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★樹里なりのスクールカーストに対する考え方
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「スクールカーストなんだなって、気が付いたのは、まりっぺいつの時?」
「そうですね、多分・・・」
人差し指を下唇にあてて、
「中学校一年ぐらいから、徐々に、だったと思います」
「徐々にで、はっきりしたのは?」
「おそらく中二です」
「うん、十四歳ぐらいかな」
「そんなもんですね」
「スクールカーストってな、言葉は有るけど、じゃあ絶対にカースト制度みたいに、この人らはこれしちゃだめ、あれしちゃだめ、この人らはいいって本当に決まっているわけじゃないやん。家に帰ったら、あるいは学校を出たら結構みんな女王様だったりする」
「まあ、それはそうですけど・・・・」
「ただ、集団の中でいてるから、他人と比べているから自分が『上か下か』『どの辺りか』ってなると思うねん」
「じゃあ、比較しなければいいということでしょうか?」
そんなことできるんならとっくにしてると言いたいんでしょ。
「極論をいえばそうなんだけど、でも比較しがちだから『スクールカースト』なんて言葉が出てくるわけやん。じゃあ、何をその人らと比較してるのん?て思えへん?」
「何を、ですか。。。それは・・・立場ですか?」
「立場だったら大雑把すぎて意味わからんやろ?」
「ええっと・・・・・目立つこと?」
「目立って、悪目立ちやったらイジメられるで」
「う、、うーーーーん」
考え込んでしまう。
「私は、『その人のその時代においてウケの良い能力が複数高い人』がスクールカースト上位者の正体やと思うよ」
「は、はあ・・・・・」
あまり理解できていない。
「言い方変えれば、『時代が変わればスクールカースト上位者なんてすぐに変わる』ということよ。そもそもスクールなんだから学校の世界だけやし」
「ま、まあそうなんですけどね・・・・」
苦笑いをしている。
おそらく「ちっとも欲しくない答え」の予感がしたのだろう。
真実と言うのはそのようなものが多い。
実はまったく自分が望んでいない答えだったり、
言われたら一番耳の痛いことだったり。。。
(だから私も行動しないでいることがあるんだ・・・・)
話を戻そう。。。
「おそらくだけど、社会人カーストもあると思うで」
「う、うーん上司とか部下ですか?」
「いや、違うね。もっと職種とか誰の奥さんになっているとか、同窓会に行っていい顔できるかどうか、みたいなもん、かな」
あんまり気にしないから、例え話が難しい。
「だってケンカ強いなんて役に立つのってほんのわずかな時期ぐらいで。成人してからやってる人らもいるけど基本警察沙汰やわね。高校野球のエースでしたって言っても高校時代のカーストが高いだけで、じゃあ大学行ってもいきなり高いのかといえば絶対そんなことはない。それに」
「それに?」
「スクールカーストは『今の状態』のことやんかあ。子供の頃からずっと積み重ねてきたことでかつ周囲に『ウケる』ことが『今』開花しているという状態やん」
続ける。
「子供の頃からさぞかし痛い目して腕っぷし鍛えた子は当然ケンカ強いのが『今』だし、野球やサッカー頑張ってきた子は当然運動神経よくて目立つ『今』がある。けどたとえばさ、うーん、田中さんが今から弁護士になりたいとしようや。弁護士になりたいと思って今から法律の勉強をやりだすやろ」
「は、はい」
「でもそれは今まで弁護士になろうと既に頑張ってきてる子には当然勝てないわけ。どんな勉強をするのかも知らないけれど、その地点では勝てない。」
「そうですね・・・・」
「じゃあ今まで頑張ってきた子の方が弁護士予備軍としてはカースト上なわけやん。頑張ってしてきた過去があり、積み重なって『今』になって芽を出しつつあるということやな。そこを一足飛びにここに所属したらチート級にカーストが上に上がるとか、自分が変わるとか、そういうのんはないと思う。あくまで『優れた勉学の才能』や『ちょっとした巡り合わせの幸運』的な、追い風程度やと思うわ」
「・・・・・・・・・・」
「コツコツと積み重ねるだけと思うよ」
「・・・・・・・・・・」
かなりがっかりした顔になってきていた。
もうちょっと待ってね。あなたの欲しい方の答えも分かっている。けどその前に本当に大切な方を私は言っているつもり。
「あと、弁護士目指している女子と読者モデルやバレーボールのエースやったらどっちがウケる?」
「それは後者でしょう」
「そう、で、その弁護士になりたいと頑張ってきた子が『こんなウケないことやめるわ』ってやめてしまって、そのやめた後もまりっぺが頑張って弁護士資格の勉強をしていたとしよう。きっとまりっぺがその子の学力をすぐ超えていくと思う」
