【R15】【第一作目完結】最強の妹・樹里の愛が僕に凄すぎる件【第二作目連載中】

木村 サイダー

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第一巻

★恋愛エロゲーの主人公ってよく考えると僕たちとだいぶ違うよね。。。

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「よー御堂くん」
大きな川の橋・・・・名を天川(てんかわ)橋、この橋を渡る時に、少しこまっちゃぐれたような薄気味悪い話し方で声をかけてきたやつは、宮本だ。白くてすぐに顔が赤くなり、冗談がきついとすぐ拗ねる男だ。典型的な陰キャ。その割にはなんとかウィットに飛んだことを言ってウケようとしてくるから若干しんどい。
「おいっすー」
卒なく挨拶。
「今日ちょっと早めに行ってな、昨日のさ、あの英語のややこしいとこあったやんかあ、あそこもう一回やろうかなって」
勉学意識は高い。僕達は特進科というコースにいる。
僕は入ったときは普通科。
けどボッチがゆえにずっと勉強勉強たまにゲーム、たまにちょびっと恋愛一回だけ(すぐ消滅するやつ。樹里からしたらガキの戯言程度)、また勉強って感じだったから、全国的な偏差値が一年で十ほど上がった。そうなると特進科に編入できるようになっていて、しかもこれは一年から二年に上がるときのみで、毎年だいたい居ない。僕が激レアだった。

あと、僕は普通科はなんとなく中学のあの時と似ていて、空気感が嫌だった。誰が強いだとか、誰が友達多いだとか、誰がもの言わないとか、挨拶しないとか、誰がどうで、誰がこうで、ってそんなもんが蔓延っていた。そうなると必ず、誰は誰より上で、誰は誰より下でって考え方が形成されていく。そうなると誰をハブる、誰を仲間外れにして、あいつは味方か敵か、そんな話ばかりになる。

ちなみに樹里は普通科。あいつはそのようなものから飛び抜けて悟りの境地にいるので大丈夫。樹里だったら都会の学校でここぐらいの偏差値のとこ選べたのになあ。
僕は前に住んでいたあの辺りの学校には行きたくなかったから。誰も行かない学校に行きたかったんだ。
「ところで、あのゲーム、だいぶ行った?」宮本がスケベな笑みを浮かべている。
「うん、多分もうすぐエンディングかなあ」
「誰のとこ行ってるやったっけ?京香ちゃん?美沙ちゃん?」
「美沙ちゃんでゴールする」
もうすぐラストのエッチシーンが見れるのでワクワクしていた。公式ビジュアルファンブックも買ったし。ラストエッチの後は感動のシーンに行くみたいだが。
僕がやるゲーム。それは恋愛シミュレーション系のエロゲーである。
それはスクールカーストの低い非モテ男子の数少ない砂漠のオアシス。女の子に向けたい青春の〇〇先・・・じゃなかった・・・矛先はリアルな女の子には届かない。弱小男子にも微笑みをくれるのは二次元ワールドだけ!
「お、美沙ちゃんかーええやん。あの子確か今年の萌ゲー美少女ランキング二十位内には入っていたぞ」
うん、分かる分かる。エロゲーに登場する女子たちは性格が良くて、クラスの隅っこで密かに生息してる弱い男の子にも手を差し伸べる女の子だもんね。
あ~ボッチエロゲー同志‼
なぜか泣きながら宮本と右腕を上げて天を指さす。嫌すぎるけど、こんなことで。
――――そんな子いるわけない。
恋愛ほど自由主義の競争社会、ヒエラルキーの構造を醸し出し、人として生まれてきたのに、また動物的な、あるいは精子あるいは卵子のように「競争&選別」な世界はない。僕はとっくに門前で尽きてるわ。
でもよくよく考えてみたらエロゲーのヒロインのような人が実際に現れて、その彼女が自分を選ぶかって言ったらほぼそれはない。だいたいエロゲーの主人公というのはダメ男・危ない男と言われている設定であっても強い魅力があって、ケンカも強くて自分の芯がしっかりしていて、ことごとく女キャラたちから心の中では好かれている、そんなのが多い。それに比べて僕たちはリアルに「女子の眼中にないキャラ」でございます。
――――もっとホンマにダメキャラな男の主人公がすげぇヒロインと結ばれて行く逆シンデレラストーリ的なエロゲーってないのかな?そうなるとソフトウェアの販売数・売れ行きが伸びないのかな・・・どんな男子も格好つけだからなあ。自分よりも大きく強く立派に見せたがる。
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