【R15】【第一作目完結】最強の妹・樹里の愛が僕に凄すぎる件【第二作目連載中】

木村 サイダー

文字の大きさ
上 下
9 / 188
第一巻

★オッペケペーズの田中真理

しおりを挟む
宮本にエロゲーを返却した。
「どう?楽しめた?」ニヤニヤしている。
「あ、う、うん、サイコー、ありがとう」
まさか樹里から見られて、えらい目にあわされるだなんて思っちゃいなかった。
結局夜中まで虐められたし。お楽しみなんてできなかったし。
『罰じゃ!今日は揚げ出し豆腐、スーパーで売ってるんじゃなく、あにぃの手作りのん作り』とか樹里から言われるし、、、チェッ!
一限目の休憩が終わり、二限目に入る。
最初に行うのは先日の授業の確認ミニテストの返却。一人ひとり呼ばれてプリントが返されていく。その時はちょっとだけ教室がざわつく。ほんのちょっとだけ。仲の良い子が近くの席なら、どうやった?的な話はするし、先生も馬鹿笑いや大声が起きなければその時間は止めはしない。
前の二人、江藤さんが呼ばれてプリントを返却されて帰ってきた。すぐあとに田中さん。
後ろからチラチラ、『八十五』点なのが見える。多分三問ほど間違えただけかな。
――――江藤さん賢いもんね。
田中さんはすぐに椅子に座りながら後ろに振り返った。
当たり前だが、僕ではなく江藤さんと会話したいんだな。
どうやった?みたいなもんだろう。
僕は目をプリントにやり、自分がどの問題を間違えたかを見直そうとする。
なかなか特進科となるとミニテストでも満点狙いは難しい。授業で基礎を習っていても、もうちょっと捻ったことを聞いてくるからなあ。ちなみに僕も『八十五』点。
まだ先生からの返却は続いている。
「うわ~赤点やん」
仲道、そんなことイチイチ大きな声で言わんでもええのになあ。
先生が「しっかり勉強せぇ(笑)」そりゃ言われるわ。
「真理ちゃん、ここどうやったっけ・・・?」
後の江藤さんが田中さんに呼びかける
「ええ?あ、どれ?」正面向き直って椅子を座ったまま後ろに引いたとき、

ガーッ、ガッシャーン!
――――うん?なにー?

一瞬周囲が沈黙になる。
僕の足元に消しゴムが転がってきた。
田中さんが椅子から転げ落ちていた。
しかも顔を江藤さんの机で打ったみたいで、顔を抑えている。
「真理ちゃん、大丈夫??」
の声がかき消されるように、次の瞬間には教室がドカンと笑い声に包まれた。
特に仲道あたりは指さして笑っている。
顔を抑えて痛みと精神的苦痛に耐えながら体制を整える。
田中さんは見る見るうちに青冷めた顔になりながら、椅子を起こして着席した。
――――不本意な笑いだ。
狙ってとった笑いなら問題なしだし、僕なんかがやったとしても「床のどっかに引っかかったわ~」ってなもんで苦笑いしていればいいけど、真面目だったり、対応力がこういう冗談方向のが乏しかったりすれば、対応できなくなり塞ぎこみたくなる。
案の定田中さんはそれだ。
「おい、もう静かにせぇよ」と先生が場を納める。
笑いは終わり、またそれぞれの会話に戻るが、その中には
「さすがおっぺけ、やるなあ」
「こけるとき、机で顔打ってたで、また顔不細工になるやん」
「こける瞬間スカートの中見えたわ」
「目が腐るぞ~」
チラホラ聞こえる。
見えるわけない。寸胴スカートは鉄壁のガードだ。そいつが本当に見えたんなら、逆に「おまえどんだけそこに注視しとるねん??」と変態ぶりを煽ってやりたい。
僕はその間に消しゴムをひろって、田中さんのところまで持っていき
「はい、落ちてたよ」
そっと机の上においてあげる
「は、あ、・・・・ありがとう」
横顔だけ見えたけど、泣いていたなあ。
――――顔が痛くて泣いているのか、心が痛くて泣いているのか。。。
戻ってきた時に小さな紙切れが床に落ちていたのが分かった。
ちょうど消しゴムの落ちていた場所と同じところ。
(ゴミかな?)
とりあえず拾って後で捨てよう。。。けど、なんだろう?
一応確認。
「あ。。。」
僕は少しだけ小声を漏らしてしまった。
でも周囲には気づかれることはなく、やがて授業が始まった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

大好きな幼なじみが超イケメンの彼女になったので諦めたって話

家紋武範
青春
大好きな幼なじみの奈都(なつ)。 高校に入ったら告白してラブラブカップルになる予定だったのに、超イケメンのサッカー部の柊斗(シュート)の彼女になっちまった。 全く勝ち目がないこの恋。 潔く諦めることにした。