「まあそうですね・・・・」
「そして受験資格を手にして受けてみて、落ちて落ちてまた落ちてしたとしても、その次受かったらそいで勝ちじゃない。『ウケない』からってやめてしまった子よりスクールカースト時代は下でも、社会カースト時代では上になる。それでいいんじゃない?自分で時間的制約をかける必要なくね?高校生の間、とか中学生の間、とか。弁護士になりたいって夢、例え話だけどね。それと、実現するための行動は、学生時代だけで決まるものじゃない。学生時代にとれなくてもずっとやっていたっていいやん。自分の気が済むまでやれば。二年で毎日十二時間勉強して合格した資格も、十年かけて毎日二時間勉強で合格しても、資格取得は取得。三十六歳になっても、四十八歳になっても、合格したときが、つまり評価を得たときなんだから。それに多分読者モデルよりもバレーボールのエースも三十六歳になったらもう大半やっていない。けどその時に、はい、弁護士になりましたってなればその子らよりもカーストは上位に行ったってこと」
「うーーん、難しいですね。。。」
「難しいよ、ずっとやり続けることって難しいけど、さっきも言ったように『その時代にウケる能力が高い』人がカーストの上のほうにいて、しかも社会に出てもあるんなら、何もしないでどこかに所属することばかり考えていないで、変えてもらえる誰かと出会うことばかり考えてないで、自分のできる『ウケる』能力を何年も磨き続けて行けば、時代のどこかでそのカースト逆転する可能性は高いよってお話」
多分分かっていないなあ。
愛想笑いが風に揺れる。
「それって今すぐに変われるものじゃあないんですよね」
海のほう、遠くを見ながら田中さんが言う。
今すぐに変われることがあるとしたなら「やりはじめるか、やらないままか」だけ。結果はその後からついてくる。得たい結果が出るまで続けるだけ、ということなんだけど、、、まりっぺはあまりにも手前の結果を欲しがっているなあ。それだけコンプレックスが強いのか、あまり賢くない子なのか。
あにぃにはちょっと無理な子かも。
男女として付き合ったとして、良いことがいっぱいありそうな子ではないのが良く分かる。
勿論そんなことは許さないけど。。。
それにしても思慮が浅い。
浅いがゆえに良い変化も悪い変化も、きっと大きく流されてしまうんだろうなあ。
まあでも、せっかくここまで乗っかってしまったし、実際にあにぃに丁度いい練習台になってくれるような女の子も見当たらないし。。。いいかあ、提供するものだけは提供しよう。
「そうですね、多分・・・」
人差し指を下唇にあてて、
「中学校一年ぐらいから、徐々に、だったと思います」
「徐々にで、はっきりしたのは?」
「おそらく中二です」
「うん、十四歳ぐらいかな」
「そんなもんですね」
「スクールカーストってな、言葉は有るけど、じゃあ絶対にカースト制度みたいに、この人らはこれしちゃだめ、あれしちゃだめ、この人らはいいって本当に決まっているわけじゃないやん。家に帰ったら、あるいは学校を出たら結構みんな女王様だったりする」
「まあ、それはそうですけど・・・・」
「ただ、集団の中でいてるから、他人と比べているから自分が『上か下か』『どの辺りか』ってなると思うねん」
「じゃあ、比較しなければいいということでしょうか?」
そんなことできるんならとっくにしてると言いたいんでしょ。
「極論をいえばそうなんだけど、でも比較しがちだから『スクールカースト』なんて言葉が出てくるわけやん。じゃあ、何をその人らと比較してるのん?て思えへん?」
「何を、ですか。。。それは・・・立場ですか?」
「立場だったら大雑把すぎて意味わからんやろ?」
「ええっと・・・・・目立つこと?」
「目立って、悪目立ちやったらイジメられるで」
「う、、うーーーーん」
考え込んでしまう。
「私は、『その人のその時代においてウケの良い能力が複数高い人』がスクールカースト上位者の正体やと思うよ」
「は、はあ・・・・・」
あまり理解できていない。
「言い方変えれば、『時代が変わればスクールカースト上位者なんてすぐに変わる』ということよ。そもそもスクールなんだから学校の世界だけやし」
「ま、まあそうなんですけどね・・・・」
苦笑いをしている。
おそらく「ちっとも欲しくない答え」の予感がしたのだろう。
真実と言うのはそのようなものが多い。
実はまったく自分が望んでいない答えだったり、
言われたら一番耳の痛いことだったり。。。
(だから私も行動しないでいることがあるんだ・・・・)
話を戻そう。。。
「おそらくだけど、社会人カーストもあると思うで」
「う、うーん上司とか部下ですか?」
「いや、違うね。もっと職種とか誰の奥さんになっているとか、同窓会に行っていい顔できるかどうか、みたいなもん、かな」
あんまり気にしないから、例え話が難しい。
