【R15】【第一作目完結】最強の妹・樹里の愛が僕に凄すぎる件【第二作目連載中】

木村 サイダー

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第一巻

★どうでもいいと思ってる?

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青イソメの口からブラクリに刺し込み、胴体の途中から針を貫通させて、あえて尻尾を少し引きちぎって体液を出させる。
「これ、いっぺんそこらへんの足元に落としてみ」
「あ、はい」
田中さんは再び水辺までいき、ベールを倒し投げずに水面に落とし込む。
「そこで糸止まるまでそのままなー」
「はーい」
私は自分のイソメも同じようにセットした。
「糸出なくなりました」
着底した証拠。
「じゃあベール元に戻してそのまましといて」
カチャッとベールが戻る音がした次の瞬間、

「…あ、あれ?あれあれあれ!」
「うん?キタ?」
竿が三回ほどグングングンと入った。
この女、釣り運最強やなあ。そのまま釣り女になったらその業界の大物になるんとちゃうか?
が、しかし、
「・・・・・・・・・あれ?」
「あ、バレた?」
「バレた?」
「魚が逃げることをバレたっていうねん」
「ああ~なんも重みとか引っ張りなくなりましたね。。。。」
「ちょっとあげてみぃ」
リールを左手で巻き上げていくと、、、、青イソメだけ無くなっている。
「餌とられたなー」
「あーーーーホンマですね、残念だー!」
「合わせんからやー」
「合わせ、ですか?」
「合わせっていうのは、あ、きたって感じたときに、こう」
ロッドを下から上に跳ね上げる。
「針をおもっきり貫通させること、やな」
「ああ、それしないとかからないんですね」
「そうそう、今日着いてすぐにルアーで釣ったやつは、多分『向こうあわせ』になっていた。針がかかったときに魚の方がおもっきり逃げようとして逆に針が食い込むときがある。巻物なんかは向こう合わせで行けることが多いけど、こういう一本針の釣りは『あわせ』はしんと釣りあげるんは難しいで」
「そうですかあ」
青イソメを出してきて「触れる?」と聞く。
「う、うーん、噛みます?」
「噛むけどこいつらぐらいの大きさだったら皮膚に歯が通らないから大丈夫やで。じゃあもう一回だけ付けたげるから見といてな」
「はい」
そう言って田中さんのブラクリの針をとって青イソメの口から縫刺しする
「針が飛び出しているから障害物に引っかかりやすいけど、無くしてもかまへんから気にしやんといて」
「ありがとうございます」
「で、なんの話やった?」
「(笑)樹里さん、、、お願いします」
分かって言ってることバレてるな。
「フフフ、まあ気を取り直してっと」自分の青イソメのついたブラクリを海に落とす。
「いじめなんて、ほんのちょっとした粗(あら)から始まる」
「粗?」
「うん、つまらない粗から。自分と違う、多くの人と違う、今時格好良くない、あの子一人だけこうだ、そんなところから」
田中さんが自分のイソメを海に落とす。
「私の知ってる子で」
実はあにぃのことだが、
「中学校の時に、足のすね毛の濃い子がいてな」
「はい」
「今からしたら別にそんな濃いわけではないねんけど、中学生にしたら、すね毛が濃い、というだけのことだったけど、それだけで警察沙汰マスコミ沙汰になるぐらいのイジメに発展した子がいてる」
「ええ!それは酷いですね」
先ほどから風が出てきたのと同時に、波も少しだけ出るようになってきた。
「うん。でもきっかけってそんなところやねん。いじめするやつらって、自分がホンマせなあかんことから目をそらして、その代わりに自分がどこのどのポジションかばっかり気にしている、基本的には独り立ちできない弱虫なやつが多い。そういうやつらって年がら年中人の揚げ足を狙いに行って、これ見よがしに取って自分の手柄にする。つまり自分たちのグループ内の笑いのネタにな。だからそういう突っ込みどころは自分があまり強いキャラでないなあと思ったなら、削いでいったほうがいいよね。だってこういう連中らも世の中から絶対消えないもん」
「樹里さんになんかは、関係ないでしょ」
「関係あるある」
「え?ホンマですか?」
「そりゃああるよ。私だってどんなミスするか分からないし、きっと歯に青のりついているときだってあるよ。そしたら『いーや、あんな顔してあの子歯に青のりついてるわ、ダッサー』って言われる。すぐに学園の子らのSNSで上げられるし、グループチャットにも投稿される。しかも日頃のイメージと相違の幅が大きければ大きいほど当たりはきついで。まあ私はそんなん見てないけどな」
「ああ・・・・なるほど。『逆ギャップ』というやつですね、、、、なんとなく分かった気がします、それは」
『逆ギャップ』・・・ギャップが良い方に意外だったのに対して、元々良い方に思っていたのに悪かった様を言う。
「さっき校則違反が怖いって言ったけど、校則ももうすぐ変わるやん」
「ええ。新制服になれば、でしょう。確か髪の長さが私たち旧制服食いは肩より長いなら二つくくりか三つ編み。ポニーテールとか巻くのはダメ、だったのが、巻くのはダメなだけになりますね」
「うん、その通り」
毛先が緩巻きの私の髪が風でほんのり揺れている。
「あとはスカート丈も膝上オッケーやから、可愛くしようと思ったらできる」
「でも化粧は、、、相変わらずダメでしょう」
「だけど、傷を隠したり吹き出物を消す自然な化粧はオッケーやんか。旧制服組でも傷はオッケーやったし」
「ええっと・・・それはそうですけど。そこから私の顔に化粧を施すのは、それはちょっと拡大解釈のような気がしますけど」
「足りないものを補っているだけやんかあ。私は別にこの顔でノーメイクで十分だけど、メイクしてこの顔なら私は容赦なくメイクするで。しかもメイクしてると分からない程度なら怒られることもない。それでまりっぺが好きな彼氏でも横取りできるよ」
「うう・・・・・そ、それは」
「化粧の仕方が分からないんだったら、私もある程度しか分からないから、亜子でも呼んでくる。こないだファミレスで会った子。あいつなら多分この肌ならこれぐらいとか校則守りつつならこのくらいとか、できると思う」
私は確認と念押しをしたかったので続ける。
「あと、まりっぺさ」
「・・・はい」

「悔しいと思っている?どうでもいい?」
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