぐらいに近づいていた。

★樹里の視界 終了
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