【R15】【第一作目完結】最強の妹・樹里の愛が僕に凄すぎる件【第二作目連載中】

木村 サイダー

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第一巻

★ハンバーグ作りました。明日お弁当として持って行こうと思ってるが、樹里から『その優しさは要らない』と言われてしまった。

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「ごちそうさま~ふわ~食った食った」
樹里がおなかを撫でて目を瞑り天を仰ぎながら、白いTシャツの上からお腹をなでる。
「おいしかった~止まらんかと思った。カレー味が効いてるから、あんまりソースは濃いの確かにいらんなあ。ウスターソースとかで十分やったわ」
というのもそうだ。まあまあ普通のレギュラーサイズのハンバーグを二個食べた。
一緒に出したキャベツの千切りも、フリーズドライのインスタント味噌汁も、ご飯も二杯食べて、コーラを飲みつつ、である。良く食べてくれるのは嬉しいが。。。
と言いつつ、僕もニ個食べた。その代わり米は食べれなかった。
その通り、ソースはあえて作らなかった。
ノーマルのハンバーグなら簡単にソースとケチャップとマヨネーズを炒めてトロミを帯びてきたら十分おいしいソースが出来上がるのだが、今日はカレーパウダーがかなり濃い目に入っているしピーマンもアクセントになるから薄味のソースがいいなあと思った。
「こら今日運動せなあかんわ、あにぃ。後でいくで」
体を戻し、指で外をくいっと指す。
「分かったよ」
「走ってる最中めっちゃげっぷでるんちゃうかなこれ・・・」
またお腹を摩る。
「それ苦しいパターンやんなあ」
「うーん、今日ぎょうさん作ったなあ。アレ私らだけとは思われえへんねんけど?」
僕の顔を透き通るような瞳で凝視してくる。
明らかに、空気が変わった。
緊張感が一気に部屋を包む。
これがキングオブカーストの迫力なのだろうか。
「・・・・・・・・・・・」
目をそらし、グラスのコーラを飲む。
まだ隠しきれるのか?
いや、もうすでに王手決められている気がする。
「まだ焼いてないミンチの分だいぶ残っているやろ・・・・」
「・・・・・・・・うん」
これは気づかれているなあ。
さっき冷蔵庫でサイダーを見つける前に、なんかキッチンを観察してるように思えたんだ。
「明日のお弁当に入れる。樹里もいる?」
「おー、可愛くしてくれるんなら」
「僕の手先では限界はあるけど、おかずカップ買ってきたし」
「え?私にお弁当作ってくれるためとちゃうやんなあ?」
「まあ、それは違うけど・・・・」
「たまたまでもないわなあ・・・・・」
「・・・・・・・・・まあな」
「田中さんに作ってあげるん?」
確信に迫られた。
詰んだ。
もう観念した。
「そ、そうだけど」
樹里はゆっくり大蛇が僕に近づくかのように体をこちらに前のめりにしてきて、両肘を机につき、手を口元で合わせた。
「なんで?」
「え?」
「なんでそれをするん?」
笑顔はいっさいない。思慮が読めない。
「あ、いや、今日学校で、お互いお弁当なくてな、んで、田中さんち共働きで、お弁当ない時が結構あるから、それやったら僕が残り物とかで作ったるわって言ったの」
「ふーん、私には作ってくれないのに?」
「樹里は可愛くしろとか注文多いやんかあ」
「あにぃのはありがたいし、おいしいんやけどな、やけどあまりにも詰まってるだけ感がなあ・・・・てか今回おかずカップ買ってきてるやんか」
「そ、そこは一応他人様だし、樹里とは違うから。。。でもそこまでめちゃくちゃキレイなお弁当作ろうだなんて思ってないで」
目が一瞬キラリと光った気がした。
「なあ、あにぃ・・・・」
次に放たれた言葉、それは、

