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第一巻
★オッペケペーズの田中真理
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宮本にエロゲーを返却した。
「どう?楽しめた?」ニヤニヤしている。
「あ、う、うん、サイコー、ありがとう」
まさか樹里から見られて、えらい目にあわされるだなんて思っちゃいなかった。
結局夜中まで虐められたし。お楽しみなんてできなかったし。
『罰じゃ!今日は揚げ出し豆腐、スーパーで売ってるんじゃなく、あにぃの手作りのん作り』とか樹里から言われるし、、、チェッ!
一限目の休憩が終わり、二限目に入る。
最初に行うのは先日の授業の確認ミニテストの返却。一人ひとり呼ばれてプリントが返されていく。その時はちょっとだけ教室がざわつく。ほんのちょっとだけ。仲の良い子が近くの席なら、どうやった?的な話はするし、先生も馬鹿笑いや大声が起きなければその時間は止めはしない。
前の二人、江藤さんが呼ばれてプリントを返却されて帰ってきた。すぐあとに田中さん。
後ろからチラチラ、『八十五』点なのが見える。多分三問ほど間違えただけかな。
――――江藤さん賢いもんね。
田中さんはすぐに椅子に座りながら後ろに振り返った。
当たり前だが、僕ではなく江藤さんと会話したいんだな。
どうやった?みたいなもんだろう。
僕は目をプリントにやり、自分がどの問題を間違えたかを見直そうとする。
なかなか特進科となるとミニテストでも満点狙いは難しい。授業で基礎を習っていても、もうちょっと捻ったことを聞いてくるからなあ。ちなみに僕も『八十五』点。
まだ先生からの返却は続いている。
「うわ~赤点やん」
仲道、そんなことイチイチ大きな声で言わんでもええのになあ。
先生が「しっかり勉強せぇ(笑)」そりゃ言われるわ。
「真理ちゃん、ここどうやったっけ・・・?」
後の江藤さんが田中さんに呼びかける
「ええ?あ、どれ?」正面向き直って椅子を座ったまま後ろに引いたとき、
ガーッ、ガッシャーン!
――――うん?なにー?
一瞬周囲が沈黙になる。
僕の足元に消しゴムが転がってきた。
田中さんが椅子から転げ落ちていた。
しかも顔を江藤さんの机で打ったみたいで、顔を抑えている。
「真理ちゃん、大丈夫??」
の声がかき消されるように、次の瞬間には教室がドカンと笑い声に包まれた。
特に仲道あたりは指さして笑っている。
顔を抑えて痛みと精神的苦痛に耐えながら体制を整える。
田中さんは見る見るうちに青冷めた顔になりながら、椅子を起こして着席した。
――――不本意な笑いだ。
狙ってとった笑いなら問題なしだし、僕なんかがやったとしても「床のどっかに引っかかったわ~」ってなもんで苦笑いしていればいいけど、真面目だったり、対応力がこういう冗談方向のが乏しかったりすれば、対応できなくなり塞ぎこみたくなる。
案の定田中さんはそれだ。
「おい、もう静かにせぇよ」と先生が場を納める。
笑いは終わり、またそれぞれの会話に戻るが、その中には
「さすがおっぺけ、やるなあ」
「こけるとき、机で顔打ってたで、また顔不細工になるやん」
「こける瞬間スカートの中見えたわ」
「目が腐るぞ~」
チラホラ聞こえる。
見えるわけない。寸胴スカートは鉄壁のガードだ。そいつが本当に見えたんなら、逆に「おまえどんだけそこに注視しとるねん??」と変態ぶりを煽ってやりたい。
僕はその間に消しゴムをひろって、田中さんのところまで持っていき
「はい、落ちてたよ」
そっと机の上においてあげる
「は、あ、・・・・ありがとう」
横顔だけ見えたけど、泣いていたなあ。
――――顔が痛くて泣いているのか、心が痛くて泣いているのか。。。
戻ってきた時に小さな紙切れが床に落ちていたのが分かった。
ちょうど消しゴムの落ちていた場所と同じところ。
(ゴミかな?)
とりあえず拾って後で捨てよう。。。けど、なんだろう?