脅され彼女~可愛い女子の弱みを握ったので脅して彼女にしてみたが、健気すぎて幸せにしたいと思った~

みずがめ
青春
陰キャ男子が後輩の女子の弱みを握ってしまった。彼女いない歴=年齢の彼は後輩少女に彼女になってくれとお願いする。脅迫から生まれた恋人関係ではあったが、彼女はとても健気な女の子だった。 ゲス男子×健気女子のコンプレックスにまみれた、もしかしたら純愛になるかもしれないお話。 ※この作品は別サイトにも掲載しています。 ※表紙イラストは、あっきコタロウさんに描いていただきました。

おてんばプロレスの女神たち ~男子で、女子大生で、女子プロレスラーのジュリーという生き方~

ちひろ
青春
 おてんば女子大学初の“男子の女子大生”ジュリー。憧れの大学生活では想定外のジレンマを抱えながらも、涼子先輩が立ち上げた女子プロレスごっこ団体・おてんばプロレスで開花し、地元のプロレスファン(特にオッさん連中!)をとりこに。青春派プロレスノベル「おてんばプロレスの女神たち」のアナザーストーリー。

放課後はネットで待ち合わせ

星名柚花(恋愛小説大賞参加中)
青春
【カクヨム×魔法のiらんどコンテスト特別賞受賞作】 高校入学を控えた前日、山科萌はいつものメンバーとオンラインゲームで遊んでいた。 何気なく「明日入学式だ」と言ったことから、ゲーム友達「ルビー」も同じ高校に通うことが判明。 翌日、萌はルビーと出会う。 女性アバターを使っていたルビーの正体は、ゲーム好きな美少年だった。 彼から女子避けのために「彼女のふりをしてほしい」と頼まれた萌。 初めはただのフリだったけれど、だんだん彼のことが気になるようになり…?

優秀賞受賞作【スプリンターズ】少女達の駆ける理由

棚丘えりん
青春
(2022/8/31)アルファポリス・第13回ドリーム小説大賞で優秀賞受賞、読者投票2位。 (2022/7/28)エブリスタ新作セレクション(編集部からオススメ作品をご紹介!)に掲載。 女子短距離界に突如として現れた、孤独な天才スプリンター瑠那。 彼女への大敗を切っ掛けに陸上競技を捨てた陽子。 高校入学により偶然再会した二人を中心に、物語は動き出す。 「一人で走るのは寂しいな」 「本気で走るから。本気で追いかけるからさ。勝負しよう」 孤独な中学時代を過ごし、仲間とリレーを知らない瑠那のため。 そして儚くも美しい瑠那の走りを間近で感じるため。 陽子は挫折を乗り越え、再び心を燃やして走り出す。 待ち受けるのは個性豊かなスプリンターズ(短距離選手達)。 彼女達にもまた『駆ける理由』がある。 想いと想いをスピードの世界でぶつけ合う、女子高生達のリレーを中心とした陸上競技の物語。 陸上部って結構メジャーな部活だし(プロスポーツとしてはマイナーだけど)昔やってたよ~って人も多そうですよね。 それなのに何故! どうして! 陸上部、特に短距離を舞台にした小説はこんなにも少ないんでしょうか! というか少ないどころじゃなく有名作は『一瞬の風になれ』しかないような状況。 嘘だろ~全国の陸上ファンは何を読めばいいんだ。うわーん。 ということで、書き始めました。 陸上競技って、なかなか結構、面白いんですよ。ということが伝われば嬉しいですね。 表紙は荒野羊仔先生(https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/520209117)が描いてくれました。

隣人の女性がDVされてたから助けてみたら、なぜかその人(年下の女子大生)と同棲することになった(なんで?)

チドリ正明@不労所得発売中!!
青春
マンションの隣の部屋から女性の悲鳴と男性の怒鳴り声が聞こえた。 主人公 時田宗利(ときたむねとし)の判断は早かった。迷わず訪問し時間を稼ぎ、確証が取れた段階で警察に通報。DV男を現行犯でとっちめることに成功した。 ちっぽけな勇気と小心者が持つ単なる親切心でやった宗利は日常に戻る。 しかし、しばらくして宗時は見覚えのある女性が部屋の前にしゃがみ込んでいる姿を発見した。 その女性はDVを受けていたあの時の隣人だった。 「頼れる人がいないんです……私と一緒に暮らしてくれませんか?」 これはDVから女性を守ったことで始まる新たな恋物語。

学園のマドンナの渡辺さんが、なぜか毎週予定を聞いてくる

まるせい
青春
高校に入学して暫く経った頃、ナンパされている少女を助けた相川。相手は入学早々に学園のマドンナと呼ばれている渡辺美沙だった。 それ以来、彼女は学校内でも声を掛けてくるようになり、なぜか毎週「週末の御予定は?」と聞いてくるようになる。 ある趣味を持つ相川は週末の度に出掛けるのだが……。 焦れ焦れと距離を詰めようとするヒロインとの青春ラブコメディ。ここに開幕

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

処理中です...