「セックスはしたん?」

セックス・・・・って?
セックスって、あのセックス?
いわゆる男女のまぐわいというか、合体というか
凹と凸を合わせるあれ・・・・?
カップルの最終系の、あれ・・・・・?
「・・・・・・・・・はあ?」
なんでその質問??
意味が全く分からない!
「し、してるわけないやろうが。どっからそんな質問繋がるねん??」
そう答えると樹里はニヤ~ッと笑顔になり、
「いやあ、めっちゃ尽くそうとしてるからさ、もう先に関係ありき、かなあと思ってん。そうかまだセックスしてないんかあ」
樹里の緊張感がなぜか解けた。
『あーよかった』と聞こえたような気がした言葉があったが、はっきりと分からなかったので再度は問いかけなかった。
だが次の瞬間、

「そこまでせんでええと思うで」

だった。顔は笑顔のままだったが、今度は僕に目を合わせてくれなかった。
「樹里・・・・・」
「ま、私しゃこれでそこそこなお弁当をゲットできるんだから、ありがたい。一か月のまるまるでないにしても、外で買ったり食べたりするランチ代浮かしたらお小遣いの使える分大きく変わるからね。私にしたらWINだし」
そう言いながら自分の食べたお皿やグラスをまとめだす
「今日な、実は仲道がな・・・・・・」
僕は今日、教室であったことを樹里にあったことを話した。樹里は持っていこうとする手を止めて聞いてくれた。
仲道と脇坂が本人がすぐそばにいるのに、僕と良い仲だろうと。そして僕にようこんな不細工のオッペケペーと付き合っているわ、目がおかしいんじゃないかと言われたこと。樹里やらんちゃんが比較に出されていたこと、それに対して僕はほとんど無力で、「僕は田中さんが不細工とも汚いとも思わない」としか言えなかったこと、そうしていたら委員長の辻本くんが止めてくれたこと、辻本君の実力を見せつけられて、自分の無力さを痛感したこと、だから何かしら僕は僕なりにできることを田中さんにしてあげたいなあと思ったこと。。。それらを話してみたが、
「そこまでする必要はないと思うよ」
樹里の答えはなんら変わらなかった。
そっかあ、それならやりなさい!と来るかと思ったが違った。
ここは僕と樹里の感性の違いなんだろうか。
「田中さん、今つらい気持ちでおると思うけど、なんか言ってあげれることってないかな」
僕は樹里に言った。
その言葉を言い残してお皿やグラスをシンクに持っていき、水をはる。
「・・・・・・特に何も言わないでいいと思うよ」
「ええ~?めちゃ傷ついてる思うで」
「だからええねん」
「は~~~~?」どういうこと?
「傷ついて怒ってはるんやろ。それでええねん。そういうのが変革するときの原動力になる。必死になれる元になるわ」
「そうなのかなあ・・・・」
僕は凹んで埋まったようなもんだけど
「それに学校内でその辻本いうしっかりした子もおるんやろ。じゃあ今以上にひどくなることはないでしょう。やっぱその辺は特進科やなあ、さすがと思うわ」そうなのかなあ?
心配なんだけどなあ・・・・と思っていたら樹里が
「お弁当、毎日するわけじゃないんよね・・・・?」
と来たので
「毎日は、、、できないと思う」
素直に答えた。
「まあそれならどっちでも・・・・いやあ、しない方がいいかなあ」
あと、もう一つ思い出した。
「あとな・・・・」
でもこれは、言わないほうがいいかもしれないけど。
「うん」
一応は自分の動力源の一つなので言って置くことにしようとしたが、
(優しゅうしたったら、女はついてくるって、父親の広樹っさんが・・・)
「いや、なんでもない」
頭ごなしに否定してくるの容易に想像できるから。親の言うことに対しては特に辛辣に否定してくる。
何も無いならいいやと、伸びをしながらキッチンから出てきた。
「ま、やりたいんなら、精一杯頑張ってクレセント」
「なんだそりゃ・・・・」
「さ、運動行くよ」
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