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第三十五話 誤解です
しおりを挟むお久しぶりです。
長らく更新が滞ってしまい、申し訳ございませんでした。
活動報告でもお話した通り、今日は新作告知もありますので、是非後書きまで読んでいただけますと嬉しいです!
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「は、ははははっ初めてとは……ま、まさか貴様、もう会長にそそそ、そこまでのことを……!」
リアと呼ばれた女生徒は呂律が回っていない中でも凄い剣幕で俺に近寄ってくる。
「ご、誤解だ! 俺はそんなことまでは……」
せいぜい胸をそのちょっと……タッチしてしまったくらいで……
いや、それでも十二分にアウトな領域か。
とはいえ、それも故意的なものではなく事故だ。
それに一線を越えたことまではやってないのは事実。
ここは徹底的に否定しなければ……
「嘘をつくな下郎め! さっきもその……会長のむ、胸を……も、もも揉んでいたではないか!」
「いや揉んでまではいないが!?」
「でも触っていただろう!」
「それはそうだが、あれは事故で……!」
「問答無用だ! どちらにせよ、貴様はこれで未来永劫この生徒会室に入ることは叶わなくなった。同時に痴漢行為の容疑で懺悔室まで連行してやる! 覚悟しろ!!」
女生徒は遂に腰元の剣を抜くと、応戦態勢を取ってくる。
ああ、これはもう何言っても無駄かもしれない。
現に目の前にいる女生徒は明らかに冷静さを欠いていた、
ここはもう何かを言えば自分が不利な方向に働く可能性の方が高い。
ここは弁解を諦めて彼女の言いなりに……と思った時だった。
「リア、少し落ち着きなさいっ!」
「ぎゃふん!」
それは刹那のチョップだった。
壊れた魔法機械を直す時に使うような斜め45度のチョップが女生徒の頭を刺激した。
「はっ! 申し訳ございません会長!」
我に戻ったか、女生徒は抜いた剣を鞘に納めた。
「もう……リアは私のことになるとすぐに暴走するんだから。ごめんなさいユーリ様、副会長がとんだ失礼を……」
「いやそれは大丈夫だが、副会長?」
「はい。彼女は我が生徒会の副会長を務めております――」
「リア・バラントだ。よく覚えておけ、下郎」
フィアットの言葉を遮るように女生徒から自己紹介をしてきた。
そうか……やたら威圧感がすごいと思ったら副会長様だったとは……
「もう、下郎は酷いですよ。私の初めてを奪った殿方にそんなことを……」
「そうだフィアット。その初めてってどういうことだ?」
そもそも口論に発展した元凶を問いただすことを忘れていたので、フィアットに聞くと、彼女はきょとんとした顔で答えた。
「え、それは魔物騒動の時と殿方に囲まれていた時に助けていただいたことですが……」
「は?」「はい?」
俺とリアの頭の上にみえない疑問符が浮いた。
「あの時のユーリ様は本当に勇ましくて……はぁ……あれは昔、絵本で呼んだ白馬の王子様のようでした。颯爽と助けに入る見知らぬ殿方……とても素敵でした」
そんなことなぞ露知らずにフィアットは身体をくねくねさせながら、回想に浸る。
ああ、なるほど。良くわかった。
それとフィアットって割と少女趣味的な考えを持っているんだな……
常に冷静でクールな印象があったから、少し意外である。
「私はあんな風に殿方に助けていただいたのは初めてだったので……って二人とも何故そんな苦い顔をしているんですか?」
「い、いえ……別に……」
「その……なんでもない」
疑問を浮かべるフィアットと俺とリアとの間で若干の温度差ある空気が流れる。
リアの方を見ると、まぁ何ともきまずい感じの顔色をしていた。
何を想像していたのやら……というのは野暮なことなので特に追及はしない。
「あ、でも……さっきの件もその……事故とはいえ殿方に触られたことは初めてで……」
「フィアット?」
あれ? なんだ。
なんか空気感が変わったぞ?
赤面するフィアットとは裏腹に俺の隣で威圧感を再燃する存在が……
「おい、ユーリ……だったか?」
「な、なんだ?」
ゴゴゴゴゴと威圧を出すリアに俺は少し後退りながら応答すると、
「貴様、生徒会に入れ」
「え?」
リアから出た言葉はさっきまでの態度とは違い、俺に生徒会に入るように促す発言だった。
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本話もお読みいただきありがとうございました!
前書きでもお伝えしましたが新作『完全無欠の脳筋令嬢~脳筋思考で婚約破棄、弱い男は要りません!~』を投稿致しました。
下記にリンクを貼っておきますので是非読んでみてください!
https://www.alphapolis.co.jp/novel/466415534/850835283
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すごい面白いです。
更新楽しみにしてます。
ありがとうございます!
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久しぶり。ええで。