一応確認。
「あ。。。」
僕は少しだけ小声を漏らしてしまった。
でも周囲には気づかれることはなく、やがて授業が始まった。
「どう?楽しめた?」ニヤニヤしている。
「あ、う、うん、サイコー、ありがとう」
まさか樹里から見られて、えらい目にあわされるだなんて思っちゃいなかった。
結局夜中まで虐められたし。お楽しみなんてできなかったし。
『罰じゃ!今日は揚げ出し豆腐、スーパーで売ってるんじゃなく、あにぃの手作りのん作り』とか樹里から言われるし、、、チェッ!
一限目の休憩が終わり、二限目に入る。
最初に行うのは先日の授業の確認ミニテストの返却。一人ひとり呼ばれてプリントが返されていく。その時はちょっとだけ教室がざわつく。ほんのちょっとだけ。仲の良い子が近くの席なら、どうやった?的な話はするし、先生も馬鹿笑いや大声が起きなければその時間は止めはしない。
前の二人、江藤さんが呼ばれてプリントを返却されて帰ってきた。すぐあとに田中さん。
後ろからチラチラ、『八十五』点なのが見える。多分三問ほど間違えただけかな。
――――江藤さん賢いもんね。
田中さんはすぐに椅子に座りながら後ろに振り返った。
当たり前だが、僕ではなく江藤さんと会話したいんだな。
どうやった?みたいなもんだろう。
僕は目をプリントにやり、自分がどの問題を間違えたかを見直そうとする。
なかなか特進科となるとミニテストでも満点狙いは難しい。授業で基礎を習っていても、もうちょっと捻ったことを聞いてくるからなあ。ちなみに僕も『八十五』点。
まだ先生からの返却は続いている。
「うわ~赤点やん」
仲道、そんなことイチイチ大きな声で言わんでもええのになあ。
先生が「しっかり勉強せぇ(笑)」そりゃ言われるわ。
「真理ちゃん、ここどうやったっけ・・・?」
後の江藤さんが田中さんに呼びかける
「ええ?あ、どれ?」正面向き直って椅子を座ったまま後ろに引いたとき、
ガーッ、ガッシャーン!
――――うん?なにー?
一瞬周囲が沈黙になる。
僕の足元に消しゴムが転がってきた。
田中さんが椅子から転げ落ちていた。
しかも顔を江藤さんの机で打ったみたいで、顔を抑えている。
「真理ちゃん、大丈夫??」
の声がかき消されるように、次の瞬間には教室がドカンと笑い声に包まれた。
特に仲道あたりは指さして笑っている。
顔を抑えて痛みと精神的苦痛に耐えながら体制を整える。
田中さんは見る見るうちに青冷めた顔になりながら、椅子を起こして着席した。
――――不本意な笑いだ。
狙ってとった笑いなら問題なしだし、僕なんかがやったとしても「床のどっかに引っかかったわ~」ってなもんで苦笑いしていればいいけど、真面目だったり、対応力がこういう冗談方向のが乏しかったりすれば、対応できなくなり塞ぎこみたくなる。
案の定田中さんはそれだ。
「おい、もう静かにせぇよ」と先生が場を納める。
笑いは終わり、またそれぞれの会話に戻るが、その中には
「さすがおっぺけ、やるなあ」
「こけるとき、机で顔打ってたで、また顔不細工になるやん」
「こける瞬間スカートの中見えたわ」
「目が腐るぞ~」
チラホラ聞こえる。
見えるわけない。寸胴スカートは鉄壁のガードだ。そいつが本当に見えたんなら、逆に「おまえどんだけそこに注視しとるねん??」と変態ぶりを煽ってやりたい。
僕はその間に消しゴムをひろって、田中さんのところまで持っていき
「はい、落ちてたよ」
そっと机の上においてあげる
「は、あ、・・・・ありがとう」
横顔だけ見えたけど、泣いていたなあ。
――――顔が痛くて泣いているのか、心が痛くて泣いているのか。。。
戻ってきた時に小さな紙切れが床に落ちていたのが分かった。
ちょうど消しゴムの落ちていた場所と同じところ。
(ゴミかな?)
とりあえず拾って後で捨てよう。。。けど、なんだろう?
一応確認。
「あ。。。」
僕は少しだけ小声を漏らしてしまった。
でも周囲には気づかれることはなく、やがて授業が始まった。
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