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第一巻
★兄弟の絆~いじめのはじまりはこんなもので、やられている間クラスの女子たちってこんな感じだった~
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中納。
こいつは小学校も同じで、そんな目立ったワルではなかった。クラスも同じになったことはなかった。中学校一年頃から体格が横にも縦にもデカくなり、どんどん不良になっていった、いわゆるヤンキー部門デビュー成功組だった。
半分寝ているような目つきで、常に人を小馬鹿にしたような態度。言葉使いはほぼ常に輩口調だった。
中納の兄が噂ではかなりの不良で、家の中での兄弟喧嘩が凄まじく、それで弟の中納も強くなっていったという噂だった。しかもやはり運動や格闘技を本格的に習っているやつには勝てないからと、刃物を常備していて、現に隣の中学校のやつが一人制服をズタズタに切られて、被害者のやつは散々脅されたあげくに、体のどっか刺されたという噂だった。
つまり、ヤバイ奴だっだ。
喧嘩が一番強かったわけではない。
三年生の時にクラスが同じになり、そいつに僕は目をつけられてしまった。
――――理由は「ヘタレのデビュー」だったから。
今でも覚えてる。今となれば同級生男子らとさほど変わりはないのだが、なぜか当時からすね毛が濃かった。体育の授業とかが嫌で、それを指摘されるのがキツかった。ある時、ロックなファッションでレザーパンツを履いて遊びに行ったときに、裾と靴下の間から見えたすね毛を同級生から指摘された。そいつはそんな僕を敵視したような奴じゃなかったから、あんまり気にもしなかった。けど違った。そのことからあっという間に「イジメの対象」になった僕。
そこからはもがいてももがいても落ちていく蟻地獄のようだった。
イジメられたくないから、仲良くしようとしては、逆にひどい仕打ちを受けたり、親から作ってもらった弁当を鷲掴みにされて、ぐちゃぐちゃにこぼされたやつを拾わさせられたり、ノートをぐちゃぐちゃに落書きされたり、小銭を取られたり(大きいお金は取られない。なぜなら親が出てきて警察沙汰になる可能性が高いから)。
中納たち以外で特にキツかったのは女子たちだった。
いじめが始まる前はデビューを成功させるかのごとく女子たちから、
『御堂君可愛いよね』『良く見たら格好いい』『いつもキメてて格好いい』『背が高いのいい』『ちょっとやんちゃそうなの素敵』
このような称賛の声が高まってきていた。実際にクラスに僕を見るためだけに他のクラスから集まる女子たちや、『付き合ってくれたらいいのになあ』的な声もあちらこちらで聞こえだしていた。今から思えば思い上がりだった。そんなことがずっと続くわけもない。
いじめが始まったら手のひらが返された。便乗イジメだ。女子たちは便乗して「格好ばっかつけてんじゃねーぞ」と罵声を浴びせてきたり、陰から聞こえるように嘲笑ってきた。つい数週間前までは、御堂君は最近格好いいやん、と言ってたのに。
先に言っておくが僕はこの通り今まともに存在している。ということはどこかのタイミングで救出されたということだ。樹里の手で。そこは後から語る。
ここで言いたいのは、その女子たちの態度だ。
救出されたあとはまるで僕のデビューも。中納に便乗していじめたことも、何もかもなかったかのようにしれっとした「ライト無視」。関わり合いたくない全開の態度だった。
――――女子ってこんなもんだよな。
いじめが継続している間、近づいてくる友達は誰もいなくなった。
格好悪いところをこれ以上なじられたく無かったから、先生にも精一杯「いじめられていないアピール」をしていたし、樹里にもそうしていた。
だって、恥ずかしいやん。
ケンカが強いけど反体制的で、筋が通っているのがロックやん。
だけど、一人になった時、
悔しくて
寂しくて
けど怖くて
抗えなくて
時には窓の外に誰かがいて、自分のことを見ているんじゃないかと、何度も開けて見たこともあった。
そんな日々が三年の四月から始まり、決着がついたのが七月上旬だったように思う。