「だってケンカ強いなんて役に立つのってほんのわずかな時期ぐらいで。成人してからやってる人らもいるけど基本警察沙汰やわね。高校野球のエースでしたって言っても高校時代のカーストが高いだけで、じゃあ大学行ってもいきなり高いのかといえば絶対そんなことはない。それに」
「それに?」
「スクールカーストは『今の状態』のことやんかあ。子供の頃からずっと積み重ねてきたことでかつ周囲に『ウケる』ことが『今』開花しているという状態やん」
続ける。
「子供の頃からさぞかし痛い目して腕っぷし鍛えた子は当然ケンカ強いのが『今』だし、野球やサッカー頑張ってきた子は当然運動神経よくて目立つ『今』がある。けどたとえばさ、うーん、田中さんが今から弁護士になりたいとしようや。弁護士になりたいと思って今から法律の勉強をやりだすやろ」
「は、はい」
「でもそれは今まで弁護士になろうと既に頑張ってきてる子には当然勝てないわけ。どんな勉強をするのかも知らないけれど、その地点では勝てない。」
「そうですね・・・・」
「じゃあ今まで頑張ってきた子の方が弁護士予備軍としてはカースト上なわけやん。頑張ってしてきた過去があり、積み重なって『今』になって芽を出しつつあるということやな。そこを一足飛びにここに所属したらチート級にカーストが上に上がるとか、自分が変わるとか、そういうのんはないと思う。あくまで『優れた勉学の才能』や『ちょっとした巡り合わせの幸運』的な、追い風程度やと思うわ」
「・・・・・・・・・・」
「コツコツと積み重ねるだけと思うよ」
「・・・・・・・・・・」
かなりがっかりした顔になってきていた。
もうちょっと待ってね。あなたの欲しい方の答えも分かっている。けどその前に本当に大切な方を私は言っているつもり。
「あと、弁護士目指している女子と読者モデルやバレーボールのエースやったらどっちがウケる?」
「それは後者でしょう」
「そう、で、その弁護士になりたいと頑張ってきた子が『こんなウケないことやめるわ』ってやめてしまって、そのやめた後もまりっぺが頑張って弁護士資格の勉強をしていたとしよう。きっとまりっぺがその子の学力をすぐ超えていくと思う」
「まあそうですね・・・・」
「そして受験資格を手にして受けてみて、落ちて落ちてまた落ちてしたとしても、その次受かったらそいで勝ちじゃない。『ウケない』からってやめてしまった子よりスクールカースト時代は下でも、社会カースト時代では上になる。それでいいんじゃない?自分で時間的制約をかける必要なくね?高校生の間、とか中学生の間、とか。弁護士になりたいって夢、例え話だけどね。それと、実現するための行動は、学生時代だけで決まるものじゃない。学生時代にとれなくてもずっとやっていたっていいやん。自分の気が済むまでやれば。二年で毎日十二時間勉強して合格した資格も、十年かけて毎日二時間勉強で合格しても、資格取得は取得。三十六歳になっても、四十八歳になっても、合格したときが、つまり評価を得たときなんだから。それに多分読者モデルよりもバレーボールのエースも三十六歳になったらもう大半やっていない。けどその時に、はい、弁護士になりましたってなればその子らよりもカーストは上位に行ったってこと」
「うーーん、難しいですね。。。」
「難しいよ、ずっとやり続けることって難しいけど、さっきも言ったように『その時代にウケる能力が高い』人がカーストの上のほうにいて、しかも社会に出てもあるんなら、何もしないでどこかに所属することばかり考えていないで、変えてもらえる誰かと出会うことばかり考えてないで、自分のできる『ウケる』能力を何年も磨き続けて行けば、時代のどこかでそのカースト逆転する可能性は高いよってお話」
多分分かっていないなあ。
愛想笑いが風に揺れる。
「それって今すぐに変われるものじゃあないんですよね」
海のほう、遠くを見ながら田中さんが言う。
今すぐに変われることがあるとしたなら「やりはじめるか、やらないままか」だけ。結果はその後からついてくる。得たい結果が出るまで続けるだけ、ということなんだけど、、、まりっぺはあまりにも手前の結果を欲しがっているなあ。それだけコンプレックスが強いのか、あまり賢くない子なのか。
あにぃにはちょっと無理な子かも。
男女として付き合ったとして、良いことがいっぱいありそうな子ではないのが良く分かる。
勿論そんなことは許さないけど。。。
それにしても思慮が浅い。
浅いがゆえに良い変化も悪い変化も、きっと大きく流されてしまうんだろうなあ。
まあでも、せっかくここまで乗っかってしまったし、実際にあにぃに丁度いい練習台になってくれるような女の子も見当たらないし。。。いいかあ、提供するものだけは提供しよう。
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