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第三十二話 生徒会室へ

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 お待たせしてしまい、大変申し訳ございませんでした。
 かなり久々の更新になります。

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「ここが生徒会室か……」

 放課後。
 俺はフィアットの誘いを受け、生徒会にやってきていた。

 学園内は広く、新入生の俺がどこに何があるか把握するのは難しい。
 だがここは別だった。

 何せ、入り口の造りが他の部屋と別格だったから。
 
「この扉だけでいくらかかっているのやら……」

 そんな風に思いながら、俺はノックをすると。

「どうぞ」

 中から声が聞こえてくる。
 声質からして恐らくフィアットだろう。

 俺は扉を開けると、静かに中へと入った。

「お、お邪魔します……」

 中に入ると、これまた豪勢な空間が目に入ってきた。
 学園の一室とは思えない装飾品に満ちた空間。

 中央にある長テーブルに周りには高そうな陶器やら絵画やらが飾ってあり、まるで美術館のような感じだ。

「お待ちしておりました、ユーリ様」
「どうも……」

 フィアットは部屋の最奥にあるデスクに座っていた。

「ごめんなさい。申し訳ないけど、少しだけ待っていてくれますか? 書類整理がまだできていなくて……」
「分かった」

 デスクの上には学園の資料が山積みになっていた。
 これだけ大きな学園なのだ。

 仕事量も尋常じゃないのだろう。
 というかこの山積みの書類、まさか一人で片づけるつもりじゃ……

「凄い量だな」
「四年に一度の祭典が迫ってきていますからね。普段よりも仕事量は多いです」
「でも祭典は秋なんだろ? まだまだ先じゃ……」
「先だからこそ、やることが多いのです。ちなみに祭典の準備は一年前から進めていますよ」
「い、一年前……!?」
「はい。でもそうでもしないと間に合わないのです。色々とやることがありますから」
「そういうものなのか……」

 その祭典の準備に加え、普段の生徒会の仕事もある。
 明らかに人一人がこなすにはキャパオーバーな気がするが……

「何か手伝えることはないか?」
「えっ?」
「その量、一人でこなすには大変だろう?」

 せめて何かできればフィアットの負担が減らせる。
 それに二人でやった方が早く終わるし。

「で、では頼んでもよろしいですか?」
「おう、俺に出来ることなら言ってくれ」


 そういうとフィアットは書類を持って俺のところへ。
 長テーブルにどさっと置いた。

「こちらの書類に学校印を押していただけませんか? もう書類は確認済みなので、印を押すだけで大丈夫です」


 そうして手渡されたのは100枚程度の書類の束だった。
 
「これに全部印を押せばいいんだな?」
「はい。あ、でもこれだけじゃなくて……」

 フィアットはそういうと、棚から書類を出してくる。

「なっ……!」

 その量は尋常ではなく、量からして千枚くらいの束が5セット用意された。

「これにもお願いできますか? 前回の分がまだ処理できてなくて……」
「こ、これを全部か?」
「はい。全部です」

 当たり前のように言うフィアット。
 とはいえ、やると言った以上引き返すことが出来ない。

「わ、分かった。任せろ」
「ありがとうございます、ユーリ。これなら今日はすぐに終わりそうです!」

 いつもこんなことをしているのか……
 やばいな、生徒会。

「今日は帰れそうにないかもな……」

 察すると。
 黙々と書類に印を押すという修行が始まったのだった。
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