そして僕も、もう精神的にも限界だったように思う。
僕は中納らに呼び出されていた。
こいつは小学校も同じで、そんな目立ったワルではなかった。クラスも同じになったことはなかった。中学校一年頃から体格が横にも縦にもデカくなり、どんどん不良になっていった、いわゆるヤンキー部門デビュー成功組だった。
半分寝ているような目つきで、常に人を小馬鹿にしたような態度。言葉使いはほぼ常に輩口調だった。
中納の兄が噂ではかなりの不良で、家の中での兄弟喧嘩が凄まじく、それで弟の中納も強くなっていったという噂だった。しかもやはり運動や格闘技を本格的に習っているやつには勝てないからと、刃物を常備していて、現に隣の中学校のやつが一人制服をズタズタに切られて、被害者のやつは散々脅されたあげくに、体のどっか刺されたという噂だった。
つまり、ヤバイ奴だっだ。
喧嘩が一番強かったわけではない。
三年生の時にクラスが同じになり、そいつに僕は目をつけられてしまった。
――――理由は「ヘタレのデビュー」だったから。
今でも覚えてる。今となれば同級生男子らとさほど変わりはないのだが、なぜか当時からすね毛が濃かった。体育の授業とかが嫌で、それを指摘されるのがキツかった。ある時、ロックなファッションでレザーパンツを履いて遊びに行ったときに、裾と靴下の間から見えたすね毛を同級生から指摘された。そいつはそんな僕を敵視したような奴じゃなかったから、あんまり気にもしなかった。けど違った。そのことからあっという間に「イジメの対象」になった僕。
そこからはもがいてももがいても落ちていく蟻地獄のようだった。
イジメられたくないから、仲良くしようとしては、逆にひどい仕打ちを受けたり、親から作ってもらった弁当を鷲掴みにされて、ぐちゃぐちゃにこぼされたやつを拾わさせられたり、ノートをぐちゃぐちゃに落書きされたり、小銭を取られたり(大きいお金は取られない。なぜなら親が出てきて警察沙汰になる可能性が高いから)。
中納たち以外で特にキツかったのは女子たちだった。
いじめが始まる前はデビューを成功させるかのごとく女子たちから、
『御堂君可愛いよね』『良く見たら格好いい』『いつもキメてて格好いい』『背が高いのいい』『ちょっとやんちゃそうなの素敵』
このような称賛の声が高まってきていた。実際にクラスに僕を見るためだけに他のクラスから集まる女子たちや、『付き合ってくれたらいいのになあ』的な声もあちらこちらで聞こえだしていた。今から思えば思い上がりだった。そんなことがずっと続くわけもない。
いじめが始まったら手のひらが返された。便乗イジメだ。女子たちは便乗して「格好ばっかつけてんじゃねーぞ」と罵声を浴びせてきたり、陰から聞こえるように嘲笑ってきた。つい数週間前までは、御堂君は最近格好いいやん、と言ってたのに。
先に言っておくが僕はこの通り今まともに存在している。ということはどこかのタイミングで救出されたということだ。樹里の手で。そこは後から語る。
ここで言いたいのは、その女子たちの態度だ。
救出されたあとはまるで僕のデビューも。中納に便乗していじめたことも、何もかもなかったかのようにしれっとした「ライト無視」。関わり合いたくない全開の態度だった。
――――女子ってこんなもんだよな。
いじめが継続している間、近づいてくる友達は誰もいなくなった。
格好悪いところをこれ以上なじられたく無かったから、先生にも精一杯「いじめられていないアピール」をしていたし、樹里にもそうしていた。
だって、恥ずかしいやん。
ケンカが強いけど反体制的で、筋が通っているのがロックやん。
だけど、一人になった時、
悔しくて
寂しくて
けど怖くて
抗えなくて
時には窓の外に誰かがいて、自分のことを見ているんじゃないかと、何度も開けて見たこともあった。
そんな日々が三年の四月から始まり、決着がついたのが七月上旬だったように思う。
そして僕も、もう精神的にも限界だったように思う。
僕は中納らに呼び出されていた。
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