【R15】【第一作目完結】最強の妹・樹里の愛が僕に凄すぎる件【第二作目連載中】

木村 サイダー

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第一巻

★兄弟の絆~粛清なのに交換条件~

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僕を立たせるのが面倒だから、僕は立ったまま三つの机に下半身を挟まれていた。
さらに両手は三人の誰かに押さえつけられて、体も固定されていた。
もう、人間ではない。ただのサンドバックだ。

「なあ、御堂よ、、、おまえ調子乗ってるからあかんねんで」
中納が正面に立ち、勝ち誇ったような説教をしだした。
「おまえが調子乗ってるから、僕等は、おまえみたいなやつが悪いことをせんように、締めなあかんねん」
まるで自警団気取りだ。粛清でもしているつもりだろうか。
今から思えば、どこに正義があるというのだ。
だが、この状況から早く逃れたかった僕は、

やはり、僕が悪かったんだな、と思えてきたんだ。

負けだろうが
勝ちだろうが
許せなかろうが
格好悪かろうが
どうでもよかった。

ただ、今のこの状況
この拷問のような状況
体のあちこちが煮えたぎるように熱いこの状況、
痛みが痛みですらなく、痺れや麻痺に変わってしまっている状況
次に繰り出される苦痛はどんなに恐ろしいものか、背筋も凍るようなこの状況から、逃げたかった。

「まあせやけど、今日はこの辺りで…勘弁してやるよ」

え?
解放?

許してもらえるのか?
僕は許してもらえるのか?
きっともう正常な判断能力なんて欠片もなくなっていた。

こんな状況において、中納が、良い奴に思えて、
まだ友達になれるかもしれない。
そんな狂気なことすら思った。

解放してくれて、
許してくれるなら、
僕はなんでも…

「樹里ちゃん連れてこいや」
中納が言った。






――――あ。






僕の中で、ガラスが宙から落ちてきて、地面にあたり、粉々に散った。
それは、僕の「助かりたい」という最後の切望だった。
僕は冷静になった。
というか、なにもかもに冷めた。
「おまえんとこの妹可愛いのう、売れや。百円ぐらいで買ったるわ」
口が左右に裂けたような笑い顔で言う。百円という金額の安さに周囲も嘲り笑いだした。
「もうええ年やから、大人の勉強させたらなあかんと思ってなあ、お兄ちゃんよ…」
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