【R15】【第一作目完結】最強の妹・樹里の愛が僕に凄すぎる件【第二作目連載中】

木村 サイダー

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27 / 202
第一巻

★兄弟の絆~僕はロックのオーディションに落ちたため、エロゲーと釣りにハマることにした~

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僕は樹里が戦っている途中で意識がなくなり、救急搬送された。
鼻の骨とその周辺の骨折、肋骨の骨折、右手小指の骨も骨折していた。
一時期脳内出血らしきものが見受けられたが、誤診と判断されて、命に別状はなかった。
鼻は再生せず、整形手術で形を整えた。
腕と足は酷かったが骨に異常はなく、長い日にち薬となった。
以前より少し鼻が高くなり、低めの鼻孔が少し上向きの鼻だったのが、よりシャープな顔立ちにはなった。
後は精神的なもの・・・・病院内、その後の治療中に恐怖が再現し、PTSDを何度も発症した。
その後、僕は「ロックには生きれない」と判断した。
革ジャン、レザーパンツや、細身のタンクトップは捨てた。
シルバーアクセサリも捨てた。
配信で持っていた音楽データも映像も記録媒体に移して、半ば永眠させるかのごとく棚の奥深くにしまいこんだ。
歌はまだ好きだったし、蒼介のことは尊敬していたから。。。
けど僕はその人のように生きられないと、悟った。
格好よくステージで拳を振り上げるような人間が、鼻へし折られて妹も危険にさらすようなことはしないって、思った。
やがて学校に復帰したが、あの事件以降、ほとんど誰も話しかけてくれなかった。
『ライト無視』
僕がそう名付けた。完全な無視はまた僕が先生に泣きついたり、どこかの報道機関に『その後の学校対応は酷いものだ』なんて生徒個人名を持ってタレこまれたら、溜まったものじゃないからしない。そう、先生方々の生徒たちも、なるべく一日のうちで僕に関わらないようにしている様子、だった。
学校に行くだけ。誰も話しかけてくれない。僕も話しかけない。
たまに先生が「御堂、大丈夫か?何かあったらすぐに言ってくれよ」と、
『頼むから何も言わないでくれ』と表情に浮かべながら言ってくるぐらいだった。
ロックファッションなお洒落も研究しない。
となると、漏れなく時間が余ってくる。
僕は「もっともロックではないこと」を、しだした。

僕はロックのオーディションに落ちたんだ。
もう惑うことはない。

それは「勉強」と「エロゲー」と「釣り」だった。
挫折していた勉強を再開したら、不思議とすぐに四十そこそこまで下がっていた偏差値は、受験前までには五十超えるようになった。

前にも言ったけど「エロゲー」は僕の夢の世界だった。素晴らしい架空の女性たちが僕を待っていてくれた。『おかえり、疲れてな~い?』なんて声もかけてくれた。
何度も言うがイジメられているときのクラスメイトの女たちは、僕に対して酷いもんだった。
――――何度も言わせてくれ。もう今更あいつらにしたら『済んだことを何を言ってるの?私たち知らないわ』だろうけど、僕にすれば未だに残る、酷く辛いものだったんだ。
僕が格好よく調子乗ってデビューした振る舞いをしているときは、僕に愛嬌をふりまいて寄って来てくれたのに、イジメが始まると誰も近寄らなくなった。それどころか、便乗して、悪口を言ってくる子もいた。いじめが終わったら終わったでなんだ??誰も謝りに来ないどころか、『私関係はございません』『私いっさい知りません』『私一切関与していません』という装いだ。
悔しくて泣いた。ふざけんな!!って思った。
良く大人たちが『人間関係っちゅうのは、困っているときや落ちぶれている時には誰も寄ってこず、自分がイケてるときだけは、もうええってっていうぐらい寄ってくるもんだ』
と言っていたが「落ちぶれている時」とはこんなに惨めなもんかって十四歳で知った。
それと違って、プログラムとはいえ、こんな僕にでも『疲れてな~い?」と優しい声がスピーカーから聞こえてくる。エロゲーは優しい女の子たちの世界。自分を受け入れてくれる世界。こんな弱い自分でも許してくれる。もしくは、強い仮想の自分の世界。そこに陶酔した。
あと、「エロゲー」の主人公、特に恋愛ゲーのものは、優秀で、行動力があり、規範や既存のルールに従わず、何物にも束縛されず、表層は変わり者とされていても「実はロックな生き様」の設定が多かった。僕はそこに、かつて自分がなりたかったけどなれなかった憧れの姿を見出した。
こうして、他の生徒らは勉学に勤しみながら同性と楽しく過ごしつつ、皆が徐々に徐々に異性と交友と深めつつあった季節に、僕は殻に閉じこもって、エロゲーと釣りと勉強三昧な生活を送った。

あえて、問う。これって僕が悪いのか?
殻に閉じこもってはどうのこうの言うアウトサイドの声がよくあるけど、もう一度問う。
これって僕が悪いのか?

話を戻す。
不思議と人生が好転しだした。

親が買った、ここから離れて、田舎だが再開発されてきて、便利になりつつあるマンションの近くにある(近くもないけど)高校に合格した。ロックは忘れて、ひっそりと闇に隠れて背中丸めてこっそり生きているボッチの自分で生きて行こうと思った。丁度良い。男も女も友達なんて言えるものは誰も居なくなってしまったのだから。
樹里にも申し訳ないことをした。僕を守ったせいで一時逮捕されて鑑別所送りになるかと思ったが色々あったみたいで情状酌量、短期間の保護観察になっただけだった。しかし内申は傷つき、行ける高校が限られてしまった。あいつの未来の選択肢を狭くしてしまった。
ほどなく樹里も電子ドラムを熱心に叩くのをやめた。
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